愛してると言いたかった

アタラン

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桜の父親は誰?

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「桜の父親は誰なんだ?」

そう聞いた俺に二人は「俺達も知りたいし知りたかった。」と言ってビールを飲む。

登は、あの手この手で咲に父親は誰なのかを聞いたが咲は息を引き取るその時も言わなかったらしい。

俺は、密かに二人に憤りを感じていた。

「お前らが知らないのは理解できたけど、そんな状況だと何故俺には言わなかったんだよ!」

俺が何よりも許せないと思っているのは、この二人が15年も咲が一人で子供を産んで育てている事を俺には黙っていた事だ。

二人は、一瞬だけ押し黙ったが・・登が意を決したように言った。

「咲がお前に怒られるのは嫌だから言わないでくれって。最初はな桜が無事に産まれたら言うと言ってたんだけど、でも桜が産まれてからも凱には言わないと言ったんだ。俺には、内緒でもし凱に言ったら二度と桜に会わせないって言われたんだよ。」

登は、桜が産まれた時に一緒に産院まで行ったらしく、産まれた直後から見てきた桜が可愛くて仕方なかったから会わせないと言う言葉には
逆らえなかったと言う。

「俺も同じだよ。」

忍まで同じだと言う。

「お前らは、どれだけ咲が怖かったんだよ・・。」

咲が怖いわけじゃないけど、桜に会えなくなるのが怖かったしと二人は言う、お前が俺達と同じ立場ならどうだよと言われると・・・

俺も同じ行動をすると思うから何も言えなくなった。

「俺達は、昔から咲に本気でお願いされたら昔から断れなし逆らえない。凱は、一番咲に間違ってるとか注意していたけど、俺達二人は咲に勝った事がないだろう?人として桜が大好きだったからな。」

登は、泣きながらビールを空けると冷蔵庫からまたビールを持ってきて飲んでいる。

弱いのに辛い時や悲しい時に酔いつぶれるまで登は飲む。

そんな登を見ていたら思い出した。

登は、女に振られるとよく酒を持って咲の部屋に上がり込んで飲んでいた。

咲から俺達に電話がきて「登が失恋して飲んでるから来て。」と何回あった事か。

時間のある時は、よく俺も咲の家に行って飲んだ記憶もある。

咲の家で飲む時は、大抵水曜日で「俺の」が定休日の日だったなと思い出していた。

忍は、俺に「咲の妊娠を一番初めに聞いたのは俺だと思う。」と言い出した。

「咲が顔色が悪くて風邪かと聞いたんだよ。」

咲は、困った顔をして違うといって白状したらしい。

「咲は、その時には妊娠四か月を超えてて、堕胎は出来ない時期になっていたから俺は、その時も当然父親は誰だと聞いたんだ。悪阻もきつかったはずなのに一人で抱え込んでいたようだったよ。俺は、医者だよ子供を諦めろなんて言わないのに言われると思ったみたいなんだ。」

何かを思い出したように忍は立ち上がり桜の部屋からアルバムを持ってきた。

「アルバム見るか?」

そう言ってアルバムを開くとそこには笑顔で赤ちゃんを抱く咲がいた。

咲お前幸せそうだな・・こんな咲をみたら俺は説教なんてしなかったと思う。

子供を産んでこんな幸せそうな顔をみたら何も言えないだろう?



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