運命を知らないアルファ

riiko

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番外編

6、番の為のヴィラ 2

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 部屋に入ると正樹が興奮して、探検だぁ――って駆け出して行った。子供かよ、いつも俺に子供子供いうけど、正樹こそ年相応の可愛い男の子だと思う。俺はそんな幼な妻を今夜組み敷くんだぃ!!

 部屋の窓辺には緑が見えて、解放感もある。ヴィラの外は専用の庭になっているので、外からはこちらまで見えない設計で草花や木が生い茂っている。庭にはプライベートプール、ベッドが配置されている。夜空を見ながら、いたせるようにだ。男のあこがれ、アオ……、もできるように設計された。俺の希望でな!! アルファ諸君喜べ、つがい持ちだからこそわかる男のロマンをふんだんに盛り込んだのさ。

 探検? が終わった正樹が戻ってきた。俺にバックハグしてきた、な、な、なんだ!?

「お前、凄いな。すげぇいい一軒家だよ。連れてきてくれてありがとう」
「気に入ってくれた?」
「うん、司のこともっともっと好きになっちゃうよ、お前、俺をどうしたいわけ?」
「こうしたい……」

 向き合って抱きしめた。正樹の鼓動がどくどくと聞こえる、探検して興奮したからな? いい匂いもしてきた、そういう意味でも興奮した?

「つかさぁ、」
「キス、していい」
「して」

 立ったままキスが始まった。とっても気持ちいい、どうしよう、どこでやろうかな。ベッドルームは三つある。全て離れたところに配置しているのは、一つを使っている時に、清掃員に最中の声が聞こえないようにだ。もちろんアルファ側が専用のタブレットで清掃希望時間帯とどの部屋の清掃というのを通知しなければドアが開かない仕組みになっている。きちんとプライバシーが守られる設定になっているので、安心して使ってほしい。

 清掃を呼ばないという選択もできる、その場合、希望リネンなどをタブレットに打ち込むだけ。食事などの注文も、タブレットでヴィラ本部に直通でいくので、即時対応可能なように24時間体制でのスタッフ配置をしている。

 ベッドルーム、リビング、風呂、庭、どこでもヒートを楽しめるように最上級の素材のベッドだったり、カウチだったり、とにかく色々至れり尽くせり発情期を迎えられる。  

 一週間、オメガを閉じ込めるのには最高の場所だ。

「司?」
「ああ、ごめん。探検したんだよね? どこの部屋で愛し合いたい?」
「あ、バカ!! しねぇよ。まだ昼だろ、それより昼飯食おうぜ!!」
「しないのぉ――、マジで?」
「マジで。ここのルームサービスの味も確かめるんだろ、いろいろチェックしてからだよ、そういうのは」

 タブレットを二人で見て、料理を注文した。

「あれ? 何このチョコ、お茶も美味しそう!!」
「ああ、ウェルカムチョコと、ウェルカムハーブティー、リラックス効果ある味に西条グループが開発したんだ、ちょっとしたサービスだよ」
「へぇ――、このチョコお洒落だな、いろんな味がある!!」

 正樹が手に取って見ていた。

「アルファにはビターチョコ、オメガにはスイートチョコ、あとピスタチオとラズベリー、あとなんだっけな、トリュフもあったかな? チョコはウェルカムサービスで置いて、オープン記念には全種類そろった箱入りをお帰りの時に配る予定。ほら、ここにホテルのロゴは入っているでしょ、おしゃれだし誰かがSNSにあげたら話題にもなると思って」

 そう、これは俺が力をいれて開発したチョコレート。四角い一口大のチョコの包装紙にはM&Tと書いてある、その下にMilkミルク Bitterビター Pistachioピスタチオと味を記載。

「あっほんとだ。M&Tって書いてある。英語ってお洒落だよな。ここの名前、M&Tエムアンドティー Villaヴィラ……だっけ?」
「そうだよ、この意味わかる?」
「ん? なんか意味あるの?」

 ふふふ、最高の意味があるのさ!!
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