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my treasure
my treasure 第19話
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「さっきと言ってることが違うぞ」
「なんのこと?」
海音が訪ねてくる直前まで自分が何を言っていたか彼女は忘れてしまったのだろうか。
呆れ顔の虎の言葉に笑顔で圧をかけてくる桔梗は身をひるがえし幼馴染に向き合うととても残念そうな表情で「だから続きは本人相手にしてあげてね」と言い放った。
これは明らかな押し付けだと察した虎は海音の返事を聞かずリビングから出て行こうとする。
何を言っても無駄であると悟ったのだろう。話がまとまる前に逃げるに限るということか。
本来なら帰る前に一言両親への挨拶をするべきなのだろうが、二人は既に別世界にいるようだから多少の無作法は許されるはずだ。
背後から聞こえる幼馴染たちの声を無視して足早にガレージへと向かい、愛車に乗り込んだ虎は一瞬逃げ切れたと安堵した。
しかし、安堵する暇があればさっさと発車させるべきだったと後悔するのは助手席に乗り込んできた男のせいだ。
「あっぶねぇ! 置いてくなよ!」
「何当然の顔して助手席に座ってるんだお前は」
「え? 後ろに乗れって言うのか? 俺、タクシー乗りとか嫌なんだけど」
この状況で後部座席に乗る親友なんていないだろう?
そう言いたげな海音にそもそも乗り込むなと言いたいところだが、言ったところでどうせ無駄な労力を使うだけだ。
虎は頭を抱えながら深いため息を吐き、大人しく『祝福』を受け入れる代わりに後部座席に移動するよう海音に伝えた。
「いやだから、なんで? 俺とお前だけだぞ?」
「海音、今まで俺がお前を助手席に乗せたことあったか?」
「ん? そりゃ当たり前―――、って、あれ? 俺、乗ったことなくない?!」
嘘だろ!? と驚きを隠せない海音は、なんでだ!? と虎に説明を求める。説明するまでもないだろうに、驚愕が勝ってそこまで考えが及ばないようだ。
「そこは葵の場所だからに決まってるだろうが。さっさと後ろに移動しろ」
「えぇ? でも葵今いないじゃん」
「いないから葵のための席に座っても良いって言いたいのか? なるほど。お前は恋人がその場にいない相手に向かって『今は二人きりだからセックスしよう』って誘ってもいいって思ってるってことだな」
「はぁ? なんだよそのとんでも理論。助手席に座るのと彼氏持ちと浮気するのは全然違うだろうが」
「お前には違うことでも俺には一緒なんだよ。葵のための場所を他人に踏み荒らされたくないんだ。つーか、理解できなくてもいいから言う事聞け。じゃないと力ずくで引き摺り降ろすぞ」
納得できない様子の海音だが、不機嫌を露わにする親友に食い下がるのは得策じゃないと判断したのか言われた通り助手席から後部座席へと移動する。
車から降りずに移動すれば虎からは当然怒声が飛んできたが、降りたら置いて行かれそうだと反論してやる。
虎はそんなことをしないと言ったが、己の日頃の行いを鑑みてかその声からは怒気は感じられなかった。
「ほら、ご要望通り移動したぞ!」
「はいはい。分かった分かった。わざわざありがとうよ」
「心が籠ってない!」
「うるせぇ。車出すからシートベルトしろ」
鋭い目つきで睨まれるがルームミラー越しだと迫力は半減するから怖くない。
海音は悪態を吐きながらも言われた通りシートベルトをしてみせると、『どうだ!』と言わんばかりにふんぞり返った。
盛大にため息を吐く虎は既に疲労困憊気味でまだ朝なのに既に夕暮れのテンションに思えた。
「なんか疲れてるな」
「ああ、疲れてるよ。おかげさまでな」
「そんなに昨日激しかったのか?」
ゆっくりと走り出していた車が突然止まり、急ブレーキのせいで身体が前に放り出されそうになった。肩に食い込むシートベルトに痛みを覚えながらもこれが無ければヘッドレストに顔面を強打していたかもしれないと安堵する。
危険運転反対! と非難の声を上げようとした海音が顔を上げるとほぼ同時に彼の額を襲う痛み。どうやら虎に殴られたようだ。
「いてぇ! 何すんだよ!?」
「俺言ったよな? 葵でエロいこと考えるなって、ちゃんと忠告したよな?」
「別にエロいことなんて考えてねぇよ! ピュアピュア純朴ボーイっぽいのに結構エロいこと好きとかやっぱり葵も男だったんだなって思っただけで」
「考えてるじゃねーか! つーか何考えてんだテメェ、マジ殺す」
シートベルトを外して殴りかかってきそうな程殺気を纏う虎の目は全く笑っていない。
海音は親友が本気で怒ってると察して「待て待て待て!」と冷静な話し合いを提案する。
「俺は葵をエロい目で見てるわけじゃなくて、普通にエッチしてる恋人同士の話をしてるだけだ」
「だからそれを止めろって言ってるんだ。理解しろバ海音」
「んー、そうしたいのは山々だけどさー」
分かっている。葵に対して独占欲の塊と言っても過言じゃない親友がたとえ色恋感情抜きでも恋人との営みの話題を出されることを酷く嫌がることはちゃんと理解してる。
だが、それを分かっていても海音はどうしても話題に出してしまう。何故ならそれは―――。
「やっぱ気になるじゃん? 片想い歴15年越えの親友が1年近くおあずけ喰らった後にちゃんと初エッチできたかさ」
長年親友を心配していたから。と言えば聞こえがいいが、どう考えてもただの好奇心だ。
「なんのこと?」
海音が訪ねてくる直前まで自分が何を言っていたか彼女は忘れてしまったのだろうか。
呆れ顔の虎の言葉に笑顔で圧をかけてくる桔梗は身をひるがえし幼馴染に向き合うととても残念そうな表情で「だから続きは本人相手にしてあげてね」と言い放った。
これは明らかな押し付けだと察した虎は海音の返事を聞かずリビングから出て行こうとする。
何を言っても無駄であると悟ったのだろう。話がまとまる前に逃げるに限るということか。
本来なら帰る前に一言両親への挨拶をするべきなのだろうが、二人は既に別世界にいるようだから多少の無作法は許されるはずだ。
背後から聞こえる幼馴染たちの声を無視して足早にガレージへと向かい、愛車に乗り込んだ虎は一瞬逃げ切れたと安堵した。
しかし、安堵する暇があればさっさと発車させるべきだったと後悔するのは助手席に乗り込んできた男のせいだ。
「あっぶねぇ! 置いてくなよ!」
「何当然の顔して助手席に座ってるんだお前は」
「え? 後ろに乗れって言うのか? 俺、タクシー乗りとか嫌なんだけど」
この状況で後部座席に乗る親友なんていないだろう?
