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強く儚い者達へ…
強く儚い者達へ… 第20話
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「手間かけさせるなよ、クソが」
衝撃に、体は大地に倒される。
一体何が起こったのかはわからない、でも、声がすぐ近くに感じるのが恐怖だった。
自分は全力で逃げた筈なのに、何故こんなすぐ傍までもう距離を詰めている?
デュカが戦っていたはずなのに、どうして自分の背後にもういる?
考えたくないが、恐る恐る振り返れば其処には戯皇達を狙って来た男の姿と…血塗れの変わり果てた弟の姿…。
「デュカ…そんな…」
嘘だ…と言葉が無意識に零れる。
ただ、ピクリとも動かない弟の姿に目を奪われ、呆然としてしまう。
大地が抜け、真っ暗な暗闇に突き落とされた感覚がリムを襲ったのは気のせいではないはず…。
「デュカ?…あぁこれか。馬鹿な餓鬼だな、こんな強けりゃ俺との力の差、見抜けないわけ無いのに死にに来て」
弟の亡骸をまるでゴミの様に放り投げれば、ソレはドサッという鈍い音とともに自分の目の前に転がった…。
色の違う血液だけが、まだ身体から外へと溢れている…。
「デュカ……嘘だろ…ねぇ…デュカ、返事し…」
揺さぶると、大きく見開かれたデュカの目がこちらを向いて、リムは、弟の左の横腹から右の肩にかけて走る抉れた傷跡に言葉を失った…。
何で斬り付けたらこんな傷になるのだろう?
傷から覗くデュカの肉は薄い赤紫というか紫と言うか分からない色をしていてまだ微かに動いている。
切断された筋肉が痙攣を起こしているのだろうが、瞳孔は大きく開き、生きているという雰囲気ではなかった。
彼の左胸には大きな穴…。
核と呼ばれる心臓を奪われた痕だった…。
「さて、邪魔も居なくなったし…」
呆然とするリムの胸倉を掴むと、男はニヤリと笑って見せた。
「…いい女だな。フェンデル・ケイを殺ったら、お前は用無しだと思ってたが、俺のペットにしてやるよ」
男の言葉に身体が震える。
昔の傷を縫い口などものともせず引き裂く言の葉にリムは忘れもしない…忘れられない男の笑い声を脳裏で聞いた気がした…。
そう、すべてを奪っていった、フレアの、声…。
変わると決めた。
強くなると決めた。
でも、身体は恐怖を忘れてくれない。
心の最も深い場所に、根を張り、隙あらばリムの全てを侵食し始める…。
今日も良い月明かり…男の顔はよく見えてしまい、それが更に恐怖を煽って…。
―――無理に忘れなくていい。今の自分も過去の自分も、すべて、抱えて生きてゆけばいい。
(!師匠…)
思い出されるのは、師の言葉。
男に恐怖し、忘れたいのに忘れられない苦痛にもがく自分にかけてくれた優しい言葉…。
(…負けるな…、忘れられないのなら、乗り越えられないのなら、すべて受け止めて、生きてゆけばいい!)
この恐怖を弱いと思わない。
過去を思い出して震える自分を、馬鹿だなんて思わない…。
あんな思いをしたのだから、怖くて当然だから…。
「!!くそっ!」
油断した男の腕に小さな傷がつく。
リムの手には戯皇に護身用にと渡された短剣。
「虫ケラが調子に乗るな!!」
怒り狂うという表現がぴったりな男の形相。
自分より遥かに戦闘レベルの低いリムに傷をつけられたのがよほど屈辱的だったのだろう。
リムを掴んでいた手を振り払い、呪文の詠唱が始まった。
「炎よ…我が力となりて…」
(…この詠唱、ファイアーボルト…!!)
