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11.魔法少女のエピローグ
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ピエロの消滅を確認した後、俺は胡桃の隣に立った。
「……本当に、終わったの?」
「無論だ。とても美しい光だった」
ドスケベ・フィールド。
この結界の内側ではすべての身体的ダメージが快楽に変わる。
ただし、許容量は超えた快楽は身を滅ぼす。
端的に言えば消滅する。ピエロは消えた。つまりそういうことだ。
「……私、これからどうしよう」
「俺とイチャイチャしよう」
「バカなの?」
手厳しいな。
俺は真剣だが、冗談として受け取られたようだ。
「……クローンは?」
「ピエロと同じところへ行った」
俺は何もしていない。
ピエロが消えた直後、一緒に消えた。
憶測だが、あのマテリアルプラズマとかいう玩具によって作られたのだろう。力の供給源を失ったことで消滅したという雰囲気だった。
「……疲れた」
胡桃はゆっくりと地面に倒れ、そのまま仰向けになった。
「では俺も」
俺は背中から倒れ、彼女の隣で仰向けになった。
「良い星空だな」
「今の平気? ゴンって音したよ」
「問題ない。下級淫魔にひと舐めされた程度だ」
「伝える気、ある?」
「無論だ。俺はいつでも真剣だぞ」
とはいえ指摘の意味も分かる。
……ふむ、現実世界ではどういう表現をするのが適切なのだろうか?
「クソ陰キャ野郎は、何者なの?」
「秘密だと言ったではないか」
「教えてくれたら何でもするよ」
「俺は異世界で三年間を過ごした」
ふっ、流石は俺の惚れた女だ。
実に交渉が上手い。これは敵わぬ。
「……異世界?」
「そうだ」
「どんなところ?」
ほう、異世界の存在を信じるのか。
「その世界は大淫魔によって支配されていた」
「……大淫魔?」
「デカくて偉そうな女だ。そして非常にエロい」
「……エロい?」
む? 不自然な反応だったな。
まさかとは思うが……
「胡桃の知識を確かめたい」
「いいよ」
「セックスとはなんだ」
「子供を作るための行為」
「オナニーとはなんだ」
「知らない」
「ダブルフェラ」
「ピエロが言ってた」
「処女貫通十連ガチャ」
「それも分からない。どういう意味?」
……くっ、ふはは、そういうことか。
ピエロの発言に対するリアクションが薄いと思ったが、意味を知らなかったのか。
「異世界の話と今の言葉、どちらが気になる?」
「……クソ陰キャ野郎」
待て、今の発言は意味合いが違わないか?
「そのうち教えてやろう」
「本当?」
「ああ、もちろんだ」
これはセクハラではない。
胡桃を必ず口説き落とすという宣戦布告だ。
「さて、異世界の話を続けようか」
それから俺は全年齢版の内容を語って聞かせた。
本物のクソ陰キャ野郎だった俺が、最強の淫キャになるまでの三年間を、淡々と。
「……大変だったね」
胡桃の反応は、その一言だけだった。
しかし問題は無い。俺は約束を果たした。
「さて、お代を支払って貰おうか」
「いいよ。何する?」
胡桃は顔を横に向けた。
(……ふむ)
至近距離。
俺に邪な感情があることなど全く想像していないであろう無垢な瞳。キスのひとつでも要求したくなるシチュエーションだが、それではあまりにも芸がない。
そもそも必要ない。
いずれ必ず手に入る物よりも、今すぐに手に入れるべき物を要求するべきだ。
「異世界では大活躍した俺だが、ほんの少し前、この世界ではクソ陰キャ野郎だったということを思い出した。どこぞの魔法少女のおかげでな」
胡桃が目を細めた。
べつに嫌味ではないぞ。心の中で告げて、俺は続ける。
「他にも色々と思い出した。例えば──俺には、友達という存在が居ないらしい」
俺は胡桃の目を真っ直ぐに見て、
「友達になろう」
「……」
胡桃は何も言わず、空を見上げた。
「……」
俺も同じく星空を見る。
彼女が何を思ったのかは分からない。だが、あの涙を見て無理に詮索するのは無粋というものだ。
──かくして。
現実世界に戻ってから約半日。
俺には、この世界で初めての友達ができた。
【あとがき】
