契約結婚の裏側で

riiko

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18 愛する人と ※

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 梨香子が家に住みだしてからも、何も変わらなかった。女性が家にいることに最初こそ潤はドキドキしてしまったが、それを健吾に咎められて散々に抱かれる日々になってしまっただけだった。

「案外、女性が家にいるのもいいな」
「え。なんで? いや、いいんだけど、なんで?」

 夜、自室で休んでいる時に健吾がベッドに寝そべりながらそんな話をする。まさか健介と趣味が同じで、好みの女性なのか? そう疑ったのが顔に出ていた潤を見た健吾が笑う。

「お前が嫉妬してくれるし? それに女性を意識したことで、お前が俺にお仕置きされるの待ってるみたいだし?」

 嫉妬がばれていたらしい。

「な、酷い! だって、女の子が一緒の家に住んでたら、少しは緊張するでしょ」
「俺はしない、潤が一緒にいるほうがドキドキする。俺の十年はドキドキしっぱなしだ」

 急に真面目な顔になる健吾。この顔は雄を意識してしまい、やはり何年経ってもかっこいいと見とれてしまう。

「愛してるよ、潤。明日楽しみにしてる」
「うん、僕も。それにあの二人に最高の想い出を作ってあげられるのが、やっぱり一番嬉しいな」
「そうだな」

 健介は仕事を辞めて、今は家で産休に入った梨香子と一緒に過ごしている。梨香子は、保育園が申し込めるまでは休みを取ると決めていた。残してもらうお金があるし、そんなに早く復帰しなくても心配いらないのにと潤が健介に言うと、「彼女は仕事が好きだから」そう、愛しい人の話をする父を見て、だから彼女はこの人に愛されたのかと思ってしまった。

「健吾、僕はずっとずーっと、健吾を愛してる。出会った頃から特別だったから、だから僕はこの家にすんなり来られたんだと思う」
「ああ」
「お父さんの代わりにはならないけど、僕がこれからずっと健吾の側にいるからね」
「潤、父さんの残りの時間も変わらず過ごそうな。二人で支えていこう。愛してるよ」
「僕も……」

 何度も夜を共に過ごしてきている。だけど、この瞬間に入る前だけは少し緊張をする潤だった。そんな潤の気持ちがわかるのか、健吾はいつも誘導する。彼からキスをして、そして服を脱がせてはじまる神聖な時間。

 明日は自分たちにとって何かが変わる大切な日だった。の夜を、潤は特別な気持ちで臨んだ。

 潤は健吾をベッドに押し倒す。

「え? どうした?」
「今日は僕がするから」
「……へぇ、そうなんだ?」

 にやりと笑う健吾。余裕を失くしてやりたい、そう思う潤は噛みつくようにキスをした。

「ん、んんっ、はぁっ、んちゅっ」
「ふ、ん、強引っ、だな」

 キスの合間に言葉を交わす健吾に、潤は笑う。たまにこうして健吾を襲うのが実は好きだった。いつも好き勝手にされている。それはもちろん好きだからドロドロに蕩けさせてもらうのがたまらなく感じてしまう。だが今日は理性を保って、彼をまず何も考えられないくらいに蕩けさせてやりたいと思ってしまった。

「強引なのも、好きでしょ。ほら、ここもすぐに感じちゃうはずだよ」

 潤は健吾の股間をそっと触ると、パジャマごと下着を下にずりおろす。健吾は腰を浮かせて潤の手伝いをして楽しそうな顔をしていた。潤は微笑んだあと、まだ通常の状態の彼の肉棒を手で包み込む。そして彼の瞳をじっと見つめながら、潤は口を大きく開けた。その艶やかに濡れる口は、まるで極上の蜜を貪りたいという健吾の欲求を目覚めさせる。

 健吾はそのまま股間の上に陣取る潤の頬を掴み、キスをしようと起き上がると、潤は大きな口を開いたまま彼の舌を受け入れた。舌を吸って彼の全てを味わうかのように、ちゅっ、ぬっちゅっとわざとらしい水音が部屋に響かせる。最後に潤は健吾の唇をぺろりと舐めた。

「ここまでね、そこから見てて」
「……っ!」

 潤は下に顔を向けると、健吾の欲望に吸い付いた。健吾は天を仰ぐ。この十年で、潤の舌使いは相当なものになっていた。もちろん教えたのは健吾だが、教えた本人も驚くほどに妖艶に潤は導いていった。

「うっ、はぁっ……んっ」
「ぴちゃっ、くふっ、んん、きもひいい?」

 こくこくと頷く健吾。彼が感じる姿に、触られてもない潤の欲望も硬くなっていく。付け根から手でしごきながら、先端をジュルりと吸う。健吾が息を吐き、色気を帯びた切羽詰まった声で話してくる。

「お前、絶対、手放せないッ」
「んひゅっ、ひゃんでっ?」

 手放してもらうつもりはないが、一応聞いてみる。

「こんな可愛い姿を誰にも見せたくない…ッ、オ、俺の独占欲だ。うっ、出すぞ!」
「んんん、ひゅっ、んん」

 健吾の欲望の液体を潤は余すことなく吸いきった。ごっくんと喉を大きく鳴らして全てを自分の中に受け入れる。愛しい男の子種は、絶対に誰にも渡さないという気持ちで潤は美味しそうに全てを飲み込んだ。独占欲というなら、潤のほうが強いのではないかと時々感じる。この行為をすることで、満たされる潤だった。