自分でも使える魔法。
でも、大きく違う事が一点。
(なんて、魔力…)
レベルが違いすぎると愕然とした。
魔力の高さが直結して呪文の威力に結びつくのが魔法だと知ったから、この男の唱えるファイアーボルトのレベルに驚いてしまう。
(こんなのくらったら死にはしなくても、逃げられない…)
掴まるわけにはいかない。
戯皇達を狙って来た男だから、今自分が捕まりでもしたら、絶対に師に迷惑がかかってしまう。
身を翻し、急いで逃げる。
遠くへ、遠くへと…。
逃げられないと知っていて…。
「逃げ切れると思うな!ファイアーボルト【火炎系呪文。炎の玉を投げつける】!!」
男の手から放たれた炎の玉は、真っ直ぐにリムに向かってきた。
赤々と燃え盛るソレは、暗闇を明るく照らしながら、標的へと近づく。
(!かわしきれない)
リムの赤い髪と同色の炎はもうリムのすぐ後ろにまで迫っていた。
もうダメだ…とリムは腹をくくり、今持つ自分の魔法力を腕に集め、火の精霊を呼び出す詠唱を紡ぎだす。
同属性を身に纏う事で、少しでも魔法を食らって受けるダメージを減らそうという事らしい。
足を止め、敵の放った炎と対峙し、直撃の瞬間を目を閉じて待った。が…。
「ギリギリセーフ…だな」
「師匠…」
目を開ければ剣を構え、敵に向き合う戯皇の姿。
自分の両斜め後ろには敵が放ったファイアーボルトで焼かれた草木が…。
言いつけを破って外に出ていた自分。
リムは怒られると思ったが師は安心したように笑っただけだった。
戯皇の笑顔に、リムの緊張は解け、瞳からは涙がボロボロ涙を零しだした。
「無事でよかった…」
心底安心した彼の声に、リムは彼と同じように自分を心配してくれた者を思い出す…。
「し、しょー…デュカが…デュカがぁ――…」
声を上げて泣き出したのは、もう動く事の無い弟を想っての事。
自分のせいで、デュカが命を落とした。
自分なんかを護ろうとしたせいで、デュカは殺された…。
「!……間に合わなかったか…」
弟子の悲鳴の様な泣き声に、視界に微かに入る少年の姿が彼女の弟だと認識した。
駆けつける途中、誰かの生命力が消えたのを知った戯皇はもっと早く敵の存在に気付くべきだったと悔やんだ。
ただ「ごめんなさい」と何度も呟きながら泣くリムに、戯皇は「頑張ったな」と優しく声をかけてやる。
敵は必ずとるからもう泣くな、と…。
「随分軽く言ってくれるねぇ。ロキア・ハブパッシュが傍にいないあんたに俺を殺れるかな?」
「五月蝿い!直接俺達に挑んでこなかったのは、勝てないと分かっていたからだろうが?!リムを盾にしようとした小物が大口たたくな!」
戯皇は剣を構え、「殺れるか殺れないか試してやるよ」と凄んだ。
何故かとてつもなく嫌な感じがするのは昔、一瞬だけ感じた殺気のせい…。
戯皇の、発するプレッシャーだった。
「不利な事には変わらないだろう?接近戦に持ち込まれる前に勝負をつけてやるよ。…闇の炎、命を持ち…」
このプレッシャーの中平然としていることから、敵ながらさすがSクラス上位に位置する奴だと感心する。
男が紡ぎ始めるのは詠唱。
それに顔をしかめるのは、戯皇。
(まずい、今そんな大技使われたらリムは一撃死しちまう…くそっ!!)
ファイアーボルト程度の単体標的魔法ならまだしも、広範囲に大ダメージを与える最上級レベルの全体魔法は防御力の低いリムにとって命を奪いかねない危険なものだ。
ましてや、詠唱者は戦闘レベルSクラス。
自分だけなら耐えれるが、リムには耐えられないだろう。
(クソ!幸斗早く来いよ!)
