230 / 273
第十五部:勇者の活躍
帰宅の途につく
しおりを挟む
「それでは明日王都に戻ることにする」
「はい、お世話になりました」
「いや、俺はダンジョンに潜っただけで、それ以外は全部やってくれただろう」
ディディエは俺が見た限りでは非常に優秀だった。元が商家の息子だからか人当たりが良く、どうすれば住民が味方に付いてくれるかを理解しているようだ。
最初の暴走で得た素材を通常よりも安く市内に流通させた。それに食材になるオークの肉や魚介類を使って二日に一回の割合で無料で食事を振る舞っていた。兵士たちも参加できるように交代制にしていたようだ。迷惑な代官が更迭されて
「ですがシュウジ様が暴走をあっという間に押さえ込んでくれたからこそ素材も食材も無駄にせずにすみました。それにいざという時の十分な保存食も作ることもできました」
こういう男だ。このままここの代官をしたらいいんじゃないか?
「それと、これは先ほど届いた鳥による連絡ですが、シュウジ様が戻られる日を連絡してほしいということでした。明日と伝えてもよろしいですか?」
「ああ、明日の午前に出る。もし返事を出すなら昼前には王宮に顔を出すと伝えてほしい」
「分かりました。ではそのように」
◆◆◆
「トゥーリア、それじゃまた頼む」
《うむうむ。いつでも使うとくれ》
両方の角にリボンを付けたトゥーリアに乗って帰ることになった。キンキラキンのリボンにしたからか、トゥーリアの機嫌がいい。やっぱりいくつになっても女の子だな。
今回は従魔が増え過ぎたので、まとめて異空間の特別室に入ってもらった。テーブルもソファーもあるから寛いでいればあっという間だろう。とりあえず俺だけがトゥーリアの背に乗り、そのまま王都へと向かう。それでどうするか。まずは屋敷に従魔たちを降ろし、誰かに世話を任せたら王宮に報告に行く、という順番になるだろうか。
「トゥーリア、今回も助かった」
《いやいや、我はすでにシュウジの従魔じゃ》
トゥーリアは俺を降ろすとノシノシと巣穴の方に戻っていった。トゥーリアは人の姿にはなれないし食事もしない。何か礼でもしたいけど、何をしていいかも分からない。やっぱりアクセサリーか? 光り物が好きみたいだからな。まあ帰ってきてからゆっくりと聞いてみるか。
「それじゃアラクネとセイレーンはとりあえずスキュラたちの家に入ってくれ。食事を持っていくように伝えておく」
「「「はい」」」
従魔たちを異空間から出して説明しているとダヴィドがやって来た。
「旦那様、またお仲間が増えたようですね」
「ああ、新しくアラクネとセイレーンが五人ずつ加わった。それとマダコも五匹いる」
アラクネとセイレーンたちが頭を下げる。マダコはセイレーンと相性がいいようで、普段はアクセサリーのように彼女たちの髪の毛にくっついている。水もあるからな。
「ダヴィドはこの屋敷の執事だ。俺が不在の間は代行を務めている。ダヴィド、とりあえず家をどうするかは後で考えるとして、手間がかかるけど食事を増やすように伝えてくれ。これには食材が入れてある。これをオーブリーとジスランに」
「畏まりました」
俺は食材を詰めた小さなマジックバッグをダヴィドに渡した。容量的には縦横高さがそれぞれ二メートルくらいの箱で、俺がイネスに素材を渡す時などに使うものと同じだ。今は肉や魚介類が入れてある。
「慌ただしいけどこれから王宮に行ってくる」
「はい。それでは馬車の準備をさせます」
◆◆◆
イーヴが御者を務める馬車で王宮に向かう。馬車回しで降りると、そこにはなぜかベラがいた。
「ベラ、こんなところでどうしたんだ?」
「閣下がお戻りになるということで、少し前からここで待っておりました」
忠犬だな。ワンコよりも犬っぽい。尻尾があれば千切れそうなくらいブンブンと振り回しているに違いない。
「これからどうする? 俺は陛下と話がある。遅くなるかもしれないぞ」
「もしよろしければこの馬車でそのまま帰ることにします」
「ああ、それもいいな」
どれだけ時間がかかるか分からないからイーヴは一度屋敷へ帰らせるつもりだった。帰りは王宮から馬車を出してもらえばいい。普段はそうやっている。普段のベラやオリエのように帰る時間が大まかにでも決まっているなら、その時間に合わせて待たせておくこともアリだ。
「あ、ちょっと待て」
「はい?」
乗り込もうとしたベラを呼び止めて抱きしめた」
「あ、閣下」
こちらを向いたところで抱きしめて軽くキスをする。
「帰ったら向こうであったことをみんなに報告する。屋敷で待っておいてくれ」
「はいっ! いつまでもお待ちしています!」
「いや、どこかに行くわけじゃない。ちゃんと帰るから」
ベラはちょっと気分が高揚するとその分だけ馬鹿っぽくなることがある。頭は悪くないはずなんだけどな。表情はあまり変わらないけど、よく見ると少しだけ目が大きくなって口角がわずかに上がる。
「はい、お世話になりました」
「いや、俺はダンジョンに潜っただけで、それ以外は全部やってくれただろう」
ディディエは俺が見た限りでは非常に優秀だった。元が商家の息子だからか人当たりが良く、どうすれば住民が味方に付いてくれるかを理解しているようだ。
最初の暴走で得た素材を通常よりも安く市内に流通させた。それに食材になるオークの肉や魚介類を使って二日に一回の割合で無料で食事を振る舞っていた。兵士たちも参加できるように交代制にしていたようだ。迷惑な代官が更迭されて
「ですがシュウジ様が暴走をあっという間に押さえ込んでくれたからこそ素材も食材も無駄にせずにすみました。それにいざという時の十分な保存食も作ることもできました」
こういう男だ。このままここの代官をしたらいいんじゃないか?
