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第五話 エヴィル
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三月は本当に自宅謹慎の身になったようだった。
いつものように陽がカフェに顔を出しても、三月はおらず代わりに理人が駆けてきて、
「陽さん! 何か食べて行きますか? 三月先輩はいないですけど……」
と、にこにこするだけである。
親友が外出できないからか、大学で見かけた瑛次も退屈そうな表情をしていた。陽は後を追いかける。時間があったので、キャンパス敷地内の青い芝が切り揃えてある中庭のベンチで、ランチをすることにした。瑛次はサンドウィッチと紙パックのコーヒー牛乳を持っていた。
陽は背筋を伸ばしたまま、向かいに座る男性を盗み見た。
あの日から、初めて対面した。この人たちが実は人間ではなく「なんとかかんとか」なんて、いまだに信じきることができず、よくわからなかった。
あの夜、あれから陽は三月の車で自宅のアパートまで送ってもらったが、三月たちの正体の件については何も話さなかった。助手席から見る彼の横顔は、彼が人間であろうとそれ以外の何かであろうと、なにも変わりないように思えた。普段だったら、どうでもいいくだらない話で爆笑したり、スイッチが入っていちゃついたりしている車内だが、あの夜はただただ静かな空間だった。
三月は何を考えていたのだろうか。
「……血以外のものも食べたり飲んだりするんですね」
コーヒー牛乳を美味しそうに啜ってサンドウィッチのパン部分をもりもり頬張る瑛次を眺めながら、おにぎりを片手に陽がぼそりと言うと、瑛次は鼻から笑った。
「俺たちの体内に吸収された血は、たちまちものすごい量の脂質やたんぱく質に変貌する! とかだったら、むしろ便利でいいけどね。血を定期的に摂取しないと生きられないだけだよ、残念ながら。肉も野菜も普通に食べる」
「考えてみれば当たり前ですね。エネルギー源が必要な肉体があるんだから」
「うん」
瑛次はいっそ愉快そうだった。
「俺たちにまつわる言い伝えって、大抵が間違ってるからね」
「そうなんですか? 例えば、ニンニクが苦手だとか?」
「ニンニクね。それは、吸血鬼それぞれの味の好き嫌いの話だからなんとも言えない。人間だって同じだろ? ピーマンが苦手な人もいれば大好きな人もいる」
「それはそうですけど……、そういう話なんですか」
「昔はニンニクの魔除け効果のせいで吸血鬼がそれを嫌うとか、恐れるって言われてたみたいだけど。俺たちは別に魔除けの類いが効く存在ではないからね。
でもまあ、十字架に関して言えば、三月は苦手そうにしてるな。なんでなのかは本人もよくわかってないみたいだけど、見てると落ち着かないらしい。俺とかヒスンは別に目の前に十字架を突きつけられようとどうとも思わないから、これも個人差があるのかな」
そういえば、陽は以前、十字架を象ったクロムハーツのピアスを三月に噛み壊されたことがあった。
瑛次は話し続けた。
「あとはそうだなあ、例えば、永遠に生きるっていう話。吸血鬼になった時点から、細胞やら遺伝子やら脳やらの関係で、確かに歳は取らなくなる。自然治癒力が人間より格段に高いから、大体の傷はすぐ治るけど、だからって絶対に死なないってわけではなくて、当然、俺たちだって栄養失調になれば動けなくなるし、修復不可能なほどの重傷を負えば息絶えるよ。
コウモリには変身できない。姿は鏡に映る。棺桶では寝ない。……あー、でも、壱依兄さんは棺桶みたいな箱に入って完全に日光を遮断して寝るけど、それは兄さんがちょっとでも日光に当たると危ないからで」
瑛次は考えを巡らせるように宙を見上げた。
「日光に関しては、生きた時間の分だけ徐々に苦手になっていくみたいだ。最年長の壱依兄さんは一分も太陽の下を歩けないし、ヒスンは隙間なく日焼け対策してても数十分で意識が朦朧としてくるらしい。でも俺はまだ、人間の頃と同じようにこうやって日中大学に通えるし、一日中ビーチバレーとかしててもへっちゃらだよ。これは単純に、年月の経過に比例して増加する肉体の消耗具合の問題のような気がするな」
「……迷信よりずっと現実的ですね」
「あとは、あ、牙とか? 牙はあるけど、普段は人間だった頃と同じ形をしてる」
