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特別な人
特別な人 第56話
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「頭撫でられるとか完全餓鬼扱いじゃん。俺は誰が相手でも嫌だね!」
慶史の手を掴んでいい加減にしろって威嚇する悠栖。僕は悠栖の言葉に「そんなことないよ?」って食い下がる。
でも、朋喜も「悠栖の言うことは一理あるね」って納得してて、やっぱり僕の考えには誰も同意してくれない。
「マモって末っ子だっけ? あ、双子だってことは知ってるけど、マモが弟だよな?」
「確かに弟だけど、末っ子じゃないよ!」
「あれ? マジで? 絶対末っ子だって思ったんだけどなぁ……」
聞いてきたくせに決めつけてるってどういうこと? それに、僕ってそんなに頼りないのかな……?
めのうっていう可愛い妹がいるし、僕は名実ともに『お兄ちゃん』。でも、周囲はそう見てくれてないみたい。
「葵って末っ子じゃないけど末っ子みたいなもんだし半分正解じゃない?」
「どういう意味?」
「めのうちゃんが生まれたの5年前でしょ? それまでは末っ子だったんだし、そういうこと」
慶史の言いたいことはなんとなくわかる。10年間末っ子として生きてきて妹が生まれたからといって急に『お兄ちゃん』になれるわけがないってことなんだろうな。きっと。
それは自分でも分かってる。姉さんや茂斗みたいに『頼りになる』って存在じゃないことは自覚してるし、むしろまだまだ甘えたな性格をしてるとも思ってる。
でも、だからと言って慶史の言葉に納得できるかと聞かれれば、それは無理って答えちゃう。一応僕にも『めのうのお兄ちゃん』ってプライドがあるから。
「5年前まではそうだけど、でも、今は違うよ。頼れるお兄ちゃんになれるよう頑張ってるし!」
「はい、嘘ー」
「だね」
頑張ってアピールするも、慶史にバッサリ切り捨てられる。朋喜も苦笑交じりに慶史の言葉に頷いてて、背伸びしてるのはバレバレだった。
でも、いつもなら慶史と一緒になってからかってくる悠栖は神妙な顔をしてて、もしかして僕の言葉を信じてくれたのかも? ってちょっぴり嬉しくなった。
まぁ悠栖の性格を考えたらそんなわけないんだけどね。
「マモって偶に真顔で冗談言うよな。まぁそんなところも可愛いんだけど」
ほら、やっぱり。
微笑ましそうに笑われたら、恥ずかしくなるのは仕方ない。僕は「もういい!」って末っ子気質なことを認めざるを得なくなった。
「あ。そうだ。悠栖にアドバイスがあったんだ」
「? 改まってなんだよ?」
拗ね気味の僕に向けられるのは悠栖と朋喜の温かい眼差し。僕がそんな目で見ないでよ! って騒いでたら、慶史が思い出した時に言っときたいって身を乗り出した。
慶史の様子に僕達は首を傾げる。改まった物言いに大切な事なんだろうなってことは分かったけど、でもなんでそんな風に笑ってるんだろ……?
「クリスマスパーティーで彼女漁りしないんだろ?」
「『彼女漁り』って身も蓋もねぇーな……。まぁいいけど。で、それがなに?」
「パーティーの最中、あんまり葵に絡まないようにね」
「はぁ? なんで?」
笑顔で僕を指さす慶史に悠栖は意味が分からないって顔を顰める。そして、指をさされた僕も意味が分からず変な顔をしてしまう。思わず朋喜から「葵君、顔」って苦笑される程。
「朋喜は理由、分かるよな?」
「うーん……、まぁ、なんとなく?」
慶史の『アドバイス』の意味が分からない僕と悠栖をよそに、話を振られた朋喜は困ったように笑って見せた。僕を見て。
なんで僕を見るんだろう……? って首を傾げたら、尋ねるより先に「分からない?」って尋ねられてしまった。
「え? 全然分からないんだけど……」
「俺と朋喜が一昨年も去年も被害に遭ってること、全然分からない?」
限りなく答えに近いヒントだよって言う慶史だけど、本当、全然分からない。
話の流れ的にクリスマスパーティーでのことなんだろうけど、去年も一昨年も別に二人に迷惑をかけた覚えがないから見当もつかない。
(だって、僕、二人と殆ど一緒にいなかったよね?)
