ローズゼラニウムの箱庭で

riiko

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第七章 決断

149、番のいない発情期 3 ※

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「先輩……」

 寮について、部屋の前で少しとまどっていたらドアが開いた。部屋の中から先輩がちょうどドアを開けたところだった。

「良太、おかえり。どうしてそんなところで立ってるの? 早く中に入って」

 俺の手をぎゅっと引き寄せて、荷物も取り上げられて、そしてドアが閉まる。先輩がすぐに俺に抱きついてきた。

「ごめんなさい」
「何に謝ってる? 発情期を俺なしに迎えたこと? それとも仮病のこと?」
「……」

 えっ、なんでバレてるんだ。

「やっぱり仮病だったんだ……。なんとなく俺と発情期を過ごしたくなさそうなのは、感じてたから、良太の好きにさせたんだ」

 俺は抱きしめられたまま、何も答えられずにいた。まさか……わかっていたなんて、つがいを甘く見すぎた? 勇吾さんは執着が無くなることなど無いって言っていたけど、全てをわかって俺を泳がせていたというのか。

 俺を抱きしめている先輩は、頭の上から話は続いていた。

「言い訳はないの?」

 優しく言う声が、むしろ俺には怖かった。

「好きだから、先輩を好きになってから自分が怖くて、こないだの発情期も自分がなくなってたし、変な呪術みたいな行動していた時もあって……恥ずかしかったし」
「呪術って、オメガの巣作り? あれは可愛かっただけなのに。また見たかったくらいだよ」

 そう、俺は先輩と心から結ばれた初めてのヒートではとんでもない求愛行動を無意識にしていたと、先輩は喜んでいて、俺がかき集めた巣作りの証拠を片付けることなく見せてきた、それで知ったけど、その残骸を見た時にハッとした。

 あんな気持ち悪い行動をするくらい、自分の本能を隠せないんだと。それも今回一緒にいられないという理由の一つだった。

「でも発情期に入ったら正直何も覚えてられないから、何か変なこととか先輩に言っちゃいそうで、それが怖くて。好きになったらなるほど、僕は怖いんです。嫌われたくなくて、だから」
「俺に聞かれたら困るような本音が、良太にはあるってこと?」

 鋭い。

「……先輩だってあるでしょ? 誰にでも知られたくない秘密ありますよね。でもオメガである僕はそれを隠せない日があるから、発情期で僕の醜い本当の姿を見られて嫌われたくなかった」
「俺はどんな良太を見ても嫌いになれないくらい、いい加減わかってるんじゃない? 良太はそれでも、このまま俺とは発情期を過ごさないつもりなの? 一度は許しても二度目はないよ。どうする?」

 抱きしめていた腕を解いて、今度は目を見て伝えてきた。俺を逃がさないと伝えるようなその目に、そのセリフに、オメガの俺はゾクっとした。怒られているのだろうけど、俺への執着が見えて、嬉しさに体が震えた。馬鹿げたオメガの性質が悔しい。

 俺は先輩の唇に自分のそれを重ねて、恥ずかしくて顔を真っ赤にしながらも優しいキスをして答えた。

「どうもしません」
「それはどう言うこと? キスでごまかしてるの? ちょっと嬉しいけど」

 そして俺は微笑み、また目を瞑り、自分から舌をそっと差し込んでキスを仕掛けた。そうしたら先輩は優しく舌を誘導してくれる。そして官能的なキスに素早く変わった。

「はぁ、んんっ。次からは抱いてください。やっぱり抑制剤は悲しいです。だからどんな僕になってもお願いだから、嫌いにならないでください」
「それは無いよ。むしろどうしたら良太を嫌いになれるのか教えて欲しいくらいだ。俺は自他共に認めるほど、良太に溺れてるから」
「僕も……先輩にはまってる」

 そのセリフを聞いて先輩が驚いたような顔をした。

 俺は言ったセリフが恥ずかしくて顔を背けたが、すぐに顎をつかまれてそのまま深い口づけが繰り返され、いつのまにか横抱きにされて寝室へと運ばれ、まだ日中だと言うのにコトが始まってしまった。俺は発情期明けなので、まだ微量のフェロモンが残っていてすぐに快楽の波へと落ちてしまった。

 やっぱり先輩に抱かれているのが、一番しっくりくる。

 発情期中にれられた、男性器に似せたアレは無機質だった。発情期だから気持ち良さはあるものの、心は満たされなかった。実際の先輩のコレが俺には一番心地いい。

 そういえば前に新薬を使って寝たアルファ、あれも気持ち良すぎて何度も達したけど、でもあの気持ち良さとは別に、今の方がずっといい。心が満たされるのは、セックスにおいてとても重要なんだって、あの経験があるからこそわかったのかもしれないって思ったら、あの時の出来事も悪く無かったなって思えた。

「良太、俺に抱かれながら一体何を考えていたの?」
「ふぇ? あぁぁっ、イク、あん」

 思考を読まれてはないだろうけど、違うことを考えていたのはバレていた。でも、そうやってすぐさま先輩に向き合わなければいけないほどに、俺を夢中にさせて、俺の最高に気持ちいい所を知り尽くしている。

「ふっ、ん、先輩が好き……あん、きもちいい」
「俺もだよ、良太が好きでたまらない、俺も最高に気持ちいいよ」

 そして先輩も俺の中で同時に果ててくれた。それが嬉しくて俺は弾む息遣いをしながらも意識のあるセックスに満足して、先輩の顔を腕で引き寄せて唇を奪った。

 しばらくすると先輩のモノがまた大きくなってきたので、快楽を拾いながらも、自分から腰を揺らして意識してそれを締め付けた。

「良太? っっぐ、うっ、ま……て……」
「あんっ、いや、待たない。先輩だっていつも待ってくれないっ、からっ、ふぁっ!?」
「良太が誘ったんだよ? 覚悟して」

 一気に主導権は先輩に変わり、下からゆっくりと揺れていたことも許されず、手で足を思いっきり開かれた。自分の足が肩に付くくらいに折り曲げられて、先輩のモノがもっと奥深くに刺さってきた。

「あうっ、奥、怖いっ、いや、いやっ ああんっ」
「いい眺めだ、とても厭らしくて可愛い。良太、くっ」
「先輩、もうだめ、おかしくなるっ、それ以上は来ちゃダメ、怖い」

 こんな先、発情期じゃなければ受け入れられない。とても怖くて泣き出した。そして気持ちが良すぎて狂ってしまいそうだった。

「良太が休む間も無く煽ったんだよ? きちんと奥で俺を受け入れて……」

 今の頭のボーっとした俺には、何を言っているのか理解できなかった。

 先輩はずんずんと無遠慮に中に挿入はいってくる。ずっと俺は、あんあんっていう声しか出せない。きもちいい。溶ける。このままずっと。好き。好き、好き。

「あっ、なにっ なっ、あっ、おかしいっ、あっ、あっ、先輩、先輩」
「愛してる、良太っ!」

 先輩の精液が再奥に注がれるのがわかったと同時に、俺の意識もなくなった。
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