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才能

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「ヴォルグ。キスの先ってあるの?」
「あるよ。俺が教えてやる」

ヴォルグは満足していた。

(やはり、これは掘り出し物だったな)

シャルロットは忠誠心が高く、本人の申告通り、突出して才があるものはないが、回復、魔術、前衛が人並みに出来るなら、Bランクが妥当だ。

戦闘の経験が不足しているだけで、シャルロットの伸びしろは高いように思えた。

(シャル自身も混同しているようだが、生活魔法と魔術は違うだろ……。いったい冒険者学校で何を学んだんだ?)

そもそも発動の方法が根本から違うのだ。既にシャルロットは下級とはいえ精霊と契約している。それだけで魔法使いとしてギルドで登録してもいいぐらいだ。

魔術は一生をかけて学ぶものだ。
冒険者学校を出て、1年も経たない初心者が中級魔術を行使できるようになったら、それこそ伝説に名を遺す、偉大なる人物となるだろう。
ふつうは師匠となる人物の下で何年も修行して、ようやく得るものなのだ。
それを独学で魔術を習得したとなると、才能の塊でしかない。

シャルロットよりも遥かに魔力の乏しいヴォルグからしたら、喉から手が出るほど欲しい才能だった。

(料理も上手だし、自分の身を守ることもできるし、何より可愛い。可愛いは正義だ……!)

顔だけではなく、性格も裏表なく可愛らしい。

シャルロットも性行為をしたことがないとはいえ、奴隷になるという意味合いを、覚悟はしているようだ。半獣の大半は奴隷として生きている。

冒険者が奴隷を連れていることはよくあることだ。シャルロットはヴォルグの奴隷だから、その体はヴォルグのものだ。

(シャルの発情期、はやく来ないかな……)

匂いでわかる。まだシャルロットは発情期を迎えていない。これには個人差があるため、何時くるかは誰にもわからない。

発情期を迎えていない半獣に性行為をすることはタブー視されている。発情期を迎えるということは雄を受け入れ、子を作る準備が出来たということでもある。

発情期が来てないシャルロットの体は、まだ未成熟で子供ということになる。

いきなり襲うことはしたくないが、他の女を抱く気にもなれなくて、性欲の発散に大変だった。なるべく手を出さないように我慢しているが、何時まで我慢できるかわからない。

(でも、最初が肝心だ……。シャルにも、肌を重ねることを好きになってもらいたい)

シャルロットは、やっと見つけた理想の奴隷だ。

理想が高い、ということは分かっていても、中途半端な気持ちでは傷つけてしまうかもしれないと思っていた。
いつか全力で愛せるような女性が目の前に現れるんじゃないかと思い、妥協が出来なかった。

時間をかけて探して良かった、とヴォルグは心の底から思った。

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