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第九部:教えることと教わること
妻になるということ
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ロジエ男爵は自分の屋敷へ帰り、べラはそのままこの屋敷で暮らし始めることになった。
「ベラ、お前をみんなに紹介しよう」
「はい、よろしくお願いします」
◆◆◆
俺はミレーヌ、エミリア、リュシエンヌ、そしてジゼルをこの場に集めた。まあジゼルは俺付きのメイドだから側にいることが多い。ちなみに俺付きのメイドって何かって話だけど、別に何もない。たまに下半身の世話をするくらいだ。たまにじゃないか。わりと頻繁だ。
ミレーヌは普段は神域に本体がいてこっちには化身がいる。化身はエミリアと一緒にいることもあれば来客の相手をすることもある。リュシエンヌは少し前からペンネームを使って執筆活動を始め、コワレ商会の書籍部門から出版予定をしている。書籍部門ってあるのかって話だけど、そのために作ることになった。アッチ向けの本が多いだろうな。エミリアはオレリーのマナー講習を受けている時間もある。
三人とも呼べば喜んで来るだろうけど、わざわざ呼び出してベッドに引っ張り込むのも申し訳なく思う。三人とするのは夜でいい。それでジゼルならいいのかって話だけど、本人がいいと言ってるしミレーヌもそれでいいと言った。だから一人でシャワー室を使うことはまずないな。
「ミレーヌ様、今後はよろしくお願いいたします」
「べランジェールさん、そんなに固くならなくてもいいですよ」
礼儀正しく頭を下げるベラに対し、ミレーヌはいつものように気軽に声をかけた。エミリアの時もリュシエンヌの時もそうだった。それを聞いてベラは首を傾げた。
「ですがミレーヌ様は神の使いで公爵閣下の正室。私のような男爵家の娘が気軽に声をかけるなど、あってはいけないことではないでしょうか?」
「えっ?」
ベラの返事にエミリアが驚いてリュシエンヌの顔を見た。そのリュシエンヌは俺の顔を見た。俺は二人に気にしなくていいと目で返事をした。エミリアは平民出身、リュシエンヌは伯爵家出身だ。側に控えていたジゼルも目を丸くしていた。
うちは上下関係がない。家族と使用人の間にはもちろん境目があるけど、それほどハッキリとした境目じゃない。最近はダヴィドも口うるさく言わなくなった。ブランシュが怖いからか?
俺はブランシュに必要以上に畏まらなくていいと言った。もちろん最低限の礼儀は必要だけど、それを守ればそれでいいと。ブランシュは言葉遣いは丁寧だけどそこまでガチガチじゃなかった。融通が利く性格だな。いっそのこと家政婦長にしてもいいかもしれない。そうするとシュザンヌをどうするかという話になるけど。
ミレーヌは神の使いだという話はそれとなく貴族の中で広まっていた。ルブラン侯爵が少しずつ流してくれたそうだ。そうでなくても俺が召喚直後に正室に決めたくらいだから何かあるんだろうと思ったそうだ。実際パーティーでミレーヌを見た貴族たちは驚いていたからな。
貴族の妻なら美容や服装には気を配る。ミレーヌは強く主張はしないけど、そこに立っているだけで様になる。オーラが普通の人間とはレベルが違うというか。
「ああ、ベラ。ミレーヌはいつでもこうだ。お前に「べランジェールさん」と声をかけたのならもう家族の一員だ。家族の中で上下はない。ジゼルも含めてな」
ミレーヌが人の名前を呼ぶ時には基準がある。俺がどういう呼び方をしているか。俺がどう思っているか。俺との関係はどうか。そのあたりのようだ。だからミレーヌが「~さん」と呼ぶのは俺を除けばエミリア、リュシエンヌ、イネス、ジゼル、ベラ、そしてアンナさん。
アンナさんがその中にあるけど、手を出したとかそういうわけじゃないからな。そんなことをしたらエミリアがひっくり返る。単に俺がアンナさんと呼んでいるからだ。だから商会の関係者でもネリーとサビーは呼び捨てだ。ミレーヌとこの二人はあまり接点はないけどな。
ただその呼び方の違いというのが意外にも使用人たちには知られてるらしく、ジゼルがミレーヌから「ジゼルさん」と呼ばれたことはメイドたちにショックを与えたらしい。ベックに行くまでは「ジゼル」と呼び捨てにされてたからな。オレリーやシュザンヌですらずっと「オレリー」「シュザンヌ」と呼ばれている。ミレーヌの中では使用人たちの中で一番上なのがジゼルだ。
使用人は文字通り使用されるもの。だからダヴィドのように盲目的に仕えるというのがよくある態度だ。ただ俺にとってはそれは少し窮屈で、ミレーヌは俺の意図を汲んでくれている。俺が気を許している相手は「~さん」と呼び、それ以外は名前でそのまま呼ぶだけだ。
「それでよろしいのであれば……」
ベラは理解はしたけど納得できないというような表情でそんな言葉を喉から絞り出した。
「いいんですよ」
ミレーヌはいつものようなにこやかな表情のまま言い切った。
「シュウジさんが大切に思っている相手なら私にとっても大切な家族です。シュウジさんを支えるのが私たちの役目です。もちろん勇者はそう簡単には助けを必要としないでしょうけど、戦い以外で私たちが必要なときが必ずあります」
