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第二章 第二部
関連各所への連絡
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領主の引き継ぎはすでにそれぞれのギルドに伝えてある。他には細々としたことだね。
「それで、どう兵士を動かす?」
「そこなんですが、領地としては決して狭くありません。兵士の数は限られています。まあ魔獣に突撃しろというわけではなく巡回が中心ですから、全兵士に馬に乗ってもらう感じでしょうか」
「まあ馬は今いる分で十分だが、それでもいざという時は大丈夫か?」
「そこでこれです」
僕がルボルさんに渡したのは、馬の首に付ける魔道具。[身体強化]や[回復]などを付けている。
「これを付けて巡回してもらいます。もちろん巡回兵にも同じような魔道具を渡しますから、負担は減ると思います」
「たしかに。これは俺でも欲しいな」
「それを付けて丸一か月、休みなしで働いてくれるなら、僕としてもありがたいですが」
「それは勘弁してくれ」
「それは冗談として、兵士の募集を冒険者ギルドでお願いします。そこまでたくさんでなくても構いません。門衛を除けば全部で五〇人いればなんとかなると思います。不足分だけで構いません」
「それくらいなら集まるだろう。手に職がないやつもいるからな」
「兵士の待遇は今までよりも少し上げます。それで統一して、いずれは職務ごとに差を付けることになります」
「ああ、兵士集めは任せてくれ」
「とりあえず公営の商店を各村に設置していただきます。それとは別に、すぐではありませんが、いずれは領内の村に公営の農場を作りたいんです」
「農場ですか?」
「はい。もちろんみなさんは自分で野菜などを育てていると思いますが、手が空いている人を雇って、商品価値の高い作物の栽培をお願いしたいんです」
「空いている時間を使って高く売れるものを育てるわけですね?」
「そういうことです」
「上手く育ちますか?」
「上手く育てる秘伝の方法があります。育つか育たないかで言えば、間違いなく育ちます。ちなみに一つはこのような果物ですね」
商人ギルドのギルド長のコーバスさんにバナナを見せてみた。種なしになったものだ。
バナナとパイナップルは種なしになったものをあらためて育てたんだけど、意表を突くような育ち方をしてくれた。地球ではバナナもパイナップルも実を取ると枯れるので、根元に生えた子株を別の場所に植えて増やすのが普通。要するに株分け。どこの国でも同じだろう。
でもうちの森の近くで育てた種なしバナナとパイナップルは、根元から子株が伸びるでのではなく、少し離れた場所に子株が頭を出した。試しに掘ってみると、土の中で根を伸ばして、その途中に子株ができていた。まるで竹みたいだね。植え直す手間は省けたけど、根がどこまで伸びるか分からないから、ちゃんと結界を張らないととんでもないことになりそう。
「これがそうなのですか?」
「ええ、バナナという果物です。暖かい地方で育ちます。こうやって皮を剥けば、そのまま食べられます。どうぞ」
コーバスさんは一口かじって目を見開いた。
「これは甘くてねっとりとして香りもいい、不思議な食感ですね」
「これ以外にもいくつか候補がありまして、どれもこれも少々作り方が特殊かもしれませんが、これだけ美味しければそれなりの値段になります」
「でも高ければ買い手が付かないのでは?」
「この町やキヴィオ市あたりではあまり高くしません。産地ですから。みんなが口に入れられるくらいの値段にします。ですが、東の方へ売ればどうなりますか?」
「! それは商人を呼び込むためですね?」
「そうです。この町では簡単に手に入ります。それが王都などではそれなりの価格になります。利益を上げたければこの町に来ますよね。マジックバッグがあれば生のままで持って帰れます。なければ生のままでは難しくても、加工したものなら保存が利きますのでそちらを買うでしょう。加工の方も考えています」
「なるほど、王都で売れる商品を作るわけですか……。分かりました。商人ギルドから各村の代表者に連絡を入れます。いずれは手が空いている村人を雇うつもりがあると伝えればいいでしょうか?」
「はい、それでお願いします」
「うちの店で販売している美容液などは、ここの女性にも人気ですよね」
「はい。女性職員は一時間ずつ交代で店員としてお世話になっています。最近はギルドに訪れる人から挨拶がきれいになったと言われるようになりました。
「店は挨拶が基本ですからね」
「ですが、ギルドで『お帰りなさいませ』とうっかり口にする職員が多くなっています」
