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最終部:領主であること
最終話:シュウジの作る世界
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さて、俺たちは旅に出たことになっている。だからこれからは地上に降りることはほとんどなくなるだろう。完全に神域で生活するのはいいとして、他には何をしたらいい? 神の見習いとしての修行期間はまだまだ長いぞ。
見習いなので修行期間があるのに、愛の神になると決まっているのでその仕事も続けていく。つまり、たまに地上で女を口説く。でも大切にしたいと思って抱くと眷属になってしまうから、そこの調節がなあ。ある程度は仕事と割り切るしかないな。
「アンタは女性を抱いてさえいれば満足でしょ?」
「まあ、それは間違いないな。そうか、そう言うってことは、お前も足りないのか? よし。それならオリエには今から三日ほど入れっぱなしにしてやろう。ここでは飲み食いしななくても死なないからな。大丈夫、ミレーヌだって問題なかったから」
「ええっ? いや、アタシが満足できるかどうかじゃなくて、アンタが——んんっ‼」
オリエはツンデレだ。俺が構わないとすぐに拗ねる。だからこうやって強引に抱く。嫌がってるように見えるけど、全然そんなことはない。俺の複体がオリエをベッドのある部屋へ向かっていった。
ああ、こんな俺だけど、これでもすべての人の上に立つ勇者だ。俺が人の上に立っていいかどうかはともかく、ここ十数年でそれなりに国に貢献できたと思う。停滞という状態は脱したはずだ。それなら今後は息子たちに任せていいよなってことで、俺は今後はミレーヌの胸とエミリアの尻に埋もれて暮らしたい。
「シュウジ様、さすがに飽きませんか?」
「お前の尻に飽きる? 冗談を言うな」
飽きるはずがない。むしろ飽きるほどミレーヌの胸とエミリアの尻に顔を埋めたい。だが愛の神である俺の本能が訴えかけている。あの胸と尻には飽きることはないと。
さて、妻たちに飽きることはないだろう。でも神域から出ないというのも芸がないな。なにかこう、これまでやったことがないことをするのもいいかもしれない。
「世界を作ってみたら面白いと思いますわ」
「世界を作る?」
「ええ。箱庭のようなものです」
それは創造神とか、そういう立場の神の仕事じゃないのか?
「シュウジさん、神は世界を作ることができます。もちろん上の許可を得る必要はありますけど」
「世界を作るか……」
創造神という存在は何柱もいるらしい。そもそも神なら誰でも世界を作れるそうだ。でも最初は宇宙空間のようなものしかなく、そこから育てる間に飽きるそうだ。
たしかになあ。あの宇宙ができたのは一三八億年前とかだったよな? 地球ができたのも四六億年前とかだったはずだ。そう考えれば人類が言葉を話して文字を使うようになったのは最近のことだろう。俺の見習い期間の二〇〇〇年なんて可愛いもんだ。
一三八億年か。気軽に試せる時間ではなく、生命が誕生すれば責任もある。さらに、作っては見たものの、管理が大変すぎて他の神に任せるということも珍しくはない。
「てことは、この世界を作った神と地球を作った神は違うってことだよな?」
「はい、違います」
そして厄介なことだけど、創造神は破壊神も兼ねているそうだ。そりゃ自分が作ったのなら壊す可能性もあるよな。どうしようもなくなったらなかったことにするらしい。
「シュウジくんの作る世界ならぁ、エロ特化ですねぇ」
「すぐに崩壊しそうだな」
「ですが、旦那様ならどんな男女でも公平に愛し合える世界ができるのでは?」
そんなことを言ったのはシュザンヌだ。また呼び方が「旦那様」に戻ったな。ジゼルやアネット、セリーヌ、ナディアたちと一緒にまた使用人のようなことをしているからだろうか。見た目は真面目そうなのに、動きがどんどんエロくなってきた。俺が座っている前でわざとバランスを崩し、そのまま俺に跨るというのは挨拶代わりだ。