 息を荒げている健吾を見るのも好きだ。少し休ませてから、また復活させて自分の胎に収めるのが待ち遠しい。何度も体を交えていても、潤から跨るのはそう何度もない。健吾が空を仰いでいるので、その腹の上に潤は寝そべり、自分の指にジェルを落として後ろに手をやり、彼が復活したらすぐに挿入できるように拡げておこうと、指を挿入した。

「んん、はァあっ、んん」
「俺の上で、一人で感じてるの?」
「ん、感じてない。健吾の復活を待ってる間に解そうしてるだけっ、はぁん」

 否定したが、潤は自分の指でもすぐに快楽を拾う程度に健吾に仕込まれていたので、たとえ事前準備でさえも色のある声が出てしまう。そんな会話をしていると、潤の顔の前にあった健吾の欲望が上を向いていた。

「やべぇ、お前の声聞いてるだけでもうコレだ」
「凄いね。声だけでとか……」

 ときどき義兄は変態かと思うが、潤はその欲望を見て美味しそうと思ってしまうから大概だった。義理とはいえ、兄弟とは似てくるのかもしれない。

「潤、こいよ」
「え、まだちょっとかかるから」
「いいから」

 健吾は潤の腰を掴み、健吾の腹の上に潤の尻を置いた。健吾に跨る状態で、尻のジェルが健吾の胎をぐちゅっと濡らす。

「ちょっと腰浮かせて、俺の上に手を置いて」
「え、こ、こう?」

 ベッドについている膝に力を入れて、少し腰を浮かすと健吾の指がするっと潤の中に挿入はいってくる。

「あ、ああ、んん、はぁ」
「たくさんジェル入れて偉いな」
「そんなことっ、褒めないでよ、あんっ!」

 自分で拡げるのと違って、健吾はすぐに潤の良いところに指を当ててくるので、やはり健吾からの愛撫は全てが官能を引き立てる。しばらく健吾はその姿勢で指を抜き差ししているとようやく三本挿入はいってきたのがわかった。

「じゃ、自分かられて?」
「う、うん」

 いつの間にか天を仰ぐ健吾の欲望に少しだけジェルを塗り込み、潤は彼の根元をしっかりと支えると、自身の後孔を目指して腰を浮かせてからゆっくりと下ろしていく。この瞬間は緊張する。熱い視線を感じるので、この恰好がなんだか恥ずかしい。

「は…んン、挿入はいっ…って、くる……あ、あああ」
「上手だよ。上手だ、ッイイ。ああッ、たまらない」
「ああ、おお、おっきいよぉ、あんッ、はぁぁっ!」
「うっ、凄ッ」
「ああああ!」

 最後、力尽きた潤は一気に自身の体重を下ろすと、欲望を健吾の胎の上に吐き出した。

「挿入しただけでイクとか、反則だぞ」
「はぁ、はぁッ、ごめ……ん。なんかぼく、今日…よゆーっない」
「わかったよ。でも俺まだお前の中でイッてない」

 健吾を中にれたままの状態で、潤は天を仰いで達していた。健吾には申し訳ないが、今はちょっと待ってほしい。彼の欲望が胎の中で主張したままだが、潤は力が出ない。気持ちよさに酔っている。

 すると健吾がしびれを切らし、潤の手を引くと中に挿入はいったまま、体を反転させ潤をベッドに仰向けにした。

「ひゃぁッ」
「こっからは俺な」
「え、だめ! まだ僕がイッただけで健吾をイカせてないから……っ、僕が上で…っ。あ、ああああ!」

 会話にならない。健吾がすぐに腰を振り始めたことで注挿がはじまる。とても激しい音を立てている。ジェルの交じり合うぐちゅぐちゅという卑猥な水音と、肌同士がぶつかり合うぱんぱんという激しい音が部屋中に響きわたる。そこに、健吾の獣のような吐息と潤の喘ぎ声が重なった。

「健吾ぉ、あ、あああ、気持ちいい、はんっ、あッ」
「ああ、潤。お前の中は最高だ。俺も気持ちいい」

 今度は簡単に達しないように、健吾が潤の欲望の根本を掴む。

「あ、あん、ダメ、出したい」

 潤が顔を横にふって、健吾にお願いをする。しかし健吾は――

「もうちょっと我慢な」
「あ、あん、ああッ」

 健吾の腰の動きが早まる。潤は自然と腰を浮かせ、背中がのけぞる。溺れるような感覚に、潤の手が宙をさまよう。すかさず健吾が彼の手をしっかりと掴む。

「愛してる」
「う、あ、ぼ、ぼくも…あ、あ、あ、ああ…イッちゃッ」
「いいよ、俺もイクから」

 健吾が潤の唇をキスして塞ぐ。

「んんんん、んちゅっ、んん」

 潤の体が痙攣し、昇りつめていることがわかる。それでも健吾は唇を離さずに、彼の声を自分の口内に収めた。健吾も少し遅れて、潤の中に欲望を注いだ。

「んはっ、はぁはぁ、あああ。熱いっ…ああ!!」
 
 愛しい人の飛沫を胎に感じて、潤は蕩けるように解放された唇から言葉を発した。

「愛してる、潤。お前だけ、永遠に」
「はぁ、はぁ、僕も、永遠に、愛を誓う……っ」

 二人の熱い夜は、今夜も始まったばかりから勢いが激しかった。

 潤は彼を感じるこの瞬間が一番生きた心地がして、自分はこのために生きていると実感していた。彼と永遠に……この瞬間を生きていく。そう心に誓って、今夜も甘い夜が始まっていったのだった。
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