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4話
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碧人の考えている蒼太励まし大作戦はこうだ。金曜日、蒼太が学校に行っている間に部屋の飾りつけを済ませて、ホットケーキを焼く。帰ってきた蒼太はホットケーキを見て感動。ホットケーキを2人で仲良く食べる。蒼太は元気がでるし、碧人は甘いものが食べれて一石二鳥。
完璧な作戦である。
あわよくば、イチャイチャしたい。それはちょっとずつ蒼太との距離を縮めてからにしよう。
いつか思いが通じ合って、あの薄いけど弾力のある唇にキスとかしちゃったりして。
キャャァァァ~~~~~~~‼︎‼︎‼︎‼︎
「幸せそうな妄想に浸っているところすみませんが、家に着きました」
人が蒼太との幸せな妄想に浸ってるのに邪魔しやがって。榊に聞こえるようにちっと舌打ちをした。
「柄が悪いですよ」
「うるさい。散々働かせてやがって」
「あなたが休みがほしいと言ったからでしょ。それとも金曜日の休みは要らないんですか」
「いるに決まってるでしょ」
「だったら黙って働いて下さい」
「この七三‼︎ 分け目からハゲろ‼︎」
「はいはい。さっさと降りて下さい。私も帰りたいので」
碧人がロールスロイスから降りるとすぐに車は走り出した。アパートの2階を確認すると部屋の電気は暗くなっていた。蒼太はもう寝たらしい。
現在の時刻は深夜2時。外は静かであり虫の鳴き声しか聞こえない。音を立てないように階段を上がり、そっと玄関のドアを開けた。
ゆっくりとドアを閉めて、足音を立てないように部屋を歩く。居間を通り抜け、そっと襖を開ける。寝室には蒼太が寝ていた。呼吸に合わせ規則正しく毛布が上下している。蒼太を起こさないように寝室に入ると、押し入れをそっと開ける。
碧人は明後日の計画のため、あるプレゼントを用意していた。プレゼントは赤のパーカーだ。世界的にも名の通っている某有名ブランドの社長と碧人は知り合いであり、その社長にお願いして蒼太をイメージして作ってもらった世界でたった一つしかないプレミアムパーカー。値段にすると数十万円の品物だ。蒼太は服を数着しか持っておらず、その数着を着回ししていた。
きっと喜ぶだろうな。ムフフ…。
このプレゼントの隠し場所として碧人は押し入れを選んだ。奥底に入れておけば蒼太にも気づかれないだろう。ごそごそと物置を物色していた時だった。あるお菓子の箱を発見した。
その箱には栗まんじゅうと書かれていた。碧人は普通の饅頭は食べたことはあるが、栗まんじゅうは食べたことはない。
(蒼太のやつ、僕に黙って一人で食べる気だったな)
食い意地だけで何も考えずに箱を開けてしまった。箱に入っていたのは栗まんじゅうなんかではなかった。数々の脅迫めいた手紙と蒼太と碧人が盗撮されている写真。しかも、その写真に写っている蒼太だけカッターで何度も切りつけた跡があった。
碧人は一気に殺意がわいた。
スマートフォンを取り出すとすぐに榊に電話をかけた。
『……何時だと思ってるんですか。過重労働で労働基準局に訴えますよ』
眠っていたのだろう、電話越しからあくびが聞こえた。
「至急調べて欲しいことがあるんだ。できれば早急に頼む」
碧人の声のトーンで榊はただ事ではないと察したらしい。
『………わかりました。残業代はたんまり請求しますからね』
電話を切ると碧人はその箱から手紙を取り出して読んだ。内容からして碧人に好意を持っている者の犯行で間違いはない。さらに碧人がこの家に住んでいることや蒼太の祖父が亡くなったことも知っている。最近は粗相もしていないし、人に恨まれることなどしていない。誰にせよ、蒼太を傷つけた犯人が許せなかった。
完璧な作戦である。
あわよくば、イチャイチャしたい。それはちょっとずつ蒼太との距離を縮めてからにしよう。
いつか思いが通じ合って、あの薄いけど弾力のある唇にキスとかしちゃったりして。
キャャァァァ~~~~~~~‼︎‼︎‼︎‼︎
「幸せそうな妄想に浸っているところすみませんが、家に着きました」
人が蒼太との幸せな妄想に浸ってるのに邪魔しやがって。榊に聞こえるようにちっと舌打ちをした。
「柄が悪いですよ」
「うるさい。散々働かせてやがって」
「あなたが休みがほしいと言ったからでしょ。それとも金曜日の休みは要らないんですか」
「いるに決まってるでしょ」
「だったら黙って働いて下さい」
「この七三‼︎ 分け目からハゲろ‼︎」
「はいはい。さっさと降りて下さい。私も帰りたいので」
碧人がロールスロイスから降りるとすぐに車は走り出した。アパートの2階を確認すると部屋の電気は暗くなっていた。蒼太はもう寝たらしい。
現在の時刻は深夜2時。外は静かであり虫の鳴き声しか聞こえない。音を立てないように階段を上がり、そっと玄関のドアを開けた。
ゆっくりとドアを閉めて、足音を立てないように部屋を歩く。居間を通り抜け、そっと襖を開ける。寝室には蒼太が寝ていた。呼吸に合わせ規則正しく毛布が上下している。蒼太を起こさないように寝室に入ると、押し入れをそっと開ける。
碧人は明後日の計画のため、あるプレゼントを用意していた。プレゼントは赤のパーカーだ。世界的にも名の通っている某有名ブランドの社長と碧人は知り合いであり、その社長にお願いして蒼太をイメージして作ってもらった世界でたった一つしかないプレミアムパーカー。値段にすると数十万円の品物だ。蒼太は服を数着しか持っておらず、その数着を着回ししていた。
きっと喜ぶだろうな。ムフフ…。
このプレゼントの隠し場所として碧人は押し入れを選んだ。奥底に入れておけば蒼太にも気づかれないだろう。ごそごそと物置を物色していた時だった。あるお菓子の箱を発見した。
その箱には栗まんじゅうと書かれていた。碧人は普通の饅頭は食べたことはあるが、栗まんじゅうは食べたことはない。
(蒼太のやつ、僕に黙って一人で食べる気だったな)
食い意地だけで何も考えずに箱を開けてしまった。箱に入っていたのは栗まんじゅうなんかではなかった。数々の脅迫めいた手紙と蒼太と碧人が盗撮されている写真。しかも、その写真に写っている蒼太だけカッターで何度も切りつけた跡があった。
碧人は一気に殺意がわいた。
スマートフォンを取り出すとすぐに榊に電話をかけた。
『……何時だと思ってるんですか。過重労働で労働基準局に訴えますよ』
眠っていたのだろう、電話越しからあくびが聞こえた。
「至急調べて欲しいことがあるんだ。できれば早急に頼む」
碧人の声のトーンで榊はただ事ではないと察したらしい。
『………わかりました。残業代はたんまり請求しますからね』
電話を切ると碧人はその箱から手紙を取り出して読んだ。内容からして碧人に好意を持っている者の犯行で間違いはない。さらに碧人がこの家に住んでいることや蒼太の祖父が亡くなったことも知っている。最近は粗相もしていないし、人に恨まれることなどしていない。誰にせよ、蒼太を傷つけた犯人が許せなかった。
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