薬剤師ギルドのギルド長ルカスさんは苦笑しながらそう言った。以前は僕に対してかなり恐縮していた感じだったけど、最近はだいぶ慣れてくれたようだ。
「僕が領主になるということで、あの店はしばらくは領主直営ですが、いずれは公営しにしたいと思っています」
「公営ですか? あまり聞かない言い方ですね。違いはあるのですか?」
「ユーヴィ市が運営する店ということになります。そこに勤める店員を薬剤師ギルドと商人ギルドで募集していただく形にしたいと」
「なるほど。領主様、あるいは奥様方が立場的には一番上に立ち、運営はギルドなどの公的機関が行うということですね。そうすると、売り上げが領主様の懐に直接入るわけではなく、ギルド経由で税として入る形にするわけですね」
「そうです。うちの家族が作って家族が売って、それを続ければこの町からお金がなくなります。そうではなく、いかに町の外から人を呼び込むか、いかに繰り返し来てもらえるようにするか、いかに町の外から来た人にお金を落としてもらうか、大切なのはそこです。すでに商人ギルドとは、商人をこの町に呼び込むような魅力ある作物を育てることを各村に依頼するようになっています」
「分かりました。その時になればすぐに動けるようにしておきます。商人ギルドとも連絡を取りますね」
「よろしくお願いします」
これで三つのギルドとは連携がとれるようになった。そして後は王都だね。
◆ ◆ ◆
「それほど経っていないのに久しぶりな気がします」
「あのあたりが少し変わってる」
セラとキラを連れて王都に来た。ドワーフの職人たちを雇えるかどうか確認するためだ。まずはユーヴィ市からキヴィオ市までの森を切り拓いて街道を通すこと、北にあるソルディ村、アルメ村、南にあるシラマエ村とトイラ村の周辺の森も一部拓くこと、ソルディ村の北にある岩山から石を切り出して街道に石畳を敷くこと、これらのことを頼むつもりだ。
前に覗いたお店のあたりに行ってみると、人だかりができていた。
「おう、セラとキラじゃねえか」
「お久しぶりです」
「おひさ」
「兄ちゃんも久しぶりだなあ」
「お久しぶりです。ところで何かあるのですか? 人が多いですが」
「俺たちドワーフは仕事の匂いに敏感でな、今日は何かあると思って集まっているだけだ」
「先生を待っていたのではないです?」
「間違いない」
「そうかもね。ええと、ドワーフの皆さんに仕事をお願いしたくて来ました。代表の人っていますか?」
「それならおやっさんだな。おーい、おやっさん、仕事だってよ!」
「ちょっと待てい!」
そう言って出てきたのは、やはりやや小柄で立派な髭を貯えた、いかにも親方と言いたくなるような男性が出てきた。
「ワシらに仕事の話があるとか」
「はい、領主として、領地の開拓に人が必要になりましたので、その依頼に来ました」
「よし、聞きましょう。こちらへ」
奥へ案内されたけど、途中ですがセラとキラがいなくなった。はぐれた?
《セラ、どこにいるの?》
《店の前です。みんなに囲まれてるです》
《キラはセラと一緒?》
《すぐ横》
《要件は早く終わらせるから、しばらくそこにいてくれる?》
《分かりました》
《分かった》
「では、まず場所は?」
「この国の一番西のユーヴィ市です。年明けからキヴィオ子爵領より独立することになります。まずはユーヴィ市からキヴィオ市まで、間にある森を切り拓いて街道を通したいと思っています。それができるだけの作業員が必要です」
僕は簡易的な地図を見せながら説明します。
「森を切り拓くか……。距離はどれくらいになりますかな?」
「迂回すれば最低一〇日かかる場所です。直線距離で五日くらいですね。木を切り倒す魔道具、木を運ぶマジックバッグ、根を抜く魔道具、これらは用意します。もちろん食事や寝床も用意します」
「相当かかるな……」
「でしょうね。そして、まずは街道を通してもらいたいのですが、他にもあります」
「その先とは?」
「ユーヴィ市の北の方にソルディ村という村があります。その北には岩山があります。そこから石を切り出し、先ほどの街道に石畳を敷きたいと思っています」
「ほう、石畳か。たしかにワシらは石の扱いは得意ですな」
「それ以外にも、領内の街道に石畳を敷くとか、村の近くにある森を削って下げたりとか、人はどれだけいても足りません」
おやっさんは口元に手を当てて考えている。
「酒は出るんですかな?」
「酒ですか? 毎日出しますよ。ミード、エール、ワイン、蒸留酒。たっぷり用意しておきます」
「よし、行きましょう」
「報酬の話とかはいいんですか?」
「そのあたりは普通で構いません。仕事の期間が長ければ、それだけ酒が飲める。言っておきますが、仕事中に酒は飲みませんぞ」
