転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.6.5 シドニアの学園見学

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 シドニアの先生の説明が終わった後で、学園の上級生が中を案内してくれた。
 シドニアの学生は、ラルクバッハの7割程度の学生がいる。だから小さいと言うわけではない。同じ大きさの校舎、他の施設も同じ大きさ。
「ラルクバッハの校舎にすごく似ていますね」
「この建物の図面はラルクバッハの校舎を参考にしています。図面を新たに作るのはとても大変ですから」
「ああ、魔法で建物を建てるあれですか」
「ジルベール様はご存じなのですね」
「ええ、春に新しい領主館を建て直したので図面を作って貰いました。魔法の行使も僕がやったのでだいたいはわかります」
「魔法建築のお手伝いをされたのですね。とても素晴らしい。直接経験することはとても良い学びになります。書物だけを読むよりも実際に見て触れる事はとても大切なことです。殿下方もシドニアのことを書物で読むだけでなくこうして訪問されたことで得る物があったでしょう」
 手伝いではなく、自分でやったのだが。まあ良い。この先生良くしゃべる。案内の学生の10倍はしゃべっているのではないだろうか。

 組まれていた見学コースは、侯爵家以上の領主コースだ。
 最後に、領主コース以外のクラスで見学ができた。それは上級生が魔法と剣技を練習している所だった。
 魔法のチームと剣技のチームに別れている。高位貴族が多め。剣技は子爵、男爵位の男子が圧倒的に多い。つまり女子は魔法側に多く集まっていた。

 魔法を使う方に一人変わった子がいるのを見つけた。
「ジルベール様、どうかされましたか?」
 スザンヌが僕に声をかけてきた。
「あそこの子、精霊の光が集まってる気がする。サフィーナ様やマリアテレーズ様にたまに一つか二つ精霊の光を見かけるけどあの子の周りはその比じゃない」
「どの子です?」
「緑の髪の少し背の低い子」
「ああ、あの子ですか」
「ジルベール様、ジルベール様は魔法が得意だとか。どうでしょうか魔法を見せて貰えないでしょうか。それとスザンヌ様は剣技を」
「僕が魔法を使うと結界が壊れるので止めておきます。スザンヌと一緒に行って剣技の相手をしましょう」
「そうですか。残念です。ではこちらへどうぞ」
「では、僕が魔法を見せましょう。無詠唱はまだ習得できていませんが」
 第1王子がかわりに魔法を見せてくれることになったようだ。そうか、魔法を見せるといってさっきの子の近くに行っても良かったな。少し後悔しながら剣技の方へと案内された。
「こちらがラルクバッハ第一王女スザンヌ様。そしてその婚約者となられるジルベール様です」
 先生が僕らを紹介してくれた。
「ご存じの通り、スザンヌ様はご自身を倒した者と婚約すると公言されるほど卓越した剣技をお持ちです。そしてそれを倒したジルベール様も相応の能力をお持ちと言うことです」
「紹介されたスザンヌよ。いまからジルベールと身体強化を使った剣技の手本を見せるわ」

 お互いに向かい合う。スザンヌはきっと本気で打ち合ってくるのでスザンヌに合わせた身体強化を発動させる。
「行くわよ、ジルベール」
 その声と共にスザンヌが駆けだす。手に持っているのは木剣だが魔力で強化した木剣は非常に硬い。身体強化も使っているので打ち合いの音はとても木剣とは思えないような音を響かせる。
 そして、目にもとまらぬ速さで剣技が繰り返される。
 スザンヌは身体強化の2倍を自在に扱えるようになっている。そのトップスピードは大人でも身体強化が使えない者では打ち合うことが不可能なレベルに達している。
 そうして1分ほど打ち合い、そこで終わることにした。
「どう、私は全力だけどジルベールさまにとってはお遊びていどなの。すごいでしょ」
 拍車が沸き起こるが、なぜにそこで自慢?

「素晴らしかったです。ぜひ私とも打ち合いをお願いします」
 そう言われると思ってはいたけど、頼まれるのも予想通りスザンヌの方だった。
 そして、なぜか一部は。……
「わたしは手かげんしないぞ。それと面倒だから全員いっぺんにかかって来なさい」
 そう言った後、戦いが始まった。
 なぜ男どもがエイミーの方に行くかな。女性と打ち合いたいのは解るけど、危険を感知できるようにならないと君たちそのうち死ぬぞ。
 などと思っていたら、僕の前にも人が並んでいた。全員女性だった。
「えっと、君たちの相手にすればよいの?」
「いえ、指導をお願いします」
「ああ、そういうこと。じゃあ素振りをしてもらおうか、それを見て気になるところを指摘するよ」

 そうしてエイミーと訓練している生徒がすべて地面に寝転がった後で先生から声がかかった。
「そろそろ次へ移動しましょう」
「はい、では皆さんごきげんよう」
「ありがとうございました」
 女子たちに挨拶して進む。男子たちは全員床に倒れていたので誰も返事をしなかった。

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