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第5章:初夏、新たなる出会い
第10話:ダンジョンはその機会を与える
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地下四階。
「レイ、前方からラインベアーです。数は一〇」
「一〇? 幅ギリギリだな」
ラインベアーは横一列にこだわって襲ってきます。中央を狙うと包囲してきますので、端から倒すのがセオリーです。ところが、ヒグマよりもはるかに大きいラインベアーが一〇頭も並ぶと、両脇を攻めることができません。
「ご主人さま、真ん中で【薙ぎ倒し】を使います」
「いけるか?」
「大丈夫です」
ラケルの【薙ぎ倒し】は、横一列になった敵を一撃でまとめてノックバックさせることができます。レイとシーヴが両側のラインベアーを矢で狙い、中央にラケルが飛び込んで【薙ぎ倒し】を使う。彼女が包囲される前に、サラとケイトがラケルのフォローに入る。そのような形になりました。
「うまく当たってくれよ」
レイは弓矢が苦手ではありませんが、シーヴほど上手ではありません。矢を弓につがえながら、小指と薬指の間にもう一本を挟んでおきます。
「今です!」
シーヴの合図とともに二人の弓から矢が放たれるとラケルが突撃しました。レイとシーヴは続けてもう一本を放ちます。四頭が顔を押さえてうずくまりました。
「ウラァアアッ‼」
中央の三頭が【薙ぎ倒し】を食らって後ろに倒れました。その両側の二頭を狙ってサラとケイトが武器を振るいます。
「ゴオオオッッッ‼」
残った無傷のラインベアーが吠えながらサラに右手を振り下ろします。
「間に合ったか」
レイのグレイブの刃がラインベアーの首に深々と刺さりました。それから四人で転倒したり痛みでもがいているラインベアーにとどめを刺していきます。
「三人とも、怪我はないか?」
「大丈夫です」
「問題ありませんわ」
「私もOK」
ラケルが一度にどれだけノックバックさせられるかがポイントです。横に回れない都合上、時間差をつけて倒すしかありません。
「倒すのが難しいなら逃げられないの?」
「逃げられますよ。戦闘に入る前なら」
ラインベアーが全力で走ると車よりも速いですよ。戦闘前なら逃げられますが、一度戦闘に入ってしまうと、倒すか向こうが逃げ出すまでダメージを与えるか、どちらかしかありません。
「自信がなければ逃げるしかないでしょうね」
レイたちにとっては簡単に狩れる魔物ですが、一般的には強い魔物です。しかも、大きくて重いだけに持って帰るのが大変で、しかも値段もそれほど高くはありません。丸ごとで二〇〇〇キールや三〇〇〇キール程度なら、宝箱を探すほうかいいと考えるでしょう。
「3Dブーツで戦闘を避けるのもアリですね。タイミング的にはそっちだったのかもしれません」
以前、戦う前に砂利と水を撒き散らすサンドフロッグという魔物と戦ったことがあります。足元が悪くなり、踏ん張れないラケルがこけてしまうということがありました。ところがしばらくして、アンカーブーツという、ダンジョン内では絶対に滑らないブーツが出てきました。彼女が履いているのはそれです。
おそらく3Dブーツは、魔物を避けて通るために用意されたものでしょう。レイたちは正面から粉砕しましたが。
「でも、ラケルの好物だから、いくらあってもいいだろ」
「この歯ごたえは素晴らしいです」
ラインベアーの肉は硬くて臭みが少しありますが、これを座布団サイズに切って牛乳に漬け込んで、それからじっくり焼くとラケルの好物になります。その名もラケルスペシャル。高いものでもありませんので、夕食にはほとんどこれが出てきます。
「ラケルなら食べられるでしょうが」
「シャロンも気に入ると思います」
「いえ、美味しいとか不味いとかではなく、あのサイズは私では無理です。私の体重の何分の一かはありますよ」