「怪我をされても困りますからね」
「で、どれだけ集めればいいですかな? 二〇〇? 三〇〇?」
「そんなに集まるんですか? 仕事は三ヶ所同時に始めてもらいたいんです。ユーヴィ市から東へ拓く、キヴィオ市から西へ拓く、ソルディ村で石を切り出す。それくらいいてもらっても構いません」
「よし。しかし今からだと年明けには間に合いませんな。行けるやつだけ先に行かせるか……」
「いえ、移動に関してはこちらで責任を持って迎えに来ます。みなさんも年末年始はお祝いがあるでしょう。年明け三日目の朝にもう一度ここでどうでしょうか」
「それでいいのですかな?」
「はい。そもそも領主になる僕がここで年明けの話をしていることが不思議ではありませんか?」
「それか……移動手段があるか……。よし分かった。それでは移動はお願いする。ワシが責任を持って年明け三日、このあたりにしっかりと集めておきましょう」
「ではよろしく……そう言えば名前を言っていませんでした。年明けからユーヴィ男爵になるケネスです」
「ここではおやっさんとか言われているが、ゴルジェイです。ここで石や鉄を売る店をやっていますが、斡旋業もやっています。人集めなら任せてください」
「では年明けに、よろしくお願いします。一応これが募集の条件です。聞かれたら教えてください」
表に出ると、セラとキラが囲まれていた。
「先生、もう終わりましたか?」
「こっちは大変だった」
「何があったの?」
「みんなにお祝いをされたです。入れ替わり立ち替わり」
「頭ぐしゃぐしゃ」
「やっぱり永久就職になったじゃねえか」
「結局そうなりましたね。よくやってくれてますよ」
「ま、仲良くな。それでおやっさんとの話は終わったのか?」
「ええ、年明けに大きな仕事を頼みました。ゴルジェイさんに聞いてください」
「よーし。おーい、おやっさん」
お兄さんはまた店の中に消えていった。
「じゃあ帰ろうか」
「分かりました」
「帰る」
とりあえず一度帰って、それから工事の件について意見を聞こう。
「それで、どう兵士を動かす?」
「そこなんですが、領地としては決して狭くありません。兵士の数は限られています。まあ魔獣に突撃しろというわけではなく巡回が中心ですから、全兵士に馬に乗ってもらう感じでしょうか」
「まあ馬は今いる分で十分だが、それでもいざという時は大丈夫か?」
「そこでこれです」
僕がルボルさんに渡したのは、馬の首に付ける魔道具。[身体強化]や[回復]などを付けている。
「これを付けて巡回してもらいます。もちろん巡回兵にも同じような魔道具を渡しますから、負担は減ると思います」
「たしかに。これは俺でも欲しいな」
「それを付けて丸一か月、休みなしで働いてくれるなら、僕としてもありがたいですが」
「それは勘弁してくれ」
「それは冗談として、兵士の募集を冒険者ギルドでお願いします。そこまでたくさんでなくても構いません。門衛を除けば全部で五〇人いればなんとかなると思います。不足分だけで構いません」
「それくらいなら集まるだろう。手に職がないやつもいるからな」
「兵士の待遇は今までよりも少し上げます。それで統一して、いずれは職務ごとに差を付けることになります」
「ああ、兵士集めは任せてくれ」
「とりあえず公営の商店を各村に設置していただきます。それとは別に、すぐではありませんが、いずれは領内の村に公営の農場を作りたいんです」
「農場ですか?」
「はい。もちろんみなさんは自分で野菜などを育てていると思いますが、手が空いている人を雇って、商品価値の高い作物の栽培をお願いしたいんです」
「空いている時間を使って高く売れるものを育てるわけですね?」
「そういうことです」
「上手く育ちますか?」
「上手く育てる秘伝の方法があります。育つか育たないかで言えば、間違いなく育ちます。ちなみに一つはこのような果物ですね」
商人ギルドのギルド長のコーバスさんにバナナを見せてみた。種なしになったものだ。
バナナとパイナップルは種なしになったものをあらためて育てたんだけど、意表を突くような育ち方をしてくれた。地球ではバナナもパイナップルも実を取ると枯れるので、根元に生えた子株を別の場所に植えて増やすのが普通。要するに株分け。どこの国でも同じだろう。
でもうちの森の近くで育てた種なしバナナとパイナップルは、根元から子株が伸びるでのではなく、少し離れた場所に子株が頭を出した。試しに掘ってみると、土の中で根を伸ばして、その途中に子株ができていた。まるで竹みたいだね。植え直す手間は省けたけど、根がどこまで伸びるか分からないから、ちゃんと結界を張らないととんでもないことになりそう。
