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真相 1
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咲が俺を呼び出したのは、今思えば凱との関係に悩んでいた頃だったと思う。
目の前で泣いたりは、しなかったけど赤い目をしていたから何かあったのだろうとは思っていた。
俺をわざわざ呼び出すなんていつもなら先に凱を呼び出す事が多い咲にしたらめずらしいと思っていた。
凱が忙しくて電話にも出れないのか?とも思ったが俺を呼び出してくれた事を嬉しく感じていた。
俺は、研修の夜勤を同期に無理やり変わってもらって咲に会いに行った。
「忍、私ね好きな人がいるの。」
わざわざ時間を作ったのにそんな事かとも思ったけど顔には出さずに「それで」と聞き役に回った。
「多分ね今までと違って本当に好きなの。相思相愛って本当に幸せだと思ったわ。」
俺は、咲の言葉の中で「幸せだと思った」は微妙な言い回しだなと思いながら話を聞いていた。
「でもね、私の好きな人には別に本命?はっきりわかんないけど相手の女性から結婚の約束をしていて一緒に住む事になってるからもう彼にかかわらないでって言われたの。」
俺は、ちゃんと男の方に真相を確かめたのか?と聞いた。
ずっと会議や仕事中みたいで込み入った話が出来る状況でないと言う事と何回も女から「今彼と一緒にいるの。」と電話してくるから聞くのも怖いって。
「写メまで送ってこられたからもう信じれない」って本当に辛そうに話した。
「その写メってどんな写真なんだよ?」
「どうみても彼の部屋で彼が寝ている写真でね、女の姿はないけど部屋には女は入れていないって言ったのに・・嘘だったんだよ。」
咲は、いつも失恋したら感情的に泣くか喚くかするのに今回は感情を押し殺した様声を出さずにポロポロと涙をこぼして泣いていたんだ。
今までと違うのは俺でも解るくらい相手の事が本当に好きだったんだなと聞いていた俺でさえ胸が痛かった。
「そんな、二股男なんて忘れろよ。」って言ったが咲は悲しそうに笑って。
「彼を忘れる事なんて無理。今回は絶対に無理なの。」
今思えば無理だろう・・相手が凱なら無理に決まっていると理解できるけどあの時は、相手が解らないから「飲んで忘れろ。」としか言えなかった。
「俺は、部屋に咲意外の女は入れた事はない。なのに俺の写真・・?」
可能性の一つで思い出したのはあの女、篠原と付き合っている時に鍵をかけ忘れたのか彼女が勝手に部屋に入ってきた事があった。
「お前その篠原って女に鍵をコピーされていたんじゃないのか?」
俺は一瞬フリーズした「そんな事はない」とは言い切れないからだ。
まさかではなく今となればあの女ならやりかねない。勝手に携帯から咲の番号を抜き出して
いた可能性まであるのだから。
あの女と別れる切っ掛けになったのも、女が俺の携帯を無断で見た事だし、それだけでなく毎日電話しろとか仕事中でもおかまいなしでしつこくてすぐに別れた女だった。
そんなどうでもいい女が咲を追い詰めたというのか!
「あの頃俺は、咲と連絡がすれ違う事が多かったんだ。会いたくても抜ける事が出来ない仕事が多くてやっと会話ができても短時間だったり人がいたりしたんだ。」
あの時、咲の話を時間を無理にでも作って聞いていれば違う結果があったのか?
「咲は、妊娠したって俺達が聞いたら中絶を勧めるかもと思っていたらしくて、妊娠四か月まで俺達にも言わなかったんだ。」
咲が本気で好きだった相手でも、その男が二股をかけたうえで別の女を選ぶような男の子供を妊娠したとは言いにくかったのだろう。
「俺は、医者だよ。簡単に中絶しろなんて言うわけが無いだろうって咲を叱ったよ。まさかと疑わなかった訳じゃない。顔色が悪くて胃が悪いと言っていたし咲の胃は、普段から弱くはなかったからおかしいと思っていたんだ。」
この頃に咲が篠原に殴られる事件が起こったと忍が話す。
「咲のお腹は、目立たなかったから、妊娠中だとあの女は解らなかったかもしれない。でも、何かを咲に言ったんだろうな・・すごく動揺した咲が女に殴られた衝撃でテーブルでお腹を打ち付けたようだった。」
事件は、マスターのいるこの店で起こったわけでは無かった。
「この店でその女がそんな事をしたら俺が黙っていなかったし。話の内容も聞こえてきただろうから、凱の名前も出ただろう。そしたら流石に俺も何があってもお前に連絡していたよ。」
確かにそうだ。マスターなら目の前で俺の昔の女が咲を傷つけたならどういう強引な手立てを使っても俺に連絡してきただろう。
「それで、その現場ってどこだ?」
場所は、駅前のカフェで咲は呼び出されて話を聞いていたらしく、突然篠原がキレだして咲を殴ったと証言があったらしい。
「周囲に人がいて、もちろん警察も介入したから目撃者の証言から咲は始終おちついて女の話を聞いていたらしいけど、女は咲のせいで別れたとか子供を失ったとかって騒ぎ出したみたいだ。」
咲が後で言ったらしいが女は、妊娠中絶の同意書に男のサインが入っているコピーを見せながら咲のせいで自分は彼から子供を諦めるように言われたと言ったらしい。