「プロローグ ~魔法少女編~」完
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「……本当に、終わったの?」
「無論だ。とても美しい光だった」
ドスケベ・フィールド。
この結界の内側ではすべての身体的ダメージが快楽に変わる。
ただし、許容量は超えた快楽は身を滅ぼす。
端的に言えば消滅する。ピエロは消えた。つまりそういうことだ。
「……私、これからどうしよう」
「俺とイチャイチャしよう」
「バカなの?」
手厳しいな。
俺は真剣だが、冗談として受け取られたようだ。
「……クローンは?」
「ピエロと同じところへ行った」
俺は何もしていない。
ピエロが消えた直後、一緒に消えた。
憶測だが、あのマテリアルプラズマとかいう玩具によって作られたのだろう。力の供給源を失ったことで消滅したという雰囲気だった。
「……疲れた」
胡桃はゆっくりと地面に倒れ、そのまま仰向けになった。
「では俺も」
俺は背中から倒れ、彼女の隣で仰向けになった。
「良い星空だな」
「今の平気? ゴンって音したよ」
「問題ない。下級淫魔にひと舐めされた程度だ」
「伝える気、ある?」
「無論だ。俺はいつでも真剣だぞ」
とはいえ指摘の意味も分かる。
……ふむ、現実世界ではどういう表現をするのが適切なのだろうか?
「クソ陰キャ野郎は、何者なの?」
「秘密だと言ったではないか」
「教えてくれたら何でもするよ」
「俺は異世界で三年間を過ごした」
ふっ、流石は俺の惚れた女だ。
実に交渉が上手い。これは敵わぬ。
「……異世界?」
「そうだ」
「どんなところ?」
ほう、異世界の存在を信じるのか。
「その世界は大淫魔によって支配されていた」
「……大淫魔?」
「デカくて偉そうな女だ。そして非常にエロい」
「……エロい?」
む? 不自然な反応だったな。
まさかとは思うが……
「胡桃の知識を確かめたい」
「いいよ」
「セックスとはなんだ」
「子供を作るための行為」
「オナニーとはなんだ」
「知らない」
「ダブルフェラ」
「ピエロが言ってた」
「処女貫通十連ガチャ」
「それも分からない。どういう意味?」
……くっ、ふはは、そういうことか。
ピエロの発言に対するリアクションが薄いと思ったが、意味を知らなかったのか。
「異世界の話と今の言葉、どちらが気になる?」
「……クソ陰キャ野郎」
待て、今の発言は意味合いが違わないか?
「そのうち教えてやろう」
「本当?」
「ああ、もちろんだ」
これはセクハラではない。
胡桃を必ず口説き落とすという宣戦布告だ。
「さて、異世界の話を続けようか」
それから俺は全年齢版の内容を語って聞かせた。
本物のクソ陰キャ野郎だった俺が、最強の淫キャになるまでの三年間を、淡々と。
「……大変だったね」
胡桃の反応は、その一言だけだった。
しかし問題は無い。俺は約束を果たした。
「さて、お代を支払って貰おうか」
「いいよ。何する?」
胡桃は顔を横に向けた。
(……ふむ)
至近距離。
俺に邪な感情があることなど全く想像していないであろう無垢な瞳。キスのひとつでも要求したくなるシチュエーションだが、それではあまりにも芸がない。
そもそも必要ない。
いずれ必ず手に入る物よりも、今すぐに手に入れるべき物を要求するべきだ。
「異世界では大活躍した俺だが、ほんの少し前、この世界ではクソ陰キャ野郎だったということを思い出した。どこぞの魔法少女のおかげでな」
胡桃が目を細めた。
べつに嫌味ではないぞ。心の中で告げて、俺は続ける。
「他にも色々と思い出した。例えば──俺には、友達という存在が居ないらしい」
俺は胡桃の目を真っ直ぐに見て、
「友達になろう」
「……」
胡桃は何も言わず、空を見上げた。
「……」
俺も同じく星空を見る。
彼女が何を思ったのかは分からない。だが、あの涙を見て無理に詮索するのは無粋というものだ。
──かくして。
現実世界に戻ってから約半日。
俺には、この世界で初めての友達ができた。
【あとがき】
「プロローグ ~魔法少女編~」完
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