19 / 48
19.夢現
しおりを挟む
どれくらい、そうしていたのだろう。
顔をうずめていた首元。柔い首筋から、唇を離す。幾度となくそうして、体中に付けた皮下出血のひとつに、舌を這わせる。そしてまた、適当な箇所に噛みつくように口付け、赤く染める。余すところなく、何度も。この瞬間は正に、充足感に満たされていた。
静かに手を取り、細い手首に口を付ける。残っている痕は、俺の手形。
手首だけではない。掴んでいた肩や腰には痣と言って差し支えない指の跡が浮いており、叩きつけるように体をぶつけていた尻や太腿は腫れたように赤くなっていた。
散々欲を吐き出してから体中に赤を散らし始めていたが、そのくらいから、レイはいつの間にか気絶する様に眠っていた。顔には、涙の跡がはっきりと残る。
――やっちまったなあ。
どうやって言い逃れられるだろうか。なんて言ったら許される?
「許してくれるのか?」という問いには、頭のどこかから即座に「許すさ、こいつは」と答えが過った。
――危険性を教えるために、酔っていたから、お前のために、俺は悪くない、お前のために、こいつがわるい、お前のために。
取り留めのない、それこそ意味のない言葉のサラダ。それらが脳内に降ってくるのを感じながら、レイを横向きに寝かせる。寝返りを打たぬよう背中にクッションを噛ませ、毛布と布団を包むようにかける。タオルで涙の跡を軽く拭ってから、立ち上がった。シャワーを浴びに、部屋を出る。
狭く感じるバスルームは、この国の住居としては広くはないが一般的な部類に入るらしい。未だ使い慣れないコックを捻り、水を出す。
水を浴びて頭が冷えていくのと同時、水音と、体が濡れていく感覚、触れた自身の手の感触からさえも、ベッドでの光景を思い出し、喉が震えるように笑った。
そうしてから、服を着て再び部屋へ戻り、レイの様子を見る。体勢は変わらず、布団に包まれ、呼吸も穏やか。薄く残る涙の跡さえ無ければ、見た目には普通の睡眠だ。
それを確かめて一息つくと、酷く体が疲れて感じた。
ふらふらと部屋を出て、そのままリビングルームのソファに倒れ込むように横になる。疲れた。横になっているのに、頭の中がゆらゆらと揺れている。
疲れた。ひどく体が重い。とても眠く、頭が働かない。こんなになるほど、俺は何をしたんだったか――。
何かを考えようとしていた気もするのに、何も考えることが出来ず、まどろみに委ねて意識を手放した。
顔をうずめていた首元。柔い首筋から、唇を離す。幾度となくそうして、体中に付けた皮下出血のひとつに、舌を這わせる。そしてまた、適当な箇所に噛みつくように口付け、赤く染める。余すところなく、何度も。この瞬間は正に、充足感に満たされていた。
静かに手を取り、細い手首に口を付ける。残っている痕は、俺の手形。
手首だけではない。掴んでいた肩や腰には痣と言って差し支えない指の跡が浮いており、叩きつけるように体をぶつけていた尻や太腿は腫れたように赤くなっていた。
散々欲を吐き出してから体中に赤を散らし始めていたが、そのくらいから、レイはいつの間にか気絶する様に眠っていた。顔には、涙の跡がはっきりと残る。
――やっちまったなあ。
どうやって言い逃れられるだろうか。なんて言ったら許される?
「許してくれるのか?」という問いには、頭のどこかから即座に「許すさ、こいつは」と答えが過った。
――危険性を教えるために、酔っていたから、お前のために、俺は悪くない、お前のために、こいつがわるい、お前のために。
取り留めのない、それこそ意味のない言葉のサラダ。それらが脳内に降ってくるのを感じながら、レイを横向きに寝かせる。寝返りを打たぬよう背中にクッションを噛ませ、毛布と布団を包むようにかける。タオルで涙の跡を軽く拭ってから、立ち上がった。シャワーを浴びに、部屋を出る。
狭く感じるバスルームは、この国の住居としては広くはないが一般的な部類に入るらしい。未だ使い慣れないコックを捻り、水を出す。
水を浴びて頭が冷えていくのと同時、水音と、体が濡れていく感覚、触れた自身の手の感触からさえも、ベッドでの光景を思い出し、喉が震えるように笑った。
そうしてから、服を着て再び部屋へ戻り、レイの様子を見る。体勢は変わらず、布団に包まれ、呼吸も穏やか。薄く残る涙の跡さえ無ければ、見た目には普通の睡眠だ。
それを確かめて一息つくと、酷く体が疲れて感じた。
ふらふらと部屋を出て、そのままリビングルームのソファに倒れ込むように横になる。疲れた。横になっているのに、頭の中がゆらゆらと揺れている。
疲れた。ひどく体が重い。とても眠く、頭が働かない。こんなになるほど、俺は何をしたんだったか――。
何かを考えようとしていた気もするのに、何も考えることが出来ず、まどろみに委ねて意識を手放した。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる