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第203話 ユキエンド
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「これはかなりの規模になったね…」
「なんですか!?この夢のような場所は?」
今日は初めての結婚記念日。喧嘩も無く仲良く一年を過ごした僕達。
そして今いるのは遊園地!忘れかけてた目標だった遊園地だ!
「楽しそうですね!いきましょう!」
喜んでくれて良かった。最近使って無かったのもあるが、スキルポイントは見た事もないような数字になっている。
原因はガル爺の本、あの本がこの世界中に出回りみんなが楽しく読む事で幸せポイントが爆増したのだ。
もう九割以上がガル爺ポイントである。
「あれはなんでしょう?マグカップに乗るんですか?」
あぁ、遊園地にありがちなコーヒーカップか。なんか懐かしい気もするけど乗った事無いんだよね。
「あれは中のテーブルを回すとカップが回るんですよ。とりあえず乗ってみましょう!目についた物全部!」
「そうですね!こうやって二人でデートするのも久しぶりです」
家に帰ればモエさんとナツちゃんがいるし、たまにヴォルフもちゃっかり居たりする。
あの後しばらくして正式にお付き合いしたらしい。時間があればナツちゃんに会いに来るしたまにお泊まりデートもしているが…まあもう大人だからね。
「でもこのコーヒーカップって大人になっても楽しいのかな?」
「この楽しげな音楽だけでも十分ですけどね」
そして愉快な音楽と共に回り出すアトラクション、あれ、結構楽しいんじゃない?
僕は思いっきりテーブルを回してみる。筋力も上がったし軽いったらありゃしない。
「ちょっとショウさん!回しすぎですよー」
そんな事を言うユキさんは笑顔で…子供のようにはしゃいでいた。
ギルドではピシっとしてるけど僕の前ではいつも可愛い女の子だ。
キャッキャウフフと騒ぎ倒し、しばらくするとコーヒーカップはゆっくりと停止した。
「なんかフワフワしますね!お酒も飲んで無いのに」
「ちょっと回しすぎたかも知れませんね、まあこういう遊びなので」
「でも楽しかったです!次に行きましょう!わわっ!」
慣れない遠心力で少しフラついたユキさん、それを僕はしっかりと受け止め…
「ごめんなさい、はしゃぎ過ぎちゃいました…」
何度も肌は重ねたが…僕の妻の可愛さは天井知らずでしてね。もうこういうハプニングでもまだドキドキ出来ちゃうの僕達。
僕は抱きしめる手に少しだけ力を込めた。
「ショウさん…だめですよ。夜まで我慢して下さいね」
「ま、まだ何も言ってないよ!?」
「顔で分かります。嬉しいですけど…ほら!次はあれに乗りましょう!」
まあ別に焦る事は無いんだけどね、でも男の子って隙あらばみたいなところあるじゃん?
僕も男の子なんだよねって話よ。
次に向かったのはこれまた定番のメリーゴーランド。
大人になってから乗るのって少し恥ずかしいけどここ誰も見てないし、きっと楽しめると思う。
「これに跨ると良いんですね、じゃあ私はこの、ユニコーンが良いです!神獣を模した遊具なんて珍しいですからね!」
「二人でも乗れるんですよこれ、どうしますか?」
「じゃあ一緒に乗りましょう!」
遊園地って女の子と来るとこんなに楽しいの!?
ユキさんは僕に後ろから抱きついてキャッキャと楽しんでいる。
世の中のカップルってこんな事してたのか…僕が勉強して仕事して、お金を掻き集めていた時も…。
異世界に来て良かったな…。
僕は背中に温もりを感じながら心からそう思った。
「ショウさん!これ乗ってみると結構スピード感ありますね!」
「上下にも結構動きますね!落ちないようにしっかり掴まってて下さいね!」
「はい!絶対離しません!!」
ユキさんは僕の背中にピッタリと身体を押し付け元気に返事をした…いやいや、今はそういう感じじゃないから、幸せを噛み締めるところだから。
だからこの柔らかい感覚の正体に意識を向けるなよショウ!台無しだぞ!
