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第4話
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イザベラ嬢の突拍子もない突然の告白に対して、俺は頭が真っ白になってしまう。言葉を発する事が出来ないままに、口をパクパクさせてしまう。
「まあ驚くわよね。私もクララと出会って、お互いに前世の記憶があるって事が分かった時には、今の貴方と同じくらい驚いたもの」
「で、では本当に、俺と同じなんですか?」
「そうよ」
「クララ嬢も?」
「ええ」
「…………一体何処で、俺が転生者だと分かったんですか?」
「それは、――――‟タレ”よ!!」
イザベラ嬢が満面の笑顔を浮かべ、右手の親指をグッと立てながら、そう言ってくる。
「……た、タレが決め手なんですか?」
「ええ、間違いなくタレね。安心して、ちゃんと説明するから」
「はい、お願いします」
「ウォルターさんは、この国に、この王都アイオリスに、焼き鳥という食べ物が存在している事は知っているわよね?」
「それは勿論。この世界に焼き鳥が無い可能性も考えて、下調べもしましたから」
「その下調べって、焼き鳥が存在するのかどうかだけ?」
「いえ、実際に焼き鳥を売っている屋台に出向いて、実物も食べています」
「ならその時、‟タレ”という言葉が屋台の店主から、一言でもでてきたかしら?」
「!?」
そうだった。思い返してみれば、初めて焼き鳥を食べた時に、久々の焼き鳥だという事に気を取られて、色々と聞き逃していた様な気がする。そう言われてみれば、店主はタレという言葉を一言も使ってはいなかった。
「私も、焼き鳥を食べた事があるのよ。その時の焼き鳥の作り方は、ウォルターさんの作り方と同じだったわ。でもやっぱり、店主は一言も、‟タレ”という言葉は使わなかったわ。それと……」
「それと?」
「この国に存在する焼き鳥は、鶏の胸肉を使った一種類しかないわ。ウォルターさんが用意してくれた様々な種類の焼き鳥は、この世界にはまだ存在しないのよ」
イザベラ嬢の言葉に、俺の動きが止まる。言われてみると確かに、初めて食べた焼き鳥も、胸肉の焼き鳥だった事を思い出す。それにあの時の店には、メニューもなかった気がする。
さらに追い打ちをかける様に、イザベラ嬢が畳みかけてくる。
「そして何より、私もウォルターさんも、運が良かった」
「運が良かった、ですか?」
「そうよ。この世界で焼き鳥といったら、基本的には塩の味付けなのよ」
イザベラ嬢の放った止めに、俺の思考が完全に止まってしまう。
「この国には、大きな港を持つ都市があるわ。そのお蔭で他国との貿易は盛んだし、調味料も入ってきやすい。でも、この国の一般の方たちが生活の中で一番使っている調味料は、間違いなく塩よ」
「ま、マジか」
「マジよ。私やウォルターさんが醤油の味付けの焼き鳥を食べれたのは、本当に偶然で、運が良かったのよ。醤油の味付けの焼き鳥を食べさせてくれた屋台の人に聞いたんだけど、馴染みの商人から少量だけ分けて貰って、試してみただけだったそうよ。だからいつもは、塩の味付けで焼くそうよ」
「つまり、‟タレ”という単語や懐かしいあの味を知っていたこと自体が、黒だったわけですか」
「そうね。少なくとも前世の記憶を持っていなければ、あの味にたどり着くのは難しいもの」
色々と、自分で墓穴を掘ってしまっていた様だ。しかし、俺以外にも転生者がいるかもと思ってはいたが、こんなに身近にいるとは思わなかった。それも、二人も。しかも、そのうちの一人が公爵令嬢。完全に勝ち組に転生している。
「それで、俺が転生者だと知ってどうするんですか?」
「少し、手伝ってほしい事があるのよ」