思い返すのはこの二年間のクリスマスパーティー。何か二人に迷惑をかけたのかもしれないって記憶を頑張って辿るけど、やっぱり分からない。記憶に残ってる思い出には、慶史も朋喜も殆ど登場しなかったから……。
「僕、何かした……? 二人とは殆ど喋ってないと思うんだけど……」
いや、二人の口ぶりからして『何か』はしたんだろう。僕はちゃんと反省したいから教えて欲しいって二人に頼み込んだ。嫌な思い出かもしれないけど、ちゃんと教えて欲しい。って。
そしたら、慶史は「そこ」って僕のおでこを指で弾いてきた。力加減はしてくれてたみたいだけど、それでも痛みは覚えたからおでこを擦って「どこ?」って質問を重ねた。
「『俺達と殆ど喋ってない』ってとこ。その理由は?」
「え……? 理由って、虎君と一緒にいたからだけど……、……! まさか慶史、虎君と一緒にいたから怒ってるの?」
誘導されるがまま答えて、ハッとした。慶史は虎君の事を良く思ってないから、僕が虎君とずっと一緒にいたから拗ねてるのかもしれないって。
でも今更そんなまさか……。って思ったけど、慶史は笑顔を見せるし朋喜は苦笑してるしで、僕の予想はどうやら当たってたみたい。
「だ、だって仕方ないでしょ? 虎君、中等部の知り合いなんて殆どいないんだからっ!」
「『トラ君』ってマモの幼馴染だよな? その人ってかなり年上なの? そういや俺面識なかったわ」
「そーだよ。来須虎こと自称『葵の兄貴』を気取ってるストーカー。5歳年上の大学生で、自分の学年のパーティーそっちのけで葵にくっついてきてる変人だよ」
「慶史っ!!」
教えてって言ってくる悠栖に答えるのは、僕じゃなくて慶史。でもその説明が酷すぎて、僕は慶史に怒りを露わにする。
いくら慶史でも、今のは本当に許せない。慶史が虎君の事苦手なのはもう仕方ないことだけど、それでも僕の大事な人を侮辱していい事にはならないから。
慶史の手を掴んでいい加減にしろって威嚇する悠栖。僕は悠栖の言葉に「そんなことないよ?」って食い下がる。
でも、朋喜も「悠栖の言うことは一理あるね」って納得してて、やっぱり僕の考えには誰も同意してくれない。
「マモって末っ子だっけ? あ、双子だってことは知ってるけど、マモが弟だよな?」
「確かに弟だけど、末っ子じゃないよ!」
「あれ? マジで? 絶対末っ子だって思ったんだけどなぁ……」
聞いてきたくせに決めつけてるってどういうこと? それに、僕ってそんなに頼りないのかな……?
めのうっていう可愛い妹がいるし、僕は名実ともに『お兄ちゃん』。でも、周囲はそう見てくれてないみたい。
「葵って末っ子じゃないけど末っ子みたいなもんだし半分正解じゃない?」
「どういう意味?」
「めのうちゃんが生まれたの5年前でしょ? それまでは末っ子だったんだし、そういうこと」
慶史の言いたいことはなんとなくわかる。10年間末っ子として生きてきて妹が生まれたからといって急に『お兄ちゃん』になれるわけがないってことなんだろうな。きっと。
それは自分でも分かってる。姉さんや茂斗みたいに『頼りになる』って存在じゃないことは自覚してるし、むしろまだまだ甘えたな性格をしてるとも思ってる。
でも、だからと言って慶史の言葉に納得できるかと聞かれれば、それは無理って答えちゃう。一応僕にも『めのうのお兄ちゃん』ってプライドがあるから。
「5年前まではそうだけど、でも、今は違うよ。頼れるお兄ちゃんになれるよう頑張ってるし!」
「はい、嘘ー」
「だね」
頑張ってアピールするも、慶史にバッサリ切り捨てられる。朋喜も苦笑交じりに慶史の言葉に頷いてて、背伸びしてるのはバレバレだった。
でも、いつもなら慶史と一緒になってからかってくる悠栖は神妙な顔をしてて、もしかして僕の言葉を信じてくれたのかも? ってちょっぴり嬉しくなった。
まぁ悠栖の性格を考えたらそんなわけないんだけどね。
「マモって偶に真顔で冗談言うよな。まぁそんなところも可愛いんだけど」
ほら、やっぱり。
微笑ましそうに笑われたら、恥ずかしくなるのは仕方ない。僕は「もういい!」って末っ子気質なことを認めざるを得なくなった。
「あ。そうだ。悠栖にアドバイスがあったんだ」
「? 改まってなんだよ?」
拗ね気味の僕に向けられるのは悠栖と朋喜の温かい眼差し。僕がそんな目で見ないでよ! って騒いでたら、慶史が思い出した時に言っときたいって身を乗り出した。
慶史の様子に僕達は首を傾げる。改まった物言いに大切な事なんだろうなってことは分かったけど、でもなんでそんな風に笑ってるんだろ……?