陽は一度見た瑛次の牙を思い出した。チラと確認すると、現在の瑛次はごく一般的なサイズの歯でサンドウィッチを食べていた。
「目の色は、」
と、瑛次は自分の片眼を指差した。
「牙と同じように普段は人間だった頃と同じ感じだけど、血を飲んだり、血を前にして興奮したりすると変わるんだ。俺は銀っぽくなる。三月は真っ赤になるな。あいつ、あの髪も瞳の色に合わせてあの色に染めてるから。おしゃれなんだかそうじゃないんだか……」
「僕、三月先輩が好きです」
陽の唐突な発言に瑛次は驚かず、はは、と乾いた声で笑った。
「そうなんだろうなと思ってたよ」
「……」
話の進路を逸らすために、わざと改めて三月の名前を出したのだろうと察した。
瑛次は穏やかな空気感のまま、陽にそっと向き合い直した。
「俺たちが人間じゃないって知っても、その気持ちは変わらない?」
陽は、しばらく黙ってから答えた。
「怖くなったのは事実です」
「うん」
「でも、なんだろう……だからといって三月先輩への気持ちが変わったかというと、そうではない気がします。まだ信じ難くて、混乱もしてるし、よくわからないけど」
「そっか」
「人間が吸血鬼に恋するのって、やっぱり変なことなんですか」
なにが「やっぱり」なのかわからなかったが、一応そう聞いた。
瑛次は発言を選んでいるのか、宙を見上げて雲を目で追うようにしながら、慎重に言葉を発した。
「人間にとって、吸血鬼が魅力的に見えるのは当然なんだ。外見の話でいうと、俺たちにとっての美しさは、獲物を引きつけるための手段だから。だから陽が一目で三月を好きになったのは、何もおかしくない」
瑛次は続けた。
「吸血鬼は基本的にいつでも飢えてる。なぜって、この社会では人間を殺すことは犯罪だから、殺人をしないように気をつけながら、いろんな人からちょっとずつ血を飲んでるせいで、普通は誰もお腹いっぱい飲めないんだ。満たされてる吸血鬼は、きっと人間の目で見てもわかるよ。
例えば壱依兄さんは、俺たちが補佐してるおかけで毎日満腹状態だけど、どう見えた?」
陽は、あの夜に感じた壱依の印象を思い出した。
「人間らしくない美しさでした」
「うん。そうだよな」
瑛次が頷く。
「あれは、あの人は、そうでなくちゃいけないんだ。俺たちは動物的だって前に言ったけど、俺たちには縄張りみたいなものがあって、基本的に自分たちのコミュニティの外の人間の血を飲むことは禁止されてるんだ。うっかり隣のテリトリーの人間を吸血した暁には、発覚した晩に処罰される。そういう取り決めでもしないと、殺人を厭わない吸血鬼が暴れて社会が崩壊するからね。平和に人間と共存すべきなのに……」
やれやれと、瑛次は首を振った。
「ここの長男は壱依兄さんだから、兄さんはいつでも満腹で、美しくないと、縄張りを略奪しようとする他の吸血鬼に見くびられて攻め入られるんだ。幸い、今はすごく恐れられてるけどね。俺たちやヒスンの働きもあって」
どうやら瑛次たちはそういった、壱依の補佐的役割も任されているらしかった。
「そんな風に、吸血鬼は通常、人間のことは食糧としてしか見てない。だから、陽のためを思って言うけど……三月がどうとかじゃない、吸血鬼そのものがもう、人間とは近付きすぎないほうがいいと思う。まあ、壱依兄さんがまず許さないだろうから」
「許さない?」
「あの人は人間を信用してないし、仲間の安全が脅かされることを絶対に許さないんだ。そうなるのは長男として仕方ないことだけど。だから、君が三月と一緒にいることを良く思ってない」
「だから三月先輩に謹慎を?」
「それもあるだろうね」
陽は手元に目を落とした。
「僕はもう、三月先輩と一緒にいられないんですね」
呟くように言うと、瑛次が、躊躇しながらも言った。
「一つ方法がないわけじゃない」
瑛次は一瞬、迷う。
しかし続けた。
「陽が吸血鬼になるんだ」
「え」
「俺たちの仲間になれば、俺たちは君を食いたいと思わなくなる」
ひたりとした沈黙が流れた。
吸血鬼になる。僕が。
僕が。なる。
そう考えた途端に、陽は突然、この状況を自分事として捉えられるようになった。どこか、自分にはどうにもすることのできない絶対的に超人的な領域だと決めつけていたものが、急に自分の手の中に降ってきた感覚があった。
パズルのピースが揃う。
砂時計の砂が全て落ちる。
後ろから引っ張られた臍が正面に直る。
