運命を知りたくないベータ

riiko

文字の大きさ
47 / 63
日本編

18、病院から

しおりを挟む

 類に、親から連絡来たから僕は先に帰るけど、この後同級生と楽しんでと耳打ちすると、類も一緒に行くと言い出した。

「大丈夫だから。久しぶりだし、僕に付きっきりじゃなくてもいいよ。類もみんなと楽しみなよ」
「俺の楽しみは海斗の隣にいることで、海斗の全てを知り尽くすことだけど?」
「へ?」
「引いた?」

 引いてないけど驚いた。だって、僕とはこれからもずっと一緒にいるのに、でも類が同級生とこんなふうに会えるのは、かなり貴重な日じゃないのかな。

 それに僕たち、付き合ってもう一年は過ぎた。イギリスでも離れた日はないくらい、ずっと一緒にいる。たまの日本くらい、僕と離れて過ごすのもアリなのかなって思っていたのに、ここに来ても、ううん、日本に来てからは仕事もない分、全く離れた時間もない。

「嬉しいけど、僕とは今夜もホテルで一緒にいるでしょ?」
「片時も離れたくない。仕事とかなら仕方ないけど、プライベートはだめ」
「ふふ、わかった」

 僕、仕事をして無理をさせていたのかな? 仕事が終わるとすぐに類と会うし、類の時間が許す時は仕事場まで着いてくることもあった。恋人って、こんなにべったりするものなのかなぁ? 一人しか経験なかったから、よくわからないところも多い。

「類は、息つまらない?」
「えっ!? 海斗は俺といてそうなの?」

 類が怖い顔して、ちょっと大きな声が出た。

 近くにいた正樹が、驚いた顔でこっちを見てきた。

「ち、違う。そうじゃなくて、あ――、もう! そんな類も好き‼」
「えっ」

 この場で僕たちの痴話喧嘩を、正樹に見せてあげるのは嫌だと思って、僕は恥ずかしげもなく類に抱きついた。類は驚いた声をだしながらも、怒りは治ったみたいで僕をぎゅっとした。まるで条件反射のように、僕が抱きつくと類がぎゅっとする。

「ええっ!?」

 正樹も驚いて、持っていた荷物を落としそうになったところを、彼のつがいが受け止めていた。僕たち、きっと、ずっと喧嘩なんかないんだろうな。口論の前に体がくっつけば、もう受け入れてもらえる。

「正樹、驚かせてごめんね。僕どんな時でも類が好きで、いつでもくっついていたいの」
「あっ、そ、そうですか。それは、また」

 類もククッて笑っている。

「海斗には敵わないな、正樹、大きな声出して悪かった」
「いや、お前が大声出すとこ初めて見たから、ちょっとびびっただけだから、それより目の前でラブシーン始まる方が困るわ‼ ここ、日本。俺たち日本男子」

 僕と類は抱きつきながらも、お互い笑った。

「ふふ、正樹そんなイチャイチャ好きそうな恋人がいるのに、なに言ってるの? 君たちもさっきから結構、ラブシーンしていたけど?」
「えっ、え、そん、そんなことありません、ってこら、司離れろっ! 俺が、日本での日本男子としての見本にならなくては‼」
「そんな必要ないだろ、俺たちつがいなんだし。そこ日本関係ないからね」
「ん? まぁ、そうか?」

 あっ、やっぱり正樹はチョロくて愛すべきおバカだった。類がイギリスでも正樹の話をしていたのを、思い出した。そして実物に会って、ようやく理解できた。

「ふふ、君たちの仲がいいのはとても安心する。僕これから用事があって、もう出なくちゃいけないんだけど、類も連れて帰ってもいい? 僕いつでも類と離れたくないんだ……」
「ふへっ、え、ど、どうぞ。櫻井もまた日本帰ってくるんだろ? その時みんなで集まろう、もちろん海斗さんも」

 正樹が赤い顔をして僕に答えた。そりゃそうだよね、君たちより年上の僕が、類にべったりってところを見せているんだもん。

「ああ、正樹。ありがとう、日本に来てやることまだあって、時間とれなくてごめんな。西条も、また来年世話になるわ」
「おお。お前にしては、まあ、愛されているみたいで良かったな。二人ともお幸せに」
「ありがとう」

 類は僕が必要と言ったことに、満足したみたいで、僕と手を繋ぎながらも二人に挨拶していた。

 そして会場を出てタクシーに乗った時に、類に伝えた。

「陸斗、目が覚めたって。それで、つがいがいた記憶がないって……」
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

