あの子との忘れられない夜

パソたん

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忘れられない夜

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今日は暑いね。ジップロックに7月の熱を閉じ込めて冬になったら売ろうなんて思っていた。令和の空気も売ってたくらいだし。そんでさ、梅雨はどこに行ったんだ?梅雨の行方は誰も知らない。梅雨の前の春の風だって鼻を掠めて通り過ぎてしまったな。冬の日は春を待っていたのに今日みたいに暑いと冬も恋しいね。今日の日差しも気がついたら秋の夜風になってたり。そう言えばさ、彼ら別れたらしいよ。幸せな時間も過ぎる。でも春の風も夏の日差しも秋の夜風も冬のダイヤモンドも嘘ではないんだ。幸せな時間も嘘じゃないのに嘘みたいになってしまうなんて。夏の夜。アルコールの匂いが消えない午前1時のネオン街。貴女の口付けはカシスオレンジの華やかな香りでした。だいぶ飲んだのでその日の朝は頭が痛かった。嘘みたいな日だったけど嘘じゃないから。頭痛と貴女の香水の残り香が教えてくれたよ。夏の日は嘘みたいに刺激的な日が続く季節。夏だけは特別さ。線香花火みたいに儚く終わるけど。ダメな僕の目を。虚しいけど最後まで君を知りたくなる季節。夏の夜。ジメジメした夜にどうにもならない愛の行方を探して生きた。今夜だけでもお月様。ささやかな光で足元を照らしておくれよ。小さな部屋に残る貴女の髪留めも。やめた煙草を咥えれば貴女の前で吸ってた時を思い出すのと同時に嘘みたいな夜を思い出すよ。また来たよ。夏。貴女はいないけど月はいるよ。真夏の香りに心揺らす。身体は熱い、それとは裏腹に心は冷たい夏の性に貴女の面影を映し出した川の水面。夏のせいにしたって構わないからもう会えない貴女の物語を今年の夏も見たいんだ。
ジップロックに閉じ込めた夏。それはゴミの日に出してしまった。
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