不思議だった。まるで、何世紀も前からこの瞬間を迎えることが決まっていたかのような。
「……」
「でもね、それは本当に推奨しないよ。うん。だめだ」
瑛次はさっそく自分の発言に後悔しているようだった。口先で、まずい、これ言っちゃいけないやつだったな、とか、バレたら処罰かも、とかブツブツ言っている。
彼は慌ただしくベンチに座り直すと、言ってしまった言葉を吸い込み直すように大きく息を吸ってから、さっきの会話を脳内で切り取って削除したかのように白々しく続けた。
「だから、えーと、つまりね。陽が俺たちから逃げたいと思うなら、全く止めない。むしろ離れていてくれたほうがありがたいな。忘れてるかもしれないけど、三月や壱依兄さんだけじゃなくて、俺だって吸血鬼なんだ」
「……瑛次先輩は僕の血を飲みたいと思ってるんですか? 今も?」
「おもしろいことを聞くね?」
新鮮な疑問だったようで、瑛次は笑った。
「人間を前にして常にそう思うわけではないけど、空腹のときには当然思うよ。陽だって、お腹が空いてるときにラーメンとかステーキとかを見たら食べたいと思うだろ?」
瑛次は続けた。
「不便なことに、俺たちは人間の血を一定量飲まないと一年も生きられない。吸血鬼は不老不死なんて言説もあるけど、それはちゃんと血を飲んだら、の話だ。現代の俺たちは昔よりはだいぶ社会的になって、同じ立場の仲間と助け合って生きてる。殺人をしないで血液を採取する方法も、血液を売買するシステムも構築したし、仲間や協力者の医療関係者から血を譲り受けられるような人間との共存体制も整ってるから、仲間と繋がってさえいれば、満腹にはならなくとも血に困ることはない。だから、例えば俺が突然大学で陽を襲ったり、誰かを襲ったりするなんてことは、よっぽどのイレギュラーがない限りあり得ないよ」
だから安心して、と笑う瑛次だ。
ひととおり笑うと、何も言わない陽に改めて向き合い、言う。
「大学の先輩として、友人として、君が傷つかないように忠告しておきたいことがある。三月の話だけどね」
陽は落としていた視線を上げた。瑛次の真摯な瞳と目が合う。
瑛次は、三月の名前に反応して急に爛々とし出した陽の両目に一瞬怖じ気づいたように思えたが、意を決して続けた。
「三月は、人間と性行為しながら吸血するのが好きだ。最近の俺たちはコミュニティに属して、さっき説明したように協力し合って生きてるけど、あいつは最近まで、自分で近付いて親密になった人間から血を飲むことをよくしてた。当然、必要ない殺しはしてなかったみたいだけど、三月は孤立してたから、そうやって生き延びてきたんだ」
「孤立?」
「うん。三月は……、戦前、娼婦が客との間に作ってしまった息子でね。望まれて生まれたわけじゃなかったんだ。
三月の母親は、三月を出産したあと、子なんて育ててたら仕事ができなくなるから、父親にこっそり三月を殺すように頼んだんだ。で、運悪くその父親が、吸血鬼の一派と良くない意味で繋がっててね、餌だと言って高価な値段で三月を引き渡した」
雲行きが変わった話に、陽の唇が半開きになる。
「三月を譲り受けた一派には、ヒスンがいた」
瑛次は静かに続けた。
「第二次世界大戦の最中になんで韓国人のヒスンが日本にいたかっていうと……わかるよな?」
「はい」
陽は重く頷いた。
重い雰囲気を引きずったまま、瑛次も何度か頷いた。
「この国はその頃、朝鮮半島を植民地支配してたからね。実際、今いる韓国出身の吸血鬼の大半はあの頃に人間を捨てさせられた――日本人の吸血鬼の牙で。そもそも戦前までは、アジアに吸血鬼なんてほとんどいなかったらしい」
「ヒスンさんは望んで吸血鬼になったわけではないんですか?」
「そうだね。まあどんな状況であれ、望んで吸血鬼になる人間なんてそういないよ。不老不死に目が眩んだ富豪くらいしか。といっても、そういう奴は大抵すぐに掟を破って処刑される」
瑛次は思い当たる節があるのか、ため息をついて力なく首を振った。そして話を戻す。
「とにかく、まだ吸血鬼になったばかりで人間らしい感情が強く残ってた当時のヒスンは、連れられてきた三月を見てかわいそうに思って、咄嗟に、こいつは食うには赤ん坊すぎる、育てて立派な青年になった頃に血をもらったほうがいいと言って、三月を助けたんだ。(吸血鬼にとって二十年なんてあっという間だからね!)