「それと、これは先ほど届いた鳥による連絡ですが、シュウジ様が戻られる日を連絡してほしいということでした。明日と伝えてもよろしいですか?」
「ああ、明日の午前に出る。もし返事を出すなら昼前には王宮に顔を出すと伝えてほしい」
「分かりました。ではそのように」
◆◆◆
「トゥーリア、それじゃまた頼む」
《うむうむ。いつでも使うとくれ》
両方の角にリボンを付けたトゥーリアに乗って帰ることになった。キンキラキンのリボンにしたからか、トゥーリアの機嫌がいい。やっぱりいくつになっても女の子だな。
今回は従魔が増え過ぎたので、まとめて異空間の特別室に入ってもらった。テーブルもソファーもあるから寛いでいればあっという間だろう。とりあえず俺だけがトゥーリアの背に乗り、そのまま王都へと向かう。それでどうするか。まずは屋敷に従魔たちを降ろし、誰かに世話を任せたら王宮に報告に行く、という順番になるだろうか。
「トゥーリア、今回も助かった」
《いやいや、我はすでにシュウジの従魔じゃ》
トゥーリアは俺を降ろすとノシノシと巣穴の方に戻っていった。トゥーリアは人の姿にはなれないし食事もしない。何か礼でもしたいけど、何をしていいかも分からない。やっぱりアクセサリーか? 光り物が好きみたいだからな。まあ帰ってきてからゆっくりと聞いてみるか。
「それじゃアラクネとセイレーンはとりあえずスキュラたちの家に入ってくれ。食事を持っていくように伝えておく」
「「「はい」」」
従魔たちを異空間から出して説明しているとダヴィドがやって来た。
「旦那様、またお仲間が増えたようですね」
「ああ、新しくアラクネとセイレーンが五人ずつ加わった。それとマダコも五匹いる」
アラクネとセイレーンたちが頭を下げる。マダコはセイレーンと相性がいいようで、普段はアクセサリーのように彼女たちの髪の毛にくっついている。水もあるからな。
「ダヴィドはこの屋敷の執事だ。俺が不在の間は代行を務めている。ダヴィド、とりあえず家をどうするかは後で考えるとして、手間がかかるけど食事を増やすように伝えてくれ。これには食材が入れてある。これをオーブリーとジスランに」
「畏まりました」
俺は食材を詰めた小さなマジックバッグをダヴィドに渡した。容量的には縦横高さがそれぞれ二メートルくらいの箱で、俺がイネスに素材を渡す時などに使うものと同じだ。今は肉や魚介類が入れてある。
「慌ただしいけどこれから王宮に行ってくる」
「はい。それでは馬車の準備をさせます」
◆◆◆
イーヴが御者を務める馬車で王宮に向かう。馬車回しで降りると、そこにはなぜかベラがいた。
「ベラ、こんなところでどうしたんだ?」
「閣下がお戻りになるということで、少し前からここで待っておりました」
忠犬だな。ワンコよりも犬っぽい。尻尾があれば千切れそうなくらいブンブンと振り回しているに違いない。
「これからどうする? 俺は陛下と話がある。遅くなるかもしれないぞ」
「もしよろしければこの馬車でそのまま帰ることにします」
「ああ、それもいいな」
どれだけ時間がかかるか分からないからイーヴは一度屋敷へ帰らせるつもりだった。帰りは王宮から馬車を出してもらえばいい。普段はそうやっている。普段のベラやオリエのように帰る時間が大まかにでも決まっているなら、その時間に合わせて待たせておくこともアリだ。
「あ、ちょっと待て」
「はい?」
乗り込もうとしたベラを呼び止めて抱きしめた」
「あ、閣下」
こちらを向いたところで抱きしめて軽くキスをする。
「帰ったら向こうであったことをみんなに報告する。屋敷で待っておいてくれ」
「はいっ! いつまでもお待ちしています!」
「いや、どこかに行くわけじゃない。ちゃんと帰るから」
ベラはちょっと気分が高揚するとその分だけ馬鹿っぽくなることがある。頭は悪くないはずなんだけどな。表情はあまり変わらないけど、よく見ると少しだけ目が大きくなって口角がわずかに上がる。
0
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる