運命を知りたくないベータ

riiko

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日本編

17、類の初恋の人 3

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 友達二人も席を外したので正樹と二人きりになった。そして正樹に話を振る。

「正樹は、あの彼と結婚しないの?」
「えっ」
「ああ、ごめん。僕、類と話すとき正樹って呼び捨てで言っていたから……つい」
「いえ、かまいません。司とはハタチになったら入籍する予定です。あの、俺なんかの話をされて不快じゃなかったですか? 全て知っているって言っていたけど、俺、櫻井には相当酷いことしたんです。それも聞きました?」
「聞いたよ。でもそのおかげで僕は類と出会えた。正樹には類を選ばないでくれて感謝しかない」

 正樹もそれなりに、類との過去は気にしているんだ。類は、正樹はきれいさっぱり忘れているって言いきっていたけれど、そんな出来事を忘れられるような人種ではないはずだ。

「お二人は本当にお似合いです。あんな王子様みたいな櫻井には海斗さんのような美しい人が隣にいたら、完璧すぎてちょっとやばいけど、マジでお似合いです。櫻井をよろしくお願いします‼」
「うん、ありがとう。僕はベータだから類との未来は相当悩んだんだけど、もう誰にも渡さないって自信はあるんだ。類はバース関係なく接する人で、僕にとっては奇跡みたいな連続だった。類がオメガに取られるんじゃないかって不安になった時もあったんだけど、それも乗り越えて今があるんだ。その話は今度ゆっくり聞いてね!」
「はい! 櫻井はそんなやつです。だから俺とも友達になってくれた! あいつは優しくて最強の男ですよ」

 なんだか類の気持ちがわかった。こんなに屈託ない顔をするオメガは中々いないかもしれない。童貞の類は、こんなさわやかな笑顔を毎日見せらせて勘違いしてしまったのだろう。

「正樹こそ大恋愛したんだってね、ちょっとネチ男だけどあんな素敵な彼と結ばれて良かったね!」 
「……ネ、ネチ男?」

 あれ? 正樹にはあのアルファに、ツガイフィルターでもかかっているのかな。友達の前でもあんなに牽制して、ネチっと正樹に絡みついているのに。この子、鈍感だって言っていたし、こういうのに疎いのかもしれない。

「前に正樹、類に手紙の返事くれたでしょ? その時、正樹の手紙よりあのアルファの手紙の方が長くてね、ネチネチと正樹をどれだけ愛しているか、そしてどれだけ正樹が自分を愛しているかって、長々と書かれていた。それ見て、僕と類は爆笑したけどね。その手紙も僕を安心させてくれた要素の一つだったから、まぁ二人の惚気も感謝しかないけどね」

 正樹が真っ赤な顔をしてしまった、言い過ぎたかな?

「でもね、正樹が類をフってくれたお陰で僕は類の童貞もらえたし。彼は生涯僕だけしか知らないなんて、こんな嬉しい事ないよ。だから正樹とあのネチ男には感謝しているからね! もう過去のことは気にしないで」
「ぶほっ‼ ど、どう……え!?」

 その反応? あれ、知らなかったの!? 童貞だったから、つがい契約まで正樹に手を出せなかったのだろうし、正樹も契約の約束までは貞操を守れたのに。ヤリチンアルファだったらとっくに正樹は食べられていたよぉ?

「あれ……まさか知らなかったの? 類は童貞だったの。あんなに見た目も中身も王子様なのにね。大事に取っていたんだって、可愛いよね」
「あ、そ、そうだったんですか」

 正樹が驚いた反応をした時、愛しの類が戻ってきた。

「海斗、お待たせ。正樹と何話していたの?」
「ん? 僕がいかに類を好きかを……ね! 正樹」
「お、おう。俺はちょっと恥ずかしくなったよ。櫻井お前幸せそうで良かった」
「うん? 海斗が何か惚気た? 俺は今最高に幸せだよ、ありがとう正樹」

 そうこうしているうちに、式の準備が整ったようで、招待客も参列に案内された。入江響也が神父の前で新婦を待っている。彼はあんな若かったんだ。難しい口調の話が多いからてっきり凄いオジサンかと思っていた。女子高生を手籠めにするなんて金持ちは凄いなって勝手に想像していたら、正樹が隣で、あの二人は運命のつがいだと僕に教えてくれた。

 運命か……。正樹も入江も運命と幸せに暮らせているのに、どうして僕の弟だけはあんな目に合ってしまったのだろう。僕がふと目を落とすと、類がすかさずキスをした。

「えっ」
「こら、お前は見るな」

 隣で僕にキスをした類を見て、正樹が驚いて声を出すも西条に止められていた。

「どうしたの、類?」
「俺だけを見て」
「ふふ、いつだって僕は類だけだよ」
「知っているけど、変なこと考えてないよね? 俺の隣で他の人のこと考えていたらお仕置きだよ」
「ごめんね。大丈夫、大丈夫だよ、キスで戻ってきた」

 こそこそと話して、また僕は類にキスをした。教会に入っても、周りの視線がちらちら感じていた。モデルとして有名な僕を見ているのは知っているけど、まだ新婦が入ってくる前で良かった、僕がみんなの視線をこれ以上もらうわけにはいかないから。

「さぁ類。ここの主役は僕たちじゃないよ、少し自粛しようね」
「そうだな、はは」

 式は無事に終わり、フラワーシャワーの中歩く新郎新婦、僕の前で新婦が立ち止まった。そして笑顔で僕に手に持っていたブーケを渡してきた。

「次はカイさんですよね、二人ともとてもお似合いです‼ これ私からのプレゼント」
「えっ、いいの?」
「はい! 幸せになってくださいね」
「あ、ありがとう」

 女の子は笑顔で微笑んだ。そして類もその子にお礼を言う。

「沙也加ちゃん、ありがとう」
「ううん、櫻井君も幸せそうで良かった‼」

 とても可愛い女の子だった。初対面の僕に、その美しいブーケを手渡してくれた。

「海斗、似合っている」
「うん、嬉しい」

 僕は感極まって涙がでてきて、それを隠すように類が僕を胸に抱き寄せた。

 そして披露宴も無事終わって、スマホを改めてみると、そこには衝撃的な文章が書かれていた。
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