「すべての種族の寿命が同じというのはどうですか?」
「そうすると長命種と短命種を作る意味がないよな。全部人間にすればいいだけだし」
ベラのようなハーフエルフは寿命が長い。長命種同士なら問題なくても、配偶者が短命種なら、取り残されてしまう。
「シュウジ、多様性がないと面白くないと思うよ。心の清らかな人もいればドブ川みたいな人もいるのが一つの世界だと思うんだよね」
「はい、様々な趣味を持った人が集まってこそ面白みがあると私は思います」
母さんとリュシエンヌは多様性重視。それは分かる。
「なあ、母さん。多様性はともかく、その見た目はどうしたんだ?」
なぜか母さんは見た目が小学生くらいだった。化身や複体、分身の見た目は変えられる。でも本体の見た目は変えられない。それは俺でも同じだ。どうしても見た目を変えたければ【変装】を覚えるしかない。でもここにいる母さんは本体のはずだし、【変装】はまだ持ってないはずなんだけどな。
「実は【若返り】を覚えてね。それで若返ろうとしたら欲を出しちゃってね」
「それでそんなに幼いのか」
「でも〔不老化〕はカットしたからね。ここからは普通に成長して、シュウジの好みの年齢になるから、気になったところで美味しく頂いちゃってね」
「諦めてくれ」
残念ながら俺はロリじゃない。ジゼルに欲情したのは、若返ったと同時に精神もそれに引っ張られるようにして幼くなったからだ。あれからは元に戻っている。
俺たちが雑談をしている間も、オレリーとアネット、ジゼルはせっせと子供服を作っていた。自分たちは地上には降りないが、子供服くらいは与えようと考えている。
「そういや、ここしばらくエルシーとネリーとサビーを見てないけど、地上か?」
「向こうで何か描いてましたよぉ」
「そうか。死なないからって無茶はするなと言っておいてくれ。あっちのイネスとエステルにもだ」
うちのファッション担当者たちはどこかで何かを描いているらしい。また新しい下着のデザインだろうか。
ああ、業績を自慢したいわけじゃないけど、俺に子供が生まれたあたりから、エロい下着が地上で流行り始めた。もちろん俺たちが広めたんだけど、そこはケントさんとコレットさんにも協力してもらった。ケントさんは俺と同じくらいエロいし、日本のことも知っている。コレットさんはかなりのムッツリだからな。二人とも俺よりも少し上だけど、今でもそっちはバリバリの現役だ。
ついでに、イネスとエステルも俺やケントさんから得た情報でとっておきのエログッズを次々と作っている。とっておきと言っても、この世界ではという話で、日本なら普通にアダルトグッズで売られているレベルのものだ。こっちもケントさん経由でセドラン商会から販売されている。コレットさんの実家だな。もはやエロの最大手らしい。
そうだ、エロで思い出した。ある町に俺の複体がふと立ち寄ったらクローディーヌを見つけた。タイスとミラベルの母親だ。
あれから愛人宅に転がり込もうとしたらしいけど、その愛人は自分とクローディーヌの関係がレアンドル侯爵にバレたことで自己保身に走ったそうだ。それで完全に居場所を失い、王都を離れて野垂れ死ぬ寸前だったところを変装していた俺の複体が見つけた。
「あれだけ断罪しておいて、それでも助けるあたりがシュウジ様ですね」
「あれでも産みの母親だから、野垂れ死にされると寝覚めが悪くなってましたね」
「余計なお世話だったかもしれないけど、二人の母親なのは間違いないからな。どんな性格だろうと母親は母親だ」
「そうそう。シュウジ、親は大切よ」
「だから大切にしてるだろ?」
抱きつこうとする母さんを捕まえて高い高いをする。親じゃなくて子供だな、これでは。
なんだかんだで家族が増えた。そういえば、夫と妻というのは一番近いけど元は他人なんだよな。それがいつの間にか一緒に暮らすようになって子供もでき、当たり前だけど、そうやって人の営みは続いていく。