それで、本当にあの見た目の年齢まで三月を育てたんだけど、三月はただ殺すにしてはちょっと異質になってしまった――だって、人間なのに二十年の間も吸血鬼に育てられたから、吸血鬼の世界のことはもちろん熟知していたし、昔から利発的だったから、時には人間を騙して連れてきて夕食を恵んでくれたりもしてたらしい。それに、俺たち吸血鬼にとって、人間界との繋がりっていうのはかなり重要なんだ。さっき言ったようにね。
それで、ヒスン含むその一派が、三月を殺そうか利用し続けようか迷っていた矢先、戦争が激化した」
空が暗く曇ってきた。
瑛次は構わず話し続けた。
「三月は、出生届の類いを出されてなかったから、戸籍上は存在していないことになってた。だから徴兵はされなかったけど、ある日、米兵に背中を二箇所も刺されて殺されかけたんだ。そこに駆け付けたヒスンが、背中からの大量出血で死にそうになっていた三月を吸血鬼にして、つまり永遠の命を与えて、助けた」
「それで、三月先輩はヒスンさんたちの一族と合流を?」
「いや」
瑛次は重いため息をついた。
「三月は目を覚ますと、どうしてこのまま死なせてくれなかったのか、そんなに俺の血が飲みたいのか、裏切り者、とヒスンを責めて、そのまま一人で逃亡した」
「えっ?」
「俺はこれらの話を全部ヒスンから聞いたから、どこまで事実でどこまで脚色かはわからないよ」
瑛次は弁解した。
「そこからの三十年間のことは、三月本人にしかわからない。きっと、だんだん吸血鬼になっていく自分の体と戦いながら、一人でどうにか生き延びたんだろうけど……。ずっと三月を探してたヒスンがやっと見つけたときには、あいつは、さっき言ったように一人で人間の血を飲んで生きる術(すべ)を身に着けていて、見た目もあんな風に……壱依兄さんでさえも綺麗だと褒めるくらい美しくなってた。つまり、人間を惹き付けて食う立派な吸血鬼になっていた」
「……そんな」
「それから色々あって、一時期はヒスンと交際してソウルに住んだり、なんだりしてたみたいだけど、結局、壱依兄さんと一緒にいた俺と合流して、今に至る。
俺は壱依兄さんに吸血鬼にしてもらったけど、ヒスンも同じなんだ。だから俺と三月は親友だけど、血筋上は義理の兄弟みたいなものだ」
瑛次はそこまで言うと、ふうと一息ついて話を落ち着かせた。
頭上に重く広がる曇天は、今にも雨を降らせそうに黒く染みてきていた。慌てて棟の中へ移動する学生もいる。
瑛次ものっそり立ち上がった。
「長々と話しちゃったけど、つまり何が言いたいかっていうと、」
と、最後、静かに言う。
「人間は愛の証明のために誰かと性行為をする傾向があるけど、多くの吸血鬼にとって人間とのセックスは、獲物を喜ばせて血を美味しくするための狩りの一種でしかない。俺の知る限り、三月も例外じゃない。むしろ、これまで何十年もそうやって生きてきた、その傾向が強い奴だ」
一ミリも動こうとしない陽を見下ろし、瑛次は鼻からため息をついた。
「愛されてるって誤解しちゃうのは仕方ないさ。だって陽は、人間なんだから」
いつものように陽がカフェに顔を出しても、三月はおらず代わりに理人が駆けてきて、
「陽さん! 何か食べて行きますか? 三月先輩はいないですけど……」
と、にこにこするだけである。
親友が外出できないからか、大学で見かけた瑛次も退屈そうな表情をしていた。陽は後を追いかける。時間があったので、キャンパス敷地内の青い芝が切り揃えてある中庭のベンチで、ランチをすることにした。瑛次はサンドウィッチと紙パックのコーヒー牛乳を持っていた。
陽は背筋を伸ばしたまま、向かいに座る男性を盗み見た。
あの日から、初めて対面した。この人たちが実は人間ではなく「なんとかかんとか」なんて、いまだに信じきることができず、よくわからなかった。