「ふぅ、あっという間でしたね。ナツもこういうの好きかも知れませんね」
「そうですね、是非ヴォルフにもこの幸せを味わって貰いたいもんです」
「じゃあ次に行きましょう!張り切って参ります!」
アトラクションを制覇するぞと張り切る僕の可愛い妻、そしてその先にあるお化け屋敷…。
「ショウさんって確か怖いのダメでしたよね…」
そんな少し残念そうな顔をするのはやめておくれ…。
でもまあ作り物って分かってれば…。
「ユキさんが行くなら行きますとも!僕はアレなので!冒険者なので!」
「本当ですか!?やった!じゃあ行きましょう!」
まあ遊園地にあるお化け屋敷なんて子供騙しさ、僕は大人だからね。子供は騙せても良識ある僕は騙せるかな?
「ぎゃーす!!」
「ショウさん…まだ入ってもいませんよ…やっぱりやめますか?」
「ぎゃ…ぎゃいじょーぶです…」
「全然大丈夫に見えませんし言えてもいませんけど…」
結局手を繋いで貰い、僕は目を閉じながら進むという事になった。正直そこまでしてという感じだが…。
「ユキさん!大丈夫ですか!」
「大丈夫です!ちょっと雰囲気ありますが…きゃっ!」
「どどどどうしたんですか!敵ですか!?味方ですか!?」
「いえ、結構リアルに作られていてびっくりしました…。でもショウさんの手を握っていると少し安心しますね」
今の僕って安心感ある?毛布の方がまだ安心感あると思うよ。
ユキさんは怖がりながらもスタスタと進んでいく。僕はその後ろをギャースギャースと進むだけ。
「もう少しで出口です!頑張りましょう!」
「本当ですか!?」
すると次の瞬間、轟音と共に何かの呻き声が響き渡った。
「キャッー!!」
何が起こったんだ!?ユキさんがこんなに怖がるって事が目を開けると失神とかしそうだから目を開ける事はできませんな!
とりあえずギャースだな!
「ぎゃーす!!」
色々と限界だったので僕はユキさんに飛びついた。
「ちょっとショウさん!どこ触ってるんですかこの状況で!」
「状況なんて分からないから大丈夫です!どこ触ってるかも頭が追いつかないので結果的に大丈夫です!!」
「ちょっと手を動かさないで下さい!そこはダメです!!ちょっと、もう!!」
そのまま怯えるどころでは無くなったユキさんと急いで表に出た。あぁ、太陽だ。このお化け屋敷だけ消せないのかな。良く無いよここ。
「ここは封印しましょう。似つかわしく無い」
「でも結構楽しかったですよ?作り込みとかも凄くて、まあ最後はそれどころじゃありませんでしたけど…」
「申し訳ない…」
「でもショウさんは怖いの苦手なのに私の為を思って一緒に入ってくれたんですよね。ありがとうございます。そんな優しいところが大好きですよ。次はあれに乗りましょう!ゆっくり出来そうですよね!」
少し頑張って良かったかも。お化けが怖く無くなるスキルとか無いかな…。
ユキさんが次に指差したのは観覧車。少し疲れたから丁度いいかも。
「あれは箱に乗ってゆっくり回るだけですからね。ちょっと休憩には良いかも!」
観覧車かぁ…この遊園地を見渡すのは楽しそうだな。
僕達は観覧車に乗り込み景色を眺め…ると思っていたのだが…僕が座るとその上にユキさんが跨ってきた。
「ちょっとはしたないですけど…ここが私の特等席です」
「え?夜まで我慢って言うのは…」
「ショウさんがお化け屋敷で色んなところ触るのがいけないんです。あと優しいのがいけないですし。格好いいのもいけませんね。あとは…きっと拒まないのもいけません!」
そのまま強引に唇を奪われ…観覧車は何周しただろうか、数えきれないほどなのは確かだった。
「うーん…汚してしまいました…」
こんなに濃厚なオスとメスの匂いがする観覧車他に無いよね。
「まあ多分自動で綺麗になると思いますよ」
「今度来る時は何か拭くものを持ってきましょうか…」
次もあるのか!確かに何か別の興奮もあったね!
