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マジ子ちゃんの生まれ方
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獅堂さんがお兄ちゃんを見上げた。
「手先が器用で可愛いイケメンのくるみちゃんか」
沼田さんは不思議そうに獅堂さんの視線の先を探す。お兄ちゃんが見えてないんだ。
お兄ちゃんは獅堂さんが何を言いたいか分からないみたいで、獅堂さんが続ける。
「来海じゃないのか?」
「くるみ?」
獅堂さんが静かに驚いた。
「……月曜の名前知らなかったのか……?」
お兄ちゃんは思い出すように宙を見た。
「ああ。確かに月曜くんは手先が器用ですしメイド服も着そうですね。
彼はくるみくんと言うんですか」
「その様子だと連絡も取れないか」
「つながるのは難しいですね」
いつの間にか富士さんは沼田さんの隣に並ぶように立っていた。
「説明してくれるか?」
獅堂さんは少し身構えてるみたいに硬い声。
「まず沼田さん、俺たちは荒井くん以外全員医師ではありません。消えたぬいぐるみが起こしている事件を解決するために医師だと偽りました。すみません」
獅堂さんの動きに合わせてお兄ちゃんたちも頭を下げた。
「いえ。解決して下さるならありがたいです。葵を助けて下さい」
獅堂さんが頷きながら話を続ける。
「ぬいぐるみを作ったのは」
お兄ちゃんを手で指した。沼田さんが驚く。今お兄ちゃんが見えるようになったんだな。
「野島の兄弟弟子かもしれません。当時は折り紙や動物に自分が1つ能力を与えて使役していましたが、今はぬいぐるみも作れるようになり、他人が生み出した能力を与えられるようになっていてもおかしくありません。来海は向上心が強く発想も柔軟です。
のあちゃんとお母さんの『一緒にいたい』という気持ちを動力源に瞬間移動の能力を持つマジ子ちゃんを生み出した。フルネームを言うのは危険なのでこう呼んでいます。
そして自分のものにカスタマイズして、消えてしまいたい者の願いを叶え何かしらの利益を得ている」
沼田さんは目と口を大きくした。
「ちょっとスマホを」
部屋を出た沼田さんに、獅堂さんの目配せで波路くんが静かについていく。
1分くらいで戻ってきた沼田さんは、接続の切られたスマホ画面を俺たちに印籠みたいに見せた。
「葵はkirari という名前で焼き物を売っているんです。そのサイトがkurumi になってます。
もしかしたら職人だったお祖父さんの窯付きの家も盗られてるんじゃ」
パニックになりかけてる沼田さんに、富士さんは優しく冷静に声を掛ける。
「そのサイトの最終更新日は?」
「え?」
沼田さんが我に返ったようにスマホを操作しようとして指を止めた。
「ここではスマホを動かせないのでIC室へ」
部屋を出る沼田さんについていこうとしながら、獅堂さんが俺の肩を指でトントンと叩いた。
「アイシー室って?」
「病気の説明をしたり治療方針を話し合ったりするための部屋です。
防音がしっかりしていてスマホも使えます」
「手先が器用で可愛いイケメンのくるみちゃんか」
沼田さんは不思議そうに獅堂さんの視線の先を探す。お兄ちゃんが見えてないんだ。
お兄ちゃんは獅堂さんが何を言いたいか分からないみたいで、獅堂さんが続ける。
「来海じゃないのか?」
「くるみ?」
獅堂さんが静かに驚いた。
「……月曜の名前知らなかったのか……?」
お兄ちゃんは思い出すように宙を見た。
「ああ。確かに月曜くんは手先が器用ですしメイド服も着そうですね。
彼はくるみくんと言うんですか」
「その様子だと連絡も取れないか」
「つながるのは難しいですね」
いつの間にか富士さんは沼田さんの隣に並ぶように立っていた。
「説明してくれるか?」
獅堂さんは少し身構えてるみたいに硬い声。
「まず沼田さん、俺たちは荒井くん以外全員医師ではありません。消えたぬいぐるみが起こしている事件を解決するために医師だと偽りました。すみません」
獅堂さんの動きに合わせてお兄ちゃんたちも頭を下げた。
「いえ。解決して下さるならありがたいです。葵を助けて下さい」
獅堂さんが頷きながら話を続ける。
「ぬいぐるみを作ったのは」
お兄ちゃんを手で指した。沼田さんが驚く。今お兄ちゃんが見えるようになったんだな。
「野島の兄弟弟子かもしれません。当時は折り紙や動物に自分が1つ能力を与えて使役していましたが、今はぬいぐるみも作れるようになり、他人が生み出した能力を与えられるようになっていてもおかしくありません。来海は向上心が強く発想も柔軟です。
のあちゃんとお母さんの『一緒にいたい』という気持ちを動力源に瞬間移動の能力を持つマジ子ちゃんを生み出した。フルネームを言うのは危険なのでこう呼んでいます。
そして自分のものにカスタマイズして、消えてしまいたい者の願いを叶え何かしらの利益を得ている」
沼田さんは目と口を大きくした。
「ちょっとスマホを」
部屋を出た沼田さんに、獅堂さんの目配せで波路くんが静かについていく。
1分くらいで戻ってきた沼田さんは、接続の切られたスマホ画面を俺たちに印籠みたいに見せた。
「葵はkirari という名前で焼き物を売っているんです。そのサイトがkurumi になってます。
もしかしたら職人だったお祖父さんの窯付きの家も盗られてるんじゃ」
パニックになりかけてる沼田さんに、富士さんは優しく冷静に声を掛ける。
「そのサイトの最終更新日は?」
「え?」
沼田さんが我に返ったようにスマホを操作しようとして指を止めた。
「ここではスマホを動かせないのでIC室へ」
部屋を出る沼田さんについていこうとしながら、獅堂さんが俺の肩を指でトントンと叩いた。
「アイシー室って?」
「病気の説明をしたり治療方針を話し合ったりするための部屋です。
防音がしっかりしていてスマホも使えます」
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