「はい。肝に銘じます」
ベラの表情はまだ硬いけどいいだろう。元々真面目で表情に変化がないのが特徴だ。これでいきなりハイテンションになられても俺が困る。
「ベラ、お前をみんなに紹介しよう」
「はい、よろしくお願いします」
◆◆◆
俺はミレーヌ、エミリア、リュシエンヌ、そしてジゼルをこの場に集めた。まあジゼルは俺付きのメイドだから側にいることが多い。ちなみに俺付きのメイドって何かって話だけど、別に何もない。たまに下半身の世話をするくらいだ。たまにじゃないか。わりと頻繁だ。
ミレーヌは普段は神域に本体がいてこっちには化身がいる。化身はエミリアと一緒にいることもあれば来客の相手をすることもある。リュシエンヌは少し前からペンネームを使って執筆活動を始め、コワレ商会の書籍部門から出版予定をしている。書籍部門ってあるのかって話だけど、そのために作ることになった。アッチ向けの本が多いだろうな。エミリアはオレリーのマナー講習を受けている時間もある。
三人とも呼べば喜んで来るだろうけど、わざわざ呼び出してベッドに引っ張り込むのも申し訳なく思う。三人とするのは夜でいい。それでジゼルならいいのかって話だけど、本人がいいと言ってるしミレーヌもそれでいいと言った。だから一人でシャワー室を使うことはまずないな。
「ミレーヌ様、今後はよろしくお願いいたします」
「べランジェールさん、そんなに固くならなくてもいいですよ」
礼儀正しく頭を下げるベラに対し、ミレーヌはいつものように気軽に声をかけた。エミリアの時もリュシエンヌの時もそうだった。それを聞いてベラは首を傾げた。
「ですがミレーヌ様は神の使いで公爵閣下の正室。私のような男爵家の娘が気軽に声をかけるなど、あってはいけないことではないでしょうか?」
「えっ?」
ベラの返事にエミリアが驚いてリュシエンヌの顔を見た。そのリュシエンヌは俺の顔を見た。俺は二人に気にしなくていいと目で返事をした。エミリアは平民出身、リュシエンヌは伯爵家出身だ。側に控えていたジゼルも目を丸くしていた。
うちは上下関係がない。家族と使用人の間にはもちろん境目があるけど、それほどハッキリとした境目じゃない。最近はダヴィドも口うるさく言わなくなった。ブランシュが怖いからか?
俺はブランシュに必要以上に畏まらなくていいと言った。もちろん最低限の礼儀は必要だけど、それを守ればそれでいいと。ブランシュは言葉遣いは丁寧だけどそこまでガチガチじゃなかった。融通が利く性格だな。いっそのこと家政婦長にしてもいいかもしれない。そうするとシュザンヌをどうするかという話になるけど。
ミレーヌは神の使いだという話はそれとなく貴族の中で広まっていた。ルブラン侯爵が少しずつ流してくれたそうだ。そうでなくても俺が召喚直後に正室に決めたくらいだから何かあるんだろうと思ったそうだ。実際パーティーでミレーヌを見た貴族たちは驚いていたからな。
貴族の妻なら美容や服装には気を配る。ミレーヌは強く主張はしないけど、そこに立っているだけで様になる。オーラが普通の人間とはレベルが違うというか。
「ああ、ベラ。ミレーヌはいつでもこうだ。お前に「べランジェールさん」と声をかけたのならもう家族の一員だ。家族の中で上下はない。ジゼルも含めてな」
ミレーヌが人の名前を呼ぶ時には基準がある。俺がどういう呼び方をしているか。俺がどう思っているか。俺との関係はどうか。そのあたりのようだ。だからミレーヌが「~さん」と呼ぶのは俺を除けばエミリア、リュシエンヌ、イネス、ジゼル、ベラ、そしてアンナさん。
アンナさんがその中にあるけど、手を出したとかそういうわけじゃないからな。そんなことをしたらエミリアがひっくり返る。単に俺がアンナさんと呼んでいるからだ。だから商会の関係者でもネリーとサビーは呼び捨てだ。ミレーヌとこの二人はあまり接点はないけどな。
ただその呼び方の違いというのが意外にも使用人たちには知られてるらしく、ジゼルがミレーヌから「ジゼルさん」と呼ばれたことはメイドたちにショックを与えたらしい。ベックに行くまでは「ジゼル」と呼び捨てにされてたからな。オレリーやシュザンヌですらずっと「オレリー」「シュザンヌ」と呼ばれている。ミレーヌの中では使用人たちの中で一番上なのがジゼルだ。
使用人は文字通り使用されるもの。だからダヴィドのように盲目的に仕えるというのがよくある態度だ。ただ俺にとってはそれは少し窮屈で、ミレーヌは俺の意図を汲んでくれている。俺が気を許している相手は「~さん」と呼び、それ以外は名前でそのまま呼ぶだけだ。
「それでよろしいのであれば……」
ベラは理解はしたけど納得できないというような表情でそんな言葉を喉から絞り出した。
「いいんですよ」
ミレーヌはいつものようなにこやかな表情のまま言い切った。
「シュウジさんが大切に思っている相手なら私にとっても大切な家族です。シュウジさんを支えるのが私たちの役目です。もちろん勇者はそう簡単には助けを必要としないでしょうけど、戦い以外で私たちが必要なときが必ずあります」
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