213 / 228
第202話 ナツの恋物語
しおりを挟む
「今日は私も町で買い物したい!」
「まあ今日は雨だしねぇ…ユキが良いと言うなら行っておいで」
最近雨の日になるとナツちゃんはユキさんの車に乗って町に出かける事が多くなった。
僕が畑に慣れた事もあり少し余裕ができたって事かな?
「僕は村の人にお願いされた仕事を少しやってから行くよ」
もう結婚して一年、この村にも馴染んだもんだ。
今日は村の爺さんの家のテーブルを直す約束がある。
「そうね、私は帰りが遅いかも知れないから帰りはショウさんにお願いするかも知れません」
「やったぁ!じゃあ早く行こ!」
本当に仲が良い家族だよな。まあ僕もその一員になってるわけだけど。
「じゃあ爺さんの所行ってきますね」
「ショウさんも気を付けてね」
モエさんに見送られて家を出る。爺さんの家でテーブルを直し、世間話をしていたせいでギルドに着いたのは昼過ぎだった。
ギルドに入ると何やらナツちゃんの様子が…。
「どうしたの?買い物じゃなくてギルドにいるなんて珍しいじゃん」
「あ、お兄ちゃん。あの…買い物してたんだけどすごい格好いい人がギルドに入っていくのが見えてね…ほら、あそこの人」
ナツちゃんが指差した先にいるのは…ヴォルフじゃん。久しぶり。
「ヴォルフ?確かに格好良いけどナツちゃんああいう感じがタイプなの?」
「ヴォルフさんって言うんだ…」
おや…これは完全に恋する乙女の目だ。僕には分かる。そろそろ分かっても良いはず。
「呼んで来ようか?良いヤツだよヴォルフ、絶対彼女いないし」
「え?でも…恥ずかしいなぁ、お喋りできるかな…でもこんな機会そうそう無いし…お願いします!!」
可愛い妹にお願いされたら聞く以外の選択肢はない。
僕はヴォルフに声をかけてナツちゃんの元に連れてきた。
「ショウ?この子は…受付のユキさんと雰囲気がそっくりだが…」
「妹ナツちゃんだよ、A級冒険者の話聞きたいんだってさ」
「え、A級なんですか…?その…初めまして」
うわ!顔真っ赤!しかもいつもの勢いもない!乙女だ!生粋の!
「ユキさんの妹って事はショウさんの義理の妹か、俺はヴォルフ。冒険の話か…そういえばあまり人に話した事はないな…」
「あ、あの…じゃあ好きなものとかでも…」
「好きな物か?そうだなぁ、正直ショウの釣り堀で釣った魚で酒を飲むのが好きだな。あれはたまらん」
「へ、へぇ…釣りですか。私もちょっとやらせて貰った事あるんですけど…魚に引きずりこまれそうになって…」
あそこ魚に混じってモンスターみたいなのかかるからね、結構な危険地帯。
「女の子には難しいかもな…しかし話をしていたら…」
さて、ここは僕の出番かな。
「じゃあ地下室開けておくから二人で釣ってきなよ、お酒も飲んで良いからさ」
「本当か?でも若い女の子が俺なんかといても退屈だろう。なんならローガンを誘って…」
「退屈じゃないです!是非!ヴォルフさんに釣りを教えて貰いたいです!是非にでも!」
「そうか?じゃあお言葉に甘えてお邪魔するか、くぅー!楽しみだな!久しぶりの刺身は」
僕グッジョブ!僕は地下室を出して二人を見送る。ヴォルフは変な事しないだろ、安心して任せられる。
「あの、ショウさん。今のはどういう…」
様子を伺っていたのかユキさんが心配そうに近付いてきた。
「恋ですね。」
「あぁ…確かにあの子はああいうタイプが好きですね…少しミステリアスな感じの男性が」
あれ?それ僕と対極にいる感じの人じゃない?なんかユキさんと結婚する前までは…まあ良いか。
「ヴォルフなら安心でしょう。それはそうと今日は依頼何かありますか?」
「そうですねぇ、じゃあヴォルフさんの分まで頑張って貰いましょうか」
「良いですよ、僕がちゃちゃっと達成を…」
いや待てよ…。今地下室ではナツちゃんとヴォルフがランデブー中だ。邪魔はしたくないけど、地下室が無いと魔獣退治なんてできっこ無いよ。
「あの…地下室が無い僕でも出来る依頼を…」
「確かに…そ、そう言えばもう依頼は無いんでした!全く!ゼロです!珍しい事もあるもんですね!」
地下室が無い僕ってただの硬い男だからな。
仕方ない、依頼も無いみたいだし!
