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3章 東西都市国家大戦編
雫石の栗鼠2
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3時間後
「「寒い・・・」」
「「冷えるな」」
吹雪いている音がまだ聴こえて治まろうとしない。
窓から見える風景が全て白に染まりきっていた。
救援が来るまでベッドの中に籠っていた僕達はろくに温暖もなく、
2人だけの温かさだけで凌ぎ続けてきた。
空腹くらいなら止むまで耐えられる。
しかし、体温維持はどこまでもつか分からない。
女は低体温症になりやすいらしくイザベルもかなり堪えるだろう。
妹の手に触れる、先は冷たく氷に近い冷たさをもっている。
周りを殴りつけてきた手は小さく、固い。
しかし、それとは異なる様も見えていった。
「「この手は――!?」」
イザベルの掌がある模様を型取ったまま固まっていた。
これはEEEEのグリップ表面、妹の乗っていたビークルに備えてたのか
おそらく現場で使うつもりだったのだ。
身長157cmの小さな体に合わない装備を、
こんな間近で見るまで気付けなかった。
「「おめ・・・一番重ぇ重機ば」」
「「グスッ、女だはんでってバカにされるのがイヤで、
つえぇ物で分がらへでやりだぐって」」
「「そえでおめは現場さ行ぐべどすたのが・・・」」
予行演習をどこかで続けていたようで、ずっと握り締めていた。
EEEEは最高峰の連射速度をもつ銃。
CNから黙って運んできたのは敵性を相手しようと使うつもりで、
そこまでしてこの兵器にこだわるのは理由があったのだ。
ここで妹は全てを話す。
ゲンさんの話を聞いてからイザベルはかつての経緯がこのために収まる。
父の救出ついでに見返して練習成果を実戦で行おうとして飛び出していた。
かつて関東の銃を工房で分解した時に東北製と似ていると発言した事で、
もしかしたら接点があるのではと独断で挑もうとしたのだ。
親ですら不明だった規格元を関東兵に奮えばいつか似た者がやってきて
起源を見つけられて見返せると思い、現場に出て実行。
つまり、妹はEEEEの出元を関係ありそうな敵性から見つけるために
ずっと1人で作業していた。
「「それにすても1人でやるべなんて無茶すぎる」」
「「わがすごぇって見へだがった・・・親にも負げね成果ば」」
「「無謀すぎる、なんぼ4Eだって決すて無敵ってわげでね。
死んだっきゃ元も子もねびょん?」」
「「でもぉ・・・分がね、わがねよぉ」」
「「どうすた?」」
「「父にはだがぃでがら、どうすれば良ぐなるのが分がらねでぇ。
頭ではわりぇって分がってらばって、何がなんなのが・・・」」
「・・・・・・」
当時は言ってる意味がよく分からなかった。
EEEEの部品を口に隠そうとして見つかった日から判断力が下がり、
横暴な態度が表れて落ち着かなくなったらしい。
確か、部品を口に入れると中毒を起こすと言っていた。
実は過去にもそんな事例があったのを覚えている。
オールーチがまだ兵器として利用されていた時代に薬物中毒者がいたと
アドルフ司令から聞いていたが詳しくは分からなかった。
主に掌握するのは鉄道兵団で、子どもの頃に忍び込んだ行為なんて
大人がやろうものならすぐ営倉送りにされるだろう。
もちろん、規格は極秘事項にあたるから詳しくは不明で、
やはり、あの部品は何かが仕込まれてどこかの型を流用。
ほんのイタズラ心をきっかけに巻き添えを受けていたと推測。
イザベルは今まで1人苦しみ、味わってきたのだろう。
一瞬だけ目が虚ろになりかけたりもする。
(この子も大人生み出すた物による被害者だ)