全くもって無理な話だ。
いくら幸斗が本気を出したところで、戯皇の速さに追いつく事はおろか、ついて行く事も出来ないのに…。
それもすべて、戦闘力の違い。瞬発力の違いだった。
分かっているくせに、リムが心配で飛び出したのは自分。
長い付き合いだから、怒りをぶつけても幸斗が男の詠唱が終わるまでにこの場にくる事は無いと知っている。
「しゃーねー…」
まだ泣いているリムを優しく抱きしめると、戯皇は何かを決意したような表情で口を開いた。
「大気に宿りしすべての精よ、息づくすべての力達よ…」
紡がれるのは優しい音。
風の精が、大地の精が二人の周りに集まってきているかのように暖かな空気に包まれる。
「ビッグ・バーニング【火炎系呪文の中で最高の威力を有する】!」
勝ち誇ったような笑みを浮かべて放たれるのは灼熱の業火。
ファイアーボルトとは比べ物にならない威力を誇る火炎系最上級レベルの魔法。
男の魔法力がその威力を更に増大させて、近づいてくる。
「ケイ!やめろ!!ケーイ!!!」
遠くで幸斗の声が聞こえたのは気のせいでは無いだろう。
その悲痛な声に心の中で悪いと詫びると彼は詠唱の最後のくだりを唱え終えた。
「あまいな。マジック・ウォール【すべての呪文を無効化する最強の防壁呪文】」
「ケイ!!」
最後の一言を紡ぐと同時に耳に入る相棒の声。
業火が迫る。
リムは絶命を予感して戯皇にしがみ付く。
炎はもう目の前。
(もうダメだ…)
自分の悪運も尽きたと思った。が…。
目前の光景にただ息を飲んだ…。
業火は自分達の身を焦がすことなく消えてゆく…。
(これが、マジック・ウォール…)
高い魔法力と優れた格闘センスが無いと扱う事の出来ない最高レベルの防壁魔法の威力の性能の高さにリムはただポカンと口を開けて見入ってしまう。
師は本当にトップクラスの戦士だったと改めて実感した。
そして…。
「貴様!許さんぞ!」
「!ロキア・ハブパッシュ!…クソッ!」
怒りに満ち満ちた形相で幸斗は男に剣を振り下ろす。
自分と剣を交えているときとは比べ物にならない剣圧がかかっているのだろう…男の足が地に沈むほど重い一撃だった。
男はガードするも虚しく剣は幸斗の一撃に耐え切れずその身を散らし、左耳に刃が食い込むと、そのまま剣は身体を綺麗に切り裂いたではないか!!
刃は男の核を真っ二つに切り裂き、そのまま右太ももから体液をその身に付着させながら姿を現す。
…あっという間だった。
あっという間に弟の敵は幸斗の剣の錆となった…。
リムはすごいと驚嘆すると同時に、もう弟はこの世にいないのだと絶望してしまう。
自分が、師の言いつけを守って部屋から出なければ、デュカは死ぬ事は無かったのに…。
「師匠…ごめんなさい…ごめんな…」
後悔に涙を流しながら自分を抱きしめてくれる優しい人を見上げた時、初めてリムは異変に気がつき言葉を失った。
「師匠!!」
師の美しい顔が苦痛に歪み、唇から零れる赤い液体は彼の血液。
瞳が見開かれ、呼吸できないのだろうか、苦しそうに喉を押さえ低い呻き声が時折聞こえてきた。
「!ケイ!!」
剣を鞘に戻しながら顔面蒼白と言うに相応しい面持ちで駆け寄るのは彼の相棒。
リムを戯皇の傍から放し、何度も何度も彼の名を呼ぶ…。
昔の名を呼ぶ事から、幸斗が取り乱しているのが非常に良く分かる。
「しっかりしろ!ケイ!!」
戯皇は苦しそうに胸元を押さえ、息をしようと口を開くが呼吸は出来ていない。
大きく幸斗は戯皇の服を掴むと、そのまま胸元を引き裂き、その白い肌を外気に晒した。
「!!なっ…」
リムは言葉を失った。
戯皇の胸元には核を中心にまるで青いバラのような痣が浮かび上がっていたから…。
これは、生まれつき?それとも…。
「幸斗さん、師匠は…」
動揺しているリムを無視し、鮮やかな青いバラの上に幸斗が手を沿え、詠唱を始める。
何時もよりソレは早口で、言葉が紡がれるたびに彼の手から肉眼で確認できるほどおびただしい量の魔力が凝縮され放出された。
「ケイ!ケイ!しっかりしろ!」
「………こ、……と…」
痣がほとんど確認できないほど薄くなった頃、ようやく戯皇の唇が心配そうに何度も自分の名を呼ぶ相棒の名を呼び返し、幸斗はようやく安心したように笑った。
「無茶をするな!」
「わ、り……ちょ…と…こんか、いは…焦った…」
辛そうに身を起こす彼に、幸斗は二度とするなと怒る。
そして、彼の弟子は、ただ呆然と師を見ていた…。
「驚いたか?」
何度か咳払いをして、ようやく元の声が出るようになった戯皇はバツの悪そうな顔をしている。
リムは正直に頷くと、「だよな」と今度は苦笑した。
幸斗も戯皇が無事だと分かり安心したのか何時も通り『戯皇』と相棒の名前を呼んで…。
「…ずっと言ってなかったな…、これが、俺達が"DEATH-SQUAD"を抜けた理由だ。…俺は仲間の裏切りで"呪い"を受けた。この"呪い"は魔法を使うと命を蝕むものだから、"DEATH-SQUAD"から抜けざるを得なかったんだ…」
"DEATH-SQUAD"のように戦いに明け暮れる組織に身を置いていては戯皇は確実に命を落とす。
…どんなに強くても、魔法が使えなければ話にならない世界だから…。
「"呪い"は恐ろしいものだ。何時解けるか分からないものだから…何より、自分にかけられた"呪い"がどんなものなのか理解するのに時間がかかってしまい、知らぬ間に自分から死を招く事もある…」
リムは今までのことを思い出して納得した。
師は、一度も魔法を使った事が無かったのだ。
「…敵にばれたなら、もうここにはいられないな…」
「移動、するんですか?」
「あぁ、俺達だけ、な…」
「え…?」
悲しそうに笑う師に、リムは意味が分からないと言いたげに顔をしかめた。
今、彼はリムを残してここを去るといったではないだろうか?