それから夜までユキさんの仕事を少し手伝いながら二人が出てくるのを待ったのだった。
………………。
「出てきませんね…」
「はい…」
もう夜中になってしまったが一向に二人は出てこない…様子見に行くかぁ…。
「流石に遅いので見に行きましょう。モエさんには遅くなる連絡はしましたけど」
「そうですね、ナツ…迷惑かけてないかしら…」
僕達は地下室に降りて釣り堀を目指す。
中は静かで二人は…何してるんだ?
「おーいヴォルフーそろそろ夜遅いから…」
「ショウか、すまない遅くまで、ナツがこの有り様でな」
わぁ、幸せそう。
ヴォルフの膝枕でスヤスヤと眠るナツちゃん。結構飲んだのかな。
「すみません妹が…」
「良いんだ、ナツとの釣りは楽しかったからな。良い息抜きになった。相変わらず酒も魚も美味いしな」
「あのさ、どんな感じだったの?」
「どんな感じか?あぁ、二人で釣りをしてな、色々話したぞ。ナツの村の事、俺の冒険の事、ショウ達二人の事もな。良さそうな村じゃないか、今度村に招待されたから行った時は宜しくな」
「わ、私達のこと?何か変な事言ってませんでした!?」
「変な事?いや、仲良くしてるそうじゃないか。ユキとショウが一緒でとても楽しいと笑っていたぞ、幸せそうで何よりだ」
村にまで誘ったのか。結構グイグイ行くんだなナツちゃん。しかもヴォルフも満更じゃ無い感じじゃん。
「そうですか、それはそうと…ナツ!起きなさい!もう夜ですよ!ヴォルフさんにも迷惑でしょ!」
「い、いや…別に俺は」
おっと、ちょっと名残惜しい感じっすか?
「うーん…あれ?お姉ちゃん?」
「おはようナツ、すまないな、調子に乗って飲みすぎてしまった。ナツも合わせて飲んでくれたんだろう?」
「へっ?ヴォルフさん!?あ!ごめんなさい私ったら!」
状況を理解したのか慌てて起き上がるナツちゃん、大丈夫?まだお酒残ってない?
「ナツ、そろそろ帰りますよ」
「じゃあ俺も帰るか、今日はありがとう、楽しかった」
「わ、私も楽しかったです!!ありがとうございました!」
「じゃあ今度村に遊びに行くからその時は宜しくな、多分近いうちに行けると思う」
「村?あ!はい!お待ちしてます!」
そして全員でヴォルフを見送った僕達。これはかなり良い感じなのでは?
「お兄ちゃん!!」
「ん?どうしたの!?」
「可愛い洋服が欲しいから衣装室借りて良い!?お姉ちゃんも手伝って!!」
「良いですけどまず帰りますよ、お母さんが心配しますからね」
「約束だからね!絶対だからね!!」
そういえばもしもヴォルフとナツちゃんが結婚したらヴォルフも家族?うわぁ、すげぇや。
家に帰ったのは深夜だったがモエさんは起きてシチューの準備をしていてくれた。
暖かい家庭だ。僕は幸せ者だよ。
「お姉ちゃん!もしも明日ヴォルフさん来たらどうしよう!今のうちに服選んで、えーと…あと髪とかも…」
「ヴォルフさんは忙しいからそんな早く来ないわよ…」
「おや?ついにナツも良い人が見つかったのかい?」
こうして会話が弾み幸せな夜は更けていく…。
…………………。
そして一週間が経ち…。
「ヴォルフさん…来ないのかな…」
「まあ忙しい人ですからねぇ」
まだ一週間だけど…ヴォルフって魔族だから時間の感覚が僕達と違うのかな?
