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特別な人
特別な人 第94話
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頑張って部屋の引っ越しを進めたおかげで、予定よりも早く荷物の移動は終えることができた。
明日までかかると思ってた僕は思ってた以上のスピードに大満足で、昨日まで自分の部屋だったドアから最後の荷物――ドアプレートを取り外した。
「運び忘れはなさそうだぞ」
「ありがとう、瑛大」
開いたドアから出てきたのは、瑛大。瑛大は荷物をすべて移動できたか最終確認をしてくれていた。
荷物の移動は殆ど瑛大に頼ってしまったから、僕はもう一度「本当にありがとう」ってお礼を告げる。折角の休みにごめんね? って。
「別に。虎兄に呼び出された時点で面倒事だとは思ってたし」
「でも僕の部屋の引っ越しとは思ってなかったんでしょ?」
「それは、な。……てか、なんで部屋移ったんだよ?」
瑛大は周囲を警戒しながらもずっと抱いてただろう疑問を口にしてくる。
僕はその問いかけに「虎君から聞いてないの?」ってちょっとびっくりした。もしかして事情は話してないのかも? って思ってたけど、まさか本当に全く話してなかったとは思わなかった。
「だから、俺は『引っ越し手伝え』としか聞いてないんだって」
「! そっか。なんか、ごめんね?」
「謝るよりも理由、教えろよ」
欲しいのは謝罪じゃなくて、弁解。
部屋の引っ越しに至った背景を知りたがる瑛大は何故か不機嫌な面持ちで、何を怒ってるのかと僕は空気を軽くしたいと空笑い。
瑛大はそんな僕を見下ろして、「また俺だけ除け者かよ……」って呟いた。
「え? 何?」
言葉は聞こえてたけど、理解できなくて思わず反応を返す僕。
すると瑛大は口に出す気がなかったのか、僕の反応にびっくりしてた。
「っ―――、なんでもねぇーよ!」
「ちょ、瑛大待ってよ! ちゃんと言うから!」
瑛大はカッと顔を赤らめて僕を押し退け、立ち去ろうとする。
なんだかよくわからないけど瑛大が怒ってる――ううん、傷ついてることは分かったから、僕はその腕を掴んで呼び止めた。
瑛大の力を考えたら僕の手を振りほどくことなんて簡単だろう。でも、瑛大は僕にちゃんと呼び止めらてくれた。
「あのね、瑛大。別に隠してたわけじゃないからね? 虎君も、僕を思って黙っててくれただけだから、それは分かって?」
「……分かったよ」
訴えかけた言葉も瑛大にはちゃんと届いてる。
僕はホッと胸を撫で下ろして瑛大の手を離すと、「実は……」って経緯を話した。
なるべく心が辛くならないように客観視して過去を思い出す僕は、瑛大の顔が何故か見れなかった。
(『情けない』って思われたら嫌だな……)
何もされてない癖に過敏になりすぎじゃないか?
虎君は勿論、父さん達も怖くて当然だって言ってくれる。でも、他の人も同じように言ってくれるわけじゃないってことは知ってる。
だからもし友達にそんな風に思われたらどうしようって正直不安だった。
(瑛大がそんなこと言うわけないってことは分かってるんだけど、やっぱり怖いや……)
瑛大の表情が呆れたものに変わったら流石に辛い。
だから瑛大の胸のあたりを見ながら一気に喋った。
「……つまり、西って変質者に目をつけられて、部屋がまだ監視されてる気がして落ち着かないから虎兄の部屋に移ることにしたってことか?」
「『変質者』って……でも、まぁ、そういうこと。あ、でも僕が『虎君の部屋がいい!』って言ったわけじゃないよ?」
「んなこと改めて言われなくても分かってるよ。虎兄が言い出したんだろ?」
受け答えする声が不自然なまでに明るい声だって自分でも分かってる。でも、笑ってないとまた恐怖を思い出しそうだったから仕方ない。
「あはは。流石従兄弟だね。僕がどうしようって悩んでたら、『一番安全だから』って」
「虎兄の部屋が一番安全かは知らないけど、一個確認。そいつ、まだ生きてんの?」
「! 当たり前でしょ!?」
瑛大の口から出てきた言葉に、びっくりした。『死んでると思った』って口ぶりだったから。
西さんはまだちゃんと生きてるし、もう会うことはないけど今も何処かで元気に生活してるはず。
そう伝える為に瑛大を見上げたら、今度は瑛大がびっくりした顔をして僕を見下ろしていた。
「え? なんで生きてんの? ……! 運良く病院送りで済んだだけか?」
「どうしてそんな物騒な話になるの?!」
「『どうして』って、そいつの狙い、お前なんだろ?」
暴力的な思考すぎて怖いよ?!