戸惑いを隠せない彼女に幸斗は続けて、
「お前は残れ、リム。今みたいな事が無いとはいいきれない。…むしろ、今以上に危険な目にあう確率の方が高いだろう…お前を連れては行けない」
と、きっぱり言われてしまう。
嫌だと言わんばかりにリムの顔は辛そうに歪んでゆく。
「そんな…いやです!師匠、私のこと強くするって言ってくれたじゃないですか!!」
聞き分けの無い子供のように嫌々と首を振る彼女に戯皇も幸斗も悲しそうに顔をあわせるしかない。
戯皇は仕方ないと言うかのようにため息をつき、大事な弟子の肩を抱きしめゆっくりと言ったのだった。
「わかってくれ…これ以上お前を危険に晒すわけにはいかない。今回、デュカがお前の身代わりになってくれなければ、本当なら今お前はこの場にいなかったかもしれないだろ…」
自分の言葉にリムの大きく肩が揺れるのが分かった。
弟のことを口に出すべきではないと分かっていたが、リムに自分達と一緒にいることが以下に危険かを理解さすためには仕方の無いことだった。
「戯皇は今Sクラスの連中にすら勝てない。レベルが上がれば上がるほど、戦いに必要になってくるのは魔法だから…。俺一人では二人を守りきれないレベルの奴らもこれからは襲ってくると見ていいだろう…同じ場所にとどまるということはそういうことだ。…ここには長居しすぎた」
「…や、だぁ…デュカもいなくなって…師匠たちまでいなくなるって…やだぁ…」
リムは堪えきれずに涙を零す。一人にしないでとリムは泣く。
「…リム、お前は一人じゃない…」
戯皇の胸に顔をうずめて泣きじゃくるリムの手に幸斗が渡すのは中央に美しい赤い宝石の付いた銀色の十字架…。
「真ん中の石を押せば俺のこのピアスに信号が送られてくる。何かあったらすぐ呼べばいい。どこにいてもすぐに駆けつけるから…」
傍で守れないが、俺達はずっとお前の傍にいるからと幸斗は優しくリムの髪を撫でてやる。
「なるべく敵に俺達の居場所が分かるように移動するけど、もしこっちに襲撃かけてくる奴がいたら、すぐに押せよ」
本当は一緒に連れて行きたい。
できるなら、ここで彼女の成長を見守ってやりたい。
しかし、それは取り返しの付かない結末を招く危険性が非常に高い。
だから連れてゆけない。見守ってやれない…。
大切だから、守りたい…。
「何時…行ってしまうんですか…」
「…明日の朝一にでもここを発つつもりだ…」
師を困らせない為に、涙を止め、幸斗の言葉を受け止める。
後、少ししか一緒にいられない…。
「今日、一緒に寝てもいいですか…?」
「!…相変わらずガキだな」
儚げに笑いながら、いいよと言ってくれる師にもう一度抱きつき、また、泣いた…。
「リム、デュカを、眠らせてやろう…」
命を賭して姉を守った誇り高き小さな戦士の亡骸を幸斗は抱き上げ、その傷だらけの身体を星に返してやろうと、彼は言った。
最後までいがみ合ったままだったが、リムを想う気持ちは同じだと分かっているから幸斗はデュカを守れなかったことを悔やんだ…。
「…はい…ごめんね、デュカ……守ってくれて、ありがとう……」
もう冷たくなってしまった弟の額に口付け、リムは何度も何度もありがとうと呟いたのだった…。
「リム、忘れるなよ。お前が生きると決めたその想いを…何があっても、生き伸びろ…」
――――次の日の朝、目覚めるとそこに戯皇と幸斗の姿はもう無かった…ただ、リムを想う気持ちを残して彼等は消えた……。
衝撃に、体は大地に倒される。
一体何が起こったのかはわからない、でも、声がすぐ近くに感じるのが恐怖だった。
自分は全力で逃げた筈なのに、何故こんなすぐ傍までもう距離を詰めている?
