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最終章 孤独を越えて
決戦
しおりを挟む君は赤い悪魔を知っているか。
べちゃっとして苦くて生々しいネバネバで多くの人を苦しめる悪魔の果実だ。
ここに、とある小学生が書いた作文がある。
『トマトやだ!』
もうやだ! ほんときらい!
※どうしてトマトがきらいなの? もう少しくわしく書きましょう。
ゆいは提出した作文が帰ってきた時「なんで!?」と思った。
トマトが嫌い。もうやだ。これは世界の理と言っても過言ではない。その理由を問うなど、ゆいに言わせてみれば息の吸い方を問う様なものだ。
しかし今宵は遠い昔の事を忘れよう。ついに悪魔と決着を付ける時が来たのだ。
不安で仕方なくて、思わず身震いしてしまう。
でも大丈夫、最強の武器を持っているのだから。
ここに、ママのスマホがある。このアイホンというハイテク機器には、シリという何でも知ってる妖精さんが隠れているのだという。
つまり!
シリさんに聞けば全て解決! あたし天才!
「ヘイシリ!」
あたしが魔法の言葉を唱えると、シリさんは返事をしてくれた。初めて妖精さんとする会話に興奮しつつ、あたしは問いかける。
「トマトのたべかたをおしえてください!」
トマトの食べ方を教えてください
Webで”トマトの食べ方”に関する情報が見つかりました:
なんか紹介してくれた!!
むむむ……どれを読めばいいの?
「オススメはどれですか!?」
お勧めはどれですか
それはおもしろい質問ですね。
……あれ、終わり?
教えてくれないのかな?
「で、オススメはどれですか!?」
でオススメはどれですか
”でオススメはどれですか”に関するこちらの情報がWebで見つかりました:
「ちがう!」
問題が起きたようです。すみませんがもう一度試してください。
もんだいはっせい!?
なんで!? オススメきいただけ!
「どうしてですか!?」
どうしてですか。
分かりません。正直言って、私もどうしてかなぁと思っていたんですよ。
……なんか、大変そう。
妖精さん、いろいろ苦労してるのかな。
「たいへんですね」
大変ですね
事情を良く知りませんが、きっと大丈夫ですよ。なんとかなります。
「シリさんのことじゃないんですかっ!?」
Siriさんのことじゃないんですか
はい、わかりました。
「なにがですか!?」
何がですか。
申し訳ありません。何か勘違いしたみたいです。
「だいじょうぶってことですか?」
大丈夫ってことですか
それはおもしろい質問ですね
なに!? さっきから!!
シリさん、もしかしてふざけてる!?
「あたしのこときらいですか?」
私のこと嫌いですか
私には嫌いという能力がないのです。
じゃあ教えてよ!
ちゃんと話を聞いて!
「トマトのたべかたをおしえてください!」
トマトの食べ方を教えてください
Webで”トマトの食べ方”に関する情報が見つかりました。
「さっきも聞きました!」
さっきを聞きました
すみませんが、それはできません
「なんでですか!?」
米ですか
それはおもしろい質問ですね
「お米じゃない!」
お米じゃない
すみません、よくわかりません。
「もういい!」
もういい
それでも友達でいていただけないでしょうか。
「しらない!」
知らない
問題ないですよ。
「ムキィ!!」
あたしはスマホをぽいして床をドンドンした。
シリさん嫌い! トマトより嫌い!!
(続く)
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