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第三章 第三部
濃さとは
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「お疲れ様。あの後は大丈夫だった?」
「仕事の方は問題なさそうだけど、別の意味で心配になったわ」
「最初からマリーさんがいてくれたら、もっと普通に店になったかも」
「そうかしら? あたし一人じゃ無理よ。それにしてもケネスさんの周囲って、みんな性格が濃いわね」
「旦那様の人徳ですね」
そう僕とマリーの話に入って来たのは、妻の中でも特にキャラが濃いエリーだ。薬のせいで人間からエルフになったのは仕方ないとして、妻でありながら愛人を兼ねるという僕にはよく分からない感性の持ち主だ。
「私の場合は身も心も種族も旦那様に変えられてしまいましたから」
そう言いながら、わざと自分の両肩を抱いてしなを作る。
「あらためて考えると、種族が変わるって普通はあり得ないでしょ?」
「それがあり得るのがうちの妻たちなんだよね。カローラが作ったこの蘇生薬なんだけど」
これを使ったのはエリーとミシェルだけなので、まだまだある。使い道に困るけど。
「へー、この薬がねー。あ、本当だ、『ただしエルフになります』って書いてあるわね」
「死んでから飲めば旦那様と同じエルフになることができ、しかも旦那様に心の底から惚れ込むこともできるという、素晴らしい薬です」
「死んでから飲むって……普通は無理でしょ。でも男に飲ませたらどうなるの?」
「単に生き返るだけだそうだよ」
「なーんだ」
「なーんだって、ひょっとして、男同士の絡みが好きとか?」
「違うわよっ! 都合がいいなと思っただけ」
「それを言い出したらマリーさんもそうでしょ? この世界に生まれ変わっても前世の記憶があって、寿命を終えたと思ったらまた生まれ変わって、その間の記憶がずっとあって。違う?」
「反論できないわ……」
なんかこう、打てば響くと言えばいいのか、想像の範囲内で馬鹿ができる感じというか、懐かしい感じがするな。
「それにしても旦那様とマリーさんは、本当に息がピッタリですね。生まれながらの夫婦なのでは?」
「なんでいきなり夫婦? 息が合う気はするけどね。マリーさんはどう?」
「あたしとしては、頭はいいのにどこか抜けてる兄弟のような気がするわ」
「旦那様、それはステータスで分からないのでしょうか?」
「まあ……見てもいいけど、そもそも住んでいた国も時代も違ったのに実は夫婦だったなんて、普通はないんじゃない?」
「旦那様ならあり得るかと」
「面白いから調べてみてよ。損はないんでしょ?」
「じゃあ一応【特徴】の血縁関係だけを見てみるけど、あまり期待しないでね」
ステータスはできれば見ないようにしている。[○○の想い人]とか出るからね。できれば見たくなかった情報って意外と多いんだよ。
【名前:[ケネス]】
【特徴:[マリーの兄(前前前前世)][マリーの兄(前前前世)][マリーの兄(前前世)][マリーの双子の兄(前世)]「シスコン」】
【名前:[マリー]】
【特徴:[ケネスの妹(前前前前前世)][ケネスの妹(前前前前世)][ケネスの妹(前前前世)][ケネスの双子の妹(前前世)]「ブラコン」】
?
???
?????