デュカが戦っていたはずなのに、どうして自分の背後にもういる?
考えたくないが、恐る恐る振り返れば其処には戯皇達を狙って来た男の姿と…血塗れの変わり果てた弟の姿…。
「デュカ…そんな…」
嘘だ…と言葉が無意識に零れる。
ただ、ピクリとも動かない弟の姿に目を奪われ、呆然としてしまう。
大地が抜け、真っ暗な暗闇に突き落とされた感覚がリムを襲ったのは気のせいではないはず…。
「デュカ?…あぁこれか。馬鹿な餓鬼だな、こんな強けりゃ俺との力の差、見抜けないわけ無いのに死にに来て」
弟の亡骸をまるでゴミの様に放り投げれば、ソレはドサッという鈍い音とともに自分の目の前に転がった…。
色の違う血液だけが、まだ身体から外へと溢れている…。
「デュカ……嘘だろ…ねぇ…デュカ、返事し…」
揺さぶると、大きく見開かれたデュカの目がこちらを向いて、リムは、弟の左の横腹から右の肩にかけて走る抉れた傷跡に言葉を失った…。
何で斬り付けたらこんな傷になるのだろう?
傷から覗くデュカの肉は薄い赤紫というか紫と言うか分からない色をしていてまだ微かに動いている。
切断された筋肉が痙攣を起こしているのだろうが、瞳孔は大きく開き、生きているという雰囲気ではなかった。
彼の左胸には大きな穴…。
核と呼ばれる心臓を奪われた痕だった…。
「さて、邪魔も居なくなったし…」
呆然とするリムの胸倉を掴むと、男はニヤリと笑って見せた。
「…いい女だな。フェンデル・ケイを殺ったら、お前は用無しだと思ってたが、俺のペットにしてやるよ」
男の言葉に身体が震える。
昔の傷を縫い口などものともせず引き裂く言の葉にリムは忘れもしない…忘れられない男の笑い声を脳裏で聞いた気がした…。
そう、すべてを奪っていった、フレアの、声…。
変わると決めた。
強くなると決めた。
でも、身体は恐怖を忘れてくれない。
心の最も深い場所に、根を張り、隙あらばリムの全てを侵食し始める…。
今日も良い月明かり…男の顔はよく見えてしまい、それが更に恐怖を煽って…。
―――無理に忘れなくていい。今の自分も過去の自分も、すべて、抱えて生きてゆけばいい。
(!師匠…)
思い出されるのは、師の言葉。
男に恐怖し、忘れたいのに忘れられない苦痛にもがく自分にかけてくれた優しい言葉…。
(…負けるな…、忘れられないのなら、乗り越えられないのなら、すべて受け止めて、生きてゆけばいい!)
この恐怖を弱いと思わない。
過去を思い出して震える自分を、馬鹿だなんて思わない…。
あんな思いをしたのだから、怖くて当然だから…。
「!!くそっ!」
油断した男の腕に小さな傷がつく。
リムの手には戯皇に護身用にと渡された短剣。
「虫ケラが調子に乗るな!!」
怒り狂うという表現がぴったりな男の形相。
自分より遥かに戦闘レベルの低いリムに傷をつけられたのがよほど屈辱的だったのだろう。
リムを掴んでいた手を振り払い、呪文の詠唱が始まった。
「炎よ…我が力となりて…」
(…この詠唱、ファイアーボルト…!!)
