Jimmelle & Rayman I

あにらむあみにむ

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19.夢現

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 どれくらい、そうしていたのだろう。
 顔をうずめていた首元。柔い首筋から、唇を離す。幾度となくそうして、体中に付けた皮下出血のひとつに、舌を這わせる。そしてまた、適当な箇所に噛みつくように口付け、赤く染める。余すところなく、何度も。この瞬間は正に、充足感に満たされていた。
 静かに手を取り、細い手首に口を付ける。残っている痕は、俺の手形。
 手首だけではない。掴んでいた肩や腰には痣と言って差し支えない指の跡が浮いており、叩きつけるように体をぶつけていた尻や太腿は腫れたように赤くなっていた。
 散々欲を吐き出してから体中に赤を散らし始めていたが、そのくらいから、レイはいつの間にか気絶する様に眠っていた。顔には、涙の跡がはっきりと残る。
 ――やっちまったなあ。
 どうやって言い逃れられるだろうか。なんて言ったら許される?
 「許してくれるのか?」という問いには、頭のどこかから即座に「許すさ、こいつは」と答えが過った。
 ――危険性を教えるために、酔っていたから、お前のために、俺は悪くない、お前のために、こいつがわるい、お前のために。
 取り留めのない、それこそ意味のない言葉のサラダ。それらが脳内に降ってくるのを感じながら、レイを横向きに寝かせる。寝返りを打たぬよう背中にクッションを噛ませ、毛布と布団を包むようにかける。タオルで涙の跡を軽く拭ってから、立ち上がった。シャワーを浴びに、部屋を出る。
 狭く感じるバスルームは、この国の住居としては広くはないが一般的な部類に入るらしい。未だ使い慣れないコックを捻り、水を出す。
 水を浴びて頭が冷えていくのと同時、水音と、体が濡れていく感覚、触れた自身の手の感触からさえも、ベッドでの光景を思い出し、喉が震えるように笑った。

 そうしてから、服を着て再び部屋へ戻り、レイの様子を見る。体勢は変わらず、布団に包まれ、呼吸も穏やか。薄く残る涙の跡さえ無ければ、見た目には普通の睡眠だ。
 それを確かめて一息つくと、酷く体が疲れて感じた。
 ふらふらと部屋を出て、そのままリビングルームのソファに倒れ込むように横になる。疲れた。横になっているのに、頭の中がゆらゆらと揺れている。
 疲れた。ひどく体が重い。とても眠く、頭が働かない。こんなになるほど、俺は何をしたんだったか――。
 何かを考えようとしていた気もするのに、何も考えることが出来ず、まどろみに委ねて意識を手放した。
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