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第五章 未来のこと
新居で騒いだ日(夜)
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お腹いっぱい食べた後、少しだけ小日向さんの買い物に付き合ってから帰宅した。
どうやら食品関連の物を多く買っていたようで、帰宅後すぐ冷蔵庫に入れていた。
三人で向かったのはケーキバイキングだったけれど、これ以上何か食べようとは思えないくらい満腹になった。栄養的には問題だろうが、まあこんな日くらいは良いだろう。
そんなこんなで、俺は今ニュースを見ている。
正直政治がどうとか何を言っているのかさっぱり分からないが、この文明人感は悪くない。アメリカで大統領選挙がどうとかいう話を聞いていると、なんだか賢くなったような気がする。
因みに今の大統領はオバマって人なのか、知らなかった。ついでに日本の総理大臣は安倍って人らしい。これも知らなかった。
選挙権とか毎年放棄してるしテレビも新聞も一切みてなかったからな……これからは日に一度はチェックするようにしよう。とりあえずノーベル賞を取った人の名前くらい知っとかないと、みさきに時事問題とか聞かれる日が来たら困る。
時事問題か。小学生の頃は徹底的に教え込まれた記憶があるけど、あんま覚えてないな。なんか水泳で金メダルを取って気持ちいとかそんな感じの出来事があったっけか……? あと食中毒とかも問題になってたな。なんか製造過程で従業員の怠慢があって管理者の育成がどうとか……。
……暇だ。
今はみさきと小日向さんが仲良く風呂に入っているから、俺は待機中という状況である。
銭湯に通っていた頃も二人を待つことは何度かあった。その時は何もせずに居たが、今回は、せっかくなのでテレビをつけることにした。
バラエティやドラマにドキュメンタリー。いろいろな番組が放送されていたが、どれもイマイチ合わなかった。そうしてチャンネルをコロコロ変えた果てに、ニュースだけが残った。
見続けること三十分。
なんだか眠くなってきた。
背中にあるソファは柔らかくて心地良く、外から入ってくる音はほとんど無い。
試しにテレビの音を消すと、全くの無音である。耳に意識を集中しても、浴室から会話が漏れ聞こえることすらない。
これが月額十万円の部屋ということなのだろうか。
水道代とか含めて半分に割ると、だいたい七万円くらいになるそうだ。負担としては例のアパートと比べて六万円も増えているが、これくらいなら貯金も出来る程度に余裕がある。
小日向さんの方は……漫画家ってどれくらい金貰えるんだろう。こういうことって聞いてもいいのか?
などと考えていた時だった。
ペチペチと肩を叩かれる。
「みさき、風呂はどうだった?」
……なぜ全裸。
「ちいさい」
「そうか」
俺の疑問はさておき、みさきはマンションの風呂に小さいという評価を下した。そりゃ銭湯に比べたら小さいだろうが、せっかくだから我が家の風呂を使い続けたいものだ。
「きがえ」
みさきは俺の腕を引っ張って言った。
なるほど、着替えの用意を忘れていたらしい。
「分かった」
テレビを消して立ち上がる。
この時、俺は特に何も考えていなかった。
だがしかし、もっと深く考えるべきだったのだ。
何故みさきが一人で来たのか、体はしっかり拭いてあるのに全裸で現れた理由、これらのヒントが導き出す答えは、たったひとつだった。
「……みさきちゃーん?」
廊下に差し掛かった瞬間、人影。
誰って、そんなの小日向さんしかいない。
「……」
「……」
時間が止まったような気がした。
つまりは、二人揃って着替えの用意を忘れて、悩んだ末にみさきに頼んだけれど、着替えの場所が分からなかったみさきは俺を呼んで……と、こんな具合だろう。
小日向さんは小さなタオルと両腕で体を隠して、その場にへたり込んだ。
俺は黙って顔を手で覆った。
「こ、こ、レハ、ソ、ソ、ソ……アヘッ」
「すまん小日向さん、迂闊だった」
声だけで表情が分かる。
ついでにみさきがきょとんとしているのも雰囲気で分かった。
「とりあえず背中向けとくから、着替え、取りに行ってくれ」
「ハ、はひっ、ワァリャシタ、キギャ、トリャ……アフェヘッッ!」
なんかスゲェ音したぞ。
「小日向さん、大丈夫か?」
「ス、スマセッ、コシャ、ヌヘヘっ」
「落ち着け小日向さん」
「オ、オッツキマッ……ソ、ソスー、カゾエマ」
半分くらい何を言ってるのか分からんが、どうやら素数を数えることで落ち着こうとしているらしい。
しゃっくりのようにアヘッと繰り返しながら呼吸を整えて、小日向さんは
「いぢぃ!!」
いきなり違うっ。
「アヘッ、ミステイッ」
小日向さんも気が付いたようだ。いっそ慌てて、さっきよりも多くアヘッ、アヘッと繰り返している。
しかし、頭を使うことで落ち着こうというアイデアは悪くない。よし、早速ニュースで得た知識が生きる時が来た。
「小日向さん、クイズだ!」
「は、はひっ!!」
「日本の総理大臣は誰!?」
「あべぇ!!」
「正解っ」
だけど何か違う!!
