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本編
2、イケメンスパダリ旦那ってなんですか?
しおりを挟む付け焼き刃だったがオメガの知識は事前に少し入れてきた。といっても俺の周りにオメガなんて者は居ないので、病院でもらった冊子、オメガとはなんちゃらというものと、母さんが好きなアルファオメガものや、運命の番なるドラマを数本見せられ、そこでオメガの勉強をさせられた。
母さんはベータだったが、実はばあちゃん、つまり母さんの母親がオメガだったから、俺は隔世遺伝なのだろうと。
ってか、ばあちゃんオメガだったのか!? 知らなかったよ。
母さんは自分の母親がオメガであったからオメガについては詳しかったし、オメガへの理解も深い。そしてもしかしたら息子もオメガなのではないだろうかと思っていたと言われた。なんだよ! ってか、俺どっからどうみても男の中の男だよ!? 母さんには、どうしてオメガに見えたかなぁ?
母は年の割には可愛らしくメルヘン脳なので、恋愛もの、特に男同士の話が好物らしくて、むしろ俺がオメガと判明した時、イケメンスパダリ旦那を捕まえなさいと言われた。
――それは、いったいなんのパスタ料理の名前デスカ?――
入学式までの間、こっぱずかしいドラマを母親と一緒に強制的に見せられ、終始真っ赤な顔でドラマを見る羽目になった。
年頃の男子が母親と男同士の、しかも性的に際どい恋愛ドラマを見せられる、なんて屈辱と思いつつも、親に絶対服従な俺は逆らうことができなかった。
そんなドラマのような、ファンタジーな話は物語だからであって実際は違う! 母さんには俺という凡人の中の凡人、キングオブ凡人のオメガに夢見るなと言い放って、両親の心配をよそに、中学の延長みたいな気持ちで入学式を迎えた。
高校に入ってから、アルファやオメガとはどんな感じなのだろうとドキドキしながらも、発情期もまだな俺には関係もなく、今までと同じようにベータ男子として振る舞った。
クラスでも仲のいい男友達もできたし、誰がアルファだろうとかオメガとか俺には興味がなかった。バース性は敢えて明かすべきものでもないらしいので、そんな存在は忘れていてあっという間に一ヶ月が過ぎたのだった。
だが男子高校生たるもの、女の子には興味があった。小さくて可愛い彼女が欲しいなってクラスメイトに話したら、マジで驚かれた。
「えっ、なんなの? その反応、あっ、もしかして俺ってもう彼女持ちに見えていた?」
「は? どう考えても見えないわ、ってか彼女は無理だろう」
なんだよ、その可哀想な童貞を見る目は……。俺そこまで悪くないとは思うんだけど、女の子は俺みたいな男は嫌なのか!?
中学の時に女の子から告白されたこともある、その時はもちろん女の子を抱きたい、童貞を卒業したいという気持ちはあったけど、なんとなくまだ恋愛には目が向かなかったんだよな。
でももう高校生だ、そろそろ俺の筆下ろしをしてもいい頃だろう? 身長だって高すぎはしないが低くもない、日本人男子の平均くらいはある。顔は平凡だけど、母親からの教えで清潔感だけは心がけている。
俺の唯一のチャームポイントは髪の毛。癖毛にしてはうまくまとまって緩めのパーマをかけたように見えなくもない、平凡だけど。でも髪ふわふわで触り心地がいいと、クラスの女子たちが良く髪を撫でてくれる。
気持ち悪い男の髪には可愛い女子は触らないだろう? ってことで、俺はそこまで悪くないと思うんだが……。そんな反応されると少し自信がなくなる。
「俺って女の子が嫌うほど、そんな醜い?」
「いや、そうじゃなくて、正樹はどう考えてもアルファとしか付き合えないんだから、彼女に限定しなくても良くない?」
「なんでそこにアルファが出てくるの? 付き合うのにそれ必要?」
仲の良い友人の明が驚いている。そこにクラス一のモテ男である櫻井が来た。
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