味付けはニンニクと塩コショウだけなので、飽きる味ではないでしょう。ただし、一辺三〇センチほどで、厚さも七、八センチあります。重さは六、七キロくらいはあるでしょう。身長一二〇センチ、体重三〇キロほどのシャロンからすると、四枚から五枚で体重くらいになります。
ラケルと同じく歯ごたえがあるものが好きなシーヴでも、さすがにそのサイズは食べません。他のメンバーと同じように、食べやすくしたサイズで出てきます。
◆◆◆
地下五階。
「この先がボス部屋か」
「どんと来いです!」
「頼りにしてるよ」
ボス部屋は下の階に向かう階段の手前にあります。入るとドアが閉まり、ボスを倒すまでは出られません。ボスを倒せば奥へ続くドアが開きます。中で戦いが行われている間は誰も中に入れません。そのため、順番待ちの列ができることもあります。今のように。
「お前さんたちで三組目だ。俺たちは冒険者ギルドの職員だから数には入らないぞ」
そう言いながら「騒がずに並びなさいと」書かれたプレートを持った職員がレイたちに近づいてきました。
「どうして職員がここにいるんですか?」
「血気盛んな若いのが、早く入らせろと横入りすることがあるんだ。そいつらにゲンコツを落とすのが仕事だな」
ここはダンジョンの中で最初のボス部屋になるので、職員がチュートリアルを行うことになっているのです。転移部屋は自分が行ったことのある階にしか移動できません。だから誰でも一度はここを通らなければなりません。ボス戦をクリアして階段を降り、一度六階の床を踏めば、次はそこから始められます。
「この階にはボス部屋が全部で五か所ある。どれか一か所でも通り抜ければ、次は六階から始められるぞ」
「なるほど。では話を聞くのは一度だけってことですね」
「メンバーに新人を入れたりしなければな」
二〇階までクリアしたとしても、ダンジョンに入ったことのないメンバーが入れば、また一階からの再スタートになります。今のレイたちのように。
「みんながお前さんらみたいに真面目に聞いてくれりゃなんにも問題はねえ……って、その声は『パンダキラー』か?」
レイたちはギルドに入る際には兜は脱ぐようにしていますが、仕事中はフル装備です。
「そう名乗ったことはないですし、面と向かって言われるのは初めてですね。素材の受け取りのところにいたセイルさんですよね?」
「ああ、そうだ。よく俺の名前なんて覚えてたな。お前さんたちならもっと下まで行ってると思ったが」
「いえ、一度潜った直後にパンダ狩りを頼まれて、それからずっと外ですよ。だから五階までしか来たことがなかったんです」
「そうかそうか。とりあえずここのボスはここまでにいる魔物のどれかの上位種になる。数は一から三。場合によって変わるから、どれが出るかは運だな」
簡単に説明を済ませると、セイルは後ろのパーティーに話しかけました。目の前でボス部屋のドアが開き、前のパーティーが入っていきます。レイたちの順番が次に迫っていました。
「ここまでに出た魔物か。カメレオンゲッコーやサンドフロッグなら問題ないな」
「オークでもゴブリンでも大丈夫だね」
「一階から五階までに出る魔物です。まだ戦った経験のない魔物もいますよ」
「そういう可能性もあるのか」
あくまでダンジョンの地下一階から五階にいる魔物なので、戦ったことのない魔物がボスになっている可能性もあります。ただし、戦力的にはレイたちが遅れをとることはないでしょう。
しばらくすると、ドアからガチャンという大きな音がしました。ロックが解除された証拠です。
「よし、入るぞ」
レイがドアを開けます。中は真っ暗で何も見えません。六人が入ると、後ろでドアが閉まりました。部屋が明るくなり、姿を見せた魔物は——
「よりによってコレ⁉」
縦横ともにヒュージキャタピラーの何倍もある超巨大なイモムシ、キングキャタピラーでした。それが二匹。青白い体表が波打ち、見ていると不安になる外見です。体高はレイの身長をはるかに超え、長さは七、八メートルに達します。マイクロバスよりも大きいでしょうか。