そうだな、フランが言ったように、世界を作ってみるか。この世界に来た時にはそんな事は考えたこともなかったけど、ちょっと興味が出てしまった。今から作ったとして、それでいつ生命が誕生するかは分からないけど、俺としては地球に似た世界を作りたい。俺に似てエロい男女がいて、それでもきちんと成り立つような世界を。
その世界には日本とかアメリカとか、どこかで聞いたような国がある。でも大きな戦争の起きていない平和な世界が広がっている。なぜか国が違っても言葉が通じやすく、俺とは違ってみんな真面目に学校に行って真面目に就職して、それで子宝に恵まれる。血が繋がっていようがいなかろうが、みんなで仲良く暮らせる。そんな世界ができれば一番だな。
もちろんそうなるとは限らないし、国の名前だって俺が付けるわけじゃないだろう。神はできる限り余計なことはしないらしいし、見守ることがほとんどなんだそうだ。それでも方向性を示せるし、わりと意図した方向に進められるらしい。
「シュウジさん、これがその世界の元だそうです」
「これがなあ」
ミレーヌが渡してくれたのはガラスケースのようなもので、その中にどんよりとした黒いモヤのようなものが入っている。
「上の許可が必要だって言ってなかったか?」
「はい。聞いてみたら『面白そうだからさせてみたら?』と一言で許可が出ました」
「……まあいいか。ところで、これをどう使うんだ?」
「端と端を持って少しずつ魔力を加えてください、とあります」
「少しずつ……」
端に端子のようなものが付いていたので、そこを触りながら魔力を流す。すると黒いモヤが中央に集まり始め、箱の真ん中で一つの光ができ始めた。ガラス箱の中に小さな電球が入っているような見た目だ。
「それがあなた様の世界の元になります。もう少しするとそれが飛び散って恒星や惑星ができるそうですわ」
「ビッグバンみたいなものか」
ミレーヌとフランが説明書を読みながら俺に説明してくれる。俺はその指示通りに魔力を注ぐ。
「二人は作ったことはないのか?」
「ありませんよ」
「私もありませんわ」
「それならみんなで初めて作る世界を鑑賞するか」
俺は神域の庭にあるテーブルの上にその世界を乗せた。うまくいけば、何億年か先には生命が誕生するかもしれない。
人として生まれて死んで、勇者として召喚されて神になった。訳が分からないな。でも、俺らしいと言えば俺らしいか。
「あ、シュウジさん、そろそろみたいですよ」
ミレーヌの声で我に返ると、光が膨張し始めた、と思ったら光ってガラス箱の中に小さな光が散らばった。
「これが銀河ですね。よく見ると無数の星がありますよ。そのうち増えたり減ったりするでしょうね」
単なるガラス箱にしか見えない。でもこの中にはいずれ人類が誕生するかもしれない惑星が存在しているかもしれない。何億年、何十億年先か分からないけど、俺が神として地上に降りるのも面白いかもしれない。
「それじゃあ、しばらくここでゆっくりするぞ。たまにミレーヌやフランの神域に行くのもいいな」
「いつ来ていただいてもいいように、ベッドは一番大きなものを用意しましたわ」
「私の神域には前から何もありませんから、いつでもどうぞ。いくらでもダラダラしてくださいね」
俺は俺らしく、妻たちに溺れてダラダラしつつ、たまに働いて。神が真面目に働かなければならない世界なんて……あ、そうか。子供は放っておいても勝手に育つ。世界は勝手に回る。そういうことか。よほどでなければ神は動かない。それくらいでいいんだろうな。子供のケンカに親が出しゃばるようでは子供の成長がないだろう。イジメが原因で自殺するとか、そこまで深刻なら話は別だろうけど。
それならベッドでダラダラするか。いや、ベッドでダラダラはできないな。ベッド以外でダラダラして、ベッドではしっかりと妻たちを満足させる。そして何億年か何十億年か分からないけど、そのころには俺の作った世界も一人前になっているだろう。うまくいけば。
「それならフランのところへ行こうか」
「案内いたしますわ」