まさか十年後に来たりしないよね。
いや…ありえない話では…。ちょっと聞いてみよう。
僕は地下室に降りてゼルのトランシーバーで連絡を取ろうとすると、タイミング良くゼルからの連絡があった。
「ショウかい?久しぶりだね、元気かい?」
「久しぶり、僕も丁度連絡しようと思ってたんだよ」
「それは丁度良かった。どうしたんだい?」
「魔族って人間と時間の感覚違うの?ちょっとヴォルフの事で気になる事があってさ」
「僕の連絡もヴォルフ絡みさ、なんでも女の子に会いに行くのに手土産を選んでるらしくてね、どんなのが良いか聞いて欲しいって言われたのさ」
えぇ…そんな気を使わなくて良いのに…。
「それなら甘い物だったらなんでも良いよって言っておいてよ。ナツが待ってるって伝えておいて。ヴォルフは今どこにいるの?」
「今日は朝から魔王領の店を回ってるよ、なんでも一週間ずっと探してるみたいだよ。戻ってきたら伝えておくよ」
器用に見えて結構不器用だなヴォルフ…。
僕は電話を切ってナツちゃんにその事を伝えた。
「え?ヴォルフさんがお土産探してくれてるの!?」
「そうみたい、だからナツちゃんが待ってるよって伝えておいて貰ったよ」
「伝えておいて貰う?誰に?」
「え?魔王」
「お兄ちゃん…魔王に伝書鳩みたいな事させて…」
人聞きの悪い言い方をしないで頂きたい!
「でも良かったわねナツ、来てくれるって」
「うん!洋服何にしようかな!お母さん!ヴォルフさんに出すお茶は大丈夫!?」
「おやおや、随分とご熱心な事だね」
……………。
そして次の日、ヴォルフが村に訪れたのだった。
大量のお菓子をバイクに積んで…。
「すまない…人間に招かれるなんてショウ以外初めてだったもので…」
「あ、あの!ヴォルフさん!いらっしゃいませ!」
この日の為に用意した真っ白なワンピース、髪の毛もサラサラにしたナツちゃん、すごい悩んでたね。でも頑張った甲斐があってすごい似合ってるよ。
「おお…ナツはイメージが変わったな、その…あれだ、可愛いと思うぞ」
ナイス!ナイスヴォルフ!ナイヴォル!!
「は、はい!あの…ここではなんですので家の方に案内したく存じて…」
やっぱりユキさんの妹だわこの感じ。
「そ、そうだな。それではお邪魔しよう」
ヴォルフ…その量のお菓子は流石のナツちゃんでも食べきれないよ…。
二人と一緒に家まで行くとモエさんとユキさんがお茶の準備をしていた。
部屋の中は良い香りが立ち込めている。
「話には聞いていたけど本当に魔族なんだねぇ、初めて見たよ。何もないところだけどゆっくりしてって下さいね」
「その…良いのか?魔族でも…その、怖かったりは」
「怖い事なんか無いよ、ショウさんの友達でナツの連れてきた男なんだから」
モエさんは本当に良いお母さんだね。ユキさんもこんなお母さんになるのかな。
しばらく談笑した後にモエさんが大樹にお祈りしてきたらどうかと提案し、ナツちゃんとヴォルフは二人で大樹(エルの家)へお祈りをしに行った。
「あれは満更でも無いね、私がいるからナツはこの村に残ってるけど…良い出会いがあって良かったよ」
「ナツは優しいですからね。ヴォルフさんと上手くいけば良いんですけど」
「きっと上手くいくよ、結構お似合いじゃない?あの二人」
ゼルとホノカが上手くいってるくらいだし、魔族と人間だって何も問題ないよね。
帰ってくる頃には緊張も解けたらしく、その後も五人で楽しくお茶を楽しんだのであった。
「まあ今日は雨だしねぇ…ユキが良いと言うなら行っておいで」
最近雨の日になるとナツちゃんはユキさんの車に乗って町に出かける事が多くなった。
僕が畑に慣れた事もあり少し余裕ができたって事かな?
