俺様CEOは初恋に戸惑う

アタラン

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最愛の人は一人だ!

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沙羅は指輪を眺めながら・・自分が何故彼を好きなったのかを自問自答していた。

拓海の事があって恋愛するのも罪悪感を感じていたのもあるけど本当は、姉の存在が大きかった。

拓海の時もだが毎回姉は自分の彼氏と沙羅の彼氏を比べる。

拓海の時も拓海の兄が不動産業をしていると知ってから拓海に声をかけたりして拓海が振り向かないと「沙羅彼と別れてよ。」と言って来る事もあった。

拓海があの事件で犠牲になった時・・母が言った事。

「拓海さんもお姉ちゃんを選んでおけば死なずにすんだのに。」

母も姉が妹の彼氏を誘っている事を知っていたのかと思うと吐き気がした。

だから家を出るように言われ高校までは世間体があるからお金は出すけど後は、好きに生きていけばいいと言われた時はこれで姉に執着されなくなると思って安心した。

なのに、拓海の兄の相沢春樹と妹が付き合っているのではと勝手に勘違いした姉は彼も誘っていた事を知っている。

弟は基本なにも言わないがそんな姉妹を遠くから眺めている状態で父は母や姉には逆らえないでいる。

一条貴臣と付き合う事になるとは思っていなかったし雲の上の人だと思っていたたまに見せる優しい行動をつい見ていたけど・・彼の容姿がずば抜けてイケメンだからつい見てしまうのだと思っていた。

彼のよからぬ噂は聞いていた。

「一条社長って絶対に女性と二度会わないって噂よ。」

「名前も呼ばないらしい。」

「でもイケメンだから一回だけでも抱かれたい。」

みたいな会話が社内で女子社員が噂していた。

女性社員の中でも一番美人だと言われていた子が自分の連絡先を書いて渡した時も「君には興味がない。」の一言で撃沈したと言っていた。

清々しいほど近寄る女性を排除する彼の行動はみていて心地いいほどハッキリしている。

二回ほど送ってもらった時に「沙羅さん」と呼ばれた時に心臓がドクッとなった・・今までに感じた事がない感覚でも彼は、女を愛さない男だと言われている・・だから自分に芽生えかけた気持ちを封印した。

自分のなかで拓海の存在が少しずつ思い出になりかけている事にも気がついていた・・でもまた恋愛すれば姉がと思うとまともに恋愛できずにいた。

過去の事件もこの間の事件も解決する間・・安全の為だと言えど彼と生活するなかで彼が料理が上手で優しい顔で「美味しいか?」と聞いてくれるのが嬉しいと思うようになった。

でもこの頃・・彼には好きな人がいると思い込んでいたから。

告白された時は言葉を理解するのに時間がかかったでも事件が解決して彼と恋人同士になって幸せだと感じていたのに・・幸せすぎて忘れていた姉の存在。

必ず・・貴臣さんを誘うか沙羅に別れるように言ってくるはずだと思って密かに悩んでいた。

「結婚してください。」という言葉と素敵なホテルと彼との時間は夢の中の出来事なのかと今でも思う・・隣にいる彼と自分の薬指の指輪。

この指輪の前は右手にあったペアリングもそのまま。

彼が婚姻届けまで用意していたのには驚いたけど・・彼は姉の事を聞いていると言っていた。

「行くぞ沙羅。」

そう言って昔住んでいた両親のマンションのチャイムを鳴らす。

握られた手は大きくて暖かい・・。

「はい。」

玄関の扉を開けたのは母だったが彼を見た途端に何を勘違いしたのか、

「沙織の彼氏ですか奥にいますから。」

と姉の彼氏が訪ねてきたのだと思ったようだった。

「いいえ、違いますよ。沙羅さんの恋人です・・初めまして。」

「えっ?あ・・あなた何故ここにいるのよ。」

沙羅を見てすぐに母親が言う言葉なのかと誰も思うような言動だったがそんな事を無視して「お邪魔していいですか?お話がありますので。」

「ええ。どうぞ。」と彼の勢いに負けて母親は二人をリビングに通した。

リビングには、父親が突然帰ってきた娘と男の存在に驚いたようだったが、

「どうぞ・・沙羅元気か?」と沙羅にも声をかけた。

「うん。お父さん。」

一条は、ここに長居する予定はないと言って本題をすぐに切り出した。

「急に申し訳ないです。僕は一条貴臣と申します。飲食業界で経営をしています沙羅と結婚したいと思いますのでこの書類にサインをお願いできますか?」

書類袋から「婚姻届け」を出して父親の前のテーブルに置いた。

父親が「ああ。わかった。」と返事をしてサインをしょうとした時に母親が

「少し待ってください。あ!お姉ちゃん。」

姉が部屋からどこかへ出かけるのかという服を着て「姉の沙織です。」と言って余所行きの笑顔を彼に向けた。

「沙羅ちゃん。心配していたのよ連絡もくれないから~元気なの?」

妹を心配する健気な姉のような態度で沙羅に言う。

「ええ。元気よ。」

「傷も大丈夫?あんなに大きな傷だから心配していたの。」

「大丈夫。」

「一条貴臣さんって有名なレストランを何軒も経営している方ですよね。」

「ええ。まあそうですね。」

「あの・・言いにくいのですけど。沙羅には忘れられない人がいるはずですよそれでもいいんですか?」

拓海の名前も出さず、沙羅の体に傷がある事を揶揄して遠回しに沙羅を貶める。

「一条社長は沙織と会うのは初めてでしょう?」

母親は、小さな椅子を貴臣の側に置きそこに姉を座らせる。

父親は難しい顔をしたが何も言わない・・。

「ええ、初対面ですね。」

「沙織は、沙羅と違って優秀でいま商社で勤めているんですよ。T大を出ていますしそれに比べて沙羅は高卒ですし傷もあるし・・。」

やはりそうか・・母親と姉は顔も性格も似ている双子のような親子だ。

一見沙羅と姉も似てはいるが、沙羅の方が目の色素が薄いそれは父親に似たのだろう。

「お母さんやめなさい!」

父親は、見苦しいと声をあげるが完全に無視する母親は続ける。

「母親としては沙織を知ってからもう一度考え直して・・。」

「結構です!」

母親が最後まで言い切る前に一条は言葉を遮るように言った。

「俺は沙羅が唯一の最愛の女性なんです・・他の女性などどうでもいい。こうやって挨拶に来たのは憂いを無くす為です。沙羅も成人していますし反対されても彼女と結婚します。僕が愛する女性は彼女一人だ。」

母親は、言い返され狼狽しているだけだったが姉の沙織は鬼の様な形相でテーブルに置いてあった婚姻届けを勢いよく破り捨てる。

「結婚ですって!沙羅が?傷物なのに?ありえないわ!」

一条は書類袋から数枚の婚姻届けをだして。

「ああ、何枚もありますから・・僕は結婚します。結婚式もしますし招待状は、出しますが来るか来ないかは貴女方次第です。では話はこれ
だけですので失礼します。」

沙羅の手を握り立ち上がると玄関向かい二人でマンションを後にした。

「沙羅・・怖いか?」

「少し。姉が今後どう出るかが怖いかな。」

どうせ沙羅を待ち伏せするか電話して来るか程度だろうと思っている。そんな事は想定済みだ。

「心配するな。」

今後の計画をまた進める事にしたもうすぐ新規店舗がオープンするそこで婚約パーティーでもするつもりでいた。

そこで自分の両親と沙羅を合わせるつもりでいたのだった。










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