そう言って瑛大の発想が理解できないって訴える僕だけど、瑛大は瑛大で言い分があるみたいだ。
明日までかかると思ってた僕は思ってた以上のスピードに大満足で、昨日まで自分の部屋だったドアから最後の荷物――ドアプレートを取り外した。
「運び忘れはなさそうだぞ」
「ありがとう、瑛大」
開いたドアから出てきたのは、瑛大。瑛大は荷物をすべて移動できたか最終確認をしてくれていた。
荷物の移動は殆ど瑛大に頼ってしまったから、僕はもう一度「本当にありがとう」ってお礼を告げる。折角の休みにごめんね? って。
「別に。虎兄に呼び出された時点で面倒事だとは思ってたし」
「でも僕の部屋の引っ越しとは思ってなかったんでしょ?」
「それは、な。……てか、なんで部屋移ったんだよ?」
瑛大は周囲を警戒しながらもずっと抱いてただろう疑問を口にしてくる。
僕はその問いかけに「虎君から聞いてないの?」ってちょっとびっくりした。もしかして事情は話してないのかも? って思ってたけど、まさか本当に全く話してなかったとは思わなかった。
「だから、俺は『引っ越し手伝え』としか聞いてないんだって」
「! そっか。なんか、ごめんね?」
「謝るよりも理由、教えろよ」
欲しいのは謝罪じゃなくて、弁解。
部屋の引っ越しに至った背景を知りたがる瑛大は何故か不機嫌な面持ちで、何を怒ってるのかと僕は空気を軽くしたいと空笑い。
瑛大はそんな僕を見下ろして、「また俺だけ除け者かよ……」って呟いた。
「え? 何?」
言葉は聞こえてたけど、理解できなくて思わず反応を返す僕。
すると瑛大は口に出す気がなかったのか、僕の反応にびっくりしてた。
「っ―――、なんでもねぇーよ!」
「ちょ、瑛大待ってよ! ちゃんと言うから!」
瑛大はカッと顔を赤らめて僕を押し退け、立ち去ろうとする。
なんだかよくわからないけど瑛大が怒ってる――ううん、傷ついてることは分かったから、僕はその腕を掴んで呼び止めた。
瑛大の力を考えたら僕の手を振りほどくことなんて簡単だろう。でも、瑛大は僕にちゃんと呼び止めらてくれた。
「あのね、瑛大。別に隠してたわけじゃないからね? 虎君も、僕を思って黙っててくれただけだから、それは分かって?」
「……分かったよ」
訴えかけた言葉も瑛大にはちゃんと届いてる。
僕はホッと胸を撫で下ろして瑛大の手を離すと、「実は……」って経緯を話した。
なるべく心が辛くならないように客観視して過去を思い出す僕は、瑛大の顔が何故か見れなかった。
(『情けない』って思われたら嫌だな……)
何もされてない癖に過敏になりすぎじゃないか?
虎君は勿論、父さん達も怖くて当然だって言ってくれる。でも、他の人も同じように言ってくれるわけじゃないってことは知ってる。
だからもし友達にそんな風に思われたらどうしようって正直不安だった。
(瑛大がそんなこと言うわけないってことは分かってるんだけど、やっぱり怖いや……)
瑛大の表情が呆れたものに変わったら流石に辛い。
だから瑛大の胸のあたりを見ながら一気に喋った。
「……つまり、西って変質者に目をつけられて、部屋がまだ監視されてる気がして落ち着かないから虎兄の部屋に移ることにしたってことか?」
「『変質者』って……でも、まぁ、そういうこと。あ、でも僕が『虎君の部屋がいい!』って言ったわけじゃないよ?」
「んなこと改めて言われなくても分かってるよ。虎兄が言い出したんだろ?」
受け答えする声が不自然なまでに明るい声だって自分でも分かってる。でも、笑ってないとまた恐怖を思い出しそうだったから仕方ない。
「あはは。流石従兄弟だね。僕がどうしようって悩んでたら、『一番安全だから』って」
「虎兄の部屋が一番安全かは知らないけど、一個確認。そいつ、まだ生きてんの?」
「! 当たり前でしょ!?」
瑛大の口から出てきた言葉に、びっくりした。『死んでると思った』って口ぶりだったから。
西さんはまだちゃんと生きてるし、もう会うことはないけど今も何処かで元気に生活してるはず。
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「え? なんで生きてんの? ……! 運良く病院送りで済んだだけか?」
「どうしてそんな物騒な話になるの?!」
「『どうして』って、そいつの狙い、お前なんだろ?」
暴力的な思考すぎて怖いよ?!
そう言って瑛大の発想が理解できないって訴える僕だけど、瑛大は瑛大で言い分があるみたいだ。
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