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第七章:椿は鋼に咲く、忠誠の銃声とともに――女帝と三将軍のプロトコル
第126話:恋愛シミュレーションの終焉(エンド)
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大規模合戦に向け、各部隊は準備と訓練に勤しんでいた。
そんな中、私のもとにアリストからの誘いが届いた。
どうやら兵士たちの訓練の合間のリラックス用に、ゲームのテストプレイを頼みたいらしい。
「まさかまた射撃シミュレーションだろうな……まったく、人使いが荒い奴だ」
アリストは優秀な将官だ。高ランクの軍事学校を卒業したエリートで、入隊時からすでに少尉の階級を持っていた。
端正な顔立ちに軽妙な性格……だが、女性関係は 「戦場」並みに荒れていた。
本人曰く「未成年のロリや既婚者には手を出さない」らしいが、
「アリストの愛人になりたい」という理由で入隊する女性兵士が後を絶たず、
部隊が修羅場と化すこともしばしば。
しかし、そんな不真面目なアリストも、戦場に立てば 「死神をも蹴散らす」と噂されるほどの猛将だ。
幾度も死線をくぐり抜け、
「生還不可能」とされた戦場から ただ一人で帰還した。
その度に体の一部が機械と置き換えられ、
今やその肉体の半分以上がサイボーグ化しているという。
部下には厳しくも親しみやすく、
自腹を切っての慰労会はお馴染みの光景。
さらに、 「アリスト主催の合コン」では
数多くのカップルが誕生した実績があり、
男女問わず圧倒的人気を誇る 「軍の王子様」とも呼ばれている。
「軍隊随一のカリスマ」——
それは、誰もが認める事実だった。
*
「ゲーム? 僕もやりたい!」
遊び盛りのルーは目を輝かせた。娯楽が極めて少ない帝国では、彼にとって日常は退屈すぎたのだろう。
しかし、何より驚いたのはモリアまでついてきたことだ。
彼女は、男の子が好みそうなこういう類いのものには興味を示さないタイプだとばかり思っていた。
「あのプレイボーイがあなたに変な女を紹介したら困りますわ。これは監視……いえ、牽制ですわ。ふふ」
前の一件以来、彼女は以前よりもずっとベタベタと甘えてくるようになった。……まあ、悪い気はしない。
そうして二人を連れ、シミュレーションルームへ向かう。
「よっ、大将。……ん? エンプラちゃんだけじゃなく、まだ違う子供を連れてるのか。小学校でも始める気か?」
……なるほど、アリストはルーとモリアと初対面か。相変わらずの失礼な男だ。 この二人は見た目に反して、私より年上だぞ。
「ゲーム! ゲーム!」
ルーは瞳をキラキラさせて飛び跳ねる。今日のゲームをどれだけ楽しみにしていたのか、その仕草から伝わってくる。
「おお、坊主、なかなかやるじゃねえか。俺の小さい頃にそっくりだ。ほら、これを着けてみろ。」
アリストはヘッドセットをルーに手渡した。
「まずはオフライン版をテストしたい。一人ずつやってみてくれ。終わったら、全員でオンライン版に移る。」
アリストの説明によれば、このゲームにはAIが搭載されており、プレイヤーの反応に応じてリアルタイムで変化するらしい。AIをゲームに組み込むなんて発想、私にはなかった。 いったいどんなものなのか……?