そう言いたげな海音にそもそも乗り込むなと言いたいところだが、言ったところでどうせ無駄な労力を使うだけだ。
虎は頭を抱えながら深いため息を吐き、大人しく『祝福』を受け入れる代わりに後部座席に移動するよう海音に伝えた。
「いやだから、なんで? 俺とお前だけだぞ?」
「海音、今まで俺がお前を助手席に乗せたことあったか?」
「ん? そりゃ当たり前―――、って、あれ? 俺、乗ったことなくない?!」
嘘だろ!? と驚きを隠せない海音は、なんでだ!? と虎に説明を求める。説明するまでもないだろうに、驚愕が勝ってそこまで考えが及ばないようだ。
「そこは葵の場所だからに決まってるだろうが。さっさと後ろに移動しろ」
「えぇ? でも葵今いないじゃん」
「いないから葵のための席に座っても良いって言いたいのか? なるほど。お前は恋人がその場にいない相手に向かって『今は二人きりだからセックスしよう』って誘ってもいいって思ってるってことだな」
「はぁ? なんだよそのとんでも理論。助手席に座るのと彼氏持ちと浮気するのは全然違うだろうが」
「お前には違うことでも俺には一緒なんだよ。葵のための場所を他人に踏み荒らされたくないんだ。つーか、理解できなくてもいいから言う事聞け。じゃないと力ずくで引き摺り降ろすぞ」
納得できない様子の海音だが、不機嫌を露わにする親友に食い下がるのは得策じゃないと判断したのか言われた通り助手席から後部座席へと移動する。
車から降りずに移動すれば虎からは当然怒声が飛んできたが、降りたら置いて行かれそうだと反論してやる。
虎はそんなことをしないと言ったが、己の日頃の行いを鑑みてかその声からは怒気は感じられなかった。
「ほら、ご要望通り移動したぞ!」
「はいはい。分かった分かった。わざわざありがとうよ」
「心が籠ってない!」
「うるせぇ。車出すからシートベルトしろ」
鋭い目つきで睨まれるがルームミラー越しだと迫力は半減するから怖くない。
海音は悪態を吐きながらも言われた通りシートベルトをしてみせると、『どうだ!』と言わんばかりにふんぞり返った。
盛大にため息を吐く虎は既に疲労困憊気味でまだ朝なのに既に夕暮れのテンションに思えた。
「なんか疲れてるな」
「ああ、疲れてるよ。おかげさまでな」
「そんなに昨日激しかったのか?」
ゆっくりと走り出していた車が突然止まり、急ブレーキのせいで身体が前に放り出されそうになった。肩に食い込むシートベルトに痛みを覚えながらもこれが無ければヘッドレストに顔面を強打していたかもしれないと安堵する。
危険運転反対! と非難の声を上げようとした海音が顔を上げるとほぼ同時に彼の額を襲う痛み。どうやら虎に殴られたようだ。
「いてぇ! 何すんだよ!?」
「俺言ったよな? 葵でエロいこと考えるなって、ちゃんと忠告したよな?」
「別にエロいことなんて考えてねぇよ! ピュアピュア純朴ボーイっぽいのに結構エロいこと好きとかやっぱり葵も男だったんだなって思っただけで」
「考えてるじゃねーか! つーか何考えてんだテメェ、マジ殺す」
シートベルトを外して殴りかかってきそうな程殺気を纏う虎の目は全く笑っていない。
海音は親友が本気で怒ってると察して「待て待て待て!」と冷静な話し合いを提案する。
「俺は葵をエロい目で見てるわけじゃなくて、普通にエッチしてる恋人同士の話をしてるだけだ」
「だからそれを止めろって言ってるんだ。理解しろバ海音」
「んー、そうしたいのは山々だけどさー」
分かっている。葵に対して独占欲の塊と言っても過言じゃない親友がたとえ色恋感情抜きでも恋人との営みの話題を出されることを酷く嫌がることはちゃんと理解してる。
だが、それを分かっていても海音はどうしても話題に出してしまう。何故ならそれは―――。
「やっぱ気になるじゃん? 片想い歴15年越えの親友が1年近くおあずけ喰らった後にちゃんと初エッチできたかさ」
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