あの夜、あれから陽は三月の車で自宅のアパートまで送ってもらったが、三月たちの正体の件については何も話さなかった。助手席から見る彼の横顔は、彼が人間であろうとそれ以外の何かであろうと、なにも変わりないように思えた。普段だったら、どうでもいいくだらない話で爆笑したり、スイッチが入っていちゃついたりしている車内だが、あの夜はただただ静かな空間だった。
三月は何を考えていたのだろうか。
「……血以外のものも食べたり飲んだりするんですね」
コーヒー牛乳を美味しそうに啜ってサンドウィッチのパン部分をもりもり頬張る瑛次を眺めながら、おにぎりを片手に陽がぼそりと言うと、瑛次は鼻から笑った。
「俺たちの体内に吸収された血は、たちまちものすごい量の脂質やたんぱく質に変貌する! とかだったら、むしろ便利でいいけどね。血を定期的に摂取しないと生きられないだけだよ、残念ながら。肉も野菜も普通に食べる」
「考えてみれば当たり前ですね。エネルギー源が必要な肉体があるんだから」
「うん」
瑛次はいっそ愉快そうだった。
「俺たちにまつわる言い伝えって、大抵が間違ってるからね」
「そうなんですか? 例えば、ニンニクが苦手だとか?」
「ニンニクね。それは、吸血鬼それぞれの味の好き嫌いの話だからなんとも言えない。人間だって同じだろ? ピーマンが苦手な人もいれば大好きな人もいる」
「それはそうですけど……、そういう話なんですか」
「昔はニンニクの魔除け効果のせいで吸血鬼がそれを嫌うとか、恐れるって言われてたみたいだけど。俺たちは別に魔除けの類いが効く存在ではないからね。
でもまあ、十字架に関して言えば、三月は苦手そうにしてるな。なんでなのかは本人もよくわかってないみたいだけど、見てると落ち着かないらしい。俺とかヒスンは別に目の前に十字架を突きつけられようとどうとも思わないから、これも個人差があるのかな」
そういえば、陽は以前、十字架を象ったクロムハーツのピアスを三月に噛み壊されたことがあった。
瑛次は話し続けた。
「あとはそうだなあ、例えば、永遠に生きるっていう話。吸血鬼になった時点から、細胞やら遺伝子やら脳やらの関係で、確かに歳は取らなくなる。自然治癒力が人間より格段に高いから、大体の傷はすぐ治るけど、だからって絶対に死なないってわけではなくて、当然、俺たちだって栄養失調になれば動けなくなるし、修復不可能なほどの重傷を負えば息絶えるよ。
コウモリには変身できない。姿は鏡に映る。棺桶では寝ない。……あー、でも、壱依兄さんは棺桶みたいな箱に入って完全に日光を遮断して寝るけど、それは兄さんがちょっとでも日光に当たると危ないからで」
瑛次は考えを巡らせるように宙を見上げた。
「日光に関しては、生きた時間の分だけ徐々に苦手になっていくみたいだ。最年長の壱依兄さんは一分も太陽の下を歩けないし、ヒスンは隙間なく日焼け対策してても数十分で意識が朦朧としてくるらしい。でも俺はまだ、人間の頃と同じようにこうやって日中大学に通えるし、一日中ビーチバレーとかしててもへっちゃらだよ。これは単純に、年月の経過に比例して増加する肉体の消耗具合の問題のような気がするな」
「……迷信よりずっと現実的ですね」
「あとは、あ、牙とか? 牙はあるけど、普段は人間だった頃と同じ形をしてる」
陽は一度見た瑛次の牙を思い出した。チラと確認すると、現在の瑛次はごく一般的なサイズの歯でサンドウィッチを食べていた。
「目の色は、」
と、瑛次は自分の片眼を指差した。
「牙と同じように普段は人間だった頃と同じ感じだけど、血を飲んだり、血を前にして興奮したりすると変わるんだ。俺は銀っぽくなる。三月は真っ赤になるな。あいつ、あの髪も瞳の色に合わせてあの色に染めてるから。おしゃれなんだかそうじゃないんだか……」
「僕、三月先輩が好きです」
陽の唐突な発言に瑛次は驚かず、はは、と乾いた声で笑った。
「そうなんだろうなと思ってたよ」
「……」
話の進路を逸らすために、わざと改めて三月の名前を出したのだろうと察した。
瑛次は穏やかな空気感のまま、陽にそっと向き合い直した。