ゲームを起動すると、プレイヤーの動きはすべて大きなスクリーンに投影される。そして、タイトル画面が現れた——
『メモリーズ・オブ・ハート ~恋のリプレイ~』
…………。
頭に「?」が浮かんだ。
「……アリスト、これは兵士たちの訓練の合間に遊ぶゲームだと思っていたが、シューティングシミュレーションじゃないのか?」
「疲れた戦士の心を癒すのは、可愛い女の子の愛だと思わないか?」
「そんなもの、家でやれ。戦場で敵を口説くつもりか?」
「わかってないなあ……だから大将はいつまでも独り身なんだよ。」
「あら、違いますわ。」
モリアがすっと私の腕を抱きしめる。「妻のモリアですわ。ふふ……」
「いやいや、お嬢ちゃん、さすがにそれは……え? マジで?」
私は無言で頷いた。
「やっぱりペドになったか……! エンプラちゃんを見ていると、いつかこうなるとは思っていたが。……って、よく見たらその子、エンプラちゃんに似てね?」
「黙れ。今日はゲームのテストだろう。スクリーンに集中しろ。」
スクリーンに映し出されたのは、ルーがベッドで目を覚ますシーンだった。
「おはよう!また寝坊しそうな顔してるわね…」
カーテンが勢いよく開けられ、眩しい朝日が部屋に差し込む。そこには、赤髪の少女が布団を引っ張っている。
「ほら、起きて!今日は学校の始業式でしょ?忘れたの?」
「……誰?」
ルーは完全に困惑した表情を浮かべた。ゲームの仕様書によれば、この少女は主人公の幼馴染・サラ。容姿端麗、頭脳明晰、運動万能という完璧超人なのに、なぜか平凡な主人公に恋しているという設定らしい。
「あなたの幼馴染のサラよ!まだ寝ぼけてるの?」
「僕はお前のこと知らない。僕に幼馴染なんていない」
サラの目に涙が浮かぶ。だがルーは無表情のまま、彼女の存在そのものを否定した。
「そんな…ルキエル君、酷い…」
「泣いても無駄だ。同情を引こうとするその態度、悪魔みたいで気持ち悪い。僕はそういうの、嫌いだ」
どうやらルーは基本的に女性が嫌いだ。本来なら甘酸っぱい青春の一幕になるはずのシーンが、あっけなく破綻していく。
モニターの外では、アリストがあまりの展開に言葉を失い、代わりにモリアが笑いを堪えきれずに肩を震わせている。「あれではときめきも何もありませんわね」と小声で皮肉るような一言漏らした。
「思い出して!私たち、小さい頃からずっと一緒だったじゃない!」
サラは必死に訴える。
「私の実家でクッキーを焼いた時、形が崩れてたのに、あなたが『美味しい』って食べてくれた…」
「二人で秘密基地を作ったけど、次の日には崩れちゃった…」
「四つ葉のクローバーを見つけて、『将来結婚しよう』って約束したの覚えてる?この指輪、今も持ってるよ…」
しかし、これらの思い出は全てゲーム内の設定でしかない。ルーの心に響くはずもなかった。
「ふん。それなら、僕の誕生日を言ってみろ」
「え?もちろんよ!それは…」
サラの表情が固まる。通常、プレイヤーは設定画面で0月0日など不正な誕生日を入力できない。だが、全能なルーはそんなシステムを無視して強引に入力してしまったのだ。
「�ޥ�饤�騩�、7jK$*gY3!zN6�サ゚ퟃ�㌀�ﬧ�」
画面が突然グリッチだらけになり、カラフルなノイズに覆われてフリーズした。
「……つまらない」
最後までゲームの趣旨を理解しようとしないルーは、呆れたように呟くとヘッドセットを外した。
「次は私が参りますわ」
モリアが優雅にヘッドセットを手に取った。
「おいおい、お嬢ちゃん。これは男向けのゲームだぜ?女の子のあんたがやっても面白くないだろう」
アリストは苦笑いしながら止めようとするが、彼女の指はすでに装着を終えていた。
「男性様にとっては甘い幻想に浸るものかもしれませんが、女性にとっては彼らの欲望を覗き見る絶好の機会ですわ。ふふ」
...嘘つき。最初から全てを知っていたんだろう?ルーが苦手なこのゲームは、人間をおもちゃにするのが彼女にとって最高の娯楽になるに違いない。
ゲームデータがリセットされ、再起動する。
画面に映ったのは、普段と違う、短いショートヘアに黒いスーツのパイモン時姿だった。もともと体男性だった彼女には男装がよく似合う。...だが、そのことを指摘すれば彼女の機嫌を損ねるので、黙っておくのが賢明だ。
スクリーン上で手を振るモリアは、一層楽しんでいるように見える。先程のヒロイン・サラがあまりにも可哀想だったため、今回は彼女を見逃したらしい。代わりのターゲットは──
「あれ?サラ君じゃないの。今日はサラちゃんと一緒じゃないの?」
親友キャラの彼女のアニーだ。しかもモリアは自分の名前をメインヒロインの「サラ」と同じに設定している。早速悪戯心が表れている。
「あれ?アニーって非攻略キャラじゃなかったか?」
アリストの指摘は正しい。仕様書によれば、このゲームは純愛ものがコンセプトで、NTR要素など存在しない。だからこそ、彼女はあえてこのキャラを選んだのだ。
本来、親友キャラは主人公と仲が良い設定だが、モリアが自分の名前をヒロインと同じ「サラ」にしたため、会話が奇妙なすれ違いを生み出していた。
