56 / 101
本編
55、抗えない運命 ※
そこで司が動いた。
「えっ!」
腕は空を切って、目の前を見ると櫻井が司に殴られていた。
「櫻井っ、ああっ、なんてことしてくれるんだよ、俺のアルファに! 司っ、はやく出ていけ!」
司に言い放ち倒れている櫻井に駆け寄ろうとすると、腕は司に掴まれてそのまま抱きしめられた。
な、な、なにが起こっているんだ?
「はな、っせ!」
「正樹!」
やばい、こいつ、なんだかやばい。
「お前のアルファは、俺だ」
すでに理性飛んでいるのか? 俺は何度も司のフェロモン浴びていたから。ある程度忍耐もついているかもしれないけど、こいつは違う。
司は俺の発情期に合わせて薬をやめていたと言っていた。そんな状態で俺のフェロモンを初めて正面から、しかも抱きしめた距離で嗅いでいる、今もずっと鼻息が荒いっ、首をクンクンと嗅いで舐めて、さらにでかくなっているモノが俺の腹に当たっている。
な、なんか、怖い。
首輪もはずしてしまったので、簡単に俺の急所のうなじに司の唇はあたる。
「ひっ、や、めっ」
「俺の、俺のオメガっ」
「司っ、正気に戻れ、お前のオメガじゃない! 俺はお前が番にできない運命の相手だ、はなせっ、あっひゃんんっ!」
もうだめだ、こいつ、イカれている。
「くそっ、正樹をはなせっ、俺のオメガになるんだ!」
「あっ櫻井っ、助けてっ」
俺のその言葉に司は怒り狂った。
「俺のオメガだ!」
「ふざけるなっ! 俺はこれから櫻井に番にしてもらうんだ、お前っ、でてけっ」
「くそっっ」
櫻井はひどい力で殴られたのか、腹を抱えて起き上がれないでいる。司は俺を羽交い締めにしたまま電話をかけるとすぐに、数名の男が乱入してきて櫻井は連れていかれた。
な、なんだ? なにが起きている? するとそのまま俺は早急に壁に胸を打ち付けられて、うなじを舐められる、体は反応を起こして俺の後ろからオメガ特有の分泌液が出た。
「もう濡れた」
「やっ、やめろ!」
バスローブをお尻のところだけめくりあげて、何も言わずに後ろから司が挿ってきた。
「うっ、あぁぁぁぁぁっ!」
「くっ、はあっ、正樹っ」
「あっあっ、あっ、やっ、やめっ」
立ったままバックから何度も司の凶悪なモノを出し入れされて、俺の白濁は壁に吐き出される。痛いと一瞬思ったが、すぐに快楽を拾ってしまった。こんな状況なのに、今までで一番気持ちがいい、発情期についに俺の最愛に抱いてもらえたという気持ちが勝った。
「あっ、あっ、んんん」
「正樹、正樹っ!」
司も余裕がない、息遣いが今まで聞いたこともないものとなっていた。そんな野獣じみた交わりなのに、俺の体は、心は歓喜に満ちていた。そして司の凶器は俺のいいところを何度もかすめる。もう立っていられない。
「やっ、おねがいっ、やめて、お願いしますっ」
俺は、俺は、本当はやめて欲しくない、このまま俺をぐちゃぐちゃに犯し続けて欲しい。そう思うオメガの心を見せないように、必死に泣きながら頼んだ。
心とは別の言葉を吐き出して。
「やめない、正樹っ、お前は俺を求めている」
ヒートで誘発されているはずだけど、アルファの精液が体に入ったことで急に頭がクリアになった。このまま司が全てを吐き出したら、この最上の時間は終わってしまう。
さっき男たちが乱入してきたように、俺の中に違うアルファが入り、それでそのまま知らないアルファに番にされるんだ。それを阻止するために櫻井に頼んだのに、櫻井はあっけなく連れていかれ櫻井がとったホテルなのに今は俺と司の二人きりになった。
もう俺は助からない。
「ふっ、んんっ、ぐすっ、うっっ、やっ、やめてっ、お願いだから、首はやめて、」
「そんなにあの男と番になりたかったのか?」
そうじゃない、そうじゃない! 俺はお前と縁を切りたくなかったから、だから司以外の誰かと……せめて俺を想ってくれている櫻井と番になる必要があった。それだけ、それだけの……。
「うっ、もうやめてっ、櫻井のところに返して、おねがいっ、ああぁぁっっっ!」
また最奥で突かれた。
俺はもう意識を保てなかった。だめだ、このまま快楽に任せて意識を失ったら、目が覚めた時はもう違う誰かの番になってしまう。でも、もうそれでもいいかって思った。だって俺が絶対望んでも叶わなかった状況が今あるんだから。
司に発情期に抱いてもらえた、それだけで十分だった。
きもちいいっ、あっ、イク、いっちゃう、もうだめ……だ。そこで俺の意識は薄れた。
あなたにおすすめの小説
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
様々な形での応援ありがとうございます!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。