自分でも使える魔法。
でも、大きく違う事が一点。
(なんて、魔力…)
レベルが違いすぎると愕然とした。
魔力の高さが直結して呪文の威力に結びつくのが魔法だと知ったから、この男の唱えるファイアーボルトのレベルに驚いてしまう。
(こんなのくらったら死にはしなくても、逃げられない…)
掴まるわけにはいかない。
戯皇達を狙って来た男だから、今自分が捕まりでもしたら、絶対に師に迷惑がかかってしまう。
身を翻し、急いで逃げる。
遠くへ、遠くへと…。
逃げられないと知っていて…。
「逃げ切れると思うな!ファイアーボルト【火炎系呪文。炎の玉を投げつける】!!」
男の手から放たれた炎の玉は、真っ直ぐにリムに向かってきた。
赤々と燃え盛るソレは、暗闇を明るく照らしながら、標的へと近づく。
(!かわしきれない)
リムの赤い髪と同色の炎はもうリムのすぐ後ろにまで迫っていた。
もうダメだ…とリムは腹をくくり、今持つ自分の魔法力を腕に集め、火の精霊を呼び出す詠唱を紡ぎだす。
同属性を身に纏う事で、少しでも魔法を食らって受けるダメージを減らそうという事らしい。
足を止め、敵の放った炎と対峙し、直撃の瞬間を目を閉じて待った。が…。
「ギリギリセーフ…だな」
「師匠…」
目を開ければ剣を構え、敵に向き合う戯皇の姿。
自分の両斜め後ろには敵が放ったファイアーボルトで焼かれた草木が…。
言いつけを破って外に出ていた自分。
リムは怒られると思ったが師は安心したように笑っただけだった。
戯皇の笑顔に、リムの緊張は解け、瞳からは涙がボロボロ涙を零しだした。
「無事でよかった…」
心底安心した彼の声に、リムは彼と同じように自分を心配してくれた者を思い出す…。
「し、しょー…デュカが…デュカがぁ――…」
声を上げて泣き出したのは、もう動く事の無い弟を想っての事。
自分のせいで、デュカが命を落とした。
自分なんかを護ろうとしたせいで、デュカは殺された…。
「!……間に合わなかったか…」
弟子の悲鳴の様な泣き声に、視界に微かに入る少年の姿が彼女の弟だと認識した。
駆けつける途中、誰かの生命力が消えたのを知った戯皇はもっと早く敵の存在に気付くべきだったと悔やんだ。
ただ「ごめんなさい」と何度も呟きながら泣くリムに、戯皇は「頑張ったな」と優しく声をかけてやる。
敵は必ずとるからもう泣くな、と…。
「随分軽く言ってくれるねぇ。ロキア・ハブパッシュが傍にいないあんたに俺を殺れるかな?」
「五月蝿い!直接俺達に挑んでこなかったのは、勝てないと分かっていたからだろうが?!リムを盾にしようとした小物が大口たたくな!」
戯皇は剣を構え、「殺れるか殺れないか試してやるよ」と凄んだ。
何故かとてつもなく嫌な感じがするのは昔、一瞬だけ感じた殺気のせい…。
戯皇の、発するプレッシャーだった。
「不利な事には変わらないだろう?接近戦に持ち込まれる前に勝負をつけてやるよ。…闇の炎、命を持ち…」
このプレッシャーの中平然としていることから、敵ながらさすがSクラス上位に位置する奴だと感心する。
男が紡ぎ始めるのは詠唱。
それに顔をしかめるのは、戯皇。
(まずい、今そんな大技使われたらリムは一撃死しちまう…くそっ!!)
ファイアーボルト程度の単体標的魔法ならまだしも、広範囲に大ダメージを与える最上級レベルの全体魔法は防御力の低いリムにとって命を奪いかねない危険なものだ。
ましてや、詠唱者は戦闘レベルSクラス。
自分だけなら耐えれるが、リムには耐えられないだろう。
(クソ!幸斗早く来いよ!)
