初めては好きな人と

riiko

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15 風俗に入るの?

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「臣君とは、風俗に入ったらもう会わない」
「え?」

 明美ちゃんが戸惑う。

「どうして風俗に入るって決めてるの? 初めてを好きな人に捧げられたことで願いが叶ったってことにしてない? これはスタート地点でしょ」

 明美ちゃんの言葉に僕は首を振った。

「違うよ、ゴールだよ。僕の願いは叶ったんだ。高校の時から好きだった臣君と結ばれて、一回だけじゃなくて三日間も臣君は僕といてくれた。これだけで満足しなくちゃだめだと思う」
「なんで? どうしてよ。臣君がなっちゃんのこと好きなら、借金してでもなっちゃんの借金を返せるはずよ。アルファなんだから、オメガを養うのは当たり前じゃないの?」

 明美ちゃんはドラマの見過ぎだ。臣君は努力して自分の人生を築いてきた。当たり前に僕が搾取するのも頼るのもおかしい。
 それに臣君は僕と同じでまだ十代。
 そんな彼に、叔父の莫大……なのかはしらないが、借金の話なんて重すぎる。
 僕のバックにお金がかかることを知られて、若い彼に負担をかけたくない。だったら、僕はこのまま今だけの幸せをかみしめたら、数か月後は誰かに抱かれても生きていける気が……しないけど、するようにしなくちゃいけない。

「当り前じゃないよ。臣君がアルファだからってだけで僕の借金を返すのはおかしいよ。というかおじさんの借金ね。それこそおかしいじゃん」
「ま、まあ叔父さんだったね。借金作ったのは」
「臣君は人一倍努力して大学に受かって、会社をこんな若くして作れた。アルファだからとかじゃなくて彼の努力なんだよ。僕は高校時代そんな彼を見てきたんだ。だからこそ好きになったの。僕はお金が欲しくて臣君といたいんじゃない。ただただ彼が好きなだけなの」
「なっちゃん……」

 臣君が好き、たまらなく好き。
 だからこそ、こんな卑しい自分を見せたくない。初体験だけ彼としたいなんて思った時点で相当卑しいけど、それは両思いだったからチャラにしておこう。うん。

「はぁあ、奈月は真面目だなぁ、でもアルファをなめちゃいけんよ。隠し事なんてしたってひとつもいいことないからな。これは実体験だ」
「なにそれ……その話気になるわぁ」

 乙葉君の言葉に、明美ちゃんが楽しそうにしていた。うん、僕も気になる。

「俺のかれぴ、嫉妬が尋常じゃないの。って、今はその話よくない⁉」
「よくないわ、なっちゃんにアルファとはなんぞやということを教えてあげるには、乙葉君の話は重要よ」
 
 いや、明美ちゃんがアルファの生態に興味があるだけに思えるけど? でも僕も知りたい。そこで乙葉君は苦い顔をして語り出す。

「とにかく細かいことは端折るけど、そういう彼だから面倒くさくて、ベータの友達と出かけたことをオメガの友達と出かけたって言ったら、なぜかばれてめちゃくちゃ攻められた……性的に」
「きゃあぁぁぁぁ! ご馳走様ぁん」
「明美ちゃん、そんな可愛いもんじゃないからね。浮気してないから嫉妬する必要どこにもないのに、なんでもそういう方向に持ってちゃうの怖くね? 俺ちょっとトラウマだもん。些細なことでも嘘と隠し事はいけないって学んだよ」
「ドラマだわぁ! リアル執着アルファ様」

 乙葉君の話は、臣君には当てはまらない。そう思って僕は聞いていた。
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