「僕は村の人にお願いされた仕事を少しやってから行くよ」
もう結婚して一年、この村にも馴染んだもんだ。
今日は村の爺さんの家のテーブルを直す約束がある。
「そうね、私は帰りが遅いかも知れないから帰りはショウさんにお願いするかも知れません」
「やったぁ!じゃあ早く行こ!」
本当に仲が良い家族だよな。まあ僕もその一員になってるわけだけど。
「じゃあ爺さんの所行ってきますね」
「ショウさんも気を付けてね」
モエさんに見送られて家を出る。爺さんの家でテーブルを直し、世間話をしていたせいでギルドに着いたのは昼過ぎだった。
ギルドに入ると何やらナツちゃんの様子が…。
「どうしたの?買い物じゃなくてギルドにいるなんて珍しいじゃん」
「あ、お兄ちゃん。あの…買い物してたんだけどすごい格好いい人がギルドに入っていくのが見えてね…ほら、あそこの人」
ナツちゃんが指差した先にいるのは…ヴォルフじゃん。久しぶり。
「ヴォルフ?確かに格好良いけどナツちゃんああいう感じがタイプなの?」
「ヴォルフさんって言うんだ…」
おや…これは完全に恋する乙女の目だ。僕には分かる。そろそろ分かっても良いはず。
「呼んで来ようか?良いヤツだよヴォルフ、絶対彼女いないし」
「え?でも…恥ずかしいなぁ、お喋りできるかな…でもこんな機会そうそう無いし…お願いします!!」
可愛い妹にお願いされたら聞く以外の選択肢はない。
僕はヴォルフに声をかけてナツちゃんの元に連れてきた。
「ショウ?この子は…受付のユキさんと雰囲気がそっくりだが…」
「妹ナツちゃんだよ、A級冒険者の話聞きたいんだってさ」
「え、A級なんですか…?その…初めまして」
うわ!顔真っ赤!しかもいつもの勢いもない!乙女だ!生粋の!
「ユキさんの妹って事はショウさんの義理の妹か、俺はヴォルフ。冒険の話か…そういえばあまり人に話した事はないな…」
「あ、あの…じゃあ好きなものとかでも…」
「好きな物か?そうだなぁ、正直ショウの釣り堀で釣った魚で酒を飲むのが好きだな。あれはたまらん」
「へ、へぇ…釣りですか。私もちょっとやらせて貰った事あるんですけど…魚に引きずりこまれそうになって…」
あそこ魚に混じってモンスターみたいなのかかるからね、結構な危険地帯。
「女の子には難しいかもな…しかし話をしていたら…」
さて、ここは僕の出番かな。
「じゃあ地下室開けておくから二人で釣ってきなよ、お酒も飲んで良いからさ」
「本当か?でも若い女の子が俺なんかといても退屈だろう。なんならローガンを誘って…」
「退屈じゃないです!是非!ヴォルフさんに釣りを教えて貰いたいです!是非にでも!」
「そうか?じゃあお言葉に甘えてお邪魔するか、くぅー!楽しみだな!久しぶりの刺身は」
僕グッジョブ!僕は地下室を出して二人を見送る。ヴォルフは変な事しないだろ、安心して任せられる。
「あの、ショウさん。今のはどういう…」
様子を伺っていたのかユキさんが心配そうに近付いてきた。
「恋ですね。」
「あぁ…確かにあの子はああいうタイプが好きですね…少しミステリアスな感じの男性が」
あれ?それ僕と対極にいる感じの人じゃない?なんかユキさんと結婚する前までは…まあ良いか。
「ヴォルフなら安心でしょう。それはそうと今日は依頼何かありますか?」
「そうですねぇ、じゃあヴォルフさんの分まで頑張って貰いましょうか」
「良いですよ、僕がちゃちゃっと達成を…」
いや待てよ…。今地下室ではナツちゃんとヴォルフがランデブー中だ。邪魔はしたくないけど、地下室が無いと魔獣退治なんてできっこ無いよ。
「あの…地下室が無い僕でも出来る依頼を…」
「確かに…そ、そう言えばもう依頼は無いんでした!全く!ゼロです!珍しい事もあるもんですね!」
地下室が無い僕ってただの硬い男だからな。
仕方ない、依頼も無いみたいだし!