全くもって無理な話だ。
いくら幸斗が本気を出したところで、戯皇の速さに追いつく事はおろか、ついて行く事も出来ないのに…。
それもすべて、戦闘力の違い。瞬発力の違いだった。
分かっているくせに、リムが心配で飛び出したのは自分。
長い付き合いだから、怒りをぶつけても幸斗が男の詠唱が終わるまでにこの場にくる事は無いと知っている。
「しゃーねー…」
まだ泣いているリムを優しく抱きしめると、戯皇は何かを決意したような表情で口を開いた。
「大気に宿りしすべての精よ、息づくすべての力達よ…」
紡がれるのは優しい音。
風の精が、大地の精が二人の周りに集まってきているかのように暖かな空気に包まれる。
「ビッグ・バーニング【火炎系呪文の中で最高の威力を有する】!」
勝ち誇ったような笑みを浮かべて放たれるのは灼熱の業火。
ファイアーボルトとは比べ物にならない威力を誇る火炎系最上級レベルの魔法。
男の魔法力がその威力を更に増大させて、近づいてくる。
「ケイ!やめろ!!ケーイ!!!」
遠くで幸斗の声が聞こえたのは気のせいでは無いだろう。
その悲痛な声に心の中で悪いと詫びると彼は詠唱の最後のくだりを唱え終えた。
「あまいな。マジック・ウォール【すべての呪文を無効化する最強の防壁呪文】」
「ケイ!!」
最後の一言を紡ぐと同時に耳に入る相棒の声。
業火が迫る。
リムは絶命を予感して戯皇にしがみ付く。
炎はもう目の前。
(もうダメだ…)
自分の悪運も尽きたと思った。が…。
目前の光景にただ息を飲んだ…。
業火は自分達の身を焦がすことなく消えてゆく…。
(これが、マジック・ウォール…)
高い魔法力と優れた格闘センスが無いと扱う事の出来ない最高レベルの防壁魔法の威力の性能の高さにリムはただポカンと口を開けて見入ってしまう。
師は本当にトップクラスの戦士だったと改めて実感した。
そして…。
「貴様!許さんぞ!」
「!ロキア・ハブパッシュ!…クソッ!」
怒りに満ち満ちた形相で幸斗は男に剣を振り下ろす。
自分と剣を交えているときとは比べ物にならない剣圧がかかっているのだろう…男の足が地に沈むほど重い一撃だった。
男はガードするも虚しく剣は幸斗の一撃に耐え切れずその身を散らし、左耳に刃が食い込むと、そのまま剣は身体を綺麗に切り裂いたではないか!!
刃は男の核を真っ二つに切り裂き、そのまま右太ももから体液をその身に付着させながら姿を現す。
…あっという間だった。
あっという間に弟の敵は幸斗の剣の錆となった…。
リムはすごいと驚嘆すると同時に、もう弟はこの世にいないのだと絶望してしまう。
自分が、師の言いつけを守って部屋から出なければ、デュカは死ぬ事は無かったのに…。
「師匠…ごめんなさい…ごめんな…」
後悔に涙を流しながら自分を抱きしめてくれる優しい人を見上げた時、初めてリムは異変に気がつき言葉を失った。
「師匠!!」
師の美しい顔が苦痛に歪み、唇から零れる赤い液体は彼の血液。
瞳が見開かれ、呼吸できないのだろうか、苦しそうに喉を押さえ低い呻き声が時折聞こえてきた。
「!ケイ!!」
剣を鞘に戻しながら顔面蒼白と言うに相応しい面持ちで駆け寄るのは彼の相棒。
リムを戯皇の傍から放し、何度も何度も彼の名を呼ぶ…。
昔の名を呼ぶ事から、幸斗が取り乱しているのが非常に良く分かる。
「しっかりしろ!ケイ!!」
戯皇は苦しそうに胸元を押さえ、息をしようと口を開くが呼吸は出来ていない。
大きく幸斗は戯皇の服を掴むと、そのまま胸元を引き裂き、その白い肌を外気に晒した。
「!!なっ…」
リムは言葉を失った。
戯皇の胸元には核を中心にまるで青いバラのような痣が浮かび上がっていたから…。
これは、生まれつき?それとも…。
「幸斗さん、師匠は…」
動揺しているリムを無視し、鮮やかな青いバラの上に幸斗が手を沿え、詠唱を始める。
何時もよりソレは早口で、言葉が紡がれるたびに彼の手から肉眼で確認できるほどおびただしい量の魔力が凝縮され放出された。
「ケイ!ケイ!しっかりしろ!」
「………こ、……と…」
痣がほとんど確認できないほど薄くなった頃、ようやく戯皇の唇が心配そうに何度も自分の名を呼ぶ相棒の名を呼び返し、幸斗はようやく安心したように笑った。
「無茶をするな!」
「わ、り……ちょ…と…こんか、いは…焦った…」
辛そうに身を起こす彼に、幸斗は二度とするなと怒る。
そして、彼の弟子は、ただ呆然と師を見ていた…。
「驚いたか?」
何度か咳払いをして、ようやく元の声が出るようになった戯皇はバツの悪そうな顔をしている。
リムは正直に頷くと、「だよな」と今度は苦笑した。
幸斗も戯皇が無事だと分かり安心したのか何時も通り『戯皇』と相棒の名前を呼んで…。
「…ずっと言ってなかったな…、これが、俺達が"DEATH-SQUAD"を抜けた理由だ。…俺は仲間の裏切りで"呪い"を受けた。この"呪い"は魔法を使うと命を蝕むものだから、"DEATH-SQUAD"から抜けざるを得なかったんだ…」
"DEATH-SQUAD"のように戦いに明け暮れる組織に身を置いていては戯皇は確実に命を落とす。
…どんなに強くても、魔法が使えなければ話にならない世界だから…。
「"呪い"は恐ろしいものだ。何時解けるか分からないものだから…何より、自分にかけられた"呪い"がどんなものなのか理解するのに時間がかかってしまい、知らぬ間に自分から死を招く事もある…」
リムは今までのことを思い出して納得した。
師は、一度も魔法を使った事が無かったのだ。
「…敵にばれたなら、もうここにはいられないな…」
「移動、するんですか?」
「あぁ、俺達だけ、な…」
「え…?」
悲しそうに笑う師に、リムは意味が分からないと言いたげに顔をしかめた。
今、彼はリムを残してここを去るといったではないだろうか?