そして、直に生産していた者が消えた。
何の取り柄もない僕にとっては今の場で出来る事は温めるだけ。
「「わーも・・・言葉上手ぐ浮がばね。
大すた実力もねばって今生ぎぢゅんだはんで」」
「「兄っちゃ?」」
「「ああ・・・そうだ、わっきゃおめの兄だ。
そすて男、男だはんでごそ女ば守って当然だ」」
ガバッ
「ちょ、やだっ!」
「「まいね、凍傷で壊死すたっきゃ何もたずまれなぐなるだ」」
無理矢理体を抱き寄せる。
暖がない時の最低保温手段はお互いに身を接して温め合って、
凌ぐ方法は熟知されている。近親者とするのは意外だが、
僕の心は可愛い雪ん子であろうとどこまでも熱くなれる感じがした。
「「ほら、あったがぇびょん? こった時の男は熱ぇじゃ」」
「「くうっ」」
「「わっきゃ父ど違ってそったらに優秀でもね。
でもさ、火にも負げね温がさならもってらつもりだ」」
「「ど、どうすたの?」」
「「イザベル、わっきゃこごさいる」」
「「ふうっ、ふうっ」」
「「わーだってだぃよりもおめの事好ぎだはんで・・・戻ってけ」」
「・・・・・・」
頭を撫でて更に近づく。
鼻も口も小さなイザベルは実の妹とはいえ、僕と顔が違う。
まるで誰かと付き合ってるような感覚で、胸がドキドキし始めて
言いようのなく腕が彼女の体を囲みだす。
親族もほとんどいなくなり、守れるのは自身しかいない。
妹の顔がすぐ目の前にある。
抵抗する様子はない、僕も気持ちが昂って色々抑制が利かなくなる。
いっその事まるごと抱いてしまおうか、男女均等配置法の禁忌を
超えるつもりでそうしようと思った。
「「イザベル・・・」」
「「にぃっちゃぁん・・・」」
グイッ
「ええっ!?」
イワテCN拠点 演習場
イザベルがEEEEを両手でグリップを握りしめる。
そして10分以上持ち上げ続けてエイムをこなす。
父の16分には及ばないものの、歴代において女性初の功績として
イワテCNで唯一重機を直に握る女兵として認定。
タフガイならぬタフガールとして着任した。
「うむ、さすがはササキ君の子息だけはある。
今回、君達を同盟CNとの親善班と任命しよう」
「は、はい・・・」
アドルフ司令からも関心の声をもらう。
言葉の返し方すらどうすれば良いのか、元から浮きがちな立場の中で
ありがたく就くべきな役職をもらえて歩けられるようになる。
そんな経緯で一緒に同行する権限も与えてもらい、他とは違う位置。
僕達2人のみ分隊構成の自由異動を許可された。
「「わんつか、あの2人まだ別行動どるの?」」
「「みだい、兄妹で分隊組むのもわんつかおがすいよね」」
ヒソヒソ
当然の如く周囲から噂の的にもなる。
僕だけが標的になるのは良いけど、妹もそうだから気兼ねもある。
それでも恥じる事なく堂々とCN内を歩くだけだ。
「何よ、あんき仲いフリすてまってでさ」
「しゃべらへでおげばいさ、そんきわんどの待遇がいわげだはんで」
膨れっ面のイザベルをなだめる。
どんな目で見られようと大きく跳ね除けてみせる。
あの後、ベッドの中で僕はイザベルに持ち上げられていた。
実はロッジ外に救援がすでに来ていて先に察知した妹は
妙な関係を気取られないよう僕を患者に見立ててそうしたらしい。
救援隊も状況が理解できずにドアを開けた時の雰囲気で、
東北の隙間風なんて異名が付いたのも皮肉。
あれから時も経ってすっかりとイワテCNに身を置いて活躍してきた。
お互いの気持ちは分かりづらいけど、言葉だけは素直に打ち明けていた。
「「兄っちゃはわーの事・・・ほんに好ぎ?」」
「「もぢろんさ、兄だびょんと関係ね。
親は悲すむがもすれねばって、気持ぢは変えらぃねはんで」」
「「ねぇ・・・もす他さ彼氏どがづぐらぃだりすたっきゃ?」」
「絶対にまいね、そんきは阻止する!
そうなったっきゃわーが4E使うがもすれねさ」
「「冗談だってば・・・」」
「「あまりでったらだ声でしゃべれるものでねが、わーだぐね。だぃにもね。
こったポズションさ就いだわーもほんに幸せだよ。
さあ、今日はアキタの人達ど共同ラボリ。あべ!」」
周りに気付かれないよう妹の手を握る。
冬用の長袖を上手に重ねて隠して離さない。
でも、これからラボリで親善交友のために一度離す。
国、東北もまとまり、更に人も増える。
もしかしたら他地方から思わぬライバルがやってくるかもしれないけど、
誰にも盗られたくはない。愛しき気持ちがあるのは僕の心の底からの本音だ。
「イワテCNに属するメイソン・ササキだ。
資源回収、偵察を主に活動している」
「同じくイワテCNのイザベル・ササキです、よろしくお願いします!」
「よろしく頼むぜ!」
「この子達は兄妹なの、よく面倒見てやってね」
「僕の妹はとてもめんこい、おかげでどこの組でも良縁起なのさ」
「兄さん、また皆の前でそんなしょおすうよ!」
「本当の事だけんね、なんぎな時もこの子とならやってける」
「だ~か~ら~、公衆の前じゃダメだって言うっけ!」
ドスッ
「ふごっ」
肘打ちをくらわされる。
これが最小限と言って良いのか、相変わらず僕だけにはツッコミ。
あれから周囲に暴力を振るう事は無くなった。
同盟の人達がシレっとしても、関係は見た通りでどう思われようと
いつでもどこでも一緒に居続ける。
人は支え合うと言うけど、もっと解釈を広げれば環境に支えられて
絆の根っこを張れば大地の上に立てて生きられるのだろう。
リスが頬を膨らませて木に登っている。
この動物ではないけど、コンプレックスを苦痛に抱えるよりも
独占するように身ごもりする兄妹がどこかにいてもたまには良いだろう。
イワテCN 墓地
(イザベル・・・こんなに冷たく)
だが、現実は脆くも砕かれてしまった。
自身の体と墓石の間に風が通り抜ける。
これはただの鉱石、どんなに接しても温かくならずに返って冷えるだけ。
1人身になってしまい、体温をどこにも移しようのない空気で
温かさを跳ね返す物がこれしかなく前よりも強く押し返されるだけ。
今年もまた雪が降ってくる。
涙が墓石に落ちて、冷えて固まる。
どこかへ登って隠れられればまだ安らげるか、それすらもできない
兄栗鼠だけが残されてしまった。
でも、妹がまだ隣にいる気がしてならない。
あの時、温かさがそこにあったはず。
頭の中、心臓の中には残る思い出は決して消えないだろう、
わずか18年という短き微熱は僕にかけがえなくぬくもりを伝えてくれた。
こんな光景はもう二度と戻る事はない。
「「寒い・・・」」
「「冷えるな」」
吹雪いている音がまだ聴こえて治まろうとしない。
窓から見える風景が全て白に染まりきっていた。
救援が来るまでベッドの中に籠っていた僕達はろくに温暖もなく、
2人だけの温かさだけで凌ぎ続けてきた。
空腹くらいなら止むまで耐えられる。
しかし、体温維持はどこまでもつか分からない。
女は低体温症になりやすいらしくイザベルもかなり堪えるだろう。
妹の手に触れる、先は冷たく氷に近い冷たさをもっている。
周りを殴りつけてきた手は小さく、固い。
しかし、それとは異なる様も見えていった。
「「この手は――!?」」
イザベルの掌がある模様を型取ったまま固まっていた。
これはEEEEのグリップ表面、妹の乗っていたビークルに備えてたのか
おそらく現場で使うつもりだったのだ。
身長157cmの小さな体に合わない装備を、
こんな間近で見るまで気付けなかった。
「「おめ・・・一番重ぇ重機ば」」
「「グスッ、女だはんでってバカにされるのがイヤで、
つえぇ物で分がらへでやりだぐって」」
「「そえでおめは現場さ行ぐべどすたのが・・・」」
予行演習をどこかで続けていたようで、ずっと握り締めていた。
EEEEは最高峰の連射速度をもつ銃。
CNから黙って運んできたのは敵性を相手しようと使うつもりで、
そこまでしてこの兵器にこだわるのは理由があったのだ。
ここで妹は全てを話す。
ゲンさんの話を聞いてからイザベルはかつての経緯がこのために収まる。