「少しお腹空いたし何か食べましょうか、喉も乾いたし」
「そうですね、おトイレも行きたいですね」
女の子には色々あるんだろう、ユキさんがトイレから戻るのを待ってレストランに入り、フランクフルトやチキンなどでお腹を満たした。
「美味しかったですね」
「今度はみんなで来ましょう、みんな喜びますよ」
「観覧車もスリルが増しますね」
「いや、流石にみんながいるところでは…いや…それもまた刺激に…いや、ダメですね。お母さんとかにバレたらと考えると怖すぎます」
モエさんならいいぞ!そこだ!とか盛り上がりそうだけど…。
「ショウさん、楽しいですね」
「はい、作って良かったですよ本当」
「ショウさんはすごいです、ショウさんが来てから色々ありました。勇者は優しくなって魔王と結婚するし、それから魔族と人間の交流も多くなりました。
ナツだって魔族とお付き合いするし…色々変わりましたね」
「僕というか地下室の力というか…」
「いえ、ショウさんの魅力があってこそですよ。前のように魔族が攻めてくる事もないですし、レイさんやヴォルフさんのおかげで魔獣も少なくなって依頼も減ってきました。ショウさん、その…私で本当に良かったんですか?」
僕は大した人間じゃないし、過大評価されている気もするけど…これだけは自信をもって言えるよ。
「僕はユキさんと結婚できて幸せですよ。だからさ、私で良かったのかなんて言わないでください。僕はユキさんが好きなんだから、あと、これは最後に渡そうと思ってたんですけど…」
僕は最後のサプライズとして用意した結婚記念日のプレゼントのネックレスをユキさんの首にかけた。
昔あげたブルーヴェイルのネックレスは高すぎて普段使いが怖いと言っていたので今回はシンプルな雪の結晶の形のネックレスだ。
「安直かも知れないけどさ、ユキさんだから雪のネックレス。気に入って貰えると…」
「これは…ありがとうございます。とっても素敵です…。私は世界一の幸せ者ですね…」
「どうかな?世界一は僕かも?」
「そうなるように私も頑張ります!次はあれに乗りましょう!まだまだ時間は沢山ありますから!」
それから日が暮れるまで遊び倒し、僕達の結婚記念日は幕を閉じた。
こんなに遊んでもヒール風呂に入れば疲れが抜けて色々回復するんだから便利なもんだ。
この日は興奮冷めやらず、ヒール風呂の中で何度も愛し合ったのだった。
…………………。
数ヶ月後…
「ショウさん!ショウさん!あの…子供が出来たみたいです!!」
「え?」
朝一の衝撃。僕の隣で寝ていたユキさんは起き上がると急な報告をしてきた。
「夢?じゃなくて?」
「はい!少しおかしいなとは思っていたんですけど…エルさんが子供が出来てるって!」
「ん?エル?子供出来たって本当?」
(本当でございます。新しい命の誕生を感じるでございます。実は前から気になってはいたのですが…私が報告して良いものか迷っていたので御座います)
「いや、本当?僕パパになるの!?じゃあ名前と…あとベビー用品と…あと何が必要!?」
「しょ、ショウさん!そんなに慌てなくても!でも名前は大事ですよね!!えーと、女の子なら…」
(まだ先なのでゆっくり考えると良いので御座います…。ただ、一応安静にした方が良いかと…)
そうか、ギルドは結構激務だからな、それを心配してエルはこのタイミングで教えてくれたのか。
「と、とりあえずモエさんに報告を!」
「そ、そうですね!お母さーん!!子供が出来たみたいー!!」
「なんだって!?おぉ…ついに孫の顔が見られるのかい…」
「お姉ちゃん赤ちゃんできたの!?私はまだなのに!!」
新しい家族が増えるのか…。これはしばらく不老不死のままかな。
パパになるんだ、冒険者はしばらく続けて格好良いところ見せなきゃ!
「いいなぁー、私もヴォルフの赤ちゃん欲しいよー」
「ナツも頑張りな!数打てば当たるよ!」
すげぇ事言うじゃんモエさん…。
「ショウさん」
ユキさんは戸惑いながらも嬉しそうに僕の名前を呼ぶ。
「はい?」
そしてそれに間抜けな声で答えるA級冒険者。
「楽しみですね!!!」
そう言ったギルド嬢の僕の妻の笑顔は、少し母性を感じるような、温かい陽だまりのような笑顔だった。
ユキルート Fin
「なんですか!?この夢のような場所は?」
今日は初めての結婚記念日。喧嘩も無く仲良く一年を過ごした僕達。
そして今いるのは遊園地!忘れかけてた目標だった遊園地だ!