「俺は、あの女を妊娠なんてさせてない。咲と付き合う半年前には別れていたしそんな事実はない。」
目の前で泣いたりは、しなかったけど赤い目をしていたから何かあったのだろうとは思っていた。
俺をわざわざ呼び出すなんていつもなら先に凱を呼び出す事が多い咲にしたらめずらしいと思っていた。
凱が忙しくて電話にも出れないのか?とも思ったが俺を呼び出してくれた事を嬉しく感じていた。
俺は、研修の夜勤を同期に無理やり変わってもらって咲に会いに行った。
「忍、私ね好きな人がいるの。」
わざわざ時間を作ったのにそんな事かとも思ったけど顔には出さずに「それで」と聞き役に回った。
「多分ね今までと違って本当に好きなの。相思相愛って本当に幸せだと思ったわ。」
俺は、咲の言葉の中で「幸せだと思った」は微妙な言い回しだなと思いながら話を聞いていた。
「でもね、私の好きな人には別に本命?はっきりわかんないけど相手の女性から結婚の約束をしていて一緒に住む事になってるからもう彼にかかわらないでって言われたの。」
俺は、ちゃんと男の方に真相を確かめたのか?と聞いた。
ずっと会議や仕事中みたいで込み入った話が出来る状況でないと言う事と何回も女から「今彼と一緒にいるの。」と電話してくるから聞くのも怖いって。
「写メまで送ってこられたからもう信じれない」って本当に辛そうに話した。
「その写メってどんな写真なんだよ?」
「どうみても彼の部屋で彼が寝ている写真でね、女の姿はないけど部屋には女は入れていないって言ったのに・・嘘だったんだよ。」
咲は、いつも失恋したら感情的に泣くか喚くかするのに今回は感情を押し殺した様声を出さずにポロポロと涙をこぼして泣いていたんだ。
今までと違うのは俺でも解るくらい相手の事が本当に好きだったんだなと聞いていた俺でさえ胸が痛かった。
「そんな、二股男なんて忘れろよ。」って言ったが咲は悲しそうに笑って。
「彼を忘れる事なんて無理。今回は絶対に無理なの。」
今思えば無理だろう・・相手が凱なら無理に決まっていると理解できるけどあの時は、相手が解らないから「飲んで忘れろ。」としか言えなかった。
「俺は、部屋に咲意外の女は入れた事はない。なのに俺の写真・・?」
可能性の一つで思い出したのはあの女、篠原と付き合っている時に鍵をかけ忘れたのか彼女が勝手に部屋に入ってきた事があった。
「お前その篠原って女に鍵をコピーされていたんじゃないのか?」
俺は一瞬フリーズした「そんな事はない」とは言い切れないからだ。
まさかではなく今となればあの女ならやりかねない。勝手に携帯から咲の番号を抜き出して
いた可能性まであるのだから。
あの女と別れる切っ掛けになったのも、女が俺の携帯を無断で見た事だし、それだけでなく毎日電話しろとか仕事中でもおかまいなしでしつこくてすぐに別れた女だった。
そんなどうでもいい女が咲を追い詰めたというのか!
「あの頃俺は、咲と連絡がすれ違う事が多かったんだ。会いたくても抜ける事が出来ない仕事が多くてやっと会話ができても短時間だったり人がいたりしたんだ。」
あの時、咲の話を時間を無理にでも作って聞いていれば違う結果があったのか?
「咲は、妊娠したって俺達が聞いたら中絶を勧めるかもと思っていたらしくて、妊娠四か月まで俺達にも言わなかったんだ。」
咲が本気で好きだった相手でも、その男が二股をかけたうえで別の女を選ぶような男の子供を妊娠したとは言いにくかったのだろう。
「俺は、医者だよ。簡単に中絶しろなんて言うわけが無いだろうって咲を叱ったよ。まさかと疑わなかった訳じゃない。顔色が悪くて胃が悪いと言っていたし咲の胃は、普段から弱くはなかったからおかしいと思っていたんだ。」
この頃に咲が篠原に殴られる事件が起こったと忍が話す。
「咲のお腹は、目立たなかったから、妊娠中だとあの女は解らなかったかもしれない。でも、何かを咲に言ったんだろうな・・すごく動揺した咲が女に殴られた衝撃でテーブルでお腹を打ち付けたようだった。」
事件は、マスターのいるこの店で起こったわけでは無かった。
「この店でその女がそんな事をしたら俺が黙っていなかったし。話の内容も聞こえてきただろうから、凱の名前も出ただろう。そしたら流石に俺も何があってもお前に連絡していたよ。」
確かにそうだ。マスターなら目の前で俺の昔の女が咲を傷つけたならどういう強引な手立てを使っても俺に連絡してきただろう。
「それで、その現場ってどこだ?」
場所は、駅前のカフェで咲は呼び出されて話を聞いていたらしく、突然篠原がキレだして咲を殴ったと証言があったらしい。
「周囲に人がいて、もちろん警察も介入したから目撃者の証言から咲は始終おちついて女の話を聞いていたらしいけど、女は咲のせいで別れたとか子供を失ったとかって騒ぎ出したみたいだ。」
咲が後で言ったらしいが女は、妊娠中絶の同意書に男のサインが入っているコピーを見せながら咲のせいで自分は彼から子供を諦めるように言われたと言ったらしい。
「俺は、あの女を妊娠なんてさせてない。咲と付き合う半年前には別れていたしそんな事実はない。」
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