ヒュージキャタピラーには慣れたサラですが、さすがにこのサイズを見るのは初めてで、顔色が白を通り越して土気色になっています。
「サラ、シャロンと一緒に逃げろ」
「ご、ごめん!」
サラとシャロンが壁に避難します。ラケルが前、その左右からレイとケイトがグレイブと自称メイスで攻撃し、シーヴも壁から矢を放ちます。
「てやっ!」
ラケルが《シールドバッシュ+》でキングキャタピラーを止めます。すかさずレイが頭を切り落とすようにグレイブを振り下ろしまが、巨大すぎて途中までしか刃が入りません。
「ピエエエエエエエエエッ!」
不気味な声を出しながらキングキャタピラーが体液を撒き散らします。単なる体液ですが足元が悪くなります。アンカーブーツを履いているラケルは滑りませんが、レイとケイトはそうではありません。
もう一度ラケルがキングキャタピラーを押し、ケイトが自称メイスを使ってひっくり返すと、レイがとどめを刺しました。
「うひゃっ⁉」
レイの耳にサラの悲鳴が聞こえました。振り向くと、壁に逃げていたサラが壁に網で貼り付けられています。
「大丈夫か?」
「大丈夫だけど気持ち悪い!」
シーヴに矢で顔をチクチクとつつかれていたキングキャタピラーが怒って体を起こし、壁にいたサラに向かって網を吐き出したのです。広範囲なのでサラでも避けられませんでした。シャロンは天井のほうに逃げています。
◆◆◆
「うわ~、ベタベタ……」
なんとか網から抜け出したサラがレイたちのところに戻ってきました。
「とりあえず【浄化】をかけるぞ」
「お願い……あ、マシになった」
レイがサラに【浄化】をかけると、ベタつきはなくなったようです。
「とりあえず次のパーティーのこともあるからここから出るか。宝箱は……」
キングキャタピラーはすでにマジックバッグに入っています。ただし、巨大なのでかなり容量を食ってしまいました。
「レイ、宝箱はそのまま【秘匿】で確保しました。ここの宝箱も戦利品のようです」
「分かった。帰ってから確認しよう。とりあえず地下六階まで行っておくか」
「今日はこのあたりでやめておくのがいいでしょうね」
とりあえず五階のボスを倒したので地下六階の転移部屋から地上階に戻り、今日の探索は終わることにしました。
「レイ、前方からラインベアーです。数は一〇」
「一〇? 幅ギリギリだな」
ラインベアーは横一列にこだわって襲ってきます。中央を狙うと包囲してきますので、端から倒すのがセオリーです。ところが、ヒグマよりもはるかに大きいラインベアーが一〇頭も並ぶと、両脇を攻めることができません。
「ご主人さま、真ん中で【薙ぎ倒し】を使います」
「いけるか?」
「大丈夫です」
ラケルの【薙ぎ倒し】は、横一列になった敵を一撃でまとめてノックバックさせることができます。レイとシーヴが両側のラインベアーを矢で狙い、中央にラケルが飛び込んで【薙ぎ倒し】を使う。彼女が包囲される前に、サラとケイトがラケルのフォローに入る。そのような形になりました。
「うまく当たってくれよ」
レイは弓矢が苦手ではありませんが、シーヴほど上手ではありません。矢を弓につがえながら、小指と薬指の間にもう一本を挟んでおきます。
「今です!」
シーヴの合図とともに二人の弓から矢が放たれるとラケルが突撃しました。レイとシーヴは続けてもう一本を放ちます。四頭が顔を押さえてうずくまりました。
「ウラァアアッ‼」
中央の三頭が【薙ぎ倒し】を食らって後ろに倒れました。その両側の二頭を狙ってサラとケイトが武器を振るいます。
「ゴオオオッッッ‼」
残った無傷のラインベアーが吠えながらサラに右手を振り下ろします。
「間に合ったか」
レイのグレイブの刃がラインベアーの首に深々と刺さりました。それから四人で転倒したり痛みでもがいているラインベアーにとどめを刺していきます。
「三人とも、怪我はないか?」
「大丈夫です」
「問題ありませんわ」
「私もOK」
ラケルが一度にどれだけノックバックさせられるかがポイントです。横に回れない都合上、時間差をつけて倒すしかありません。