「楽しそうですね!いきましょう!」
喜んでくれて良かった。最近使って無かったのもあるが、スキルポイントは見た事もないような数字になっている。
原因はガル爺の本、あの本がこの世界中に出回りみんなが楽しく読む事で幸せポイントが爆増したのだ。
もう九割以上がガル爺ポイントである。
「あれはなんでしょう?マグカップに乗るんですか?」
あぁ、遊園地にありがちなコーヒーカップか。なんか懐かしい気もするけど乗った事無いんだよね。
「あれは中のテーブルを回すとカップが回るんですよ。とりあえず乗ってみましょう!目についた物全部!」
「そうですね!こうやって二人でデートするのも久しぶりです」
家に帰ればモエさんとナツちゃんがいるし、たまにヴォルフもちゃっかり居たりする。
あの後しばらくして正式にお付き合いしたらしい。時間があればナツちゃんに会いに来るしたまにお泊まりデートもしているが…まあもう大人だからね。
「でもこのコーヒーカップって大人になっても楽しいのかな?」
「この楽しげな音楽だけでも十分ですけどね」
そして愉快な音楽と共に回り出すアトラクション、あれ、結構楽しいんじゃない?
僕は思いっきりテーブルを回してみる。筋力も上がったし軽いったらありゃしない。
「ちょっとショウさん!回しすぎですよー」
そんな事を言うユキさんは笑顔で…子供のようにはしゃいでいた。
ギルドではピシっとしてるけど僕の前ではいつも可愛い女の子だ。
キャッキャウフフと騒ぎ倒し、しばらくするとコーヒーカップはゆっくりと停止した。
「なんかフワフワしますね!お酒も飲んで無いのに」
「ちょっと回しすぎたかも知れませんね、まあこういう遊びなので」
「でも楽しかったです!次に行きましょう!わわっ!」
慣れない遠心力で少しフラついたユキさん、それを僕はしっかりと受け止め…
「ごめんなさい、はしゃぎ過ぎちゃいました…」
何度も肌は重ねたが…僕の妻の可愛さは天井知らずでしてね。もうこういうハプニングでもまだドキドキ出来ちゃうの僕達。
僕は抱きしめる手に少しだけ力を込めた。
「ショウさん…だめですよ。夜まで我慢して下さいね」
「ま、まだ何も言ってないよ!?」
「顔で分かります。嬉しいですけど…ほら!次はあれに乗りましょう!」
まあ別に焦る事は無いんだけどね、でも男の子って隙あらばみたいなところあるじゃん?
僕も男の子なんだよねって話よ。
次に向かったのはこれまた定番のメリーゴーランド。
大人になってから乗るのって少し恥ずかしいけどここ誰も見てないし、きっと楽しめると思う。
「これに跨ると良いんですね、じゃあ私はこの、ユニコーンが良いです!神獣を模した遊具なんて珍しいですからね!」
「二人でも乗れるんですよこれ、どうしますか?」
「じゃあ一緒に乗りましょう!」
遊園地って女の子と来るとこんなに楽しいの!?
ユキさんは僕に後ろから抱きついてキャッキャと楽しんでいる。
世の中のカップルってこんな事してたのか…僕が勉強して仕事して、お金を掻き集めていた時も…。
異世界に来て良かったな…。
僕は背中に温もりを感じながら心からそう思った。
「ショウさん!これ乗ってみると結構スピード感ありますね!」
「上下にも結構動きますね!落ちないようにしっかり掴まってて下さいね!」
「はい!絶対離しません!!」
ユキさんは僕の背中にピッタリと身体を押し付け元気に返事をした…いやいや、今はそういう感じじゃないから、幸せを噛み締めるところだから。
だからこの柔らかい感覚の正体に意識を向けるなよショウ!台無しだぞ!
