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初めての人
初めての人 第74話
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「ごめん、動いていいか……?」
ぎゅっと抱き合っていれば、耳元で聞こえる声。その遠慮がちな声に僕は虎君に抱き着いたまま「いいよ」ってその肩に頬を摺り寄せた。
苦しくないと言えば、嘘になる。痛くない言ってもそれは明らかな嘘になる。
でも、それでも僕は虎君と愛し合いたい。苦しいのも痛いのも、虎君がくれるモノならなんだって受け入れられると思うから。
虎君は僕の額にチュッと口づけを落として、「ごめん」って謝ってくる。眉間に刻まれた皺は虎君がどれほど我慢してくれているかを教えてくれて、その優しさだけで僕は十分だと思った。
「! っ、んぁっ」
内臓を押し上げていた熱が引いたかと思えば、また押し上げられる。
感じる圧迫感は、とても言葉では言い表せない。お尻に感じる痛みも、普段の僕なら逃げ出したくなる程のものだった。
でも、それらすべてを幸せだと感じるのはどうしてかな……?
「葵っ、葵、愛してるっ」
虎君の動きに翻弄されるがままの僕の耳に届くのは切羽詰まった声。虎君のこんな声、初めて聴いた。
僕はまたいつの間にか目を閉じてしまっていたようで、痛みと苦しさに耐えながらも虎君の姿を探せば、辛そうに顔を歪めながらも僕を見下ろす男の人の顔をした大好きな人を見つけることができた。
虎君は何度も何度も僕の名前を呼んでいて、そして何度も何度も『愛』を伝えてくれた。
僕はその声に『僕も愛してる』って返したかった。けど、断続的に内臓を押し上げられる苦しさに息すらうまくできなくてとてもじゃないけど言葉なんて紡げなかった。
それでも何とか伝えたくて唇を動かすんだけど、口から零れるのは『愛の言葉』とは程遠い声で……。
「っ、はっ、ま、もるっ、ごめっ、イくっ」
乱暴なまでに揺さぶられる身体。
僕は応えるように虎君の名前を必死に呼ぼうとするけど、やっぱり『言葉』は紡げない。身を捩り、シーツを握りしめ、言葉にならない声を寝室に響かせた。
「―――っ、くっ」
短く苦し気な声は虎君のもの。その声の後、僕の身体を揺さぶる動きはピタッと止まり、覆いかぶさってくる重みを感じた。
「……とりゃ、く……」
漸く言葉らしい言葉を紡げたものの、呂律は廻っていなかった。それでも虎君はちゃんと言葉を拾いあげてくれて、僕の唇に触れるだけの優しいキスをくれた。
唇に吸い付くキスは僕を夢見心地にしてくれる。でも、そんなキスはすぐにチュッと音を立てて離れてしまうから寂しい。
もっとキスが欲しいと蕩けた思考のまま虎君を見つめれば、苦し気な笑顔と目が合った。
(なんでそんな顔してるの……? 僕とのエッチ、幸せじゃなかったの……?)
僕は泣きそうなほど幸せで満たされているのに虎君は違うの?
そんなことを大して働かない頭で考えてしまう僕。
でもそんな僕に虎君は笑顔だけど泣きそうに顔を歪め、「愛してる……」って喉奥から声を絞り出すように囁き、抱きしめてきた。
「ぼくも、あいしてるよ」
虎君の背中に手を回したかったけど、腕が鉛のように重くてシーツに沈めたまま。
それでも想いを伝えたくて舌足らずながらも想いを伝えれば、額を小突き合わせて来る虎君。
乱れた呼吸のまま告げられるのは『ありがとう』っていう感謝の言葉だけど、僕こそ我侭を聞いてくれて『ありがとう』だ。
「もう少しだけこのままでいさせて……」
「うん……ぼくも、このままがいぃ……」
身体を繋げたまま抱き合ってキスを交わせば、それだけで泣きそうなほどの幸せが胸を満たす。
僕は虎君をおなかの中からも感じながら舌を絡めるキスに夢中になって、できることならずっとこのままが良いなんて考えてしまう。
そんなことを考えていると虎君が知れば、エッチな奴だと呆れたりしないだろうか?
過る不安。でも、愛し合っているんだから何も不安に感じることなんてなかったとすぐに知ることができた。
「はぁ……ずっとこうしていたい……」
「! それ、ほんとう?」
「当たり前だろ? 俺がどれだけ葵を抱きたかったと思うんだ」
本当なら身体を気遣ってすぐに抜くべきだと頭では分かっている。それなのにどうしても自制ができず、果てたというのにまだこうやって身体を繋げてしまっている。
本当にごめんと謝ってくる虎君。僕はそんな虎君に抱き着き、同じ気持ちだと伝えた。ずっとこうしていたい。と。もっと虎君を感じたい。と……。
「あ……」
想いを伝えれば、感じるのは違和感。まだ僕の中にいる虎君の一部がさっきよりも大きくなった気がするのは勘違いだろうか……?