「倒すのが難しいなら逃げられないの?」
「逃げられますよ。戦闘に入る前なら」
ラインベアーが全力で走ると車よりも速いですよ。戦闘前なら逃げられますが、一度戦闘に入ってしまうと、倒すか向こうが逃げ出すまでダメージを与えるか、どちらかしかありません。
「自信がなければ逃げるしかないでしょうね」
レイたちにとっては簡単に狩れる魔物ですが、一般的には強い魔物です。しかも、大きくて重いだけに持って帰るのが大変で、しかも値段もそれほど高くはありません。丸ごとで二〇〇〇キールや三〇〇〇キール程度なら、宝箱を探すほうかいいと考えるでしょう。
「3Dブーツで戦闘を避けるのもアリですね。タイミング的にはそっちだったのかもしれません」
以前、戦う前に砂利と水を撒き散らすサンドフロッグという魔物と戦ったことがあります。足元が悪くなり、踏ん張れないラケルがこけてしまうということがありました。ところがしばらくして、アンカーブーツという、ダンジョン内では絶対に滑らないブーツが出てきました。彼女が履いているのはそれです。
おそらく3Dブーツは、魔物を避けて通るために用意されたものでしょう。レイたちは正面から粉砕しましたが。
「でも、ラケルの好物だから、いくらあってもいいだろ」
「この歯ごたえは素晴らしいです」
ラインベアーの肉は硬くて臭みが少しありますが、これを座布団サイズに切って牛乳に漬け込んで、それからじっくり焼くとラケルの好物になります。その名もラケルスペシャル。高いものでもありませんので、夕食にはほとんどこれが出てきます。
「ラケルなら食べられるでしょうが」
「シャロンも気に入ると思います」
「いえ、美味しいとか不味いとかではなく、あのサイズは私では無理です。私の体重の何分の一かはありますよ」
味付けはニンニクと塩コショウだけなので、飽きる味ではないでしょう。ただし、一辺三〇センチほどで、厚さも七、八センチあります。重さは六、七キロくらいはあるでしょう。身長一二〇センチ、体重三〇キロほどのシャロンからすると、四枚から五枚で体重くらいになります。
ラケルと同じく歯ごたえがあるものが好きなシーヴでも、さすがにそのサイズは食べません。他のメンバーと同じように、食べやすくしたサイズで出てきます。
◆◆◆
地下五階。
「この先がボス部屋か」
「どんと来いです!」
「頼りにしてるよ」
ボス部屋は下の階に向かう階段の手前にあります。入るとドアが閉まり、ボスを倒すまでは出られません。ボスを倒せば奥へ続くドアが開きます。中で戦いが行われている間は誰も中に入れません。そのため、順番待ちの列ができることもあります。今のように。
「お前さんたちで三組目だ。俺たちは冒険者ギルドの職員だから数には入らないぞ」
そう言いながら「騒がずに並びなさいと」書かれたプレートを持った職員がレイたちに近づいてきました。
「どうして職員がここにいるんですか?」
「血気盛んな若いのが、早く入らせろと横入りすることがあるんだ。そいつらにゲンコツを落とすのが仕事だな」
ここはダンジョンの中で最初のボス部屋になるので、職員がチュートリアルを行うことになっているのです。転移部屋は自分が行ったことのある階にしか移動できません。だから誰でも一度はここを通らなければなりません。ボス戦をクリアして階段を降り、一度六階の床を踏めば、次はそこから始められます。
「この階にはボス部屋が全部で五か所ある。どれか一か所でも通り抜ければ、次は六階から始められるぞ」
「なるほど。では話を聞くのは一度だけってことですね」
「メンバーに新人を入れたりしなければな」
二〇階までクリアしたとしても、ダンジョンに入ったことのないメンバーが入れば、また一階からの再スタートになります。今のレイたちのように。
「みんながお前さんらみたいに真面目に聞いてくれりゃなんにも問題はねえ……って、その声は『パンダキラー』か?」
レイたちはギルドに入る際には兜は脱ぐようにしていますが、仕事中はフル装備です。