「俺たちが人間じゃないって知っても、その気持ちは変わらない?」
陽は、しばらく黙ってから答えた。
「怖くなったのは事実です」
「うん」
「でも、なんだろう……だからといって三月先輩への気持ちが変わったかというと、そうではない気がします。まだ信じ難くて、混乱もしてるし、よくわからないけど」
「そっか」
「人間が吸血鬼に恋するのって、やっぱり変なことなんですか」
なにが「やっぱり」なのかわからなかったが、一応そう聞いた。
瑛次は発言を選んでいるのか、宙を見上げて雲を目で追うようにしながら、慎重に言葉を発した。
「人間にとって、吸血鬼が魅力的に見えるのは当然なんだ。外見の話でいうと、俺たちにとっての美しさは、獲物を引きつけるための手段だから。だから陽が一目で三月を好きになったのは、何もおかしくない」
瑛次は続けた。
「吸血鬼は基本的にいつでも飢えてる。なぜって、この社会では人間を殺すことは犯罪だから、殺人をしないように気をつけながら、いろんな人からちょっとずつ血を飲んでるせいで、普通は誰もお腹いっぱい飲めないんだ。満たされてる吸血鬼は、きっと人間の目で見てもわかるよ。
例えば壱依兄さんは、俺たちが補佐してるおかけで毎日満腹状態だけど、どう見えた?」
陽は、あの夜に感じた壱依の印象を思い出した。
「人間らしくない美しさでした」
「うん。そうだよな」
瑛次が頷く。
「あれは、あの人は、そうでなくちゃいけないんだ。俺たちは動物的だって前に言ったけど、俺たちには縄張りみたいなものがあって、基本的に自分たちのコミュニティの外の人間の血を飲むことは禁止されてるんだ。うっかり隣のテリトリーの人間を吸血した暁には、発覚した晩に処罰される。そういう取り決めでもしないと、殺人を厭わない吸血鬼が暴れて社会が崩壊するからね。平和に人間と共存すべきなのに……」
やれやれと、瑛次は首を振った。
「ここの長男は壱依兄さんだから、兄さんはいつでも満腹で、美しくないと、縄張りを略奪しようとする他の吸血鬼に見くびられて攻め入られるんだ。幸い、今はすごく恐れられてるけどね。俺たちやヒスンの働きもあって」
どうやら瑛次たちはそういった、壱依の補佐的役割も任されているらしかった。
「そんな風に、吸血鬼は通常、人間のことは食糧としてしか見てない。だから、陽のためを思って言うけど……三月がどうとかじゃない、吸血鬼そのものがもう、人間とは近付きすぎないほうがいいと思う。まあ、壱依兄さんがまず許さないだろうから」
「許さない?」
「あの人は人間を信用してないし、仲間の安全が脅かされることを絶対に許さないんだ。そうなるのは長男として仕方ないことだけど。だから、君が三月と一緒にいることを良く思ってない」
「だから三月先輩に謹慎を?」
「それもあるだろうね」
陽は手元に目を落とした。
「僕はもう、三月先輩と一緒にいられないんですね」
呟くように言うと、瑛次が、躊躇しながらも言った。
「一つ方法がないわけじゃない」
瑛次は一瞬、迷う。
しかし続けた。
「陽が吸血鬼になるんだ」
「え」
「俺たちの仲間になれば、俺たちは君を食いたいと思わなくなる」
ひたりとした沈黙が流れた。
吸血鬼になる。僕が。
僕が。なる。
そう考えた途端に、陽は突然、この状況を自分事として捉えられるようになった。どこか、自分にはどうにもすることのできない絶対的に超人的な領域だと決めつけていたものが、急に自分の手の中に降ってきた感覚があった。
パズルのピースが揃う。
砂時計の砂が全て落ちる。
後ろから引っ張られた臍が正面に直る。
不思議だった。まるで、何世紀も前からこの瞬間を迎えることが決まっていたかのような。
「……」
「でもね、それは本当に推奨しないよ。うん。だめだ」
瑛次はさっそく自分の発言に後悔しているようだった。口先で、まずい、これ言っちゃいけないやつだったな、とか、バレたら処罰かも、とかブツブツ言っている。
