運命を知っているオメガ

riiko

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本編

3、オメガがバレている!?

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「なに話してんの?」
「おう! 櫻井、俺ってそんなに醜い?」
「ん、なんの話? 正樹は可愛いよ」
「は? なんだそれ! 女の子受けしない? どこなおしたほうがいい?」

 櫻井はハテナという顔をした。

「だからなんの話? そのままでいいと思うけど」

 櫻井は女子からめちゃくちゃモテるイケメン、高身長で王子様みたいと言われている。いつも爽やかな笑顔でいい匂いもする。そんな奴に大丈夫だと言われてとりあえずホッとした。

「いや、俺そろそろ彼女欲しいって言ったら、明が俺には無理だって言うんだよ! 酷くない?」
「えっ、正樹は女のアルファがいいの?」

 さっき俺に女と付き合えるのかと失礼な話をしてきた明が、櫻井に苦笑いしている。なんなんだよ!

「だからさっ、なんでアルファとかの話になるの? 俺そもそも誰が何とか知らないし、とりあえず俺より小さくて可愛い子がいいな、櫻井だれか紹介してよ!」
「えっと、男じゃダメ? 正樹ってそういう性差別するような子なの?」

 何言ってやがる? さっきから話が通じないな。

「は? 差別とかじゃなくて、普通、男なら女の子と付き合うだろ、なんで男なんだよ」

 櫻井と明が困った顔をしていた。櫻井は優しく俺に話を続ける。

「だって、正樹オメガだろう? 男オメガなら、相手は男のアルファでもいいだろ?」
「な、なんで、俺、オメガって……」
「隠していたの? そんなのすぐわかるのに。そんなに、いい匂いしていて」
「えっ」

 俺は自分の匂いをクンクンと嗅いだけど、何もわからなかった。

「ふふっ、可愛いな。まだ発情期きてないんだろう? だからそんなに強くはないけど、アルファの俺にはオメガのフェロモンはわかるよ」
「えっ、櫻井ってアルファなの?」

 驚きのカミングアウト!?

「そこから? 俺からアルファの匂いしない?」
「そんなの知らないよ。なんだよ、アルファの匂いって。じゃあ、明もアルファなの? だから俺がオメガって……」

 オメガ男がアルファ男と付き合う、ドラマの世界だけかと思っていた。それに明まで俺がオメガだと知っていた。アルファにはそうゆうのって、わかるのか? オメガの俺には何にもわからなかった。

「俺はベータだよ。ただ正樹はベータにしてはなんていうか、庇護欲? そそるし。アルファの櫻井の態度を見てもそうだろうなって、だから正樹はオメガだって思っていた」
「何言ってんのかわからないけど、俺そういうので判断されるのは嫌いだ。俺はただの男だ。女みたいな扱いしないで欲しい」

 庇護欲ってなんだっけ? こいつ高校生のくせに難しい言葉使いやがる。というかなんとなくバカにされたのはわかった。

「別に女扱いなんてしてないだろう? それこそ女の子に対する差別、オメガ嫌なの?」
「よくわからない。中学まではベータしかいない中で自分もベータだと思って過ごしていたから」

 明はやけに納得したようにしていたし、櫻井もなるほどって言っていた。だからなんなんだよぅ!

「ああ、それでアルファにも物怖じせずに話しかけていたんだ、普通のオメガならアルファには良く見られたいから、正樹みたいなガサツなオメガは珍しいと思っていたんだよね」
「ガサツ、俺そんな風に見られていたの?」

 ただの凡人も、オメガになるとガサツと言われるなんて、それこそ差別だ!

「いや、言い方悪かった、ベータの振る舞いをするオメガっていう感じ」
「だって、俺ベータだったもん。ここ入試する時に初めてオメガってわかっただけで……」
「それでそんな態度だったのか、俺はてっきり平凡を装った小悪魔系オメガかと疑っていたわ」

 明に続き、櫻井も言葉を続けた。

「俺はそんな計算高いとは思ってなかったよ。ただの鈍い子で、純粋で可愛いなって思っていたよ」
「だから! なんの話だよっ。てか、もうオメガとかの話良くない? 俺はそんなくくりで生きるつもりはない」

 馬鹿にしやがって! と俺は鼻を膨らませて怒った。

「大きくでたね。でもこれで理解できた? 普通の女の子はオメガの男と付き合いたいとは思わない、アルファの女は寄ってくるかもしれないけど、うちの学年だと女のアルファはつがい持ちしかいないんだよね、残念だけど諦めた方がいいよ」

 櫻井がそう言った。なんだよ、この残念なやつを見る感じ。俺って結局高校に入っても彼女作れないの? バース性ってオソルベシ。隠す必要もなくばれていたらしい、俺の筆下ろしは……夢のまた夢……。

「正樹、たとえ女アルファと付き合って処女は捨てられても一生童貞だ。あきらめろ」

 明が、にやっと嫌なことを言いやがった!
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