それから夜までユキさんの仕事を少し手伝いながら二人が出てくるのを待ったのだった。
………………。
「出てきませんね…」
「はい…」
もう夜中になってしまったが一向に二人は出てこない…様子見に行くかぁ…。
「流石に遅いので見に行きましょう。モエさんには遅くなる連絡はしましたけど」
「そうですね、ナツ…迷惑かけてないかしら…」
僕達は地下室に降りて釣り堀を目指す。
中は静かで二人は…何してるんだ?
「おーいヴォルフーそろそろ夜遅いから…」
「ショウか、すまない遅くまで、ナツがこの有り様でな」
わぁ、幸せそう。
ヴォルフの膝枕でスヤスヤと眠るナツちゃん。結構飲んだのかな。
「すみません妹が…」
「良いんだ、ナツとの釣りは楽しかったからな。良い息抜きになった。相変わらず酒も魚も美味いしな」
「あのさ、どんな感じだったの?」
「どんな感じか?あぁ、二人で釣りをしてな、色々話したぞ。ナツの村の事、俺の冒険の事、ショウ達二人の事もな。良さそうな村じゃないか、今度村に招待されたから行った時は宜しくな」
「わ、私達のこと?何か変な事言ってませんでした!?」
「変な事?いや、仲良くしてるそうじゃないか。ユキとショウが一緒でとても楽しいと笑っていたぞ、幸せそうで何よりだ」
村にまで誘ったのか。結構グイグイ行くんだなナツちゃん。しかもヴォルフも満更じゃ無い感じじゃん。
「そうですか、それはそうと…ナツ!起きなさい!もう夜ですよ!ヴォルフさんにも迷惑でしょ!」
「い、いや…別に俺は」
おっと、ちょっと名残惜しい感じっすか?
「うーん…あれ?お姉ちゃん?」
「おはようナツ、すまないな、調子に乗って飲みすぎてしまった。ナツも合わせて飲んでくれたんだろう?」
「へっ?ヴォルフさん!?あ!ごめんなさい私ったら!」
状況を理解したのか慌てて起き上がるナツちゃん、大丈夫?まだお酒残ってない?
「ナツ、そろそろ帰りますよ」
「じゃあ俺も帰るか、今日はありがとう、楽しかった」
「わ、私も楽しかったです!!ありがとうございました!」
「じゃあ今度村に遊びに行くからその時は宜しくな、多分近いうちに行けると思う」
「村?あ!はい!お待ちしてます!」
そして全員でヴォルフを見送った僕達。これはかなり良い感じなのでは?
「お兄ちゃん!!」
「ん?どうしたの!?」
「可愛い洋服が欲しいから衣装室借りて良い!?お姉ちゃんも手伝って!!」
「良いですけどまず帰りますよ、お母さんが心配しますからね」
「約束だからね!絶対だからね!!」
そういえばもしもヴォルフとナツちゃんが結婚したらヴォルフも家族?うわぁ、すげぇや。
家に帰ったのは深夜だったがモエさんは起きてシチューの準備をしていてくれた。
暖かい家庭だ。僕は幸せ者だよ。
「お姉ちゃん!もしも明日ヴォルフさん来たらどうしよう!今のうちに服選んで、えーと…あと髪とかも…」
「ヴォルフさんは忙しいからそんな早く来ないわよ…」
「おや?ついにナツも良い人が見つかったのかい?」
こうして会話が弾み幸せな夜は更けていく…。
…………………。
そして一週間が経ち…。
「ヴォルフさん…来ないのかな…」
「まあ忙しい人ですからねぇ」
まだ一週間だけど…ヴォルフって魔族だから時間の感覚が僕達と違うのかな?