父の救出ついでに見返して練習成果を実戦で行おうとして飛び出していた。
かつて関東の銃を工房で分解した時に東北製と似ていると発言した事で、
もしかしたら接点があるのではと独断で挑もうとしたのだ。
親ですら不明だった規格元を関東兵に奮えばいつか似た者がやってきて
起源を見つけられて見返せると思い、現場に出て実行。
つまり、妹はEEEEの出元を関係ありそうな敵性から見つけるために
ずっと1人で作業していた。
「「それにすても1人でやるべなんて無茶すぎる」」
「「わがすごぇって見へだがった・・・親にも負げね成果ば」」
「「無謀すぎる、なんぼ4Eだって決すて無敵ってわげでね。
死んだっきゃ元も子もねびょん?」」
「「でもぉ・・・分がね、わがねよぉ」」
「「どうすた?」」
「「父にはだがぃでがら、どうすれば良ぐなるのが分がらねでぇ。
頭ではわりぇって分がってらばって、何がなんなのが・・・」」
「・・・・・・」
当時は言ってる意味がよく分からなかった。
EEEEの部品を口に隠そうとして見つかった日から判断力が下がり、
横暴な態度が表れて落ち着かなくなったらしい。
確か、部品を口に入れると中毒を起こすと言っていた。
実は過去にもそんな事例があったのを覚えている。
オールーチがまだ兵器として利用されていた時代に薬物中毒者がいたと
アドルフ司令から聞いていたが詳しくは分からなかった。
主に掌握するのは鉄道兵団で、子どもの頃に忍び込んだ行為なんて
大人がやろうものならすぐ営倉送りにされるだろう。
もちろん、規格は極秘事項にあたるから詳しくは不明で、
やはり、あの部品は何かが仕込まれてどこかの型を流用。
ほんのイタズラ心をきっかけに巻き添えを受けていたと推測。
イザベルは今まで1人苦しみ、味わってきたのだろう。
一瞬だけ目が虚ろになりかけたりもする。
(この子も大人生み出すた物による被害者だ)
そして、直に生産していた者が消えた。
何の取り柄もない僕にとっては今の場で出来る事は温めるだけ。
「「わーも・・・言葉上手ぐ浮がばね。
大すた実力もねばって今生ぎぢゅんだはんで」」
「「兄っちゃ?」」
「「ああ・・・そうだ、わっきゃおめの兄だ。
そすて男、男だはんでごそ女ば守って当然だ」」
ガバッ
「ちょ、やだっ!」
「「まいね、凍傷で壊死すたっきゃ何もたずまれなぐなるだ」」
無理矢理体を抱き寄せる。
暖がない時の最低保温手段はお互いに身を接して温め合って、
凌ぐ方法は熟知されている。近親者とするのは意外だが、
僕の心は可愛い雪ん子であろうとどこまでも熱くなれる感じがした。
「「ほら、あったがぇびょん? こった時の男は熱ぇじゃ」」
「「くうっ」」
「「わっきゃ父ど違ってそったらに優秀でもね。
でもさ、火にも負げね温がさならもってらつもりだ」」
「「ど、どうすたの?」」
「「イザベル、わっきゃこごさいる」」
「「ふうっ、ふうっ」」
「「わーだってだぃよりもおめの事好ぎだはんで・・・戻ってけ」」
「・・・・・・」
頭を撫でて更に近づく。
鼻も口も小さなイザベルは実の妹とはいえ、僕と顔が違う。
まるで誰かと付き合ってるような感覚で、胸がドキドキし始めて
言いようのなく腕が彼女の体を囲みだす。
親族もほとんどいなくなり、守れるのは自身しかいない。
妹の顔がすぐ目の前にある。
抵抗する様子はない、僕も気持ちが昂って色々抑制が利かなくなる。
いっその事まるごと抱いてしまおうか、男女均等配置法の禁忌を
超えるつもりでそうしようと思った。
「「イザベル・・・」」
「「にぃっちゃぁん・・・」」
グイッ
「ええっ!?」
イワテCN拠点 演習場
イザベルがEEEEを両手でグリップを握りしめる。
そして10分以上持ち上げ続けてエイムをこなす。
父の16分には及ばないものの、歴代において女性初の功績として
イワテCNで唯一重機を直に握る女兵として認定。
タフガイならぬタフガールとして着任した。
「うむ、さすがはササキ君の子息だけはある。
今回、君達を同盟CNとの親善班と任命しよう」
「は、はい・・・」
アドルフ司令からも関心の声をもらう。
言葉の返し方すらどうすれば良いのか、元から浮きがちな立場の中で
ありがたく就くべきな役職をもらえて歩けられるようになる。