戸惑いを隠せない彼女に幸斗は続けて、
「お前は残れ、リム。今みたいな事が無いとはいいきれない。…むしろ、今以上に危険な目にあう確率の方が高いだろう…お前を連れては行けない」
と、きっぱり言われてしまう。
嫌だと言わんばかりにリムの顔は辛そうに歪んでゆく。
「そんな…いやです!師匠、私のこと強くするって言ってくれたじゃないですか!!」
聞き分けの無い子供のように嫌々と首を振る彼女に戯皇も幸斗も悲しそうに顔をあわせるしかない。
戯皇は仕方ないと言うかのようにため息をつき、大事な弟子の肩を抱きしめゆっくりと言ったのだった。
「わかってくれ…これ以上お前を危険に晒すわけにはいかない。今回、デュカがお前の身代わりになってくれなければ、本当なら今お前はこの場にいなかったかもしれないだろ…」
自分の言葉にリムの大きく肩が揺れるのが分かった。
弟のことを口に出すべきではないと分かっていたが、リムに自分達と一緒にいることが以下に危険かを理解さすためには仕方の無いことだった。
「戯皇は今Sクラスの連中にすら勝てない。レベルが上がれば上がるほど、戦いに必要になってくるのは魔法だから…。俺一人では二人を守りきれないレベルの奴らもこれからは襲ってくると見ていいだろう…同じ場所にとどまるということはそういうことだ。…ここには長居しすぎた」
「…や、だぁ…デュカもいなくなって…師匠たちまでいなくなるって…やだぁ…」
リムは堪えきれずに涙を零す。一人にしないでとリムは泣く。
「…リム、お前は一人じゃない…」
戯皇の胸に顔をうずめて泣きじゃくるリムの手に幸斗が渡すのは中央に美しい赤い宝石の付いた銀色の十字架…。
「真ん中の石を押せば俺のこのピアスに信号が送られてくる。何かあったらすぐ呼べばいい。どこにいてもすぐに駆けつけるから…」
傍で守れないが、俺達はずっとお前の傍にいるからと幸斗は優しくリムの髪を撫でてやる。
「なるべく敵に俺達の居場所が分かるように移動するけど、もしこっちに襲撃かけてくる奴がいたら、すぐに押せよ」
本当は一緒に連れて行きたい。
できるなら、ここで彼女の成長を見守ってやりたい。
しかし、それは取り返しの付かない結末を招く危険性が非常に高い。
だから連れてゆけない。見守ってやれない…。
大切だから、守りたい…。
「何時…行ってしまうんですか…」
「…明日の朝一にでもここを発つつもりだ…」
師を困らせない為に、涙を止め、幸斗の言葉を受け止める。
後、少ししか一緒にいられない…。
「今日、一緒に寝てもいいですか…?」
「!…相変わらずガキだな」
儚げに笑いながら、いいよと言ってくれる師にもう一度抱きつき、また、泣いた…。
「リム、デュカを、眠らせてやろう…」
命を賭して姉を守った誇り高き小さな戦士の亡骸を幸斗は抱き上げ、その傷だらけの身体を星に返してやろうと、彼は言った。
最後までいがみ合ったままだったが、リムを想う気持ちは同じだと分かっているから幸斗はデュカを守れなかったことを悔やんだ…。
「…はい…ごめんね、デュカ……守ってくれて、ありがとう……」
もう冷たくなってしまった弟の額に口付け、リムは何度も何度もありがとうと呟いたのだった…。
「リム、忘れるなよ。お前が生きると決めたその想いを…何があっても、生き伸びろ…」
――――次の日の朝、目覚めるとそこに戯皇と幸斗の姿はもう無かった…ただ、リムを想う気持ちを残して彼等は消えた……。
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