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LOVE IS SOMETHING YOU FALL IN.
LOVE IS SOMETHING YOU FALL IN. 第21話
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一時険悪なムードになったものの、朋喜達の機転でその後は終始和やかな雰囲気で昼休みを過ごすことができた面々。
そろそろ午後の授業開始を知らせる予鈴が鳴りそうな時間に差し掛かった頃、一人クラスが異なる唯哉が次は移動教室だからと席を立ち、それを合図に自分達も次の授業の準備をすると席に戻り始める朋喜達。
みんなように真面目に授業前の予習なんてする気のない悠栖は、ギリギリまで立ち上がろうとはしなかった。
完全に気持ちが晴れやかになったわけではないが、友人達に原因不明のイライラをぶつけるなんて失態は一度で十分だから、心に留まったままのモヤモヤは見ない振りをすることにした。
「悠栖、ちょっといいか?」
「へ? なんだ? 教科書でも貸して欲しいのか?」
授業開始まで後一〇分弱。それぐらいあれば仮眠できるかもしれない。
そんなことを考えていた悠栖は突然かけられた声に我に返り、教室に戻ると言っていた唯哉が隣に立っていることにちょっと驚いた。
まぁ唯哉なら最悪走れば移動教室だろうがまだ余裕で間に合うだろうが、ギリギリの行動は避ける親友の性格を知っているから、きっと忘れものでもしたのだろう。
悠栖は、持ってきてる教科書ならいいんだけどと机を漁る。
すると唯哉からは「英和辞書」と忘れたのは教科書ではなく辞書だと苦笑いが。
「えぇ? お前辞書なんて持って帰ってるのか? 重くねぇ?」
「まぁ、重いな」
「だよなぁ。つーか、辞書なんて学校に置いとけよ。どうせ寮じゃ携帯かパソコン、使ってるんだろ?」
教科書は机に置いてあるが、残念ながら辞書はロッカーだ。
悠栖は立ち上がると辞書を取り出すために教室を後にする。
後ろをついてくる唯哉は、悠栖の問いかけに歯切れは悪いが肯定の言葉を返してきて……。
「ならなんで持って帰ったんだよ?」
寮で使わないなら持って帰る必要なんてないはず。
唯哉の行動が分からず首を傾げながらもロッカーのカギに手を伸ばしたその時、唯哉は何故かその手を掴んできて、そして「ごめん」と謝った。
何に対する謝罪の言葉か、分からない。
だから悠栖は「何が?」と眉を下げた。
見ない振りをするために沈めたモヤモヤが、不安に呼ばれて顔を出す……。
「実は辞書は忘れてないんだ」
「へ……? じゃ、なんで―――」
「いや、お前の様子がなんか変だったからさ。どうしたのかと思って」
辞書を借りたいわけじゃないなら、どうして声を掛けられたのか?