「旦那様、どうかしましたか?」
「何を固まってるのよ」
「ええっと、見えたものを書き出してもいいの?」
「何かおかしなものでも見えたの?」
「おかしくはないんだけど……」
「歯切れが悪いわね」
二人の【特徴】のところを紙に[転写]で写す。
「「???」」
「ね」
「僕のとマリーさんのとは一つずれてるね。おそらくマリーさんの前世はマリアンと知り合った時だろうね。僕の前前前前世か前前前世か前前世のどれかが、フランス革命の頃だよね? 僕はパリにいたんだね」
「……ケヴィンとレジスという名前の兄はいたけど、どっち?」
「僕はその頃の記憶はないよ。それに僕の前世で双子の妹って、僕は養護施設育ちで家族の顔は知らないんだけど」
「ごめん。そこは全然覚えてないわ。あたしの言った前世ってパリのことだから」
「あの、お二人が一番濃いのでは?」
「「……」」
他の部分も調べてみると、スキルに[不老]が付いているのが分かった。石になっていたからだろうか。もしかしたら石を取ったら不老じゃなくなるとか? そのあたりはいずれまたチェックが必要かも。
とりあえず夜になったらみんなに事情説明だね。使用人たちにも説明しなければならないけど、どうやって説明しようか。
「お前様は底が知れぬと思うておったが、そもそも底という概念がなかったとは……。ワシより先にマリーと知り合うておったとはのう」
「いや、なんか話が合うというか話しやすいと思ったら、まさかね」
「生まれ変わるのはいいとして、四回も妹なんて……もう兄さんと呼ぶわ」
「じゃあマリーと呼ぶのでいいのかな? たしかに、幼なじみや姉よりも妹の方がしっくりくるかな」
それにしても兄妹はステータスに表示されるなら、他の身内は無理なんだろうか。
「カローラ、【特徴】にある血縁関係って、どれくらいまで遡れるの? 僕の親を調べたいとか、そういうわけじゃないんだけど」
「何もない状態で遡るのはほとんど無理です。今回はマリーさんがご主人様のところへやって来てお互いの存在を認識したので、あらためて血縁関係が精査されて表示されたのだと思います。双方が認識しないと出ないものがほとんどです。実際にご主人様のご両親の情報は出ないと思いますよ」
「えーと、うん、たしかにマリーの情報しか出ないね」
「ですので、[シスコン]と[ブラコン]も含めてお二人の現在の特徴になります」
「「……」」
二人して顔を見合わせる。何とも言えない顔だ。
「そう言われて聞くと、たしかに先輩の女性版ですね。あ、悪い意味じゃないですよ」
「ケネスが女性になったらこういう話し方でしょう。会話のテンポや口調が同じです」
「口調ねえ。まあ普段はこんな感じだけど、丁寧に喋ろうと思えば喋れるわよ」
「本当にあなたと話し方が同じですねぇ」
「先生とはノリというか雰囲気が同じです。多分話の持って行き方が似てるです」
「『僕』と『あたし』の違いくらい。それと語尾」
「えーと、パパのいもうと?」
「今の妹じゃないけどね。こっちに来る前の妹だよ」
「ふーん、じゃあ、マリーおばさん」
「おばさん⁉」
あ、崩れ落ちた。
「せめて一度は結婚してからおばさんと呼ばれたかった……」
「パリでは?」
「してないわ……」
「そうか……」
「うん……」
「[ブラコン]のせいですね~」
「言わないで!」
◆ ◆ ◆
「妹様でしたか」
「最初はまさかとは思ったけどね。今後は本館の方に住むことになるから」
「かしこまりました」
マリーさん、いやマリーは屋敷の本館に住むことになった。しばらくうちの離れに仮住まいにして、それからどこかに部屋を借りる予定をしていたけど、今さら別のところに住むのもおかしな話だろう。
妹がやって来たと知ってエルケが三つ編みを逆立たせたり、マイカが「妹が来ると分かっていれば無理して妹枠を作る必要もなかったですね」と言ったのを聞いてエルケの三つ編みがへにゃっとなったり、それからもまあ色々あった。
使用人への説明としては、「どこかで父が作ったらしく、いずれ僕を探すようにと言われていた」という、ちょっと苦しい説明になった。それを聞いたフェナが「さすが旦那様のお父様でございます。妹様も世界中にたくさんいらっしゃるのでしょうね」とやはりズレた感想を口にした。存在すらしない父親に勝手に押し付けた形だ。まあエルフは寿命が長いだけあって子供も多いそうだから、あり得ない話ではないだろう。仮に年齢は一九ということにした。年は取らないけどね。
「家具はこんなものかな?」
「ありがとう。これだけあれば大丈夫」
「それと、使用人への説明はあれでよかった?」
「ちょっと無理があったと思うけど、他にいい案もなさそうだし」
「まあしばらくは落ち着かないと思うけど、ゆっくり慣れてよ」