「ふぅ、あっという間でしたね。ナツもこういうの好きかも知れませんね」
「そうですね、是非ヴォルフにもこの幸せを味わって貰いたいもんです」
「じゃあ次に行きましょう!張り切って参ります!」
アトラクションを制覇するぞと張り切る僕の可愛い妻、そしてその先にあるお化け屋敷…。
「ショウさんって確か怖いのダメでしたよね…」
そんな少し残念そうな顔をするのはやめておくれ…。
でもまあ作り物って分かってれば…。
「ユキさんが行くなら行きますとも!僕はアレなので!冒険者なので!」
「本当ですか!?やった!じゃあ行きましょう!」
まあ遊園地にあるお化け屋敷なんて子供騙しさ、僕は大人だからね。子供は騙せても良識ある僕は騙せるかな?
「ぎゃーす!!」
「ショウさん…まだ入ってもいませんよ…やっぱりやめますか?」
「ぎゃ…ぎゃいじょーぶです…」
「全然大丈夫に見えませんし言えてもいませんけど…」
結局手を繋いで貰い、僕は目を閉じながら進むという事になった。正直そこまでしてという感じだが…。
「ユキさん!大丈夫ですか!」
「大丈夫です!ちょっと雰囲気ありますが…きゃっ!」
「どどどどうしたんですか!敵ですか!?味方ですか!?」
「いえ、結構リアルに作られていてびっくりしました…。でもショウさんの手を握っていると少し安心しますね」
今の僕って安心感ある?毛布の方がまだ安心感あると思うよ。
ユキさんは怖がりながらもスタスタと進んでいく。僕はその後ろをギャースギャースと進むだけ。
「もう少しで出口です!頑張りましょう!」
「本当ですか!?」
すると次の瞬間、轟音と共に何かの呻き声が響き渡った。
「キャッー!!」
何が起こったんだ!?ユキさんがこんなに怖がるって事が目を開けると失神とかしそうだから目を開ける事はできませんな!
とりあえずギャースだな!
「ぎゃーす!!」
色々と限界だったので僕はユキさんに飛びついた。
「ちょっとショウさん!どこ触ってるんですかこの状況で!」
「状況なんて分からないから大丈夫です!どこ触ってるかも頭が追いつかないので結果的に大丈夫です!!」
「ちょっと手を動かさないで下さい!そこはダメです!!ちょっと、もう!!」
そのまま怯えるどころでは無くなったユキさんと急いで表に出た。あぁ、太陽だ。このお化け屋敷だけ消せないのかな。良く無いよここ。
「ここは封印しましょう。似つかわしく無い」
「でも結構楽しかったですよ?作り込みとかも凄くて、まあ最後はそれどころじゃありませんでしたけど…」
「申し訳ない…」
「でもショウさんは怖いの苦手なのに私の為を思って一緒に入ってくれたんですよね。ありがとうございます。そんな優しいところが大好きですよ。次はあれに乗りましょう!ゆっくり出来そうですよね!」
少し頑張って良かったかも。お化けが怖く無くなるスキルとか無いかな…。
ユキさんが次に指差したのは観覧車。少し疲れたから丁度いいかも。
「あれは箱に乗ってゆっくり回るだけですからね。ちょっと休憩には良いかも!」
観覧車かぁ…この遊園地を見渡すのは楽しそうだな。
僕達は観覧車に乗り込み景色を眺め…ると思っていたのだが…僕が座るとその上にユキさんが跨ってきた。
「ちょっとはしたないですけど…ここが私の特等席です」
「え?夜まで我慢って言うのは…」
「ショウさんがお化け屋敷で色んなところ触るのがいけないんです。あと優しいのがいけないですし。格好いいのもいけませんね。あとは…きっと拒まないのもいけません!」
そのまま強引に唇を奪われ…観覧車は何周しただろうか、数えきれないほどなのは確かだった。
「うーん…汚してしまいました…」
こんなに濃厚なオスとメスの匂いがする観覧車他に無いよね。
「まあ多分自動で綺麗になると思いますよ」
「今度来る時は何か拭くものを持ってきましょうか…」
次もあるのか!確かに何か別の興奮もあったね!
