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あれ……ここはどこだろう?
俺、自分の部屋のベッドで眠ってた、よね……?
俺は、何故か真っ暗な空間の中を漂っていた。
すると、どこかから声が聞こえて来て……見れば、そこには二人の人物が──。
『何でだよ……何で勝手に俺の前から居なくなるんだ!』
『落ち着きなさい!あなた……あの子を嫌ってたじゃない。なのに、どうして……?』
『……そうだよ。嫌いだから、俺の許可なく死んだのが許せないんじゃん!まだまだあんなんじゃ足りないよ……。もっとあいつの嫌がる顔が、沢山見たかったのに──!』
何、この子……。
すごく怖い事、言ってるんだけど──!
そう思ったのは俺だけじゃない様で、その子の隣に居た女の人は、わずかに後退った。
『あいつを、もっと苦しめてやりたかったのに……。それが叶うなら、俺は悪魔にだって魂を売るよ?』
あ、くま……?
すると、その子がクルリと振り向き、その様子を呆然と見ていた俺を見て、ニヤリと笑った。
あっ……この子、俺、知ってる──。
『やあっと見つけた。お前……そんな世界に居たんだ──。』
※※※
「い、いやだあぁぁ──!」
「……兄上!?大丈夫ですか?しっかりして下さい!」
「あ、あれ……ここ、俺の部屋……?ジュ、ジュリア、ス……?」
「そうです。あなたの弟の……あなたの愛するジュリアスですよ。」
俺は、思わずジュリアスの胸に飛び込んだ。
「お、俺……夢、見てた。とても怖い夢。」
「一体、どんな夢なのです?」
「前に居た世界で、俺を酷く虐めてた男の夢。あの目は、間違いなく彼だ。あの子は言ったんだ、俺をもっと苦しめたかったって。それが叶うなら、悪魔にだって魂を売るって。」
「悪魔……。」
「あの子は、きっと悪魔と契約したんだ。それで、俺を追いかけこの世界に……!そして、その転生先は──。」
「シオン……だという訳ですね。」
「夢だから、何の証拠もないけど……!」
ジュリアスは、俺の背中をポンポンと優しくあやしながら、少し考え込んだ。
「シオンは……その身体は光魔法の使い手ですが……その魂は悪魔と契約した、悪しき心の持ち主……なのかも知れませんね。そしてそうならば、悪魔の力も使えるはず。兄上は彼にそんな設定はないと仰るかもしれませんが……転生者という事ならば、秘めた力があってもおかしくはない。」
「うん……。」
「ならば、あなたもそうなのでは?その身は闇魔法の使い手ロイスですが……その魂は温かく清いもので……聖なる力を秘めている──。」
「それと関係あるか分からないけど……俺、心当たりあったかも。実はね、俺は死ぬ直前に神様に願ったんだ。次に生れるなら、もっと幸せになりたいって──。前世の俺は、色々と散々だったから……。」
「ならば、あなたには神の加護があるのかもしれませんね。というのも、昨日あなたの魔力を頂き、今朝目が覚めた所……身体の調子が凄く良いのです。これを見て下さい……剣の鍛錬で付いた古傷が、綺麗に消えています。闇の魔力では、こうはなりませんから。」
「じゃあ俺は、意図せずジュリアスに加護のようなものを授けられたって事?」
「えぇ。ですが、あなたが俺を大切に想ってくれる心、愛してくれる心……それら全てが俺の加護になるのです。俺は、今日の放課後から寮へ入ります。そして必ずや、シオンの正体を暴き……あなたの元へと帰ってきますね。」
「うん。でもね、ジュリアス……困った事があったら、すぐに知らせてね?ジュリアスには、俺の使役する魔獣を付けるよ。呼べば必ず姿を現すから……だから、いつでも俺の事を頼ってね──?」
俺、自分の部屋のベッドで眠ってた、よね……?
俺は、何故か真っ暗な空間の中を漂っていた。
すると、どこかから声が聞こえて来て……見れば、そこには二人の人物が──。
『何でだよ……何で勝手に俺の前から居なくなるんだ!』
『落ち着きなさい!あなた……あの子を嫌ってたじゃない。なのに、どうして……?』
『……そうだよ。嫌いだから、俺の許可なく死んだのが許せないんじゃん!まだまだあんなんじゃ足りないよ……。もっとあいつの嫌がる顔が、沢山見たかったのに──!』
何、この子……。
すごく怖い事、言ってるんだけど──!
そう思ったのは俺だけじゃない様で、その子の隣に居た女の人は、わずかに後退った。
『あいつを、もっと苦しめてやりたかったのに……。それが叶うなら、俺は悪魔にだって魂を売るよ?』
あ、くま……?
すると、その子がクルリと振り向き、その様子を呆然と見ていた俺を見て、ニヤリと笑った。
あっ……この子、俺、知ってる──。
『やあっと見つけた。お前……そんな世界に居たんだ──。』
※※※
「い、いやだあぁぁ──!」
「……兄上!?大丈夫ですか?しっかりして下さい!」
「あ、あれ……ここ、俺の部屋……?ジュ、ジュリア、ス……?」
「そうです。あなたの弟の……あなたの愛するジュリアスですよ。」
俺は、思わずジュリアスの胸に飛び込んだ。
「お、俺……夢、見てた。とても怖い夢。」
「一体、どんな夢なのです?」
「前に居た世界で、俺を酷く虐めてた男の夢。あの目は、間違いなく彼だ。あの子は言ったんだ、俺をもっと苦しめたかったって。それが叶うなら、悪魔にだって魂を売るって。」
「悪魔……。」
「あの子は、きっと悪魔と契約したんだ。それで、俺を追いかけこの世界に……!そして、その転生先は──。」
「シオン……だという訳ですね。」
「夢だから、何の証拠もないけど……!」
ジュリアスは、俺の背中をポンポンと優しくあやしながら、少し考え込んだ。
「シオンは……その身体は光魔法の使い手ですが……その魂は悪魔と契約した、悪しき心の持ち主……なのかも知れませんね。そしてそうならば、悪魔の力も使えるはず。兄上は彼にそんな設定はないと仰るかもしれませんが……転生者という事ならば、秘めた力があってもおかしくはない。」
「うん……。」
「ならば、あなたもそうなのでは?その身は闇魔法の使い手ロイスですが……その魂は温かく清いもので……聖なる力を秘めている──。」
「それと関係あるか分からないけど……俺、心当たりあったかも。実はね、俺は死ぬ直前に神様に願ったんだ。次に生れるなら、もっと幸せになりたいって──。前世の俺は、色々と散々だったから……。」
「ならば、あなたには神の加護があるのかもしれませんね。というのも、昨日あなたの魔力を頂き、今朝目が覚めた所……身体の調子が凄く良いのです。これを見て下さい……剣の鍛錬で付いた古傷が、綺麗に消えています。闇の魔力では、こうはなりませんから。」
「じゃあ俺は、意図せずジュリアスに加護のようなものを授けられたって事?」
「えぇ。ですが、あなたが俺を大切に想ってくれる心、愛してくれる心……それら全てが俺の加護になるのです。俺は、今日の放課後から寮へ入ります。そして必ずや、シオンの正体を暴き……あなたの元へと帰ってきますね。」
「うん。でもね、ジュリアス……困った事があったら、すぐに知らせてね?ジュリアスには、俺の使役する魔獣を付けるよ。呼べば必ず姿を現すから……だから、いつでも俺の事を頼ってね──?」
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