「みさき、ちょっと小日向さん、頼む」
頼むって何だどんな無茶振りだよ。
チクショウ、俺も結構動揺してるらしい。
「……んっ」
マジか、何が分かったんだみさき。
「だいじょうぶ?」
「アフェアッ、へッ、アアゥァ……アヘッ」
ダメだ、何を言っているのかさっぱり分からん。
「……ん」
マジか、あれで分かったのかみさき。
「小日向さん、何だって?」
「さむい」
だよな。ずっと全裸でいたらそりゃ寒いよな。
「みさき、とりあえずタオルかけてやれ。りょーくん向こうに行ってるから」
「……きがえ?」
「小日向さんの分は本人に聞いてくれ。みさきの分は、いつもの箱に入ってる」
「……ん」
この場において最も冷静なみさき。俺の指示を聞くと、直ぐに足音を鳴らして行動を始めた。
俺は軽い頭痛を覚えながら、ソファを目指す。
なんというか、まあ……綺麗な肌だった。
どうやら食品関連の物を多く買っていたようで、帰宅後すぐ冷蔵庫に入れていた。
三人で向かったのはケーキバイキングだったけれど、これ以上何か食べようとは思えないくらい満腹になった。栄養的には問題だろうが、まあこんな日くらいは良いだろう。
そんなこんなで、俺は今ニュースを見ている。
正直政治がどうとか何を言っているのかさっぱり分からないが、この文明人感は悪くない。アメリカで大統領選挙がどうとかいう話を聞いていると、なんだか賢くなったような気がする。
因みに今の大統領はオバマって人なのか、知らなかった。ついでに日本の総理大臣は安倍って人らしい。これも知らなかった。
選挙権とか毎年放棄してるしテレビも新聞も一切みてなかったからな……これからは日に一度はチェックするようにしよう。とりあえずノーベル賞を取った人の名前くらい知っとかないと、みさきに時事問題とか聞かれる日が来たら困る。
時事問題か。小学生の頃は徹底的に教え込まれた記憶があるけど、あんま覚えてないな。なんか水泳で金メダルを取って気持ちいとかそんな感じの出来事があったっけか……? あと食中毒とかも問題になってたな。なんか製造過程で従業員の怠慢があって管理者の育成がどうとか……。
……暇だ。
今はみさきと小日向さんが仲良く風呂に入っているから、俺は待機中という状況である。
銭湯に通っていた頃も二人を待つことは何度かあった。その時は何もせずに居たが、今回は、せっかくなのでテレビをつけることにした。
バラエティやドラマにドキュメンタリー。いろいろな番組が放送されていたが、どれもイマイチ合わなかった。そうしてチャンネルをコロコロ変えた果てに、ニュースだけが残った。
見続けること三十分。
なんだか眠くなってきた。
背中にあるソファは柔らかくて心地良く、外から入ってくる音はほとんど無い。
試しにテレビの音を消すと、全くの無音である。耳に意識を集中しても、浴室から会話が漏れ聞こえることすらない。
これが月額十万円の部屋ということなのだろうか。
水道代とか含めて半分に割ると、だいたい七万円くらいになるそうだ。負担としては例のアパートと比べて六万円も増えているが、これくらいなら貯金も出来る程度に余裕がある。
小日向さんの方は……漫画家ってどれくらい金貰えるんだろう。こういうことって聞いてもいいのか?
