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「ぼ、僕……! 師匠と結婚したかったのに……! なんでこんなエロ医者と結婚しないといけないの……!」
憧れのウェディングドレスなのに、相手が違う。
リーシュは結婚する前に妊娠してしまった。勿論、ヤーコブの子供だった。リーシュのお腹の膨らみが目立ってくる前に結婚式をしようと言われ、流されるまま式の当日になってしまった。
「そう言うなって。せっかくの可愛い顔が、泣き顔でぐちゃぐちゃだぞ?」
「この強姦魔! どーせ僕の妊娠だって、狙ってやったんでしょ!」
まだ道半ばだったが、戦える体ではなくなってしまったので、妊娠を機に冒険者も引退せざるを得なかった。
冒険者を辞めると師匠のディオンに伝えると「そうか。もしかしたら結婚したほうが、リーシュは幸せになれるかもしれないな。魔王の討伐は俺に任せろ」と、心なしか、安堵したような表情を浮かべていた。
「ちょ……! 声が大きすぎるって……! どーしてもリーシュと結婚したかったから、まあ狙ってはいたけど……! どうせリーシュの師匠には奥さんがいたんだろ? いずれ俺と結婚して良かったって思わせてやるよ」
ヤーコブは、リーシュを妻に迎えてから、「リーシュと産まれてくる子供のためにも、稼がなきゃな!」と、より一層、仕事に精を出すようになった。
「どうしたんだ、リーシュ? まだ仕事は終わらないから、先に寝ていていいよ」
「……ヤーコブ。これから、僕もここで寝泊まりするよ」
暗い顔をしているリーシュを、ヤーコブは心配そうな顔で見た。空いている部屋はあったが、リーシュは安定期に入ったばかりで、妊婦が寝泊まりするには適しているとは言えない環境だったからだ。
ヤーコブはリーシュがなぜ来たのか、聞いた。
「え? 俺の仕事手伝ってくれるの? 気持ちは嬉しいけど、家に居てくれたほうが……」
「新婚なのに、最近忙しいからって家に戻ってこないし……! 僕が手伝ったほうが仕事だって早く終わるだろうし、ヤ、ヤーコブと一緒に居られるから……って、この手は何……!?」
「最近する時間なかったから、欲求不満なのかと思って……。いたたたた!? ち、違うの!?」
ヤーコブの耳を引っ張りながら、ぷくーと頬を膨らませて、リーシュは怒った。
「ヤーコブのばかっ! あんなに大きな布団で、僕1人で寝なきゃいけないの、寂しいよ!」
「ごめんってば! ほら、仲直りのキスしよ!」
「……っ、こんなキスで誤魔化されな……、あ、ちょっと、ヤーコブ!? まだ仕事なんじゃないの!?」
「仕事は別に急ぎじゃないから。……だめ? じゃあやめるけど」
「だ、だめってわけじゃ……! だって僕だって……」
リーシュは自ら服を脱いで、ヤーコブに抱き着いた。
「おまんこ、ぐちょぐちょだね。期待してた?」
「う、うん……。……ちょっとだけだよ!?」
リーシュはヤーコブと熱い夜を過ごし、「えへへ、ヤーコブ、朝ごはん食べる? いっぱい作っちゃった♡」一晩中愛されたリーシュの機嫌は、見るからに良くなり、「美味しいよ、リーシュ。リーシュは料理上手だね」ヤーコブもまた、幸せそうな顔をして、リーシュが作った食事を頬張った。
リーシュは憧れていた勇者にはなれなかったが、ヤーコブの助手となり、悩める患者の良き相談相手となった。
「あ、ごめん! また間違えちゃった!」
「リーシュ!? お前、俺の仕事を減らしに来たのか!? それとも増やしに来たのか!?」
「うう……。わざとじゃないんだよぉ……!」
「それは分かってる……! とりあえず、風邪ひく前に、服を着替えて来い!」
不器用でドジだったため、失敗ばかりしたが、持ち前の明るさと優しさで多くの人の心を救い、感謝されるようになった。
