ウチのメイドがお嫁に出るので、没落貴族の俺が死にかけ奴隷を購入したら記憶喪失でなんだか様子がおかしくて…?

蔓巍ゆんた

文字の大きさ
23 / 52
本編

23 許せない

しおりを挟む
 その日も普段通りの1日になるはずだった。
 しかし、仕事から帰ったアルヴィンは玄関を潜ると崩れ落ちるように倒れた。

「ご主人様!?」

 異変に気がついたレドは慌てて主人の側に駆け寄った。その身体は発熱し、苦しげに息を乱している。よくよく見ると太腿あたりに血が滲んでいるのがわかった。

「ああ!なんという事ですか…!?」
「応急処置は行ったから死ぬ事はない…」

 アルヴィンはぐったりと力を抜いたまま、蒼白になるレドの頬を撫でた。
 ギルド依頼の最中、ふとした油断で毒を持つ犬型の魔獣ザベラスに噛まれてしまったのだった。
 だがアルヴィンは過去にも同じ魔獣に噛まれた事があり、その時はなんの症状も出ずみんなに不思議がられていた。

「俺は毒が効きにくい体質らしく昔は大丈夫だったんだが…。歳を取ったせいかな?こんなになるのは初めてだ…」

「…それは聖女の加護があったからですよ」

「なんだ?」
「いえ…。自らを過信してはいけません。不測の事態と云うのは常に起こりうる事なのです」
「…そうだな。今回は完全に俺の油断が招いた事だ…」

 アルヴィンは苦しげに息を荒げた。

「ああ、ご主人様…。お辛いですね…可哀想に…。手当を行いますので僭越ながら寝室まで運ばせて頂きます」
「悪いな、レド。手間をかけさせる…」
「何を仰るのですか…。ご主人様が健康で快適に過ごせるように尽くすのが俺の仕事ですから…」

 レドはアルヴィンを大切に抱え上げると足速に寝室へ急いだ。
 アルヴィンは感謝を述べようとその顔を見上げ…。

「レド………。お前、涎がすごいぞ…」
「…あは。申し訳ありません…」

 レドは芳しい香りに溢れた涎をジュルリとすすった。



「ああ、口惜しい…。俺のご主人様を傷つけて…。許せない…。許せませんね……皆殺しだ…」
「レド?」
「…何でもありません。ご主人様」




 寝室に主人を運び込んだレドは寝台にアルヴィンを寝かせると血を吸収して重たくなったズボンを脱がせた。
 そうして未だ血が流れる傷口に躊躇ちゅうちょなく口付けた。

「レ、レド!」

 予想外の動きにアルヴィンは驚いて声を上げる。

「ご主人様…毒抜きです…。少しはマシになるでしょう…ん…………………おいしぃ…」
「んっ…くっ…うっ…。レド、お前の身体の害になるだろう…やめなさい」

 その言葉でレドの口が離れていく。唾液と血液が混ざった粘液が糸を引いた。
 口の周りを真っ赤に染めてレドは見上げる。

「大丈夫です。寧ろご主人様の血液を頂く事で元気になりますから…。お願いです。許可を下さいご主人様…只々ただただ俺は心配なのです…」
「…だが」
「安心して下さい。大丈夫ですから…。ご主人様はただ"毒を吸い出せ"と俺に命じるだけでよいのです…。それ以上の事はしませんから…」

 金眼に見つめられ思考が散漫になる。
 
 迷った末に、心配しながらもレドからの懇願を跳ね除け切れず、アルヴィンは乞われた言葉を口にした。

「…レド、……毒を吸い出せ…」
「仰せのままに。ご主人様ぁ…」
「んっ…くっ…はっ…あっ…」

 レドは大きく口を開くと患部を覆い、まるで赤子が乳を吸うようにちゅくちゅくと吸い付いた。
 不思議な事に全身の倦怠感や痛みがそこに集まってレドが一吸いする度に身体が楽になっていくのが感じられた。
 しかし、困った事に肉体を覆う不快感が徐々に無くなっていくのと比例してひそやかな快感が募っていった。
 レドの熱い口内、舌、呼吸がアルヴィンの肌にあたる度にどんどんと気持ちが昂まっていくのだった。

「は、ふぅ…んっ…れ、れどぉ…」

 切なげに熱い息を吐くアルヴィンの中心部が熱を持ち、硬く芯を通した。
 それが下着を押し上げてしまい、傍目から見ても勃起しているのが分かってしまった。
 アルヴィンは焦り、それを手で隠した。だが目敏くそれに気が付いたレドは興奮し、必死に主人の許しを乞うた。

「…!?…ご主人様っ、ご主人様ぁ…!こんなに元気になられて…!あぁ!どうかお慰めする許可を!許可をください……」

 欲望に濡れた金眼がレドの興奮を表していた。
 アルヴィンは目を泳がせ、しばらく悩んだ末に口が動いてしまう。そこには明確に期待が込められていた。

「れどっ………おれの、……に…触る事を、許可する……」

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令嬢の兄、閨の講義をする。

猫宮乾
BL
 ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。

美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

処理中です...