「これがそうなのですか?」
「ええ、バナナという果物です。暖かい地方で育ちます。こうやって皮を剥けば、そのまま食べられます。どうぞ」
コーバスさんは一口かじって目を見開いた。
「これは甘くてねっとりとして香りもいい、不思議な食感ですね」
「これ以外にもいくつか候補がありまして、どれもこれも少々作り方が特殊かもしれませんが、これだけ美味しければそれなりの値段になります」
「でも高ければ買い手が付かないのでは?」
「この町やキヴィオ市あたりではあまり高くしません。産地ですから。みんなが口に入れられるくらいの値段にします。ですが、東の方へ売ればどうなりますか?」
「! それは商人を呼び込むためですね?」
「そうです。この町では簡単に手に入ります。それが王都などではそれなりの価格になります。利益を上げたければこの町に来ますよね。マジックバッグがあれば生のままで持って帰れます。なければ生のままでは難しくても、加工したものなら保存が利きますのでそちらを買うでしょう。加工の方も考えています」
「なるほど、王都で売れる商品を作るわけですか……。分かりました。商人ギルドから各村の代表者に連絡を入れます。いずれは手が空いている村人を雇うつもりがあると伝えればいいでしょうか?」
「はい、それでお願いします」
「うちの店で販売している美容液などは、ここの女性にも人気ですよね」
「はい。女性職員は一時間ずつ交代で店員としてお世話になっています。最近はギルドに訪れる人から挨拶がきれいになったと言われるようになりました。
「店は挨拶が基本ですからね」
「ですが、ギルドで『お帰りなさいませ』とうっかり口にする職員が多くなっています」
薬剤師ギルドのギルド長ルカスさんは苦笑しながらそう言った。以前は僕に対してかなり恐縮していた感じだったけど、最近はだいぶ慣れてくれたようだ。
「僕が領主になるということで、あの店はしばらくは領主直営ですが、いずれは公営しにしたいと思っています」
「公営ですか? あまり聞かない言い方ですね。違いはあるのですか?」
「ユーヴィ市が運営する店ということになります。そこに勤める店員を薬剤師ギルドと商人ギルドで募集していただく形にしたいと」
「なるほど。領主様、あるいは奥様方が立場的には一番上に立ち、運営はギルドなどの公的機関が行うということですね。そうすると、売り上げが領主様の懐に直接入るわけではなく、ギルド経由で税として入る形にするわけですね」
「そうです。うちの家族が作って家族が売って、それを続ければこの町からお金がなくなります。そうではなく、いかに町の外から人を呼び込むか、いかに繰り返し来てもらえるようにするか、いかに町の外から来た人にお金を落としてもらうか、大切なのはそこです。すでに商人ギルドとは、商人をこの町に呼び込むような魅力ある作物を育てることを各村に依頼するようになっています」
「分かりました。その時になればすぐに動けるようにしておきます。商人ギルドとも連絡を取りますね」
「よろしくお願いします」
これで三つのギルドとは連携がとれるようになった。そして後は王都だね。
◆ ◆ ◆
「それほど経っていないのに久しぶりな気がします」
「あのあたりが少し変わってる」
セラとキラを連れて王都に来た。ドワーフの職人たちを雇えるかどうか確認するためだ。まずはユーヴィ市からキヴィオ市までの森を切り拓いて街道を通すこと、北にあるソルディ村、アルメ村、南にあるシラマエ村とトイラ村の周辺の森も一部拓くこと、ソルディ村の北にある岩山から石を切り出して街道に石畳を敷くこと、これらのことを頼むつもりだ。
前に覗いたお店のあたりに行ってみると、人だかりができていた。
「おう、セラとキラじゃねえか」
「お久しぶりです」
「おひさ」
「兄ちゃんも久しぶりだなあ」
「お久しぶりです。ところで何かあるのですか? 人が多いですが」
「俺たちドワーフは仕事の匂いに敏感でな、今日は何かあると思って集まっているだけだ」
「先生を待っていたのではないです?」
「間違いない」
「そうかもね。ええと、ドワーフの皆さんに仕事をお願いしたくて来ました。代表の人っていますか?」
「それならおやっさんだな。おーい、おやっさん、仕事だってよ!」
「ちょっと待てい!」
そう言って出てきたのは、やはりやや小柄で立派な髭を貯えた、いかにも親方と言いたくなるような男性が出てきた。
「ワシらに仕事の話があるとか」
「はい、領主として、領地の開拓に人が必要になりましたので、その依頼に来ました」
「よし、聞きましょう。こちらへ」
奥へ案内されたけど、途中ですがセラとキラがいなくなった。はぐれた?