彼は慌ただしくベンチに座り直すと、言ってしまった言葉を吸い込み直すように大きく息を吸ってから、さっきの会話を脳内で切り取って削除したかのように白々しく続けた。
「だから、えーと、つまりね。陽が俺たちから逃げたいと思うなら、全く止めない。むしろ離れていてくれたほうがありがたいな。忘れてるかもしれないけど、三月や壱依兄さんだけじゃなくて、俺だって吸血鬼なんだ」
「……瑛次先輩は僕の血を飲みたいと思ってるんですか? 今も?」
「おもしろいことを聞くね?」
新鮮な疑問だったようで、瑛次は笑った。
「人間を前にして常にそう思うわけではないけど、空腹のときには当然思うよ。陽だって、お腹が空いてるときにラーメンとかステーキとかを見たら食べたいと思うだろ?」
瑛次は続けた。
「不便なことに、俺たちは人間の血を一定量飲まないと一年も生きられない。吸血鬼は不老不死なんて言説もあるけど、それはちゃんと血を飲んだら、の話だ。現代の俺たちは昔よりはだいぶ社会的になって、同じ立場の仲間と助け合って生きてる。殺人をしないで血液を採取する方法も、血液を売買するシステムも構築したし、仲間や協力者の医療関係者から血を譲り受けられるような人間との共存体制も整ってるから、仲間と繋がってさえいれば、満腹にはならなくとも血に困ることはない。だから、例えば俺が突然大学で陽を襲ったり、誰かを襲ったりするなんてことは、よっぽどのイレギュラーがない限りあり得ないよ」
だから安心して、と笑う瑛次だ。
ひととおり笑うと、何も言わない陽に改めて向き合い、言う。
「大学の先輩として、友人として、君が傷つかないように忠告しておきたいことがある。三月の話だけどね」
陽は落としていた視線を上げた。瑛次の真摯な瞳と目が合う。
瑛次は、三月の名前に反応して急に爛々とし出した陽の両目に一瞬怖じ気づいたように思えたが、意を決して続けた。
「三月は、人間と性行為しながら吸血するのが好きだ。最近の俺たちはコミュニティに属して、さっき説明したように協力し合って生きてるけど、あいつは最近まで、自分で近付いて親密になった人間から血を飲むことをよくしてた。当然、必要ない殺しはしてなかったみたいだけど、三月は孤立してたから、そうやって生き延びてきたんだ」
「孤立?」
「うん。三月は……、戦前、娼婦が客との間に作ってしまった息子でね。望まれて生まれたわけじゃなかったんだ。
三月の母親は、三月を出産したあと、子なんて育ててたら仕事ができなくなるから、父親にこっそり三月を殺すように頼んだんだ。で、運悪くその父親が、吸血鬼の一派と良くない意味で繋がっててね、餌だと言って高価な値段で三月を引き渡した」
雲行きが変わった話に、陽の唇が半開きになる。
「三月を譲り受けた一派には、ヒスンがいた」
瑛次は静かに続けた。
「第二次世界大戦の最中になんで韓国人のヒスンが日本にいたかっていうと……わかるよな?」
「はい」
陽は重く頷いた。
重い雰囲気を引きずったまま、瑛次も何度か頷いた。
「この国はその頃、朝鮮半島を植民地支配してたからね。実際、今いる韓国出身の吸血鬼の大半はあの頃に人間を捨てさせられた――日本人の吸血鬼の牙で。そもそも戦前までは、アジアに吸血鬼なんてほとんどいなかったらしい」
「ヒスンさんは望んで吸血鬼になったわけではないんですか?」
「そうだね。まあどんな状況であれ、望んで吸血鬼になる人間なんてそういないよ。不老不死に目が眩んだ富豪くらいしか。といっても、そういう奴は大抵すぐに掟を破って処刑される」
瑛次は思い当たる節があるのか、ため息をついて力なく首を振った。そして話を戻す。
「とにかく、まだ吸血鬼になったばかりで人間らしい感情が強く残ってた当時のヒスンは、連れられてきた三月を見てかわいそうに思って、咄嗟に、こいつは食うには赤ん坊すぎる、育てて立派な青年になった頃に血をもらったほうがいいと言って、三月を助けたんだ。(吸血鬼にとって二十年なんてあっという間だからね!)