そんな経緯で一緒に同行する権限も与えてもらい、他とは違う位置。
僕達2人のみ分隊構成の自由異動を許可された。
「「わんつか、あの2人まだ別行動どるの?」」
「「みだい、兄妹で分隊組むのもわんつかおがすいよね」」
ヒソヒソ
当然の如く周囲から噂の的にもなる。
僕だけが標的になるのは良いけど、妹もそうだから気兼ねもある。
それでも恥じる事なく堂々とCN内を歩くだけだ。
「何よ、あんき仲いフリすてまってでさ」
「しゃべらへでおげばいさ、そんきわんどの待遇がいわげだはんで」
膨れっ面のイザベルをなだめる。
どんな目で見られようと大きく跳ね除けてみせる。
あの後、ベッドの中で僕はイザベルに持ち上げられていた。
実はロッジ外に救援がすでに来ていて先に察知した妹は
妙な関係を気取られないよう僕を患者に見立ててそうしたらしい。
救援隊も状況が理解できずにドアを開けた時の雰囲気で、
東北の隙間風なんて異名が付いたのも皮肉。
あれから時も経ってすっかりとイワテCNに身を置いて活躍してきた。
お互いの気持ちは分かりづらいけど、言葉だけは素直に打ち明けていた。
「「兄っちゃはわーの事・・・ほんに好ぎ?」」
「「もぢろんさ、兄だびょんと関係ね。
親は悲すむがもすれねばって、気持ぢは変えらぃねはんで」」
「「ねぇ・・・もす他さ彼氏どがづぐらぃだりすたっきゃ?」」
「絶対にまいね、そんきは阻止する!
そうなったっきゃわーが4E使うがもすれねさ」
「「冗談だってば・・・」」
「「あまりでったらだ声でしゃべれるものでねが、わーだぐね。だぃにもね。
こったポズションさ就いだわーもほんに幸せだよ。
さあ、今日はアキタの人達ど共同ラボリ。あべ!」」
周りに気付かれないよう妹の手を握る。
冬用の長袖を上手に重ねて隠して離さない。
でも、これからラボリで親善交友のために一度離す。
国、東北もまとまり、更に人も増える。
もしかしたら他地方から思わぬライバルがやってくるかもしれないけど、
誰にも盗られたくはない。愛しき気持ちがあるのは僕の心の底からの本音だ。
「イワテCNに属するメイソン・ササキだ。
資源回収、偵察を主に活動している」
「同じくイワテCNのイザベル・ササキです、よろしくお願いします!」
「よろしく頼むぜ!」
「この子達は兄妹なの、よく面倒見てやってね」
「僕の妹はとてもめんこい、おかげでどこの組でも良縁起なのさ」
「兄さん、また皆の前でそんなしょおすうよ!」
「本当の事だけんね、なんぎな時もこの子とならやってける」
「だ~か~ら~、公衆の前じゃダメだって言うっけ!」
ドスッ
「ふごっ」
肘打ちをくらわされる。
これが最小限と言って良いのか、相変わらず僕だけにはツッコミ。
あれから周囲に暴力を振るう事は無くなった。
同盟の人達がシレっとしても、関係は見た通りでどう思われようと
いつでもどこでも一緒に居続ける。
人は支え合うと言うけど、もっと解釈を広げれば環境に支えられて
絆の根っこを張れば大地の上に立てて生きられるのだろう。
リスが頬を膨らませて木に登っている。
この動物ではないけど、コンプレックスを苦痛に抱えるよりも
独占するように身ごもりする兄妹がどこかにいてもたまには良いだろう。
イワテCN 墓地
(イザベル・・・こんなに冷たく)
だが、現実は脆くも砕かれてしまった。
自身の体と墓石の間に風が通り抜ける。
これはただの鉱石、どんなに接しても温かくならずに返って冷えるだけ。
1人身になってしまい、体温をどこにも移しようのない空気で
温かさを跳ね返す物がこれしかなく前よりも強く押し返されるだけ。
今年もまた雪が降ってくる。
涙が墓石に落ちて、冷えて固まる。
どこかへ登って隠れられればまだ安らげるか、それすらもできない
兄栗鼠だけが残されてしまった。
でも、妹がまだ隣にいる気がしてならない。
あの時、温かさがそこにあったはず。
頭の中、心臓の中には残る思い出は決して消えないだろう、
わずか18年という短き微熱は僕にかけがえなくぬくもりを伝えてくれた。
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