「あなた、先週サラの家に泊まったんでしょう?」
「ああ、でも男の方のサラだよ。考えすぎだって」
「本当かしら?実はそれを口実に、女の子の方のサラと仲を深めてるんじゃない?」
モリアはヒロイン・サラのイベントもこっそりクリアし、本来なら主人公が嫉妬するはずのシチュエーションを逆手に取った。
「でもサラ君の誕生日はとっくに過ぎてますわよ?」
モリアはイベントを終えた後、主人公の誕生日をその日付より前に変更していた。嘘をついていないはずの親友キャラは、まるで浮気をしたかのような状況に追い込まれる。
「もう知らない!」
アニーは泣きながら走り去った。
親友キャラが彼女を探している間、モリアは先回りして待ち伏せしていた。
「可哀想なアニーさん...辛いでしょう?あんなに彼を愛していたのに、裏切られるなんて。ふふ...悔しいと思いませんか?」
「悔しいです...私、どうすれば...」
「復讐すればいいんですわ」
「え?」
「彼が悪いんですもの。だからあなたも彼に振り回される必要はありません。いえ、むしろ...彼に危機感を与えないと」
悪魔の囁きのように、モリアはアニーを堕落へと誘う。
「でも、そんなこと...」
「大丈夫ですわ。彼はきっと今まで以上にあなたを見つめるはず。もし本当に愛しているなら、取り戻しに来るでしょうから」
「...はい。よろしくお願いします、サラ...さん」
アニーの瞳から光が消え、完全に堕ちた瞬間、親友キャラが到着する。
「あら、親友君。アニーさんが私への好感度を教えてくれたんですって。告白しようか迷っているんですが...」
「...100%です。きっと...いい返事がもらえるでしょう」
システムの強制力により、親友キャラは涙を浮かべながら機械的に答えざるを得ない。その姿は、まるで壊れた人形のようだった──
「──ゲーム、ダウンしました」
「あらあら。なかなか楽しめましたわ。もう少々頑丈に作って欲しかったですが...ふふ」
満足げにヘッドセットを外すモリア。その横で、アリストは凍りついたように固まっている。
「...大将、あの娘...マジでヤバいんだけど...」
そんな中、私のもとにアリストからの誘いが届いた。
どうやら兵士たちの訓練の合間のリラックス用に、ゲームのテストプレイを頼みたいらしい。
「まさかまた射撃シミュレーションだろうな……まったく、人使いが荒い奴だ」
アリストは優秀な将官だ。高ランクの軍事学校を卒業したエリートで、入隊時からすでに少尉の階級を持っていた。
端正な顔立ちに軽妙な性格……だが、女性関係は 「戦場」並みに荒れていた。
本人曰く「未成年のロリや既婚者には手を出さない」らしいが、
「アリストの愛人になりたい」という理由で入隊する女性兵士が後を絶たず、
部隊が修羅場と化すこともしばしば。
しかし、そんな不真面目なアリストも、戦場に立てば 「死神をも蹴散らす」と噂されるほどの猛将だ。
幾度も死線をくぐり抜け、
「生還不可能」とされた戦場から ただ一人で帰還した。
その度に体の一部が機械と置き換えられ、
今やその肉体の半分以上がサイボーグ化しているという。
部下には厳しくも親しみやすく、
自腹を切っての慰労会はお馴染みの光景。
さらに、 「アリスト主催の合コン」では
数多くのカップルが誕生した実績があり、
男女問わず圧倒的人気を誇る 「軍の王子様」とも呼ばれている。
「軍隊随一のカリスマ」——
それは、誰もが認める事実だった。
*
「ゲーム? 僕もやりたい!」
遊び盛りのルーは目を輝かせた。娯楽が極めて少ない帝国では、彼にとって日常は退屈すぎたのだろう。
しかし、何より驚いたのはモリアまでついてきたことだ。
彼女は、男の子が好みそうなこういう類いのものには興味を示さないタイプだとばかり思っていた。
「あのプレイボーイがあなたに変な女を紹介したら困りますわ。これは監視……いえ、牽制ですわ。ふふ」
前の一件以来、彼女は以前よりもずっとベタベタと甘えてくるようになった。……まあ、悪い気はしない。
そうして二人を連れ、シミュレーションルームへ向かう。
「よっ、大将。……ん? エンプラちゃんだけじゃなく、まだ違う子供を連れてるのか。小学校でも始める気か?」
……なるほど、アリストはルーとモリアと初対面か。相変わらずの失礼な男だ。 この二人は見た目に反して、私より年上だぞ。
「ゲーム! ゲーム!」
ルーは瞳をキラキラさせて飛び跳ねる。今日のゲームをどれだけ楽しみにしていたのか、その仕草から伝わってくる。
「おお、坊主、なかなかやるじゃねえか。俺の小さい頃にそっくりだ。ほら、これを着けてみろ。」
アリストはヘッドセットをルーに手渡した。
「まずはオフライン版をテストしたい。一人ずつやってみてくれ。終わったら、全員でオンライン版に移る。」
アリストの説明によれば、このゲームにはAIが搭載されており、プレイヤーの反応に応じてリアルタイムで変化するらしい。AIをゲームに組み込むなんて発想、私にはなかった。 いったいどんなものなのか……?
