初めては好きな人と

riiko

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24 プロポーズ

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「奈月、愛してる」
「臣君、僕も。僕も臣君だけが好き」

 抱きしめる腕の力が強くなる。彼からミントの優しい香りが漂ってきた。

「借金のこと、今まで辛かったな」
「……うん」
「俺に相談できなかったのは、俺が舞い上がって奈月に今のことを聞かなかった俺の責任だ」
「そんなことない。僕が言えなかっただけで……」
「でもさっき、電話がかかってくる前、何か言おうとしてくれてたよね」

 臣君は僕の耳元で話しかけてくる。僕は臣君の胸に顔を埋めたまま答える。

「僕が風俗に行くことを臣君に伝えようとしてた」
「決めてたの? 風俗行くこと」

 決めていた……のかはわからないけど、借金を抱えているからそれしか方法がないとは思っていた。
 だけど、本心は――

「僕、臣君を利用してた。風俗に入る前に、好きな人と初体験したくて、それで臣君に会いに行った。ごめんなさい」
「で、俺と寝て、風俗行けるって思った?」
「思わない。思わないよ、むしろ臣君意外と経験したくないって、拒否感しか生まれなかった。臣君意外の人になんて抱かれたくないし、キスも臣君としかしたくないってわかっちゃった」
「ふふ、素直でよろしい」

 これが僕の正直な気持ち。

 彼を好きだし、彼以外なんて無理すぎた。臣君と再会するまで、風俗のことを簡単に考えすぎていた。臣君を知った今、なにがなんでもお金を工面して風俗入りをやめるべきだった。僕がその考えに至って、そう臣君に相談すべきだった。
 そこで臣君が言う。

「俺たち、今すぐ結婚しよう」
「え……」

 耳元で、そう言われた。
 すると、今度は僕を離して、僕の頬を両手でそっと包み込むと、顔をしっかり見てから臣君が言う。

「結婚してください。俺のお嫁さんになって」
「だって、僕、借金」
「まだ言うの? もう風俗は無理ってわかっただろう。違約金くらい、俺が払える。それくらいの金はもう稼いでるよ。高校生の頃からずっとバイトをしてきた奈月に、もう苦労はさせないって決めて俺は頑張ったんだ。今使わなくて、いつ使うの?」
「い、いまでしょ?」

 二人は目を合わせて笑った。
 そして、臣君は僕の唇に自分の唇を重ねた。それは初めて経験するキスだった。唇と唇が触れ合うキスは、付き合い立ての二人がするのにちょうどいい、可愛い口づけだった。
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