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本編
6 治癒石
しおりを挟む「アルヴィン様!」
「セレス、どうした。嬉しそうにして」
「ええ。私、先日ポール様に御手紙を出したのです。近況とこれからの事と、瀕死の奴隷を購入した事を。そうしたら優しいポール様が!ほら!見て下さい!」
そう頬を紅潮させたセレスが大事そうに握っていた掌を開いて中身をアルヴィンに見せつけた。
そこには本当に小さなカケラだったが、乳白色で虹色に輝く宝石がキラリと光を放った。
「!?これは…小さいけれど治癒石じゃないか…!こんな大きさでも俺達じゃおいそれと手を出せない物だぞ」
「はいっ!この大きさの物しか用意出来なかったが、譲って下さるそうですよ!本当にポール様はお優しい」
「…セレス、相当愛されているな…。良かったな…」
「えへへ。はいっ!」
セレスに手紙でちょっとお願いされただけで、奴隷に使用したいと宣言しているのにも関わらず高価な治癒石を無償で提供するなんて。
アルヴィンは将来的に尻に敷かれたポールを簡単に想像できた。
「それじゃあ、いくぞ」
「はい」
アルヴィンは極小さな治癒石の欠片を奴隷の傷だらけで剥き出しの胸の上に置いた。そしてその欠片に魔力を流す。
すると石が仄かに輝き男の全身を包んだ。
それを眺めていたセレスはうっとりと囁いた。
「すごく、綺麗…」
「そうだな…。大きなものならば欠損さえ治すらしい。…まぁ、そんな奇跡を起こせる治癒石などは王家の秘宝として隠されていて俺達などが目にする事なんて無いだろうけど」
神秘的な光は優しく幾度か点滅し、そのまま石本体と共に男の中に取り込まれていった。
光が消えた後、幾分か男の顔色が良くなり、全身の傷も小さくなっていた。萎んでいた身体も少しだけ張りを取り戻したかのように見えた。
「まぁ、すごい!あんなに小さな欠片でも見違えて良くなるのですね。これで様子を見にきたらポックリ死んでいたなんて心配がなくなります」
「あぁ、後は目覚めるのを待つだけだ」
「ふふ。…では私は食事の支度をして参ります。一刻ほどしたら食堂にいらして下さい」
「ああ、ありがとう」
「それでは失礼いたします」
美しいカーテシーを行いセレスは部屋を出ていった。
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