アイラと神のコンパス

ほのなえ

文字の大きさ
28 / 52
ディール島編

第27話 ディール島

しおりを挟む
 アルゴたちの船の修理が終わり、アイラとサルマ、そしてアルゴ海賊団の一行は、コンパスの針の示すとおりに、ヴァイキング・アイランドから北に向かって船を進めていく。

 そのまま長い間航海し続けたある日のこと。アルゴたちは一晩明かすため、大きめの岩場につけて船を停める。

 その夜、アルゴは、アイラとサルマに向かって尋ねる。
「コンパスは、まだ北を示しているのか?」
「うん、そうだよ」
 アイラがコンパスを見ながら頷く。アルゴはそれを聞いて眉間にしわを寄せ、海図を取り出して机に広げる。
「そうか……まずいな。ここから北へ行くとディールとうがあるが、この島は島全体が国になっていて……ドリー朝という王朝が支配している国、ディール帝国がある。この国には警備戦士はいねぇが、代わりに皇帝直属の、数多くの近衛このえ兵によって、島だけでなく付近の海上にいたるまで厳重に警備されていて……さすがに海賊船がこの島に入るのはまずい。そこでなんだが……」
 アルゴはサルマを見る。
「闇の大穴の渦もこんな北まで来るとさすがに大丈夫そうだし、ここから先、ディールとうまではお前たちの船で行ってくれ。俺たちはここの岩場で待機しておく。お前たちはディールとうが目的地かどうかを確認し、目的を果たし終えたら……それとディールとうが目的地でなかった場合も、またここに戻って来い」
「そうだな、わかったよ。じゃ、今日のところはもう遅いしこの船で一休みして……明日の朝、俺たちはディールとうに行くことにするぜ」
 サルマはアルゴの意見に賛成して頷く。


 次の日の朝、サルマの船はアルゴの船のつけてある岩場から出発し、昼頃にはディールとうに到着する。

「アルゴの言ってたとおり、島の周りの見張り台や船から、すでに多くの近衛このえ兵らしき姿が見えたな。俺もこの島では盗賊だってことは隠して、ただの旅人を装っておいた方が良さそうだ。それにしても……すごい島だな。俺もここに来たのは初めてだぜ」
 そう言ってサルマは島を眺める。

 その島の景観にアイラは息をのむ。まず目に入るのが――島の中央にある、絢爛けんらん豪華なモスクのような巨大な建造物である。
 ドーム型の大きい屋根を持つ建物が中央に、そしてその両側に細長い塔が二本建てられている。塔と中央のドーム屋根の建物は下の部分で繋がっている。そんな建物の外には広大な庭が広がり、その周りを高い塀がぐるりと取り囲んでいる。
 それらの塀や建物は、全て眩しいばかりに輝く白い大理石で造られている。

 そしてこの島には、もうひとつ目を引くものがある。それは――――この島の上を人を乗せて飛んでいる、数多くの空飛ぶ絨毯である。
「なんだありゃ! あんなもんがあるのか? あんな簡単に空なんて飛べりゃあ、俺たちみたく闇の大穴の渦に引っかかったりして苦労しねぇのに……なんでこの島の外には普及してねぇんだよ」
「本当だ! すごい……空なんて飛べるんだ!」
 アイラは目を輝かせて、空飛ぶ絨毯を、そしてその下に広がる綺麗な街並みを眺める。
 街にはドーム型の色とりどりの丸い屋根をもつ建物がたくさん見られる。道もきちんと舗装され、綺麗な細かい白砂の道が四方に向かって広がっている。
 街を行く人々の多くはターバンや布を頭に巻き、ふんわりと膨らんだ独特の形のズボンを履いている。一部の女の人は色とりどりの綺麗な薄くてひらひらしたサテンのドレスを身にまとっている。

 アイラは島の中央の建物を指差して言う。
「ねぇ、あそこが皇帝って人の住んでるところかな?」
「そうだろうよ。いつだって権力者は自分の権力の大きさを見せびらかしたいもんだからな。島で一番立派なあの宮殿には、おそらくディール帝国の皇帝が住んでいるんだろう」
「あんなすごい建物に住んでて、兵士もたくさん持ってて……皇帝って本当にすごい力を持ってるんだね。だったら、その皇帝って人に頼めば闇の賊退治に協力してくれたりしないかな?」
「……オマエ、皇帝っていうのは力を持ったすごい人って認識しかねぇな? 皇帝ってのは、警備戦士のおさ以上に偉そうで……そう簡単に俺たちみてぇな一般人が会えるもんじゃねぇんだよ。オマエの島では身分とかなかっただろうからわかんねーかもしれねぇが……。あと、警備戦士の長みてぇに、世界の平和を守るために活動してる訳じゃねぇから……協力もしてくれねぇぞ、きっと。自分とこの利益になることでしか動いちゃくれねぇからな……国だとか皇帝ってやつは。まだこの島は闇の賊に襲われた形跡もねぇし、大穴のうねりもここまで来てねぇようだから……皇帝と話せたところで闇の賊の存在すら馬鹿にされるかもしれねぇ」
「……そうなんだ」
 アイラは少し悲しそうな顔になる。