「そう名乗ったことはないですし、面と向かって言われるのは初めてですね。素材の受け取りのところにいたセイルさんですよね?」
「ああ、そうだ。よく俺の名前なんて覚えてたな。お前さんたちならもっと下まで行ってると思ったが」
「いえ、一度潜った直後にパンダ狩りを頼まれて、それからずっと外ですよ。だから五階までしか来たことがなかったんです」
「そうかそうか。とりあえずここのボスはここまでにいる魔物のどれかの上位種になる。数は一から三。場合によって変わるから、どれが出るかは運だな」
簡単に説明を済ませると、セイルは後ろのパーティーに話しかけました。目の前でボス部屋のドアが開き、前のパーティーが入っていきます。レイたちの順番が次に迫っていました。
「ここまでに出た魔物か。カメレオンゲッコーやサンドフロッグなら問題ないな」
「オークでもゴブリンでも大丈夫だね」
「一階から五階までに出る魔物です。まだ戦った経験のない魔物もいますよ」
「そういう可能性もあるのか」
あくまでダンジョンの地下一階から五階にいる魔物なので、戦ったことのない魔物がボスになっている可能性もあります。ただし、戦力的にはレイたちが遅れをとることはないでしょう。
しばらくすると、ドアからガチャンという大きな音がしました。ロックが解除された証拠です。
「よし、入るぞ」
レイがドアを開けます。中は真っ暗で何も見えません。六人が入ると、後ろでドアが閉まりました。部屋が明るくなり、姿を見せた魔物は——
「よりによってコレ⁉」
縦横ともにヒュージキャタピラーの何倍もある超巨大なイモムシ、キングキャタピラーでした。それが二匹。青白い体表が波打ち、見ていると不安になる外見です。体高はレイの身長をはるかに超え、長さは七、八メートルに達します。マイクロバスよりも大きいでしょうか。
ヒュージキャタピラーには慣れたサラですが、さすがにこのサイズを見るのは初めてで、顔色が白を通り越して土気色になっています。
「サラ、シャロンと一緒に逃げろ」
「ご、ごめん!」
サラとシャロンが壁に避難します。ラケルが前、その左右からレイとケイトがグレイブと自称メイスで攻撃し、シーヴも壁から矢を放ちます。
「てやっ!」
ラケルが《シールドバッシュ+》でキングキャタピラーを止めます。すかさずレイが頭を切り落とすようにグレイブを振り下ろしまが、巨大すぎて途中までしか刃が入りません。
「ピエエエエエエエエエッ!」
不気味な声を出しながらキングキャタピラーが体液を撒き散らします。単なる体液ですが足元が悪くなります。アンカーブーツを履いているラケルは滑りませんが、レイとケイトはそうではありません。
もう一度ラケルがキングキャタピラーを押し、ケイトが自称メイスを使ってひっくり返すと、レイがとどめを刺しました。
「うひゃっ⁉」
レイの耳にサラの悲鳴が聞こえました。振り向くと、壁に逃げていたサラが壁に網で貼り付けられています。
「大丈夫か?」
「大丈夫だけど気持ち悪い!」
シーヴに矢で顔をチクチクとつつかれていたキングキャタピラーが怒って体を起こし、壁にいたサラに向かって網を吐き出したのです。広範囲なのでサラでも避けられませんでした。シャロンは天井のほうに逃げています。
◆◆◆
「うわ~、ベタベタ……」
なんとか網から抜け出したサラがレイたちのところに戻ってきました。
「とりあえず【浄化】をかけるぞ」
「お願い……あ、マシになった」
レイがサラに【浄化】をかけると、ベタつきはなくなったようです。
「とりあえず次のパーティーのこともあるからここから出るか。宝箱は……」
キングキャタピラーはすでにマジックバッグに入っています。ただし、巨大なのでかなり容量を食ってしまいました。
「レイ、宝箱はそのまま【秘匿】で確保しました。ここの宝箱も戦利品のようです」
「分かった。帰ってから確認しよう。とりあえず地下六階まで行っておくか」
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