「お世話になる分は頑張って返すわ。よろしくね、兄さん」
「こちらこそ、妹さん」
─────────────────────
ケネスとマリーの関係一覧。
不明 不明
ケヴィンかレジス マリー パリ
不明 不明
ケン 不明 日本(双子)
マリー マリアンと友人
ケネス マリー
─────────────────────
ケネスへの呼びかけ
リゼッタ:ケネス
カロリッタ:マスター
エリー:旦那様
ミシェル:パパ
マイカ:先輩
マリアン:お前様
セラ:先生
キラ:先生
カローラ:ご主人様
マノン:あなた
ジェナ:閣下
エルケ:お兄ちゃん
マリー:兄さん←NEW
「仕事の方は問題なさそうだけど、別の意味で心配になったわ」
「最初からマリーさんがいてくれたら、もっと普通に店になったかも」
「そうかしら? あたし一人じゃ無理よ。それにしてもケネスさんの周囲って、みんな性格が濃いわね」
「旦那様の人徳ですね」
そう僕とマリーの話に入って来たのは、妻の中でも特にキャラが濃いエリーだ。薬のせいで人間からエルフになったのは仕方ないとして、妻でありながら愛人を兼ねるという僕にはよく分からない感性の持ち主だ。
「私の場合は身も心も種族も旦那様に変えられてしまいましたから」
そう言いながら、わざと自分の両肩を抱いてしなを作る。
「あらためて考えると、種族が変わるって普通はあり得ないでしょ?」
「それがあり得るのがうちの妻たちなんだよね。カローラが作ったこの蘇生薬なんだけど」
これを使ったのはエリーとミシェルだけなので、まだまだある。使い道に困るけど。
「へー、この薬がねー。あ、本当だ、『ただしエルフになります』って書いてあるわね」
「死んでから飲めば旦那様と同じエルフになることができ、しかも旦那様に心の底から惚れ込むこともできるという、素晴らしい薬です」
「死んでから飲むって……普通は無理でしょ。でも男に飲ませたらどうなるの?」
「単に生き返るだけだそうだよ」
「なーんだ」
「なーんだって、ひょっとして、男同士の絡みが好きとか?」
「違うわよっ! 都合がいいなと思っただけ」
「それを言い出したらマリーさんもそうでしょ? この世界に生まれ変わっても前世の記憶があって、寿命を終えたと思ったらまた生まれ変わって、その間の記憶がずっとあって。違う?」
「反論できないわ……」
なんかこう、打てば響くと言えばいいのか、想像の範囲内で馬鹿ができる感じというか、懐かしい感じがするな。
「それにしても旦那様とマリーさんは、本当に息がピッタリですね。生まれながらの夫婦なのでは?」
「なんでいきなり夫婦? 息が合う気はするけどね。マリーさんはどう?」
「あたしとしては、頭はいいのにどこか抜けてる兄弟のような気がするわ」
「旦那様、それはステータスで分からないのでしょうか?」
「まあ……見てもいいけど、そもそも住んでいた国も時代も違ったのに実は夫婦だったなんて、普通はないんじゃない?」
「旦那様ならあり得るかと」
「面白いから調べてみてよ。損はないんでしょ?」
「じゃあ一応【特徴】の血縁関係だけを見てみるけど、あまり期待しないでね」
ステータスはできれば見ないようにしている。[○○の想い人]とか出るからね。できれば見たくなかった情報って意外と多いんだよ。
【名前:[ケネス]】
【特徴:[マリーの兄(前前前前世)][マリーの兄(前前前世)][マリーの兄(前前世)][マリーの双子の兄(前世)]「シスコン」】
【名前:[マリー]】
【特徴:[ケネスの妹(前前前前前世)][ケネスの妹(前前前前世)][ケネスの妹(前前前世)][ケネスの双子の妹(前前世)]「ブラコン」】
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「旦那様、どうかしましたか?」
「何を固まってるのよ」
「ええっと、見えたものを書き出してもいいの?」
「何かおかしなものでも見えたの?」
「おかしくはないんだけど……」
「歯切れが悪いわね」
二人の【特徴】のところを紙に[転写]で写す。
「「???」」
「ね」
「僕のとマリーさんのとは一つずれてるね。おそらくマリーさんの前世はマリアンと知り合った時だろうね。僕の前前前前世か前前前世か前前世のどれかが、フランス革命の頃だよね? 僕はパリにいたんだね」
「……ケヴィンとレジスという名前の兄はいたけど、どっち?」
「僕はその頃の記憶はないよ。それに僕の前世で双子の妹って、僕は養護施設育ちで家族の顔は知らないんだけど」
「ごめん。そこは全然覚えてないわ。あたしの言った前世ってパリのことだから」
「あの、お二人が一番濃いのでは?」
「「……」」
