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仲間
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シャルロットは半獣で、冒険者学校を卒業したばかりの駆け出しの冒険者だ。けれども、仲間とはうまくいってなかった。
「早くしろ、のろま! もう暗くなるだろ!」
「は、はい! 今すぐ!」
「そんなこと、言われる前に準備しとけよ! 今までいったい何回やってると思ってるんだ? 要領が悪いな!」
シャルトットは、仲間の心無い言葉に、毎日打ちのめされていた。
「はぁ~……。僕って、そんなに才能がにゃいのかなあ……。あ、いけないいけない。はやくしないと、また怒られるにゃ……。火の精霊さん、お願いするにゃ」
小さな火の精霊は項垂れているシャルロットを心配そうに見つめていたが、シャルロットのお願いに、ニコリと笑って力を貸してくれた。
「よし、火が付いたにゃ……! ありがとうにゃ!」
指先に集中すると、ぽうっと火が発生した。シャルロットの魔力量と熟練度では指先に長時間、火を持続するのは難しい。
シャルロットは火が消える前に、枯れ葉に火を移した。
(火、綺麗だなあ……)
パチパチと燃える火を見ながら、気持ちはまた暗くなってきて、シャルロットの耳はへにゃりと折れた。
シャルロットは、冒険者学校を卒業したばかりの、いわゆる冒険者の卵だ。
学校では前衛として戦うことが多かったが、仲間がシャルロット以外男だったので何時からか、自然と後衛に回るようになった。
そのため、仲間が必要としていた盗賊スキルや回復スキルを入手し、腕を磨いた。
けれども半獣のシャルロットは魔力が低く、器用貧乏だった。
スキルを覚えることは出来たが、すぐに頭打ちとなり、誰もが使えるような初級のスキルしか保有出来なかった。
仲間との差は開くばかりで、シャルロットは焦っていた。
店で買える中級のスキルはどれも高価で、シャルロットの稼ぎでは手が届かなかった。
かといって仲間にお願いするわけにもいかなかった。
シャルロットが中級のスキルを覚えるよりも、仲間の武器や防具を買ったほうが、遥かに効率が良かったからだ。
(シャルが悪いんだにゃ……。もっと頑張れば、きっと認めてくれるにゃ!)
はじめて火魔法が使えた時、シャルロットは有頂天になった。
魔術の書は初級であっても高価で、それを独学で習得した人間は殆どいなかった。
これで仲間も、シャルロットを雑用係ではなく、仲間の一員として認めてくれるかもしれない。
それまでの努力が報われた気がして、すごくすごく嬉しかった。
「どう!? シャル、凄いでしょ!!」
「全属性の魔法が使えるの?」
「そうだよ! 精霊さんの力を借りてね……」
自信満々で、覚えたての魔法を仲間に披露したが、その反応は冷たかった。
「で?」
きっと驚いてくれる。もしかしたら、学生時代のように、褒めて頭を撫でてくれるかもしれない。ひそかに期待していたシャルロットにとって、それは予想外の反応だった。
(え? また、何か間違えたにゃ……? な、何を間違えたんだにゃ……?)
シャルロットはパニックに陥った。おろおろするシャルロットに、仲間はわざとらしい、大きなため息をついた。
「早くしろ、のろま! もう暗くなるだろ!」
「は、はい! 今すぐ!」
「そんなこと、言われる前に準備しとけよ! 今までいったい何回やってると思ってるんだ? 要領が悪いな!」
シャルトットは、仲間の心無い言葉に、毎日打ちのめされていた。
「はぁ~……。僕って、そんなに才能がにゃいのかなあ……。あ、いけないいけない。はやくしないと、また怒られるにゃ……。火の精霊さん、お願いするにゃ」
小さな火の精霊は項垂れているシャルロットを心配そうに見つめていたが、シャルロットのお願いに、ニコリと笑って力を貸してくれた。
「よし、火が付いたにゃ……! ありがとうにゃ!」
指先に集中すると、ぽうっと火が発生した。シャルロットの魔力量と熟練度では指先に長時間、火を持続するのは難しい。
シャルロットは火が消える前に、枯れ葉に火を移した。
(火、綺麗だなあ……)
パチパチと燃える火を見ながら、気持ちはまた暗くなってきて、シャルロットの耳はへにゃりと折れた。
シャルロットは、冒険者学校を卒業したばかりの、いわゆる冒険者の卵だ。
学校では前衛として戦うことが多かったが、仲間がシャルロット以外男だったので何時からか、自然と後衛に回るようになった。
そのため、仲間が必要としていた盗賊スキルや回復スキルを入手し、腕を磨いた。
けれども半獣のシャルロットは魔力が低く、器用貧乏だった。
スキルを覚えることは出来たが、すぐに頭打ちとなり、誰もが使えるような初級のスキルしか保有出来なかった。
仲間との差は開くばかりで、シャルロットは焦っていた。
店で買える中級のスキルはどれも高価で、シャルロットの稼ぎでは手が届かなかった。
かといって仲間にお願いするわけにもいかなかった。
シャルロットが中級のスキルを覚えるよりも、仲間の武器や防具を買ったほうが、遥かに効率が良かったからだ。
(シャルが悪いんだにゃ……。もっと頑張れば、きっと認めてくれるにゃ!)
はじめて火魔法が使えた時、シャルロットは有頂天になった。
魔術の書は初級であっても高価で、それを独学で習得した人間は殆どいなかった。
これで仲間も、シャルロットを雑用係ではなく、仲間の一員として認めてくれるかもしれない。
それまでの努力が報われた気がして、すごくすごく嬉しかった。
「どう!? シャル、凄いでしょ!!」
「全属性の魔法が使えるの?」
「そうだよ! 精霊さんの力を借りてね……」
自信満々で、覚えたての魔法を仲間に披露したが、その反応は冷たかった。
「で?」
きっと驚いてくれる。もしかしたら、学生時代のように、褒めて頭を撫でてくれるかもしれない。ひそかに期待していたシャルロットにとって、それは予想外の反応だった。
(え? また、何か間違えたにゃ……? な、何を間違えたんだにゃ……?)
シャルロットはパニックに陥った。おろおろするシャルロットに、仲間はわざとらしい、大きなため息をついた。
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