「ごめん。でも頼むから可愛い事言わないで……」
僕をぎゅっと抱きしめてくる虎君は、萎えるどころかまた勃つだろ? って困ったように笑った。
「ダメだ。このままだとまたしたくなる」
「! だめっ!!」
自力で治めることができるうちに離れないと。虎君はそう言って僕の中から居なくなろうとしてしまう。まだ虎君を感じていたい僕は思わず『いなくなっちゃヤダ!』と両手両足を使って引き留めてしまった。
ぎゅっと抱き合っていれば、耳元で聞こえる声。その遠慮がちな声に僕は虎君に抱き着いたまま「いいよ」ってその肩に頬を摺り寄せた。
苦しくないと言えば、嘘になる。痛くない言ってもそれは明らかな嘘になる。
でも、それでも僕は虎君と愛し合いたい。苦しいのも痛いのも、虎君がくれるモノならなんだって受け入れられると思うから。
虎君は僕の額にチュッと口づけを落として、「ごめん」って謝ってくる。眉間に刻まれた皺は虎君がどれほど我慢してくれているかを教えてくれて、その優しさだけで僕は十分だと思った。
「! っ、んぁっ」
内臓を押し上げていた熱が引いたかと思えば、また押し上げられる。
感じる圧迫感は、とても言葉では言い表せない。お尻に感じる痛みも、普段の僕なら逃げ出したくなる程のものだった。
でも、それらすべてを幸せだと感じるのはどうしてかな……?
「葵っ、葵、愛してるっ」
虎君の動きに翻弄されるがままの僕の耳に届くのは切羽詰まった声。虎君のこんな声、初めて聴いた。
僕はまたいつの間にか目を閉じてしまっていたようで、痛みと苦しさに耐えながらも虎君の姿を探せば、辛そうに顔を歪めながらも僕を見下ろす男の人の顔をした大好きな人を見つけることができた。
虎君は何度も何度も僕の名前を呼んでいて、そして何度も何度も『愛』を伝えてくれた。
僕はその声に『僕も愛してる』って返したかった。けど、断続的に内臓を押し上げられる苦しさに息すらうまくできなくてとてもじゃないけど言葉なんて紡げなかった。
それでも何とか伝えたくて唇を動かすんだけど、口から零れるのは『愛の言葉』とは程遠い声で……。
「っ、はっ、ま、もるっ、ごめっ、イくっ」
乱暴なまでに揺さぶられる身体。
僕は応えるように虎君の名前を必死に呼ぼうとするけど、やっぱり『言葉』は紡げない。身を捩り、シーツを握りしめ、言葉にならない声を寝室に響かせた。
「―――っ、くっ」
短く苦し気な声は虎君のもの。その声の後、僕の身体を揺さぶる動きはピタッと止まり、覆いかぶさってくる重みを感じた。
「……とりゃ、く……」
漸く言葉らしい言葉を紡げたものの、呂律は廻っていなかった。それでも虎君はちゃんと言葉を拾いあげてくれて、僕の唇に触れるだけの優しいキスをくれた。
唇に吸い付くキスは僕を夢見心地にしてくれる。でも、そんなキスはすぐにチュッと音を立てて離れてしまうから寂しい。
もっとキスが欲しいと蕩けた思考のまま虎君を見つめれば、苦し気な笑顔と目が合った。
(なんでそんな顔してるの……? 僕とのエッチ、幸せじゃなかったの……?)
僕は泣きそうなほど幸せで満たされているのに虎君は違うの?
そんなことを大して働かない頭で考えてしまう僕。
でもそんな僕に虎君は笑顔だけど泣きそうに顔を歪め、「愛してる……」って喉奥から声を絞り出すように囁き、抱きしめてきた。
「ぼくも、あいしてるよ」
虎君の背中に手を回したかったけど、腕が鉛のように重くてシーツに沈めたまま。
それでも想いを伝えたくて舌足らずながらも想いを伝えれば、額を小突き合わせて来る虎君。
乱れた呼吸のまま告げられるのは『ありがとう』っていう感謝の言葉だけど、僕こそ我侭を聞いてくれて『ありがとう』だ。
「もう少しだけこのままでいさせて……」
「うん……ぼくも、このままがいぃ……」
身体を繋げたまま抱き合ってキスを交わせば、それだけで泣きそうなほどの幸せが胸を満たす。
僕は虎君をおなかの中からも感じながら舌を絡めるキスに夢中になって、できることならずっとこのままが良いなんて考えてしまう。
そんなことを考えていると虎君が知れば、エッチな奴だと呆れたりしないだろうか?
過る不安。でも、愛し合っているんだから何も不安に感じることなんてなかったとすぐに知ることができた。
「はぁ……ずっとこうしていたい……」
「! それ、ほんとう?」
「当たり前だろ? 俺がどれだけ葵を抱きたかったと思うんだ」
本当なら身体を気遣ってすぐに抜くべきだと頭では分かっている。それなのにどうしても自制ができず、果てたというのにまだこうやって身体を繋げてしまっている。
本当にごめんと謝ってくる虎君。僕はそんな虎君に抱き着き、同じ気持ちだと伝えた。ずっとこうしていたい。と。もっと虎君を感じたい。と……。
「あ……」
想いを伝えれば、感じるのは違和感。まだ僕の中にいる虎君の一部がさっきよりも大きくなった気がするのは勘違いだろうか……?
「ごめん。でも頼むから可愛い事言わないで……」
僕をぎゅっと抱きしめてくる虎君は、萎えるどころかまた勃つだろ? って困ったように笑った。
「ダメだ。このままだとまたしたくなる」
「! だめっ!!」
自力で治めることができるうちに離れないと。虎君はそう言って僕の中から居なくなろうとしてしまう。まだ虎君を感じていたい僕は思わず『いなくなっちゃヤダ!』と両手両足を使って引き留めてしまった。
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