フランが俺の右腕に自分の腕を絡める。左腕にはミレーヌが抱きつく。俺の複体に抱かれていたオリエを回収しつつ、仕事中のみんなを連れてフランの神域に移動する。次に戻った時にこの世界がどうなっているか。まあ、見てのお楽しみだな。
見習いなので修行期間があるのに、愛の神になると決まっているのでその仕事も続けていく。つまり、たまに地上で女を口説く。でも大切にしたいと思って抱くと眷属になってしまうから、そこの調節がなあ。ある程度は仕事と割り切るしかないな。
「アンタは女性を抱いてさえいれば満足でしょ?」
「まあ、それは間違いないな。そうか、そう言うってことは、お前も足りないのか? よし。それならオリエには今から三日ほど入れっぱなしにしてやろう。ここでは飲み食いしななくても死なないからな。大丈夫、ミレーヌだって問題なかったから」
「ええっ? いや、アタシが満足できるかどうかじゃなくて、アンタが——んんっ‼」
オリエはツンデレだ。俺が構わないとすぐに拗ねる。だからこうやって強引に抱く。嫌がってるように見えるけど、全然そんなことはない。俺の複体がオリエをベッドのある部屋へ向かっていった。
ああ、こんな俺だけど、これでもすべての人の上に立つ勇者だ。俺が人の上に立っていいかどうかはともかく、ここ十数年でそれなりに国に貢献できたと思う。停滞という状態は脱したはずだ。それなら今後は息子たちに任せていいよなってことで、俺は今後はミレーヌの胸とエミリアの尻に埋もれて暮らしたい。
「シュウジ様、さすがに飽きませんか?」
「お前の尻に飽きる? 冗談を言うな」
飽きるはずがない。むしろ飽きるほどミレーヌの胸とエミリアの尻に顔を埋めたい。だが愛の神である俺の本能が訴えかけている。あの胸と尻には飽きることはないと。
さて、妻たちに飽きることはないだろう。でも神域から出ないというのも芸がないな。なにかこう、これまでやったことがないことをするのもいいかもしれない。
「世界を作ってみたら面白いと思いますわ」
「世界を作る?」
「ええ。箱庭のようなものです」
それは創造神とか、そういう立場の神の仕事じゃないのか?
「シュウジさん、神は世界を作ることができます。もちろん上の許可を得る必要はありますけど」
「世界を作るか……」
創造神という存在は何柱もいるらしい。そもそも神なら誰でも世界を作れるそうだ。でも最初は宇宙空間のようなものしかなく、そこから育てる間に飽きるそうだ。
たしかになあ。あの宇宙ができたのは一三八億年前とかだったよな? 地球ができたのも四六億年前とかだったはずだ。そう考えれば人類が言葉を話して文字を使うようになったのは最近のことだろう。俺の見習い期間の二〇〇〇年なんて可愛いもんだ。
一三八億年か。気軽に試せる時間ではなく、生命が誕生すれば責任もある。さらに、作っては見たものの、管理が大変すぎて他の神に任せるということも珍しくはない。
「てことは、この世界を作った神と地球を作った神は違うってことだよな?」
「はい、違います」
そして厄介なことだけど、創造神は破壊神も兼ねているそうだ。そりゃ自分が作ったのなら壊す可能性もあるよな。どうしようもなくなったらなかったことにするらしい。
「シュウジくんの作る世界ならぁ、エロ特化ですねぇ」
「すぐに崩壊しそうだな」
「ですが、旦那様ならどんな男女でも公平に愛し合える世界ができるのでは?」
そんなことを言ったのはシュザンヌだ。また呼び方が「旦那様」に戻ったな。ジゼルやアネット、セリーヌ、ナディアたちと一緒にまた使用人のようなことをしているからだろうか。見た目は真面目そうなのに、動きがどんどんエロくなってきた。俺が座っている前でわざとバランスを崩し、そのまま俺に跨るというのは挨拶代わりだ。
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「そうすると長命種と短命種を作る意味がないよな。全部人間にすればいいだけだし」
ベラのようなハーフエルフは寿命が長い。長命種同士なら問題なくても、配偶者が短命種なら、取り残されてしまう。