ゲームを起動すると、プレイヤーの動きはすべて大きなスクリーンに投影される。そして、タイトル画面が現れた——
『メモリーズ・オブ・ハート ~恋のリプレイ~』
…………。
頭に「?」が浮かんだ。
「……アリスト、これは兵士たちの訓練の合間に遊ぶゲームだと思っていたが、シューティングシミュレーションじゃないのか?」
「疲れた戦士の心を癒すのは、可愛い女の子の愛だと思わないか?」
「そんなもの、家でやれ。戦場で敵を口説くつもりか?」
「わかってないなあ……だから大将はいつまでも独り身なんだよ。」
「あら、違いますわ。」
モリアがすっと私の腕を抱きしめる。「妻のモリアですわ。ふふ……」
「いやいや、お嬢ちゃん、さすがにそれは……え? マジで?」
私は無言で頷いた。
「やっぱりペドになったか……! エンプラちゃんを見ていると、いつかこうなるとは思っていたが。……って、よく見たらその子、エンプラちゃんに似てね?」
「黙れ。今日はゲームのテストだろう。スクリーンに集中しろ。」
スクリーンに映し出されたのは、ルーがベッドで目を覚ますシーンだった。
「おはよう!また寝坊しそうな顔してるわね…」
カーテンが勢いよく開けられ、眩しい朝日が部屋に差し込む。そこには、赤髪の少女が布団を引っ張っている。
「ほら、起きて!今日は学校の始業式でしょ?忘れたの?」
「……誰?」
ルーは完全に困惑した表情を浮かべた。ゲームの仕様書によれば、この少女は主人公の幼馴染・サラ。容姿端麗、頭脳明晰、運動万能という完璧超人なのに、なぜか平凡な主人公に恋しているという設定らしい。
「あなたの幼馴染のサラよ!まだ寝ぼけてるの?」
「僕はお前のこと知らない。僕に幼馴染なんていない」
サラの目に涙が浮かぶ。だがルーは無表情のまま、彼女の存在そのものを否定した。
「そんな…ルキエル君、酷い…」
「泣いても無駄だ。同情を引こうとするその態度、悪魔みたいで気持ち悪い。僕はそういうの、嫌いだ」
どうやらルーは基本的に女性が嫌いだ。本来なら甘酸っぱい青春の一幕になるはずのシーンが、あっけなく破綻していく。
モニターの外では、アリストがあまりの展開に言葉を失い、代わりにモリアが笑いを堪えきれずに肩を震わせている。「あれではときめきも何もありませんわね」と小声で皮肉るような一言漏らした。
「思い出して!私たち、小さい頃からずっと一緒だったじゃない!」
サラは必死に訴える。
「私の実家でクッキーを焼いた時、形が崩れてたのに、あなたが『美味しい』って食べてくれた…」
「二人で秘密基地を作ったけど、次の日には崩れちゃった…」
「四つ葉のクローバーを見つけて、『将来結婚しよう』って約束したの覚えてる?この指輪、今も持ってるよ…」
しかし、これらの思い出は全てゲーム内の設定でしかない。ルーの心に響くはずもなかった。
「ふん。それなら、僕の誕生日を言ってみろ」
「え?もちろんよ!それは…」
サラの表情が固まる。通常、プレイヤーは設定画面で0月0日など不正な誕生日を入力できない。だが、全能なルーはそんなシステムを無視して強引に入力してしまったのだ。
「�ޥ�饤�騩�、7jK$*gY3!zN6�サ゚ퟃ�㌀�ﬧ�」
画面が突然グリッチだらけになり、カラフルなノイズに覆われてフリーズした。
「……つまらない」
最後までゲームの趣旨を理解しようとしないルーは、呆れたように呟くとヘッドセットを外した。
「次は私が参りますわ」
モリアが優雅にヘッドセットを手に取った。
「おいおい、お嬢ちゃん。これは男向けのゲームだぜ?女の子のあんたがやっても面白くないだろう」
アリストは苦笑いしながら止めようとするが、彼女の指はすでに装着を終えていた。