「少しお腹空いたし何か食べましょうか、喉も乾いたし」
「そうですね、おトイレも行きたいですね」
女の子には色々あるんだろう、ユキさんがトイレから戻るのを待ってレストランに入り、フランクフルトやチキンなどでお腹を満たした。
「美味しかったですね」
「今度はみんなで来ましょう、みんな喜びますよ」
「観覧車もスリルが増しますね」
「いや、流石にみんながいるところでは…いや…それもまた刺激に…いや、ダメですね。お母さんとかにバレたらと考えると怖すぎます」
モエさんならいいぞ!そこだ!とか盛り上がりそうだけど…。
「ショウさん、楽しいですね」
「はい、作って良かったですよ本当」
「ショウさんはすごいです、ショウさんが来てから色々ありました。勇者は優しくなって魔王と結婚するし、それから魔族と人間の交流も多くなりました。
ナツだって魔族とお付き合いするし…色々変わりましたね」
「僕というか地下室の力というか…」
「いえ、ショウさんの魅力があってこそですよ。前のように魔族が攻めてくる事もないですし、レイさんやヴォルフさんのおかげで魔獣も少なくなって依頼も減ってきました。ショウさん、その…私で本当に良かったんですか?」
僕は大した人間じゃないし、過大評価されている気もするけど…これだけは自信をもって言えるよ。
「僕はユキさんと結婚できて幸せですよ。だからさ、私で良かったのかなんて言わないでください。僕はユキさんが好きなんだから、あと、これは最後に渡そうと思ってたんですけど…」
僕は最後のサプライズとして用意した結婚記念日のプレゼントのネックレスをユキさんの首にかけた。
昔あげたブルーヴェイルのネックレスは高すぎて普段使いが怖いと言っていたので今回はシンプルな雪の結晶の形のネックレスだ。
「安直かも知れないけどさ、ユキさんだから雪のネックレス。気に入って貰えると…」
「これは…ありがとうございます。とっても素敵です…。私は世界一の幸せ者ですね…」
「どうかな?世界一は僕かも?」
「そうなるように私も頑張ります!次はあれに乗りましょう!まだまだ時間は沢山ありますから!」
それから日が暮れるまで遊び倒し、僕達の結婚記念日は幕を閉じた。
こんなに遊んでもヒール風呂に入れば疲れが抜けて色々回復するんだから便利なもんだ。
この日は興奮冷めやらず、ヒール風呂の中で何度も愛し合ったのだった。
…………………。
数ヶ月後…
「ショウさん!ショウさん!あの…子供が出来たみたいです!!」
「え?」
朝一の衝撃。僕の隣で寝ていたユキさんは起き上がると急な報告をしてきた。
「夢?じゃなくて?」
「はい!少しおかしいなとは思っていたんですけど…エルさんが子供が出来てるって!」
「ん?エル?子供出来たって本当?」
(本当でございます。新しい命の誕生を感じるでございます。実は前から気になってはいたのですが…私が報告して良いものか迷っていたので御座います)
「いや、本当?僕パパになるの!?じゃあ名前と…あとベビー用品と…あと何が必要!?」
「しょ、ショウさん!そんなに慌てなくても!でも名前は大事ですよね!!えーと、女の子なら…」
(まだ先なのでゆっくり考えると良いので御座います…。ただ、一応安静にした方が良いかと…)
そうか、ギルドは結構激務だからな、それを心配してエルはこのタイミングで教えてくれたのか。
「と、とりあえずモエさんに報告を!」
「そ、そうですね!お母さーん!!子供が出来たみたいー!!」
「なんだって!?おぉ…ついに孫の顔が見られるのかい…」
「お姉ちゃん赤ちゃんできたの!?私はまだなのに!!」
新しい家族が増えるのか…。これはしばらく不老不死のままかな。
パパになるんだ、冒険者はしばらく続けて格好良いところ見せなきゃ!
「いいなぁー、私もヴォルフの赤ちゃん欲しいよー」
「ナツも頑張りな!数打てば当たるよ!」
すげぇ事言うじゃんモエさん…。
「ショウさん」
ユキさんは戸惑いながらも嬉しそうに僕の名前を呼ぶ。
「はい?」
そしてそれに間抜けな声で答えるA級冒険者。
「楽しみですね!!!」
そう言ったギルド嬢の僕の妻の笑顔は、少し母性を感じるような、温かい陽だまりのような笑顔だった。
ユキルート Fin
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