それで、本当にあの見た目の年齢まで三月を育てたんだけど、三月はただ殺すにしてはちょっと異質になってしまった――だって、人間なのに二十年の間も吸血鬼に育てられたから、吸血鬼の世界のことはもちろん熟知していたし、昔から利発的だったから、時には人間を騙して連れてきて夕食を恵んでくれたりもしてたらしい。それに、俺たち吸血鬼にとって、人間界との繋がりっていうのはかなり重要なんだ。さっき言ったようにね。
それで、ヒスン含むその一派が、三月を殺そうか利用し続けようか迷っていた矢先、戦争が激化した」
空が暗く曇ってきた。
瑛次は構わず話し続けた。
「三月は、出生届の類いを出されてなかったから、戸籍上は存在していないことになってた。だから徴兵はされなかったけど、ある日、米兵に背中を二箇所も刺されて殺されかけたんだ。そこに駆け付けたヒスンが、背中からの大量出血で死にそうになっていた三月を吸血鬼にして、つまり永遠の命を与えて、助けた」
「それで、三月先輩はヒスンさんたちの一族と合流を?」
「いや」
瑛次は重いため息をついた。
「三月は目を覚ますと、どうしてこのまま死なせてくれなかったのか、そんなに俺の血が飲みたいのか、裏切り者、とヒスンを責めて、そのまま一人で逃亡した」
「えっ?」
「俺はこれらの話を全部ヒスンから聞いたから、どこまで事実でどこまで脚色かはわからないよ」
瑛次は弁解した。
「そこからの三十年間のことは、三月本人にしかわからない。きっと、だんだん吸血鬼になっていく自分の体と戦いながら、一人でどうにか生き延びたんだろうけど……。ずっと三月を探してたヒスンがやっと見つけたときには、あいつは、さっき言ったように一人で人間の血を飲んで生きる術(すべ)を身に着けていて、見た目もあんな風に……壱依兄さんでさえも綺麗だと褒めるくらい美しくなってた。つまり、人間を惹き付けて食う立派な吸血鬼になっていた」
「……そんな」
「それから色々あって、一時期はヒスンと交際してソウルに住んだり、なんだりしてたみたいだけど、結局、壱依兄さんと一緒にいた俺と合流して、今に至る。
俺は壱依兄さんに吸血鬼にしてもらったけど、ヒスンも同じなんだ。だから俺と三月は親友だけど、血筋上は義理の兄弟みたいなものだ」
瑛次はそこまで言うと、ふうと一息ついて話を落ち着かせた。
頭上に重く広がる曇天は、今にも雨を降らせそうに黒く染みてきていた。慌てて棟の中へ移動する学生もいる。
瑛次ものっそり立ち上がった。
「長々と話しちゃったけど、つまり何が言いたいかっていうと、」
と、最後、静かに言う。
「人間は愛の証明のために誰かと性行為をする傾向があるけど、多くの吸血鬼にとって人間とのセックスは、獲物を喜ばせて血を美味しくするための狩りの一種でしかない。俺の知る限り、三月も例外じゃない。むしろ、これまで何十年もそうやって生きてきた、その傾向が強い奴だ」
一ミリも動こうとしない陽を見下ろし、瑛次は鼻からため息をついた。
「愛されてるって誤解しちゃうのは仕方ないさ。だって陽は、人間なんだから」
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素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
※小説家になろうにも公開してます
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
異世界オークションで売られた俺、落札したのは昔助けた狼でした
うんとこどっこいしょ
BL
異世界の闇オークションで商品として目覚めた青年・アキラ。
獣人族たちに値踏みされ、競りにかけられる恐怖の中、彼を千枚の金貨で落札したのは、銀灰色の髪を持つ狼の獣人・ロウだった。
怯えるアキラに、ロウは思いがけない言葉を告げる。
「やっと会えた。お前は俺の命の恩人だ」
戸惑うアキラの脳裏に蘇るのは、かつて雨の日に助けた一匹の子狼との記憶。
獣人世界を舞台に、命の恩人であるアキラと、一途に想い続けた狼獣人が紡ぐ、執着と溺愛の異世界BLロマンス。
第一章 完結
第二章 完結
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
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