自分達は親友なんだから別にこんな風に嘘をつかなくとも、『話がある』と言ってくれればいいだけなのに。
いやむしろ、異変を察した時に言ってくれればよかったのに。
唯哉が今このタイミングでわざわざ嘘をついて教室から自分を遠ざけた本当の理由は一体何なのか……。
悠栖は新たに生まれるモヤモヤに、自分がどんな顔をしているか分からない。
「……やっぱり調子悪いみたいだな」
「! いや、調子悪いって言うか……、なんか、ビックリしてるって言うか……」
「『ビックリしてる』? 何に?」
お前の態度にだよ。
そういつも通り軽口混じりで返せばよかったのに、悠栖は「分かんねぇ……」と嘘をついてしまった。
俯くのは、『嘘』を見抜かれ突っ込まれたら嫌だから。
唯哉はただ『好きな人』と知り合えて浮かれていただけで、昼休みに見た新たな一面は『恋する男』としての一面だっただけ。
それを『一〇年以上友人として傍にいた自分が見たことのない一面だ』と喚いて拗ねるなんて、お門違いもいいところだ。
唯哉にとってこの『恋』こそが初めての『恋愛』なんだから。
悠栖だって自分のモヤモヤの正体がなにか、理解している。理解しているから、言いたくないのだ。
そろそろ午後の授業開始を知らせる予鈴が鳴りそうな時間に差し掛かった頃、一人クラスが異なる唯哉が次は移動教室だからと席を立ち、それを合図に自分達も次の授業の準備をすると席に戻り始める朋喜達。
みんなように真面目に授業前の予習なんてする気のない悠栖は、ギリギリまで立ち上がろうとはしなかった。
完全に気持ちが晴れやかになったわけではないが、友人達に原因不明のイライラをぶつけるなんて失態は一度で十分だから、心に留まったままのモヤモヤは見ない振りをすることにした。
「悠栖、ちょっといいか?」
「へ? なんだ? 教科書でも貸して欲しいのか?」
授業開始まで後一〇分弱。それぐらいあれば仮眠できるかもしれない。
そんなことを考えていた悠栖は突然かけられた声に我に返り、教室に戻ると言っていた唯哉が隣に立っていることにちょっと驚いた。
まぁ唯哉なら最悪走れば移動教室だろうがまだ余裕で間に合うだろうが、ギリギリの行動は避ける親友の性格を知っているから、きっと忘れものでもしたのだろう。
悠栖は、持ってきてる教科書ならいいんだけどと机を漁る。
すると唯哉からは「英和辞書」と忘れたのは教科書ではなく辞書だと苦笑いが。
「えぇ? お前辞書なんて持って帰ってるのか? 重くねぇ?」
「まぁ、重いな」
「だよなぁ。つーか、辞書なんて学校に置いとけよ。どうせ寮じゃ携帯かパソコン、使ってるんだろ?」
教科書は机に置いてあるが、残念ながら辞書はロッカーだ。
悠栖は立ち上がると辞書を取り出すために教室を後にする。
後ろをついてくる唯哉は、悠栖の問いかけに歯切れは悪いが肯定の言葉を返してきて……。
「ならなんで持って帰ったんだよ?」
寮で使わないなら持って帰る必要なんてないはず。
唯哉の行動が分からず首を傾げながらもロッカーのカギに手を伸ばしたその時、唯哉は何故かその手を掴んできて、そして「ごめん」と謝った。
何に対する謝罪の言葉か、分からない。
だから悠栖は「何が?」と眉を下げた。
見ない振りをするために沈めたモヤモヤが、不安に呼ばれて顔を出す……。
「実は辞書は忘れてないんだ」
「へ……? じゃ、なんで―――」
「いや、お前の様子がなんか変だったからさ。どうしたのかと思って」
辞書を借りたいわけじゃないなら、どうして声を掛けられたのか?
自分達は親友なんだから別にこんな風に嘘をつかなくとも、『話がある』と言ってくれればいいだけなのに。
いやむしろ、異変を察した時に言ってくれればよかったのに。
唯哉が今このタイミングでわざわざ嘘をついて教室から自分を遠ざけた本当の理由は一体何なのか……。
悠栖は新たに生まれるモヤモヤに、自分がどんな顔をしているか分からない。
「……やっぱり調子悪いみたいだな」
「! いや、調子悪いって言うか……、なんか、ビックリしてるって言うか……」
「『ビックリしてる』? 何に?」
お前の態度にだよ。
そういつも通り軽口混じりで返せばよかったのに、悠栖は「分かんねぇ……」と嘘をついてしまった。
俯くのは、『嘘』を見抜かれ突っ込まれたら嫌だから。
唯哉はただ『好きな人』と知り合えて浮かれていただけで、昼休みに見た新たな一面は『恋する男』としての一面だっただけ。
それを『一〇年以上友人として傍にいた自分が見たことのない一面だ』と喚いて拗ねるなんて、お門違いもいいところだ。
唯哉にとってこの『恋』こそが初めての『恋愛』なんだから。
悠栖だって自分のモヤモヤの正体がなにか、理解している。理解しているから、言いたくないのだ。
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