まさか十年後に来たりしないよね。
いや…ありえない話では…。ちょっと聞いてみよう。
僕は地下室に降りてゼルのトランシーバーで連絡を取ろうとすると、タイミング良くゼルからの連絡があった。
「ショウかい?久しぶりだね、元気かい?」
「久しぶり、僕も丁度連絡しようと思ってたんだよ」
「それは丁度良かった。どうしたんだい?」
「魔族って人間と時間の感覚違うの?ちょっとヴォルフの事で気になる事があってさ」
「僕の連絡もヴォルフ絡みさ、なんでも女の子に会いに行くのに手土産を選んでるらしくてね、どんなのが良いか聞いて欲しいって言われたのさ」
えぇ…そんな気を使わなくて良いのに…。
「それなら甘い物だったらなんでも良いよって言っておいてよ。ナツが待ってるって伝えておいて。ヴォルフは今どこにいるの?」
「今日は朝から魔王領の店を回ってるよ、なんでも一週間ずっと探してるみたいだよ。戻ってきたら伝えておくよ」
器用に見えて結構不器用だなヴォルフ…。
僕は電話を切ってナツちゃんにその事を伝えた。
「え?ヴォルフさんがお土産探してくれてるの!?」
「そうみたい、だからナツちゃんが待ってるよって伝えておいて貰ったよ」
「伝えておいて貰う?誰に?」
「え?魔王」
「お兄ちゃん…魔王に伝書鳩みたいな事させて…」
人聞きの悪い言い方をしないで頂きたい!
「でも良かったわねナツ、来てくれるって」
「うん!洋服何にしようかな!お母さん!ヴォルフさんに出すお茶は大丈夫!?」
「おやおや、随分とご熱心な事だね」
……………。
そして次の日、ヴォルフが村に訪れたのだった。
大量のお菓子をバイクに積んで…。
「すまない…人間に招かれるなんてショウ以外初めてだったもので…」
「あ、あの!ヴォルフさん!いらっしゃいませ!」
この日の為に用意した真っ白なワンピース、髪の毛もサラサラにしたナツちゃん、すごい悩んでたね。でも頑張った甲斐があってすごい似合ってるよ。
「おお…ナツはイメージが変わったな、その…あれだ、可愛いと思うぞ」
ナイス!ナイスヴォルフ!ナイヴォル!!
「は、はい!あの…ここではなんですので家の方に案内したく存じて…」
やっぱりユキさんの妹だわこの感じ。
「そ、そうだな。それではお邪魔しよう」
ヴォルフ…その量のお菓子は流石のナツちゃんでも食べきれないよ…。
二人と一緒に家まで行くとモエさんとユキさんがお茶の準備をしていた。
部屋の中は良い香りが立ち込めている。
「話には聞いていたけど本当に魔族なんだねぇ、初めて見たよ。何もないところだけどゆっくりしてって下さいね」
「その…良いのか?魔族でも…その、怖かったりは」
「怖い事なんか無いよ、ショウさんの友達でナツの連れてきた男なんだから」
モエさんは本当に良いお母さんだね。ユキさんもこんなお母さんになるのかな。
しばらく談笑した後にモエさんが大樹にお祈りしてきたらどうかと提案し、ナツちゃんとヴォルフは二人で大樹(エルの家)へお祈りをしに行った。
「あれは満更でも無いね、私がいるからナツはこの村に残ってるけど…良い出会いがあって良かったよ」
「ナツは優しいですからね。ヴォルフさんと上手くいけば良いんですけど」
「きっと上手くいくよ、結構お似合いじゃない?あの二人」
ゼルとホノカが上手くいってるくらいだし、魔族と人間だって何も問題ないよね。
帰ってくる頃には緊張も解けたらしく、その後も五人で楽しくお茶を楽しんだのであった。
11
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる