ローズゼラニウムの箱庭で

riiko

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第七章 決断

156、最後の夏休み 6

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 昨年同様、海へ行って遊んだ。そしてお決まりのパターンで、先輩は俺の体を他の誰にも見せたくないからって、昨年みたいに全身の身を隠す形の水着を着用させられた。こんな重装備な人は誰もいないから逆に目立つのでは? と思わなくもないが、これで先輩が安心するなら問題ないか。

 そして釣りにも連れて行ってくれた。

 終始二人で笑いっぱなしで、本当に楽しいバカンスになっていた。

 魚は沢山釣れたけど、ホテルだからどうしようって言ったら、じゃぁ夕飯だけ別荘に行こうかってなった。俺が嫌じゃなければ両親とバーベキューはどうだろうって。

 俺はどうしようか悩んだけど、でも本当に使用人とご両親しかいないし、他の人に会うわけじゃないって言われたから、それならお爺様の心配するようなことはないだろうと思い、先輩に従った。

 最後に会った時、あいつを見つけて急に家から飛び出した。それ以来お詫びにも行ってないのが気になっていたし、今回会えばもう人生で会うことのない人たちだから、最後くらいきちんとしておきたかったのもあった。

 あれ以来のご両親との再会。

「良太君いらっしゃい。今年は僕たちが別荘を占領しちゃってごめんね、一度ここに来てみたかったんだ」

 相変わらず綺麗な先輩のお母さんが、玄関まで僕たちを迎えにきてくれた。来てみたかったって、ここは上條所有の別荘なのに、使ったことなかったのかな?

「お久しぶりです、急にお邪魔してすいません」
「良太君、この間は怖い思いをさせて悪かったね」

 先輩のお父さんもやってきた。

「こちらこそ、お二人にはご挨拶もせずに逃げるように帰ってしまって申し訳ありませんでした。その後も挨拶にも伺わず、休暇に突然このような形でお邪魔してしまって」
「良太、その件は俺が全て悪かったんだ、お前が謝ることなんて一つもない」

 先輩が、俺の隣で腰を抱き寄せながらそう言った。

「そうだよ良太君、私たちの配慮が足りなかったんだ。さぁ遠慮なく入っておいで、といってもここの持ち主は桜なんだけどね」
「えっ?」

 お父さんが言ったセリフに過剰に反応すると、今度はお母さんが捕捉してくれた。

「ここは、桜が良太君と二人きりで過ごしたくて昨年買った別荘なんだよ、あれ? 知らなかった? 今年はホテルに泊まりたいからって、僕たちに譲ってくれたんだけど」

 え、最近買ったって昨年だったの? 俺のために?

「先輩、そんなこと知らずに、ぼくっ」

 隣を見上げて俺はなんて言っていいのか戸惑っていたら、俺の頭に手を乗っけた先輩がご両親に素っ気なく話した。

「父さんも母さんもやめてください。そういうことを言うと、控えめな良太が引いてしまうでしょう。さぁ良太入ろう、あまりここにいると熱中症になってしまうよ」
「先輩っ」

 ご両親の前だというのに、感極まって抱きついてしまった。

「かわいいな良太、二人とも先に中に入ってください。それから良太が可愛い過ぎるので、これ以上は見ないで下さい」
「はいはいっ、二人共ごゆっくり。可愛い良太君を早く僕たちにも見せて欲しいのになぁ――、じゃぁ先に中で待ってるよ」

 二人はそう言って部屋に入って、そのまま俺たちは抱き合っていた。先輩のご両親の前だったが抑えきれなかった。この気持ちをどう伝えていいのかわからない。来年にはもう俺はここに来ることはないのに、それなのに、俺と過ごすためにここを。

「先輩、僕、こんなにしてもらってるって知らなくて、ごめんなさいっ! それなのに今年はマンションでダラダラしたいと言ったりして」
「別にいいんだよ、場所はどこでも。いろんなところにいつでも良太と過ごせる場所があるのは俺も安心するから、これからはもっと増やしていきたいな。ここもまた来たくなったらいつでも来てもいいし」
「先輩、好きですっ、好き。本当に好き」
「困ったな、凄く嬉しいけど、流石にここでそのセリフを聞いたら、両親もいるしな」
「僕の告白は迷惑ですか? 今先輩に本心をぶつけたくてっ、ごめんなさいっ」

 抱きつきながら、涙が出てきた。先輩を困らせたいわけじゃないし、でも拒絶されたら辛い。

「違うよ、お前が好きすぎて今すぐ抱き潰したくて仕方ないんだ、これは俺の自制心を試されている試練なんだな」
「ぷっ、なんですかそれ! でも嬉しいっ、今すぐ先輩に、抱き、つ、ぶされたい……けど、でもせっかくご両親にお会いできたから、もう少し、夜まで、待ってください」

 俺は自分で言って恥ずかしくなって、どもってしまった。赤い顔した俺を、めちゃくちゃ破顔した先輩が上から見てくる。

「ぷぷっ、せんぱい! なにその顔、かっこいいけど面白いっ」
「あっ、すまんっ、良太が俺を惑わすから今必死に、下半身に力をいれて抑制していたところだ」

 そう言うから、思わず抱きついている体をぱっと離した。ここでおってられても、俺には何もできない。

「そんな露骨に……」
「あっ、ごめんなさいっ、だって先輩が発情したら、つがいの僕も当てられちゃうからっ!」
「そんな失態はしないよ。良太の発情を両親に見せたくないし、だから俺以外にエロい顔は見せないようにがんばるんだ」
「って、それ! 先輩次第だからっ」

 俺たちは笑いあって、軽く触れるだけのキスをして建物の中にやっと入ることができた。そこでは先輩のお母さんが沢山の魚に感心していた。そしてお父さんは早速お庭で色々準備をしている。

「それにしても凄く沢山の魚釣ったね、今準備しているから少し待っててね。楓はああ見えてこういうの好きでさっ、その割に家事全般については容量悪いから時間かかってごめんねっ。そうだっ、せっかくここにきたんだから上の温泉入っていったら? ふたりとも海も入ったんでしょ? 少し体を温めておいで、そしたらみんなでディナーにしようね」

 お母さんがそう言って、俺たちに着替えを持たせてくれて俺と先輩は屋上にある露天風呂に行った。

 昨年もここは凄く楽しかったし、またこのお風呂に入れるなんて嬉しいなって思っていた。下には先輩のご両親がいるのにこんなにくつろいでしまっていいのかな。

「どうした? 良太、お前温泉好きだろう?」
「えっ、そうなんですけど、なんだかこんな贅沢していいのかなって、それにご両親も休暇中なんですよね、それなのにお風呂までお借りして」
「ここは俺が両親に貸してるんだ。母さんはきっと俺の、うん、このたかぶぶりに気づいて収めてこいって意味で風呂に向かわせたんだ、付き合わせて悪かった」

 ん、たかぶぶり? 先輩の目線を追うと、先輩の股間であって、っえええ! 盛り上がっていらっしゃる。

「先輩っ! えっ、いつのまに」
「良太が散々玄関で可愛いことを言うから、もうオサマリがつかなくなってたんだ」
「ひやっ! あっ、ごめんなさいっ、僕のせいで恥ずかしい思いさせてしまって」
「じゃあ、少しこれ手伝ってくれるか? 流石にディナー前に良太を抱いたら、そのまま抱き続けてしまいそうだからっ、足の間をかしてくれたらいいよ」

 えっ、す、す、すまた?

 そんなこんなで、先輩の高ぶりをなんとか排出させて、二人でまだ暗くなる前の夕方の空を見ながら露天風呂に浸かった。
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