他の部分も調べてみると、スキルに[不老]が付いているのが分かった。石になっていたからだろうか。もしかしたら石を取ったら不老じゃなくなるとか? そのあたりはいずれまたチェックが必要かも。
とりあえず夜になったらみんなに事情説明だね。使用人たちにも説明しなければならないけど、どうやって説明しようか。
「お前様は底が知れぬと思うておったが、そもそも底という概念がなかったとは……。ワシより先にマリーと知り合うておったとはのう」
「いや、なんか話が合うというか話しやすいと思ったら、まさかね」
「生まれ変わるのはいいとして、四回も妹なんて……もう兄さんと呼ぶわ」
「じゃあマリーと呼ぶのでいいのかな? たしかに、幼なじみや姉よりも妹の方がしっくりくるかな」
それにしても兄妹はステータスに表示されるなら、他の身内は無理なんだろうか。
「カローラ、【特徴】にある血縁関係って、どれくらいまで遡れるの? 僕の親を調べたいとか、そういうわけじゃないんだけど」
「何もない状態で遡るのはほとんど無理です。今回はマリーさんがご主人様のところへやって来てお互いの存在を認識したので、あらためて血縁関係が精査されて表示されたのだと思います。双方が認識しないと出ないものがほとんどです。実際にご主人様のご両親の情報は出ないと思いますよ」
「えーと、うん、たしかにマリーの情報しか出ないね」
「ですので、[シスコン]と[ブラコン]も含めてお二人の現在の特徴になります」
「「……」」
二人して顔を見合わせる。何とも言えない顔だ。
「そう言われて聞くと、たしかに先輩の女性版ですね。あ、悪い意味じゃないですよ」
「ケネスが女性になったらこういう話し方でしょう。会話のテンポや口調が同じです」
「口調ねえ。まあ普段はこんな感じだけど、丁寧に喋ろうと思えば喋れるわよ」
「本当にあなたと話し方が同じですねぇ」
「先生とはノリというか雰囲気が同じです。多分話の持って行き方が似てるです」
「『僕』と『あたし』の違いくらい。それと語尾」
「えーと、パパのいもうと?」
「今の妹じゃないけどね。こっちに来る前の妹だよ」
「ふーん、じゃあ、マリーおばさん」
「おばさん⁉」
あ、崩れ落ちた。
「せめて一度は結婚してからおばさんと呼ばれたかった……」
「パリでは?」
「してないわ……」
「そうか……」
「うん……」
「[ブラコン]のせいですね~」
「言わないで!」
◆ ◆ ◆
「妹様でしたか」
「最初はまさかとは思ったけどね。今後は本館の方に住むことになるから」
「かしこまりました」
マリーさん、いやマリーは屋敷の本館に住むことになった。しばらくうちの離れに仮住まいにして、それからどこかに部屋を借りる予定をしていたけど、今さら別のところに住むのもおかしな話だろう。
妹がやって来たと知ってエルケが三つ編みを逆立たせたり、マイカが「妹が来ると分かっていれば無理して妹枠を作る必要もなかったですね」と言ったのを聞いてエルケの三つ編みがへにゃっとなったり、それからもまあ色々あった。
使用人への説明としては、「どこかで父が作ったらしく、いずれ僕を探すようにと言われていた」という、ちょっと苦しい説明になった。それを聞いたフェナが「さすが旦那様のお父様でございます。妹様も世界中にたくさんいらっしゃるのでしょうね」とやはりズレた感想を口にした。存在すらしない父親に勝手に押し付けた形だ。まあエルフは寿命が長いだけあって子供も多いそうだから、あり得ない話ではないだろう。仮に年齢は一九ということにした。年は取らないけどね。
「家具はこんなものかな?」
「ありがとう。これだけあれば大丈夫」
「それと、使用人への説明はあれでよかった?」
「ちょっと無理があったと思うけど、他にいい案もなさそうだし」
「まあしばらくは落ち着かないと思うけど、ゆっくり慣れてよ」
「お世話になる分は頑張って返すわ。よろしくね、兄さん」
「こちらこそ、妹さん」
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ケネスとマリーの関係一覧。
不明 不明
ケヴィンかレジス マリー パリ
不明 不明
ケン 不明 日本(双子)
マリー マリアンと友人
ケネス マリー
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ケネスへの呼びかけ
リゼッタ:ケネス
カロリッタ:マスター
エリー:旦那様
ミシェル:パパ
マイカ:先輩
マリアン:お前様
セラ:先生
キラ:先生
カローラ:ご主人様
マノン:あなた
ジェナ:閣下
エルケ:お兄ちゃん
マリー:兄さん←NEW
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