「男性様にとっては甘い幻想に浸るものかもしれませんが、女性にとっては彼らの欲望を覗き見る絶好の機会ですわ。ふふ」
...嘘つき。最初から全てを知っていたんだろう?ルーが苦手なこのゲームは、人間をおもちゃにするのが彼女にとって最高の娯楽になるに違いない。
ゲームデータがリセットされ、再起動する。
画面に映ったのは、普段と違う、短いショートヘアに黒いスーツのパイモン時姿だった。もともと体男性だった彼女には男装がよく似合う。...だが、そのことを指摘すれば彼女の機嫌を損ねるので、黙っておくのが賢明だ。
スクリーン上で手を振るモリアは、一層楽しんでいるように見える。先程のヒロイン・サラがあまりにも可哀想だったため、今回は彼女を見逃したらしい。代わりのターゲットは──
「あれ?サラ君じゃないの。今日はサラちゃんと一緒じゃないの?」
親友キャラの彼女のアニーだ。しかもモリアは自分の名前をメインヒロインの「サラ」と同じに設定している。早速悪戯心が表れている。
「あれ?アニーって非攻略キャラじゃなかったか?」
アリストの指摘は正しい。仕様書によれば、このゲームは純愛ものがコンセプトで、NTR要素など存在しない。だからこそ、彼女はあえてこのキャラを選んだのだ。
本来、親友キャラは主人公と仲が良い設定だが、モリアが自分の名前をヒロインと同じ「サラ」にしたため、会話が奇妙なすれ違いを生み出していた。
「あなた、先週サラの家に泊まったんでしょう?」
「ああ、でも男の方のサラだよ。考えすぎだって」
「本当かしら?実はそれを口実に、女の子の方のサラと仲を深めてるんじゃない?」
モリアはヒロイン・サラのイベントもこっそりクリアし、本来なら主人公が嫉妬するはずのシチュエーションを逆手に取った。
「でもサラ君の誕生日はとっくに過ぎてますわよ?」
モリアはイベントを終えた後、主人公の誕生日をその日付より前に変更していた。嘘をついていないはずの親友キャラは、まるで浮気をしたかのような状況に追い込まれる。
「もう知らない!」
アニーは泣きながら走り去った。
親友キャラが彼女を探している間、モリアは先回りして待ち伏せしていた。
「可哀想なアニーさん...辛いでしょう?あんなに彼を愛していたのに、裏切られるなんて。ふふ...悔しいと思いませんか?」
「悔しいです...私、どうすれば...」
「復讐すればいいんですわ」
「え?」
「彼が悪いんですもの。だからあなたも彼に振り回される必要はありません。いえ、むしろ...彼に危機感を与えないと」
悪魔の囁きのように、モリアはアニーを堕落へと誘う。
「でも、そんなこと...」
「大丈夫ですわ。彼はきっと今まで以上にあなたを見つめるはず。もし本当に愛しているなら、取り戻しに来るでしょうから」
「...はい。よろしくお願いします、サラ...さん」
アニーの瞳から光が消え、完全に堕ちた瞬間、親友キャラが到着する。
「あら、親友君。アニーさんが私への好感度を教えてくれたんですって。告白しようか迷っているんですが...」
「...100%です。きっと...いい返事がもらえるでしょう」
システムの強制力により、親友キャラは涙を浮かべながら機械的に答えざるを得ない。その姿は、まるで壊れた人形のようだった──
「──ゲーム、ダウンしました」
「あらあら。なかなか楽しめましたわ。もう少々頑丈に作って欲しかったですが...ふふ」
満足げにヘッドセットを外すモリア。その横で、アリストは凍りついたように固まっている。
「...大将、あの娘...マジでヤバいんだけど...」
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