捨てられた悪しき令息は、花嫁となり邪神様にその身を捧ぐ。

櫻坂 真紀

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番外編③ ※

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「何だよ、キスは昔もした事あるだろ?だから……それよりも、もっと気持ちいい事しようぜ。」

 ナイルは俺の首筋に顔を寄せると、ベロリと舐めた上げた。

「いやっ、気持ち悪い!」

「おいおい、さっきも言ったけど、元婚約者に失礼だろう?……っていうかお前、もしかして未だにその経験がないのか──?」

 その言葉に、俺はビクリと体が揺れた。

 そう……俺はあの家に来て、夫婦としてイグニス様と同じベットで寝ているけど……未だにキス以上の事をしていない。

 地下牢に入れられたせいで俺の身体が弱っていた事や、ミゲルの事が片付くまでは、とてもじゃないけど、そういう行為ができる余裕はなかったから……。

 だけど、ようやく体も元気になり、ミゲルも田舎の診療所に送られ大人しくしていると聞き、一安心して……そろそろ夫婦の営みを、と考えてはいたのだ。

 いたけど……俺は、中々それを口に出来なくて──!
 だから、今度のイグニス様の誕生日の夜……こちらからお誘いしようと思っていたのだ。

 なのに、どうしてこんな事に──!

※※※

 何も言えず黙り込む俺を見て、肯定ととったのか……ナイルは、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべ俺を見た。

「お前とは、ヤル前に婚約破棄したもんな。人妻なのに初物か……フッ、面白い。だったら、俺の手でその純潔を奪ってやるよ。」

「ッ──!」

 ナイルは俺の首に嚙みつくようなキスをし、ジュウッと音を立て吸い上げた。

「いやぁッ!」

 嫌がる俺を無視し、ナイルの唇は俺の胸元へと降りて行く。

 そして俺の手を片手で一纏めにし壁に押し付けると、もう片方の手で俺のお尻を揉みしだいた。

「ンッ…お、ねが……もう、やめてよ!」

 俺の目から涙が溢れ……それが頬を伝い、ポタリと地面に落ちた時だった。

「うわッ──!」

 ナイルは驚きの声を上げると、俺からガバリと飛び退き、その場に尻もちをついた。

 見れば俺の足元には、緑がかった大きな蛇がとぐろを巻き、ナイルを威嚇していた。

 そしてナイルめがけ飛びかかると、その顔に噛みついた。

「うわあぁ──、俺の美しい顔が!」

 ナイルは叫び声を上げ、その場から逃げて行った。

 俺がその姿を呆然と見送る間に、もう蛇は姿を消していた。

 やがて我に返った俺は、その場から逃げる様に表通りへと向かった。

 危なかった……俺、もう少しでイグニス様以外の男と──。

 こんな事になるなんて……ごめんなさい、イグニス様!
 俺、あなたの妻失格です──!
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