「シュウジ、多様性がないと面白くないと思うよ。心の清らかな人もいればドブ川みたいな人もいるのが一つの世界だと思うんだよね」
「はい、様々な趣味を持った人が集まってこそ面白みがあると私は思います」
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「なあ、母さん。多様性はともかく、その見た目はどうしたんだ?」
なぜか母さんは見た目が小学生くらいだった。化身や複体、分身の見た目は変えられる。でも本体の見た目は変えられない。それは俺でも同じだ。どうしても見た目を変えたければ【変装】を覚えるしかない。でもここにいる母さんは本体のはずだし、【変装】はまだ持ってないはずなんだけどな。
「実は【若返り】を覚えてね。それで若返ろうとしたら欲を出しちゃってね」
「それでそんなに幼いのか」
「でも〔不老化〕はカットしたからね。ここからは普通に成長して、シュウジの好みの年齢になるから、気になったところで美味しく頂いちゃってね」
「諦めてくれ」
残念ながら俺はロリじゃない。ジゼルに欲情したのは、若返ったと同時に精神もそれに引っ張られるようにして幼くなったからだ。あれからは元に戻っている。
俺たちが雑談をしている間も、オレリーとアネット、ジゼルはせっせと子供服を作っていた。自分たちは地上には降りないが、子供服くらいは与えようと考えている。
「そういや、ここしばらくエルシーとネリーとサビーを見てないけど、地上か?」
「向こうで何か描いてましたよぉ」
「そうか。死なないからって無茶はするなと言っておいてくれ。あっちのイネスとエステルにもだ」
うちのファッション担当者たちはどこかで何かを描いているらしい。また新しい下着のデザインだろうか。
ああ、業績を自慢したいわけじゃないけど、俺に子供が生まれたあたりから、エロい下着が地上で流行り始めた。もちろん俺たちが広めたんだけど、そこはケントさんとコレットさんにも協力してもらった。ケントさんは俺と同じくらいエロいし、日本のことも知っている。コレットさんはかなりのムッツリだからな。二人とも俺よりも少し上だけど、今でもそっちはバリバリの現役だ。
ついでに、イネスとエステルも俺やケントさんから得た情報でとっておきのエログッズを次々と作っている。とっておきと言っても、この世界ではという話で、日本なら普通にアダルトグッズで売られているレベルのものだ。こっちもケントさん経由でセドラン商会から販売されている。コレットさんの実家だな。もはやエロの最大手らしい。
そうだ、エロで思い出した。ある町に俺の複体がふと立ち寄ったらクローディーヌを見つけた。タイスとミラベルの母親だ。
あれから愛人宅に転がり込もうとしたらしいけど、その愛人は自分とクローディーヌの関係がレアンドル侯爵にバレたことで自己保身に走ったそうだ。それで完全に居場所を失い、王都を離れて野垂れ死ぬ寸前だったところを変装していた俺の複体が見つけた。
「あれだけ断罪しておいて、それでも助けるあたりがシュウジ様ですね」
「あれでも産みの母親だから、野垂れ死にされると寝覚めが悪くなってましたね」
「余計なお世話だったかもしれないけど、二人の母親なのは間違いないからな。どんな性格だろうと母親は母親だ」
「そうそう。シュウジ、親は大切よ」
「だから大切にしてるだろ?」
抱きつこうとする母さんを捕まえて高い高いをする。親じゃなくて子供だな、これでは。
なんだかんだで家族が増えた。そういえば、夫と妻というのは一番近いけど元は他人なんだよな。それがいつの間にか一緒に暮らすようになって子供もでき、当たり前だけど、そうやって人の営みは続いていく。
そうだな、フランが言ったように、世界を作ってみるか。この世界に来た時にはそんな事は考えたこともなかったけど、ちょっと興味が出てしまった。今から作ったとして、それでいつ生命が誕生するかは分からないけど、俺としては地球に似た世界を作りたい。俺に似てエロい男女がいて、それでもきちんと成り立つような世界を。