イザベラ嬢はそう言って、ニッコリと微笑む。その微笑みには、否定する事は許さないわよという、静かで強大な圧があった。それに、イザベラ嬢の背中に龍の幻影が浮かび上がっている。断るという選択肢は、俺にはないようだ。
「まあ驚くわよね。私もクララと出会って、お互いに前世の記憶があるって事が分かった時には、今の貴方と同じくらい驚いたもの」
「で、では本当に、俺と同じなんですか?」
「そうよ」
「クララ嬢も?」
「ええ」
「…………一体何処で、俺が転生者だと分かったんですか?」
「それは、――――‟タレ”よ!!」
イザベラ嬢が満面の笑顔を浮かべ、右手の親指をグッと立てながら、そう言ってくる。
「……た、タレが決め手なんですか?」
「ええ、間違いなくタレね。安心して、ちゃんと説明するから」
「はい、お願いします」
「ウォルターさんは、この国に、この王都アイオリスに、焼き鳥という食べ物が存在している事は知っているわよね?」
「それは勿論。この世界に焼き鳥が無い可能性も考えて、下調べもしましたから」
「その下調べって、焼き鳥が存在するのかどうかだけ?」
「いえ、実際に焼き鳥を売っている屋台に出向いて、実物も食べています」
「ならその時、‟タレ”という言葉が屋台の店主から、一言でもでてきたかしら?」
「!?」
そうだった。思い返してみれば、初めて焼き鳥を食べた時に、久々の焼き鳥だという事に気を取られて、色々と聞き逃していた様な気がする。そう言われてみれば、店主はタレという言葉を一言も使ってはいなかった。
「私も、焼き鳥を食べた事があるのよ。その時の焼き鳥の作り方は、ウォルターさんの作り方と同じだったわ。でもやっぱり、店主は一言も、‟タレ”という言葉は使わなかったわ。それと……」
「それと?」
「この国に存在する焼き鳥は、鶏の胸肉を使った一種類しかないわ。ウォルターさんが用意してくれた様々な種類の焼き鳥は、この世界にはまだ存在しないのよ」
イザベラ嬢の言葉に、俺の動きが止まる。言われてみると確かに、初めて食べた焼き鳥も、胸肉の焼き鳥だった事を思い出す。それにあの時の店には、メニューもなかった気がする。
さらに追い打ちをかける様に、イザベラ嬢が畳みかけてくる。
「そして何より、私もウォルターさんも、運が良かった」
「運が良かった、ですか?」
「そうよ。この世界で焼き鳥といったら、基本的には塩の味付けなのよ」
イザベラ嬢の放った止めに、俺の思考が完全に止まってしまう。
「この国には、大きな港を持つ都市があるわ。そのお蔭で他国との貿易は盛んだし、調味料も入ってきやすい。でも、この国の一般の方たちが生活の中で一番使っている調味料は、間違いなく塩よ」
「ま、マジか」
「マジよ。私やウォルターさんが醤油の味付けの焼き鳥を食べれたのは、本当に偶然で、運が良かったのよ。醤油の味付けの焼き鳥を食べさせてくれた屋台の人に聞いたんだけど、馴染みの商人から少量だけ分けて貰って、試してみただけだったそうよ。だからいつもは、塩の味付けで焼くそうよ」
「つまり、‟タレ”という単語や懐かしいあの味を知っていたこと自体が、黒だったわけですか」
「そうね。少なくとも前世の記憶を持っていなければ、あの味にたどり着くのは難しいもの」
色々と、自分で墓穴を掘ってしまっていた様だ。しかし、俺以外にも転生者がいるかもと思ってはいたが、こんなに身近にいるとは思わなかった。それも、二人も。しかも、そのうちの一人が公爵令嬢。完全に勝ち組に転生している。
「それで、俺が転生者だと知ってどうするんですか?」
「少し、手伝ってほしい事があるのよ」
イザベラ嬢はそう言って、ニッコリと微笑む。その微笑みには、否定する事は許さないわよという、静かで強大な圧があった。それに、イザベラ嬢の背中に龍の幻影が浮かび上がっている。断るという選択肢は、俺にはないようだ。
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