「クリスマスパーティーで彼女漁りしないんだろ?」
「『彼女漁り』って身も蓋もねぇーな……。まぁいいけど。で、それがなに?」
「パーティーの最中、あんまり葵に絡まないようにね」
「はぁ? なんで?」
笑顔で僕を指さす慶史に悠栖は意味が分からないって顔を顰める。そして、指をさされた僕も意味が分からず変な顔をしてしまう。思わず朋喜から「葵君、顔」って苦笑される程。
「朋喜は理由、分かるよな?」
「うーん……、まぁ、なんとなく?」
慶史の『アドバイス』の意味が分からない僕と悠栖をよそに、話を振られた朋喜は困ったように笑って見せた。僕を見て。
なんで僕を見るんだろう……? って首を傾げたら、尋ねるより先に「分からない?」って尋ねられてしまった。
「え? 全然分からないんだけど……」
「俺と朋喜が一昨年も去年も被害に遭ってること、全然分からない?」
限りなく答えに近いヒントだよって言う慶史だけど、本当、全然分からない。
話の流れ的にクリスマスパーティーでのことなんだろうけど、去年も一昨年も別に二人に迷惑をかけた覚えがないから見当もつかない。
(だって、僕、二人と殆ど一緒にいなかったよね?)
思い返すのはこの二年間のクリスマスパーティー。何か二人に迷惑をかけたのかもしれないって記憶を頑張って辿るけど、やっぱり分からない。記憶に残ってる思い出には、慶史も朋喜も殆ど登場しなかったから……。
「僕、何かした……? 二人とは殆ど喋ってないと思うんだけど……」
いや、二人の口ぶりからして『何か』はしたんだろう。僕はちゃんと反省したいから教えて欲しいって二人に頼み込んだ。嫌な思い出かもしれないけど、ちゃんと教えて欲しい。って。
そしたら、慶史は「そこ」って僕のおでこを指で弾いてきた。力加減はしてくれてたみたいだけど、それでも痛みは覚えたからおでこを擦って「どこ?」って質問を重ねた。
「『俺達と殆ど喋ってない』ってとこ。その理由は?」
「え……? 理由って、虎君と一緒にいたからだけど……、……! まさか慶史、虎君と一緒にいたから怒ってるの?」
誘導されるがまま答えて、ハッとした。慶史は虎君の事を良く思ってないから、僕が虎君とずっと一緒にいたから拗ねてるのかもしれないって。
でも今更そんなまさか……。って思ったけど、慶史は笑顔を見せるし朋喜は苦笑してるしで、僕の予想はどうやら当たってたみたい。
「だ、だって仕方ないでしょ? 虎君、中等部の知り合いなんて殆どいないんだからっ!」
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「そーだよ。来須虎こと自称『葵の兄貴』を気取ってるストーカー。5歳年上の大学生で、自分の学年のパーティーそっちのけで葵にくっついてきてる変人だよ」
「慶史っ!!」
教えてって言ってくる悠栖に答えるのは、僕じゃなくて慶史。でもその説明が酷すぎて、僕は慶史に怒りを露わにする。
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