僕がそばにいる理由

腐男子ミルク
BL
佐藤裕貴はΩとして生まれた21歳の男性。αの夫と結婚し、表向きは穏やかな夫婦生活を送っているが、その実態は不完全なものだった。夫は裕貴を愛していると口にしながらも、家事や家庭の負担はすべて裕貴に押し付け、自分は何もしない。それでいて、裕貴が他の誰かと関わることには異常なほど敏感で束縛が激しい。性的な関係もないまま、裕貴は愛情とは何か、本当に満たされるとはどういうことかを見失いつつあった。 そんな中、裕貴の職場に新人看護師・宮野歩夢が配属される。歩夢は裕貴がΩであることを本能的に察しながらも、その事実を意に介さず、ただ一人の人間として接してくれるαだった。歩夢の純粋な優しさと、裕貴をありのまま受け入れる態度に触れた裕貴は、心の奥底にしまい込んでいた孤独と向き合わざるを得なくなる。歩夢と過ごす時間を重ねるうちに、彼の存在が裕貴にとって特別なものとなっていくのを感じていた。 しかし、裕貴は既婚者であり、夫との関係や社会的な立場に縛られている。愛情、義務、そしてΩとしての本能――複雑に絡み合う感情の中で、裕貴は自分にとって「真実の幸せ」とは何なのか、そしてその幸せを追い求める覚悟があるのかを問い始める。 束縛の中で見失っていた自分を取り戻し、裕貴が選び取る未来とは――。 愛と本能、自由と束縛が交錯するオメガバースの物語。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

試情のΩは番えない

metta
BL
発情時の匂いが強すぎる体質のフィアルカは、オメガであるにもかかわらず、アルファに拒絶され続け「政略婚に使えないオメガはいらない」と家から放逐されることになった。寄る辺のなかったフィアルカは、幼い頃から主治医だった医師に誘われ、その強い匂いを利用して他のアルファとオメガが番になる手助けをしながら暮らしていた。 しかし医師が金を貰って、オメガ達を望まない番にしていたいう罪で捕まり、フィアルカは自分の匂いで望まない番となってしまった者がいるということを知る。 その事実に打ちひしがれるフィアルカに命じられた罰は、病にかかったアルファの青年の世話、そして青年との間に子を設けることだった。 フィアルカは青年に「罪びとのオメガ」だと罵られ拒絶されてしまうが、青年の拒絶は病をフィアルカに移さないためのものだと気づいたフィアルカは献身的に青年に仕え、やがて心を通わせていくがー一 病の青年‪α‬×発情の強すぎるΩ 紆余曲折ありますがハピエンです。 imooo(@imodayosagyo )さんの「再会年下攻め創作BL」の1次創作タグ企画に参加させていただいたツイノベをお話にしたものになります。素敵な表紙絵もimoooさんに描いていただいております。

ノエルの結婚

仁茂田もに
BL
オメガのノエルは顔も知らないアルファと結婚することになった。 お相手のヴィンセントは旦那さまの部下で、階級は中尉。東方司令部に勤めているらしい。 生まれ育った帝都を離れ、ノエルはヴィンセントとふたり東部の街で新婚生活を送ることになる。 無表情だが穏やかで優しい帝国軍人(アルファ)×明るいがトラウマ持ちのオメガ 過去につらい経験をしたオメガのノエルが、ヴィンセントと結婚して幸せになる話です。 J.GARDEN58にて本編+書き下ろしで頒布する予定です。 詳しくは後日、活動報告またはXにてご告知します。

二人のアルファは変異Ωを逃さない!

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26
BL
★お気に入り1200⇧(new❤️)ありがとうございます♡とても励みになります! 表紙絵、イラストレーターかな様にお願いしました♡イメージぴったりでびっくりです♡ 途中変異の男らしいツンデレΩと溺愛アルファたちの因縁めいた恋の物語。 修験道で有名な白路山の麓に住む岳は市内の高校へ通っているβの新高校3年生。優等生でクールな岳の悩みは高校に入ってから周囲と比べて成長が止まった様に感じる事だった。最近は身体までだるく感じて山伏の修行もままならない。 βの自分に執着する友人のアルファの叶斗にも、妙な対応をされる様になって気が重い。本人も知らない秘密を抱えたβの岳と、東京の中高一貫校から転校してきたもう一人の謎めいたアルファの高井も岳と距離を詰めてくる。叶斗も高井も、なぜΩでもない岳から目が離せないのか、自分でも不思議でならない。 そんな岳がΩへの変異を開始して…。岳を取り巻く周囲の騒動は収まるどころか増すばかりで、それでも岳はいつもの様に、冷めた態度でマイペースで生きていく!そんな岳にすっかり振り回されていく2人のアルファの困惑と溺愛♡

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

処理中です...