そしてヤーコブも医者として経験を積み、冒険者から信頼の厚い医者となった。
憧れのウェディングドレスなのに、相手が違う。
リーシュは結婚する前に妊娠してしまった。勿論、ヤーコブの子供だった。リーシュのお腹の膨らみが目立ってくる前に結婚式をしようと言われ、流されるまま式の当日になってしまった。
「そう言うなって。せっかくの可愛い顔が、泣き顔でぐちゃぐちゃだぞ?」
「この強姦魔! どーせ僕の妊娠だって、狙ってやったんでしょ!」
まだ道半ばだったが、戦える体ではなくなってしまったので、妊娠を機に冒険者も引退せざるを得なかった。
冒険者を辞めると師匠のディオンに伝えると「そうか。もしかしたら結婚したほうが、リーシュは幸せになれるかもしれないな。魔王の討伐は俺に任せろ」と、心なしか、安堵したような表情を浮かべていた。
「ちょ……! 声が大きすぎるって……! どーしてもリーシュと結婚したかったから、まあ狙ってはいたけど……! どうせリーシュの師匠には奥さんがいたんだろ? いずれ俺と結婚して良かったって思わせてやるよ」
ヤーコブは、リーシュを妻に迎えてから、「リーシュと産まれてくる子供のためにも、稼がなきゃな!」と、より一層、仕事に精を出すようになった。
「どうしたんだ、リーシュ? まだ仕事は終わらないから、先に寝ていていいよ」
「……ヤーコブ。これから、僕もここで寝泊まりするよ」
暗い顔をしているリーシュを、ヤーコブは心配そうな顔で見た。空いている部屋はあったが、リーシュは安定期に入ったばかりで、妊婦が寝泊まりするには適しているとは言えない環境だったからだ。
ヤーコブはリーシュがなぜ来たのか、聞いた。
「え? 俺の仕事手伝ってくれるの? 気持ちは嬉しいけど、家に居てくれたほうが……」
「新婚なのに、最近忙しいからって家に戻ってこないし……! 僕が手伝ったほうが仕事だって早く終わるだろうし、ヤ、ヤーコブと一緒に居られるから……って、この手は何……!?」
「最近する時間なかったから、欲求不満なのかと思って……。いたたたた!? ち、違うの!?」
ヤーコブの耳を引っ張りながら、ぷくーと頬を膨らませて、リーシュは怒った。
「ヤーコブのばかっ! あんなに大きな布団で、僕1人で寝なきゃいけないの、寂しいよ!」
「ごめんってば! ほら、仲直りのキスしよ!」
「……っ、こんなキスで誤魔化されな……、あ、ちょっと、ヤーコブ!? まだ仕事なんじゃないの!?」
「仕事は別に急ぎじゃないから。……だめ? じゃあやめるけど」
「だ、だめってわけじゃ……! だって僕だって……」
リーシュは自ら服を脱いで、ヤーコブに抱き着いた。
「おまんこ、ぐちょぐちょだね。期待してた?」
「う、うん……。……ちょっとだけだよ!?」
リーシュはヤーコブと熱い夜を過ごし、「えへへ、ヤーコブ、朝ごはん食べる? いっぱい作っちゃった♡」一晩中愛されたリーシュの機嫌は、見るからに良くなり、「美味しいよ、リーシュ。リーシュは料理上手だね」ヤーコブもまた、幸せそうな顔をして、リーシュが作った食事を頬張った。
リーシュは憧れていた勇者にはなれなかったが、ヤーコブの助手となり、悩める患者の良き相談相手となった。
「あ、ごめん! また間違えちゃった!」
「リーシュ!? お前、俺の仕事を減らしに来たのか!? それとも増やしに来たのか!?」
「うう……。わざとじゃないんだよぉ……!」
「それは分かってる……! とりあえず、風邪ひく前に、服を着替えて来い!」
不器用でドジだったため、失敗ばかりしたが、持ち前の明るさと優しさで多くの人の心を救い、感謝されるようになった。
そしてヤーコブも医者として経験を積み、冒険者から信頼の厚い医者となった。
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