ハナキリンの恋

お粥定食

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13.

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数日後
シャルルはナキと共に深い山の中を歩き、ひらけた所に出る。
花々は咲き乱れ、蝶や鳥が舞い、小川のせせらぎがシャルルの耳に流れ込む。
ナキ「ふう、そろそろカンヌ街に着きそうだな野宿は免れそうだ。」
ナキはクタクタになりながら、シャルルに言う。
シャルル「街に着いたら、ディロガンテの事を聞こう。」
ナキ「それもそうだな。」
その時、ドカーンッ!と大きい音が聞こえた。
シャルル「何の音!?」
ナキ「何だ一体!?」
大地が揺れ動き、シャルルとナキは膝から倒れ、手を地面につけて必死に揺れに耐える。
やがて、揺れが収まると遠くの方から煙が出ているのをナキが発見する。
ナキ「シャルル!あれを見てみろ!」
街らしき建物からは煙が幾つも出ており、彼が上がっているのを確認する。
シャルル「兎に角行ってみよう!」
シャルルはナキと共に街に向かって走り出す。
街は建物が倒壊し、人っ子一人見かけず、返り血が所々付着していた。
シャルル「遅かったか。」
シャルルは悔しげに握り拳を作る。
ナキは何とも言えない表情で街を見つめる。
その時、何やら不気味な笑い声がシャルル達に降り掛かる。
シャルルは笑い声のする方を振り返って声の主に問う。
シャルル「お前はギルゼン!何をしに来た!」
ギルゼン「ヒッヒッヒッ!ちょいとこの街の人間達を俺の可愛い魔物達に襲わせただけさ。」
ギルゼンは屋根の上に胡座を掻きながら、嗜虐心溢れる笑みをシャルルに向けて、シャルルにこう聞く。
ギルゼン「なあ、シャルルお前の顔はとても美しい俺の手で剥製にして飾ってやっても良いんだぞ?」
シャルル「お断りだ!それよりも街の人達の命を何だと思っているんだ!」
ギルゼン「俺にとっては人間の命などこれっぽちも重要ではない。全てはギデリオン様の為に行っている事だ。」
シャルル「降りて僕と戦え!」
ギルゼン「ほう、中々威勢が良い嫌いじゃないぞ!」
ギルゼンは屋根の上から飛び降りて自身の鞭でシャルルに向けて、攻撃を放つ。
ドゴォッ!
鞭で打った所の地面に大きな穴があき、シャルルは間一髪でギルゼンの攻撃を回避しギルゼンに剣の切っ先を突きつける。
ギルゼンは素早く、避けシャルルに鞭をお見舞いする。
バシイッ!
地面に倒れ込むシャルルはうめき声を上げながら、ギルゼンを睨む。
ナキ「お前、俺が相手だ!」
ナキは背中から銃を抜き取り、素早く銃弾をギルゼンに向けて発砲したが、
ダンッ!
ギルゼンは自身の鞭で銃弾を跳ね返し、弾は地面にめり込む。
ギルゼン「ヒッヒッヒッ!お前達との戦いはまた後日にしよう。それまでお前達は俺を楽しませる為に強くなって俺に掛かってこい。」
ギルゼンは音もなく姿を消した。
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