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エピソード1 始まりの空
夏休み終わりに過去の記憶
しおりを挟むミーン。ミーンミンミンミン。
8月31日。夏の終わり。
カーテンを締切、PCモニターの明かりだけが灯る部屋で机に座りFPSに没頭する 夢咲 信也 (ゆめさき しんや 16歳)
全身藍色のジャージを身に纏い目元まで伸びボサボサの髪で激しくマウス操作する。
「死ねゴミ共 」カチャカチャ
「何奴も此奴も芋りやがって…!」
「ヤバっ…!! 」
撃ち殺された自身のアバターをに目を向け舌打ちし、背もたれに全身を委ね天井を見上げる。
「ハァッ~……」
5秒程時間が経ち机の傍らに置いてあるスマホを手に取り時刻を確認する。
AM4:35
「もう朝か。そりゃ腹も減るわな。」
「キィッー。」
高い音を出すゲーミングチェアーから約10時間ぶりに二足歩行を行う。
「コンビニ行こ…。」
PC画面をつけたままジャージ姿で部屋を出る。
コンビニに着くとおにぎりとスナックパンを買い足早に店を出る。
足を止め薄暗い空を見上げ呟く信也
「何時から…こんな人生になったんだろう、、、子供の頃は楽しかったな…」
「信也!」
後ろから透明感と甘さを兼ね備えた声が静寂に満ちた歩道に響き渡る。
「…っ」
肩をすくめ驚き、声のする方へゆっくりと振り返る信也。
そこには胸元まである黒髪に白のTシャツ、水色の短パン姿と、とてもラスな格好の女の子が後ろに手を組み少し笑みを浮かべ立っていた。
「……ゆ…」
信也は1文字を発するので精一杯だった。
それから3秒程時間がたっただろうか。
ただ生きていたら何とも感じない短い時間だが、信也には走馬灯の様に様々な記憶が交錯し呼吸や時間が止まっていると感じるほどに長い時間静寂を取り戻した様な気がしていた。
ゆっくり口を開く女の子。
「久しぶりだねっ…! 信也!」
少し微笑みながら目を細める。
「………!!」
聞きたいことは沢山ある。
でも声が出ない。
と同時に身体に力が入らなく成り視野が狭まり風景から色彩が失われ倒れていると実感しながら視界が薄暗い空へと向かって行った…。
途切れかけた意識の中で信也はこう考えていた。
「幻覚…。そりゃ寝ずにゲームしたら幻覚も見るし、倒れもするよな…」
「何で今頃。。こんな、、幻、、覚、、」
目の前が真っ暗に成り意識を失う。
俺はこの聞き慣れた声を覚えている。
その声は俺の光だった。
5年前の夏の終わり
信也は小学5年生。
夏休み前に引越し9月1日夏休み明けで新しい小学校に転校していた。
ざわざわ…
「はいはい、皆静かに!」
「今日から皆の新しい仲間になる夢咲信也君です。」
「皆仲良くしてくださいねー!」
若い女性の先生の声がクラスに響き渡る。
「ぱちぱちぱちぱち。」
担任の先生の紹介で頭を軽く下げ誘導された席へと向かう信也。
作業とかした拍手と好奇の目に苛まれる。
「また、この感じだ…この晒し者の気分…」
信也はそう思いながら席に着き座った。
「はい!では、授業を始めます。」
「今日は教科書の…」
キーンコーンカーンコーン…
「皆さん、さようなら」
ざわざわ…がやがや…
帰りの会が終わり教科書をランドセルに終い俯きながら帰り支度を進めていると、横に座っていた女の子が唐突に話しかけてくる。
「信也君ってどこに住んでるのっ?」
目がぱっちりしていて胸元まである黒髪水色のワンピースを着た無邪気な笑顔が特徴な子だ。
「えっ。7丁目…」
「そうなのっ!?」
「私もだよっ!」
「じゃ!一緒に帰ろ!」
立ち上がり信也の机に両手を押し当て前かがみで話しかける。
その屈託の無い笑顔と圧力に断る選択肢は無く渋々応じる信也。
「えっ…うん、いいよ…。」
斜め下を向いて問に答える。
「本当?!やった!!」
「私ね!結衣って言うのっ!」
「今日からよろしくねっ!!」
目を細め笑う女の子。
教室の窓から生暖かい風がカーテンと女の子の髪を揺らしていた。
ー その声は透明感と甘さを兼ね備えた声をしていた ー
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