《セラ、どこにいるの?》
《店の前です。みんなに囲まれてるです》
《キラはセラと一緒?》
《すぐ横》
《要件は早く終わらせるから、しばらくそこにいてくれる?》
《分かりました》
《分かった》
「では、まず場所は?」
「この国の一番西のユーヴィ市です。年明けからキヴィオ子爵領より独立することになります。まずはユーヴィ市からキヴィオ市まで、間にある森を切り拓いて街道を通したいと思っています。それができるだけの作業員が必要です」
僕は簡易的な地図を見せながら説明します。
「森を切り拓くか……。距離はどれくらいになりますかな?」
「迂回すれば最低一〇日かかる場所です。直線距離で五日くらいですね。木を切り倒す魔道具、木を運ぶマジックバッグ、根を抜く魔道具、これらは用意します。もちろん食事や寝床も用意します」
「相当かかるな……」
「でしょうね。そして、まずは街道を通してもらいたいのですが、他にもあります」
「その先とは?」
「ユーヴィ市の北の方にソルディ村という村があります。その北には岩山があります。そこから石を切り出し、先ほどの街道に石畳を敷きたいと思っています」
「ほう、石畳か。たしかにワシらは石の扱いは得意ですな」
「それ以外にも、領内の街道に石畳を敷くとか、村の近くにある森を削って下げたりとか、人はどれだけいても足りません」
おやっさんは口元に手を当てて考えている。
「酒は出るんですかな?」
「酒ですか? 毎日出しますよ。ミード、エール、ワイン、蒸留酒。たっぷり用意しておきます」
「よし、行きましょう」
「報酬の話とかはいいんですか?」
「そのあたりは普通で構いません。仕事の期間が長ければ、それだけ酒が飲める。言っておきますが、仕事中に酒は飲みませんぞ」
「怪我をされても困りますからね」
「で、どれだけ集めればいいですかな? 二〇〇? 三〇〇?」
「そんなに集まるんですか? 仕事は三ヶ所同時に始めてもらいたいんです。ユーヴィ市から東へ拓く、キヴィオ市から西へ拓く、ソルディ村で石を切り出す。それくらいいてもらっても構いません」
「よし。しかし今からだと年明けには間に合いませんな。行けるやつだけ先に行かせるか……」
「いえ、移動に関してはこちらで責任を持って迎えに来ます。みなさんも年末年始はお祝いがあるでしょう。年明け三日目の朝にもう一度ここでどうでしょうか」
「それでいいのですかな?」
「はい。そもそも領主になる僕がここで年明けの話をしていることが不思議ではありませんか?」
「それか……移動手段があるか……。よし分かった。それでは移動はお願いする。ワシが責任を持って年明け三日、このあたりにしっかりと集めておきましょう」
「ではよろしく……そう言えば名前を言っていませんでした。年明けからユーヴィ男爵になるケネスです」
「ここではおやっさんとか言われているが、ゴルジェイです。ここで石や鉄を売る店をやっていますが、斡旋業もやっています。人集めなら任せてください」
「では年明けに、よろしくお願いします。一応これが募集の条件です。聞かれたら教えてください」
表に出ると、セラとキラが囲まれていた。
「先生、もう終わりましたか?」
「こっちは大変だった」
「何があったの?」
「みんなにお祝いをされたです。入れ替わり立ち替わり」
「頭ぐしゃぐしゃ」
「やっぱり永久就職になったじゃねえか」
「結局そうなりましたね。よくやってくれてますよ」
「ま、仲良くな。それでおやっさんとの話は終わったのか?」
「ええ、年明けに大きな仕事を頼みました。ゴルジェイさんに聞いてください」
「よーし。おーい、おやっさん」
お兄さんはまた店の中に消えていった。
「じゃあ帰ろうか」
「分かりました」
「帰る」
とりあえず一度帰って、それから工事の件について意見を聞こう。
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