 サルマは船を船着場に停める。そこに近衛このえ兵たちがやって来る。
「お前は……よそ者だな。どこから来た。身分を証明するものはあるか」
 サルマは近衛このえ兵を見ると表情を引き締める。
「俺はただの旅人だよ。証明になるかはわからねぇが……俺は戦士島の出身で、親類に警備戦士がいる。その船は、その親戚から借りて乗ってるものだ」
 そう言ってサルマは紅竜の船を親指で差す。近衛このえ兵はじろりとそれを見る。
「確かに、紅竜の船首があるようだ。……よかろう。船を貸してもらう仲の警備戦士がいるのなら、賊ってことはあるまい。ただ、船をここに停めるのならば、その代金として銀貨一枚いただこう。この島は全て皇帝陛下の御土地だからな」
 サルマはそれを聞いて苦々しい顔をするが、麻の巾着から銀貨を取り出して近衛このえ兵に支払う。
 兵士が立ち去ると、サルマは大きくため息をつく。
「はーあ、なんか話してて肩の凝るやつらだな、近衛このえ兵ってのは。停め賃まで取られちまったし……。ま、アイツはカモメ島の時みたくニセモノの詐欺まがいじゃねぇ、ただ仕事をこなしている本物の近衛このえ兵だったし……さすがに逆らうと厄介事になりそうだからな」
「うん……。あ、そういえば、コンパスの針は……」
 アイラはコンパスを背中にしょっている袋からごそごそと探し出し、取り出す。その目が大きく見開く。
「サ、サルマさん! コンパス……回ってないよ⁉ この島って、目的地じゃないのかも……!」
「何だと⁉」
 サルマもコンパスを覗き込む。その針は――――まだ北を示している。
「どうしよう……引き返してアルゴさんのとこに戻る?」
 アイラはサルマを見上げて言う。
「……しかし……来ちまったものはしょうがねぇ。船の停め賃も払っちまったし、今日一日はこの島を探索してみようぜ。この島は、この世界でも一二を争うでかい島なんだ。もしかしたら、この島の中の行くべき場所がもうちょっと北だって示してる可能性もなくはねぇ。試しに島をぐるっと回ってみよう」
「でも、今までは目的地の島に着いたとたんくるくる回ってたけどなぁ」
 アイラはそう言って不思議そうにコンパスを眺める。
「ま、この島は、今までの島とは比べ物にならねぇくらいの大きさだからな。……とりあえず……腹が減ったな。昼飯にすっか。この大通りにはそこら中に店があるようだし、食いもんくらいすぐ見つかるだろ」
 サルマはそう言って、アイラを連れて店のある通りに入っていく。


「ふー……美味しかったけど、結構辛かったね。あんな料理初めて食べたよ」

 アイラとサルマは食事を済ませて店から出てくる。アイラは舌を出して顔を赤くして、パタパタと手で自分の顔をあおいでいる。
「あれはタリーっていう香辛料の効いた煮込み料理だ。オマエみたいなお子様にはまだ早かったかな。俺も初めて食ったがなかなか旨かった……のはいいんだが、なんだよあの値段! ぼったくりにも程がある……と思ったが……この市場を見てる感じでは、どうやらこの島……いや、この国は物価が相当高いようだな」
「ぶっか? なあにそれ」
 アイラが首をかしげる。
「物価ってのはだな、物の価値のことなんだが……。うーん……例えば、同じものひとつ買うにも、島ごとに値段が違うって話だよ。さっきみたくこの島は物価が高いっつったら、ものを買うのに他の島よりも多くのカネが必要になる、って意味だ。正直俺も難しくてよくわからねぇんだが……たぶん、そういうことだ」
「ふうん。じゃあおカネが好きなサルマさんにとっては居づらい場所だね」
「……ま、そのとおりだ。もしここが目的地じゃねぇならさっさと離れる方がいいかもな。とりあえずひととおり探索はするが……俺の考えはさっき言ったとおり、この島の中での行くべき場所がもうちょっと北だと示しているって可能性もあるって事だ。それを確かめるには、この島の北端まで行ってみることだ。そこでまだ北を指してるようならこの島が目的地じゃねぇってわかるだろ。だが、なにしろ今まで行った島と比べて桁違いに広い島だからな。徒歩で行くわけにもいかねぇし……移動手段を考えねぇと」