などと考えていた時だった。
ペチペチと肩を叩かれる。
「みさき、風呂はどうだった?」
……なぜ全裸。
「ちいさい」
「そうか」
俺の疑問はさておき、みさきはマンションの風呂に小さいという評価を下した。そりゃ銭湯に比べたら小さいだろうが、せっかくだから我が家の風呂を使い続けたいものだ。
「きがえ」
みさきは俺の腕を引っ張って言った。
なるほど、着替えの用意を忘れていたらしい。
「分かった」
テレビを消して立ち上がる。
この時、俺は特に何も考えていなかった。
だがしかし、もっと深く考えるべきだったのだ。
何故みさきが一人で来たのか、体はしっかり拭いてあるのに全裸で現れた理由、これらのヒントが導き出す答えは、たったひとつだった。
「……みさきちゃーん?」
廊下に差し掛かった瞬間、人影。
誰って、そんなの小日向さんしかいない。
「……」
「……」
時間が止まったような気がした。
つまりは、二人揃って着替えの用意を忘れて、悩んだ末にみさきに頼んだけれど、着替えの場所が分からなかったみさきは俺を呼んで……と、こんな具合だろう。
小日向さんは小さなタオルと両腕で体を隠して、その場にへたり込んだ。
俺は黙って顔を手で覆った。
「こ、こ、レハ、ソ、ソ、ソ……アヘッ」
「すまん小日向さん、迂闊だった」
声だけで表情が分かる。
ついでにみさきがきょとんとしているのも雰囲気で分かった。
「とりあえず背中向けとくから、着替え、取りに行ってくれ」
「ハ、はひっ、ワァリャシタ、キギャ、トリャ……アフェヘッッ!」
なんかスゲェ音したぞ。
「小日向さん、大丈夫か?」
「ス、スマセッ、コシャ、ヌヘヘっ」
「落ち着け小日向さん」
「オ、オッツキマッ……ソ、ソスー、カゾエマ」
半分くらい何を言ってるのか分からんが、どうやら素数を数えることで落ち着こうとしているらしい。
しゃっくりのようにアヘッと繰り返しながら呼吸を整えて、小日向さんは
「いぢぃ!!」
いきなり違うっ。
「アヘッ、ミステイッ」
小日向さんも気が付いたようだ。いっそ慌てて、さっきよりも多くアヘッ、アヘッと繰り返している。
しかし、頭を使うことで落ち着こうというアイデアは悪くない。よし、早速ニュースで得た知識が生きる時が来た。
「小日向さん、クイズだ!」
「は、はひっ!!」
「日本の総理大臣は誰!?」
「あべぇ!!」
「正解っ」
だけど何か違う!!
「みさき、ちょっと小日向さん、頼む」
頼むって何だどんな無茶振りだよ。
チクショウ、俺も結構動揺してるらしい。
「……んっ」
マジか、何が分かったんだみさき。
「だいじょうぶ?」
「アフェアッ、へッ、アアゥァ……アヘッ」
ダメだ、何を言っているのかさっぱり分からん。
「……ん」
マジか、あれで分かったのかみさき。
「小日向さん、何だって?」
「さむい」
だよな。ずっと全裸でいたらそりゃ寒いよな。
「みさき、とりあえずタオルかけてやれ。りょーくん向こうに行ってるから」
「……きがえ?」
「小日向さんの分は本人に聞いてくれ。みさきの分は、いつもの箱に入ってる」
「……ん」
この場において最も冷静なみさき。俺の指示を聞くと、直ぐに足音を鳴らして行動を始めた。
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