その世界には日本とかアメリカとか、どこかで聞いたような国がある。でも大きな戦争の起きていない平和な世界が広がっている。なぜか国が違っても言葉が通じやすく、俺とは違ってみんな真面目に学校に行って真面目に就職して、それで子宝に恵まれる。血が繋がっていようがいなかろうが、みんなで仲良く暮らせる。そんな世界ができれば一番だな。
もちろんそうなるとは限らないし、国の名前だって俺が付けるわけじゃないだろう。神はできる限り余計なことはしないらしいし、見守ることがほとんどなんだそうだ。それでも方向性を示せるし、わりと意図した方向に進められるらしい。
「シュウジさん、これがその世界の元だそうです」
「これがなあ」
ミレーヌが渡してくれたのはガラスケースのようなもので、その中にどんよりとした黒いモヤのようなものが入っている。
「上の許可が必要だって言ってなかったか?」
「はい。聞いてみたら『面白そうだからさせてみたら?』と一言で許可が出ました」
「……まあいいか。ところで、これをどう使うんだ?」
「端と端を持って少しずつ魔力を加えてください、とあります」
「少しずつ……」
端に端子のようなものが付いていたので、そこを触りながら魔力を流す。すると黒いモヤが中央に集まり始め、箱の真ん中で一つの光ができ始めた。ガラス箱の中に小さな電球が入っているような見た目だ。
「それがあなた様の世界の元になります。もう少しするとそれが飛び散って恒星や惑星ができるそうですわ」
「ビッグバンみたいなものか」
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「二人は作ったことはないのか?」
「ありませんよ」
「私もありませんわ」
「それならみんなで初めて作る世界を鑑賞するか」
俺は神域の庭にあるテーブルの上にその世界を乗せた。うまくいけば、何億年か先には生命が誕生するかもしれない。
人として生まれて死んで、勇者として召喚されて神になった。訳が分からないな。でも、俺らしいと言えば俺らしいか。
「あ、シュウジさん、そろそろみたいですよ」
ミレーヌの声で我に返ると、光が膨張し始めた、と思ったら光ってガラス箱の中に小さな光が散らばった。
「これが銀河ですね。よく見ると無数の星がありますよ。そのうち増えたり減ったりするでしょうね」
単なるガラス箱にしか見えない。でもこの中にはいずれ人類が誕生するかもしれない惑星が存在しているかもしれない。何億年、何十億年先か分からないけど、俺が神として地上に降りるのも面白いかもしれない。
「それじゃあ、しばらくここでゆっくりするぞ。たまにミレーヌやフランの神域に行くのもいいな」
「いつ来ていただいてもいいように、ベッドは一番大きなものを用意しましたわ」
「私の神域には前から何もありませんから、いつでもどうぞ。いくらでもダラダラしてくださいね」
俺は俺らしく、妻たちに溺れてダラダラしつつ、たまに働いて。神が真面目に働かなければならない世界なんて……あ、そうか。子供は放っておいても勝手に育つ。世界は勝手に回る。そういうことか。よほどでなければ神は動かない。それくらいでいいんだろうな。子供のケンカに親が出しゃばるようでは子供の成長がないだろう。イジメが原因で自殺するとか、そこまで深刻なら話は別だろうけど。
それならベッドでダラダラするか。いや、ベッドでダラダラはできないな。ベッド以外でダラダラして、ベッドではしっかりと妻たちを満足させる。そして何億年か何十億年か分からないけど、そのころには俺の作った世界も一人前になっているだろう。うまくいけば。
「それならフランのところへ行こうか」
「案内いたしますわ」
フランが俺の右腕に自分の腕を絡める。左腕にはミレーヌが抱きつく。俺の複体に抱かれていたオリエを回収しつつ、仕事中のみんなを連れてフランの神域に移動する。次に戻った時にこの世界がどうなっているか。まあ、見てのお楽しみだな。
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