 そう言ったサルマは、ふと目に付いた、たった今空から降りてきた空飛ぶ絨毯を見る。

 いかにも豪華そうな立派な絨毯から裕福そうな太った男が降りて、小綺麗な格好をしている細身の少年に硬貨を一枚渡す。少年はうやうやしくそれを受け取り、男に向かって深くお辞儀をする。
「あれって……もしかして、金払えば乗せてくれるんじゃねーか?」
「え、本当⁉ わたし乗ってみたい!」
 アイラが目を輝かせて言う。
「ああ、島を周るにもあれに乗ると手っ取り早そうだしな。よし、行くぞ」
 サルマはアイラにそう言った後、先程の少年に向けて話しかける。
「おい、それ……金払えば乗せてくれるのか? 島の一番北側まで乗せて欲しいんだが」
 少年は、サルマのことを上から下までじろりと見渡す。
「……旅人さん? お金は……あんまり持ってなさそうだね」
(な、なんだこのガキ……生意気なこといいやがって。てか、明らかにさっきの男の時と態度が違うじゃねぇか。同じ客だろーが!)
 サルマは内心そう思ったものの、ぐっとこらえる。
「で、いくら払えばいいんだ?」
「この絨毯は乗り心地もいい最高級品だからね。金貨一枚、てとこかな」
 サルマはそれを聞いて眉を釣り上げる。
「はあ⁉ 金貨⁉ 足元見やがって……銀貨の間違いじゃねぇのか⁉」
「金貨だよ。なんだ、やっぱりおじさんお金ないんだね。悪いけど僕、お金持ちしか相手にしないんだ。もし安値で絨毯に乗りたいなら、裏通りで絨毯乗りを探しなよ。ボロっちい絨毯でよければ安値で乗れると思うよ。……ほら、あそこの道から裏街に行けるから」
 少年はそう言って、きらびやかな表通りとは対照的に、細くて暗そうな裏道を指差す。
「お、おう……。ありがとな、ぼうず」
 サルマは生意気なヤツだと思いつつも、役に立つ情報を教えてくれた少年に礼を言う。少年はぼうずと呼ばれたことが不快な様子で、眉間にしわを寄せてサルマを一瞥いちべつするが、何も言わずに去ってゆく。


 サルマとアイラは少年から聞いた細い裏道を通り、薄暗い裏街へと辿り着く。
 そこは表の通りと比べてどこか薄暗く、そこにいる人たちはボロボロの衣服をまとい、多くは褐色の肌をしている。

「なんか……表の通りとは違う感じだね」
「綺麗で立派な国かと思いきや、裏ではこんなところもある……こういうもんさ。……お?」

 サルマは絨毯を天日干しにしている、黒髪を頭の高い位置で結んでいて褐色の肌をした、アイラと同じくらいの背丈の少年に目をやり、声をかける。
「オマエ、絨毯乗り……とやらか?」
 褐色の肌の少年はこちらを振り返る。
「うん、そうだよ。もしかして……お客さん?」
「ああ。ちょっと島の最北端に行きてえんだが……」
 少年はそれを聞くと目を輝かせる。
「うん、任せてよ! 僕の絨毯はちょっと古いけど、その代わり安くしとくよ! そうだなぁ……銅貨五枚でどう?」
 サルマはそれを聞いて頷く。
「悪くねぇな。ところで、その絨毯ってのは二人乗れるのか? 後ろのコイツも一緒に乗せてぇんだが」
 そう言ってサルマはアイラの方を親指で指し示す。少年はアイラを見て少し考え、頷く。
「……うん。この絨毯本当は僕合わせて二人乗りだけど……お客さんは荷物も少ないし、その子なら軽そうだから大丈夫かな。やってみるよ。僕は、絨毯乗りのラビっていうんだ。よろしくね、お二人さん」
 絨毯乗りのラビは、後ろにいるアイラにも微笑みかける。アイラは久しぶりに同じ年頃の子供と出会えて嬉しくなり、にっこりと笑う。

「うん、わたしはアイラっていうの。よろしくね、ラビ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

【運命】と言われて困っています

桜 花音
児童書・童話
小6のはじまり。 遠山彩花のクラスである6年1組に転校生がやってきた。 男の子なのに、透き通るようにきれいな肌と、お人形さんみたいに、パッチリした茶色い瞳。 あまりにキレイすぎて、思わず教室のみんな、彼に視線が釘付けになった。 そんな彼が彩花にささやいた。 「やっと会えたね」 初めましてだと思うんだけど? 戸惑う彩花に彼はさらに秘密を教えてくれる。 彼は自らの中に“守護石”というものを宿していて、それがあると精霊と関われるようになるんだとか。 しかも、その彼の守護石の欠片を、なぜか彩花が持っているという。 どういうこと⁉

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP

じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】  悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。  「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。  いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――  クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

パンダを演じたツキノワグマ:愛されたのは僕ではなく、塗りたくった小麦粉だった

tom_eny
児童書・童話
「なぜ、あいつばかりが愛される?」 山奥の孤独なツキノワグマ・ゴローは、人々に熱狂的に愛される「パンダ」に嫉妬した。 里で見つけた小麦粉を被り、彼は偽りのアイドルへと変貌を遂げる。 人々を熱狂させた「純白の毛並み」。 しかし、真夏の灼熱がその嘘を暴き出す。 脂汗と混じり合い、ドロドロの汚泥となって溶け落ちる自己肯定感。 承認欲求の果てに、孤独な獣が最後に見つけた「本当の自分」の姿とは。 SNS時代の生きづらさを一頭の獣に託して描く、切なくも鋭い現代の寓話。 #AI補助利用

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

処理中です...